屋久島の蝋燭岩。これも久しぶりだった。綺麗な自然石が乗った不思議な風景。一番上に墓碑銘があっても不思議ではないような気がしたり。
クライミングゲレンデは,フリーならA級の技術がいるし,自然遺産になって,流石にボルト連打というわけにはいかない。余り耳目の集まる場所は,ゲレンデには向かないし。
発熱,体調不良で無事に済ませた調査の結果,足指の爪,計7本が死ぬ状況と引き替え。
テーピングで最後の日はごまかす。おフランスのチープナイフ,‘OPINEL’は昔から大好きで,細かい小変更による改良は素晴らしい。最近では,ステンレス製のものもあるが,この鉄製タイプは,気楽に研げるし切れ味抜群。
三日間夜も昼も晴れてくれた御陰で,星も綺麗だった。コンデジで星空撮影が出来るモデルは少ない。F31fdといえども,長時間露光は出来ないので,光る円弧を写し止めるようなことは出来ないが,それでもクリックすれば,ちゃんと星空が写っているのが分かる。
最後の日の夜のお汁粉。地上では食べようと余り思わないが,疲弊した軀にはすこぶる美味しかった。
地に足を止めれば,ヒメネズミの巣穴。山小屋にも出没する。高山地域では屋久島の場合,アカネズミが優先,寒冷適応で垂直分布が逆転していないか気になっている。気楽にトラッピングが出来なくなっているので,誰かが捕獲許可から作業して調べないと分からない。
このブログ良く登場する,ヤクシマツチトリモチ。横に生えているキノコと違って,高等植物。
ともかく無事に下に降りた。
今回屋久島を訪れて,もう一つだけ済ませておきたかったこと。訪ねる場所は,とある集落の奥にある。
集落のお宅,何処も妖怪ポスト様の郵便受けが,点在する。この位置から上に登ったところに,各家庭の住居がある作りで面白い。
現地には,管理地の所有者である知人Tさんが愛犬といっしょに,案内してくださった。
十代の時,偶然出遭った私に「猫」という二つ名をくれた詩人の墓。
二つ名を付けてそれで呼び合うのは,フラワーチルドレン,ヒッピー,コミューンなど,今は消滅した文化で行われていた。いや,今は知らないけれどボーイ/ガール・スカウトなどでもあったかと。ホーリー・ネームじゃないので念のため。糞ガキであった自分は知るよしもなかった。当時,その詩人も訪れることがあったパブでバイトしながら「そりゃ源氏名なのか?」とかお馬鹿にも考えていた。
墓碑銘は,詩人本人ではなく,奥様のものだ。
かの詩人は,今では奥様と一緒にここに眠る。ずっと場所も分からず,墓参りに来るのが,随分遅くなった。
詩人の側には,この集落の再生からの人のものもある。私も知っている人だ。
「猫,これだけスペースがあるから,君もここにどうだい? 海も見えるしいいよ。」と案内してくれたTさんが真面目に仰る。「それはありがたいのだけれど,家族がどう言うかなぁ」というと「分骨にすればいいよ。」
「ええと・・」と,考えもしなかったので笑ってしまった。いや,とても嬉しい。まるで,お釈迦様並みだ。恐れ多いけれど,この場所は悪くないかも知れない。またね,三省。ここは貴方にとって文字通り「天の島」だったということでいいかな。