湯当たり

朝,ワイフが,「昨日お風呂にお客さんが来たみたい。久しぶりに見たので後で拾っておいてね。」と云うものですから,長湯で湯当たりを起こしたのか,お風呂の底に沈んでいたお客さんを拾ってきました。
 既に人間なら名前が「土左衛門さん」に変わっていました。
 馬鹿なことを書いておりますが,先だって「シデムシご〜ろごろ」のコメントでも話題になりました。偉そうに我が家の中では見ないです〜と言ったところで,来ちゃいましたよ。
 ここに居を構えて5年が経ち平穏でしたが,ついに我が家にもお客さんが。



湯当たり_b0060239_9164537.jpg
既に事切れており,生前の活発さはなく,色も低温で煮込んだ?ため多分変色していると思います。こうなると,ゴムのおもちゃと判別つきませんが,脚の半透明のブルーがなかなか素敵です。「お風呂トラップ」に落ち込んでくれたお陰で家族が咬まれなくて良かった。それと生きている内に,チコが手を出さなくて良かったなぁ。咬まれるのもありますが,下手すると台所や寝室に持って行かれたりする可能性もありますし。しかし,案外,彼は,最近は特に骨もの(脊椎動物=魚類以上)しか興味がないかも知れませんが。
 ノコバゼムカデ Otostigmus scaber (PORAT, 1876)ということのようです。(以下、最初トビズムカデSubspinipes mutilans scolopendraだと思って書いたテキストです。トビズムカデ,アカズムカデ,アオズムカデは全てS. mutilansの亜種のようです。地方色があって,こちらではほとんどが頭部が鳶色のこればかりです。咬まれると結構腫れます。溶血性毒やヒスタミン様物質を含み,ヒスタミン,セロトニン,蛋白分解酵素などの細胞破壊要素が検出されているそうです)。
 ばりばりと餌を食べているところに遭遇したことがないので,どのように食事をするのか見たことはありません。因みにムカデとヤスデはそれぞれ,唇脚綱と倍脚綱に区分され,一節に1対の脚(2本=唇)がムカデやオオゲジなどで,その倍の2対(4本)の脚があるのがヤスデ君(ie. ヤンバルトサカヤスデ)です。これをムカデ綱,ヤスデ綱とすると,ChilopodaとDiplopodaという,本来の語が持つ先人が盛り込んだ情報が欠損すると思うのですが,文部科学省様,いかがでしょうか。先人の苦心の日本語訳を貶める愚行と感じるのは私だけでしょうか。


湯当たり_b0060239_9243793.jpg大顎は,沢山ある脚の一対が変化したもので,これがなかなか強力です。
Canon EOS Kiss Digital N, Carl Zeiss Macro Planar T* 2.8/100
MPは,写りにまったく文句はないのですが,気楽に使えるズームマクロが欲しいなと思ったりします。

 カブトムシやクワガタなどの蜜トラップを樹に仕掛けておくと,下に甲虫の死骸が落ちていることがあるということを友人に聞いたことがあります。友人と二人で考えて,昆虫のハンティングが巧みで,樹上利用の得意なヒメネズミが食べに来ているのではと思ったりしました。しかし,私自身,食痕を見ればネズミなら一発で判別できるのですが,未だ遭遇したことが無く,正体は分かっておりません。で,友人の話を聞くと,ひょっとして,ムカデ君達もハンティングに来ている可能性もあるのではと密かに思っています。どなたか現場を発見されたら,落ちている昆虫の死体の画像を下さい。落ちた後は,直ぐに蟻に集られバラバラにされるので,案外,現場を押さえないと分からないかも知れません。
 他にスズメバチが,樹液あるいはそれに似せたトラップの蜜で競合しますが,針をクワガタにぶすぶす突き刺して,樹液を独占するような「お話」も聞いたことはありません。楽しい謎です。

 本土産のムカデを見ると西表島のオオムカデの画,撮っておけば良かったといつも思います。後輩が,「山にチェーンが落ちている!?」と勘違いした奴です。

  そう,忘れておりましたが,我が家の風呂は,大手メーカーの規格品のユニットバスなのですが,どうも制作に当たった大工さんのスキルの問題か,窓の部分の造りが失敗しているようで,ここだけはナメクジも時々侵入してきます。本当のお客さんには内緒です。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-06-09 11:47
「山にチェーンが落ちている!?」
…想像するだけでうぎゃーですね。しかしそれだけ大きいと、もはやさわさわ君ではないかも。
なんで彼らはあんなにたくさん脚が必要なんでしょう…。
Commented by oratie at 2005-06-09 12:42
ほんとにきれいな青ですねぇ。
この色の箸が欲しいです。(なんとなく。)
Commented by complex_cat at 2005-06-09 17:37
深い碧ですよねぇ。シーボルトミミズという30cmぐらい或る奴が,これのもっと濃い色をしております。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-06-09 19:41
何故ミミズ………
好きな色なのに。(涙)
Commented by complex_cat at 2005-06-09 20:25
なぜか,ミミズ。最近見てないなぁ。
http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/seibutsugazou/animal.html
http://www.geocities.jp/at_mocha/mimizu/mimizu02-21-7.htm
Commented by benebello55 at 2005-06-09 21:44
かつて小動物出入り自由の借家に住んでた頃、私の枕元にもぞもぞとやってきたのは、まさにコイツでした。茹だってなくてもこんなきれいなブルーでしたよ。ただ、もう少し大きかったかな(笑)。
Commented by す〜さん at 2005-06-09 21:48 x
..・ヾ(。><)シぎょぇぇぇ 2回目(笑)
ま〜た〜で〜た〜。(T^T)

ここのおかげで耐性が出来たのか「ヤンバルトサカヤスデ」の時ほどは驚きませんでした。(笑)
窓枠の隙間などは市販のチューブ入りのシリコンなどで埋めておくといいですよ。昔、実家の風呂にカエルが入っていたり風呂場の排水溝から蛇が出てきたり、おもしろいことになりますから。(爆)
Commented by complex_cat at 2005-06-09 21:55
す〜さん,Web上での驚愕を示すテキスト,上手いですねぇ。感情が良く伝わってきますよ。あんまり来ないのですよ。窓からナメクジとこいつだけ。バリエーションがあると,いろいろ子供に教えられるのですが。
Commented by す〜さん at 2005-06-09 21:56 x
ミミズ〜

昔、農機具置き場に40〜50センチはあろうかという巨大ミミズが2匹並んでいたのを思い出します。
色は鮮やかではなかったのでドブミミズか何かだと思いますけど。

このサイズに見合う釣り針は〜(笑)
Commented by complex_cat at 2005-06-09 22:04
二匹並んでいたのですか?きっと交接中だったかも知れませんね。50cm級は見たこと無いなぁ。みおさんがカマキリの体の中にいる種類でなくて自由生活しているハリガネムシの写真を送ってこられて,何でしょう? って問い合わせがありましたが,あれは80cmぐらいあったかな。WHOが殲滅を計ろうとしているギニア虫みたいで,ショッカーな生き物でした。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-06-09 22:33
生物写真集みて、珊瑚がきびちわるくて参りました。
ミミズ、すごい色ですね…。
小学校の時、校庭で30センチぐらいのミミズは見たことがあります。
全身トリハダたてながら、木の枝でひっかけて、鶏小屋に持っていったら、鶏が大騒ぎして食べてました…
Commented by Peninsula at 2005-06-10 03:36 x
はは、とうとう出ましたか。ムカデは番でいることが多いそうで、一匹いるともう一匹その近くにいるそうです、お気をつけて。
足が青みがかっているのには、ちょっと驚きました。実家で見かけるのも、今いる家の裏庭、プランターの下とかに生息している奴も足はもっとキャラメル色がかっていたので。子供の頃、こいつに噛まれて、体中アレルギー起こしたことがあります。腫上がったホロセが薬を塗ると他の場所に飛び出すのが2日程続きました。幸いこちらは恐怖症にはならず、家の中で見かけたら親の敵のごとく追い掛け回していますが。逃すとすごく腹が立つのです。一度、不精して土間に裸足で下りたらフニャリとした感触が。埃踏んだかなと見るとムカデでした。あの足ってもっと硬そうなイメージだったんですが。ちなみにムカデくんには、靴履いて頭部分を踏み潰してご昇天いただきました。頭を鋏でちょんぎっても、体だけで逃げていくんですよねー。
リンク先の珊瑚礁、原始の地球で何億年もかけて酸素を水中から供給していたのも、こういう生物だったのかなと思うと、感無量です。
Commented by complex_cat at 2005-06-10 07:08
私は一度もムカデに酷い目に合ってないものですから,サソリモドキやオオゲジなどと,余り扱いは変わらないですが,そうですか,アレルギーショックを引き起こすとはかなりタンパク毒が強力ですね。社会性については,monogamy(一夫一妻型)を示すデータがあるのか,探してみます。頭落としても逃げる話は凄いですね。
 サンゴについては,私のリンクからヤドカリ氏のサイトを一度ご覧下さい。彼は,ばらすとかつてCalifornia Natural History Museumに,交換スタッフでいたことがあります。彼の腔腸動物の飼育ノウハウは当時,あそこを越えていた部分があったのですが,惜しげもなく,全て教えてしまった人です。
Commented by complex_cat at 2005-06-10 07:12
kyoko_fiddlerさん,鳥葬の刑は,なかなか凄いですね。
シーボルト,ストロボ焚くと更に凄い色になります。自然光で撮った画が何処かにあったはずなのですが・・・・・
Commented by kyoko_fiddler at 2005-06-10 13:57
青ミミズ、夢に出ちゃったです~(*△*)
血も青いんですか?

鳥葬に処しちゃったのには深い意図はなかったんです。巨大ミミズ(わたしにとっては)を見た瞬間、うぎゃー と思うと同時に、鶏がミミズ食べるってほんとかな?というのがアタマに浮かんだんですね。それで、枝にひっかけて(実はこれがものすごくタイヘンでした。暴れるんだもんミミズ…)レグホン一家に差し出してみたんです。結果目の前でひっぱりっこされ、ひきちぎられて、あっという間に食べられちゃうのを目の当たりにして、自分のしたことに気付いて慄然とした、ちょっとわすれられない罪悪感のある(ミミズを屠ってしまった)記憶です。
Commented by complex_cat at 2005-06-10 14:22
子供故の好奇心溢れる衝動的な実験だったのですね(笑)。
ミミズなので,多分,血中の酸素と結びつく物質はエリスロクルオリンという鉄タンパクです。彼らの場合は人間のような血管はありませんが(開放血管系)これが体全体に行き渡るようにかき回されているはずです。だから血管が破れて赤い血がどばどばというのとちょっと違いますが,「血」の色は,基本的には赤いかなぁと思いますが潰せば体液や内臓やなんやかんやが混ざり込むので血液の色を観察するのはとても難しいかなと思います。でもまぁ,赤貝と同じ色ですね(また,余計なことを)。
このブルーの色素がなんであるのかは,ちょっと分かりません。
Commented by みお at 2005-06-11 04:23 x
ムカデは、小倉に引っ越してきた最初の住居でよく遭遇しました。雨が降ると床の隙間から部屋に上がってくるのですね。叩いても半分に切っても走り回るのと、遭遇頻度が高くて、布団の中にまで入ってくるので眠れないという状態に陥りました。殺虫剤も即効性がないので、その結果考えたのが枕元にお湯の入ったポットをおいておいて、発見したら熱湯をかけるという荒技です。確実な方法なので、ご近所さんにまで広がりました。

熱湯をかけると奇麗なブルーになりますね。不思議ですが、本当に美しいです。
Commented by complex_cat at 2005-06-11 07:49
みおさんの経験と退治方法は凄いですね。殺虫剤とライターで火炎放射器を作って浴びせると触覚と脚と神経系が焼けるので,直ぐに丸まって動けなくなりますが,ちょっと危ないですね。カーテンや畳が焦げますし(笑)。ゴキブリや蠅や火炎の一吹きで動かなくなりますが。お湯は気がつきませんでした。いや,野外ならやってますね,テントの中に入ってくる奴をコッフェルのお湯かけて落としてました。でも,家の中でやる発想は・・・
やっぱりこの青色は,お風呂で湯がいたことによる発色でしたか。
Commented by 生物屋 at 2014-07-18 07:22 x
Googleの画像検索で偶然たどり着きました。
どこにお住まいか知りませんが大阪以南でしたらこれはノコバゼムカデでは?
ヤフオクでは5000~10000円ほどで取引されている種ですよ。羨ましい。
Commented by complex_cat at 2014-07-19 10:07
生物屋さん、多足類は詳しくなくて適当な事を書いてしまったようです。同定ご指南ありがとうございます。確かに南日本〜沖縄に分布の「美脚種」といわれる特徴そのままです。
 その値段で取引ということはかなりマニア垂涎ということなのでしょうね。よく探せば、鳶頭系なみに居るかもしれません。
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by complex_cat | 2005-06-09 09:16 | Wonderful Life | Trackback | Comments(20)

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