ツル群舞
2004年 11月 19日
朝,出水荒崎の「休遊地」と呼ばれる場所あたりから東の方向を見た画像です。
CCDの解像度限界を試すような撮影対象ですが,全部ツルです。単純計算で97%がナベヅル,残りの2%ちょっとがマナヅル,で,あとは0.2%未満でカナダヅルとアネハヅル等の可能性があるなんっていっても意味無いですね。
出水に1万羽を超えるツルの越冬集団ができあがった理由は,いろいろ考えられますが,塒と餌巻きが非常に効果的に効いたとは言え,そのせいだけは言えないと思っています。簡単に検証できないので仮説の域を出ませんが,以下の事が考えられます。
1)出水平野が越冬地域の南のターミナルに位置する事。
2)水田だけでも普通米,早期米,休耕田と多様性が高く,干拓地〜河川〜農耕地のバランスが取れている事。これらは環境への自然の餌の供給に寄与します。
3)全国でツルの越冬地となる里地が減反や開発などで減少し始めたと時を同じくして絶妙のタイミングで,広大な干拓地が整備された事。
また,手厚い保護を受けて,越冬期間中(約半年間)の死亡率は0.5%未満という化け物のような個体群が他の狩猟圧やその他の自然死亡要因にさらされる越冬地を出し抜いて増殖し,その出水での越冬の「記憶」を持った個体群に引きずられて越冬地を変更する個体も出現したことも考えられます。半年間の推定死亡率0.5%未満というのは,下手な交通事故・犯罪頻発地域の人間の死亡率よりも低いのでは。
以上の要因は,他の要因とトレードオフの関係にはならず,独立して機能するので,全ての相乗効果であるといっても良いかも知れませんね。
追記ー無論この凄まじい死亡率の低さは、その後、色々な調査の結果、やはり給餌の寄与率が一番高いと考えられます。と、ここまで書いて実は、「給餌の効果は大きい」っていうのもなんですが。
MINOLTA A1, GT 2.8-3.5/7.2-50.8(28-200)
complex_cat さんのブログは専門的で勉強になります。独特の考現学に脱帽です。
恥ずかしながら「考現学」ということばを知りませんでした。「考現学とは、現代そのものを対象化・明確化するためにこれまで曖昧に覆い隠されていた領域に新しい主体的な調査の目を向け、採集し、独自の問題を構築していくものである。」 う〜む,過分な評価を頂きまして焦ります。
FEPがバカでした(笑)。