SONY α NEX-6 #21〜Kilfitt Macro Killer (EXACTA)

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Exaktaマウントレンズは,有名な古の一眼レフカメラのマウント用に合わせたレンズで,かなりの数が出ている。
 キルフィット・マクロキラー 4cmもそういったレンズ。
SONY α NEX-6, Kamerabau-Anstalt-Vaduz Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8
 ナッチの虹彩の境界のエッジなど見ていても,物凄く撮れるマクロレンズ。マクロキラーは,人気があるのでそれなりの値段がする。ただ古いレンズ故,絞りのクリックもないし,マクロレンズということもあって,みかけ奥目の小さなレンズで,何か頼りないのだけれど,ただの骨董的価値ではないことは,この描写で分かる。



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Exaktaマウントについては,日本ではTOPCON(東京光学)などがここのマウントを採用するなど,一眼レフカメラマウントとしては,M42スクリューマウント以外の古の共通マウントだった。当時にあって先進的な3つの羽を持つバネットマウントだった。
 設計は古いため,後玉の口径やフランジの制約がレンズの使用に影響を与えていたけれど,レンズはかなりいろいろなところが出していた。
 数が多く,割りとf値が暗かったり,写りはいいのだが,地味なレンズもたくさん含まれる。ALPAなどのように,マニアが集まり高額になってしまったレンズに比べれば,ノーマークといえるほど。マウントアダプターを介してオールドレンズを楽しむには,少なくとも私にとっては,一風変わった廉価なレンズが手に入りやすかった。
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Kilfitt Macro Killeの他は,A.Schacht Travegon 2.8/35, Rodenstock Eurygon 2.8/30など。ちなみに,Angeniuex 75mmはM42なので,M42ーY/Cアダプターで無事に使えた。
SONY Cybershot DSC-TX10
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135フィルムフォーマットカメラでは,世界初のマクロレンズ,Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8。
 「マクロキラー」って書くとなんかすごい名前だけれど,ヘリコイドの繰り出し量を多くしている部分は,もっぱら近接域で,2mから無限遠まではヘリコイドはわずかに2cmも移動しないから,キスデジ見難いファインダーでは中〜遠距離のピント合わせは博打に近かったのだけれど,暗いレンズでも暗くならず,絞っての被写界深度もわかりやすく,優れたピーキング機能も持っているNEX-6の有機液晶ファインダーだと,かなり使い勝手がよかったりする。フォーカスも追い込める。
SONY α NEX-6, Kamerabau-Anstalt-Vaduz Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8
 甑島の礫浜で拾った漆黒の石。篤姫の婚礼に先立ち、薩摩藩から将軍家への献上品の中に,ここで採掘された石からの硯が入っている。
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Exakta自体は,イハゲー社の何とも言えないデザインで異彩を放ったモデルがいくつか出ているが,巻き上げとシャッターレリーズなどほとんどの操作が左側にあったりする。多分開発者が左利き,それに合わせるのをよしとしたのではと言われたりしている。
SONY α NEX-6, Kamerabau-Anstalt-Vaduz Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8
 某火山島からの硫黄の巻いた礫。
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ちなみに,イハゲー社やZeiss,日本ではTOPKONやKOWAなどが作っていたレンズシャッター式一眼レフというのがあった。当時の二枚の布が走るフォーカルプレーンシャッターの信頼性が低く,複雑な機構になるにもかかわらず,ノウハウの有ったレンズシャッターを一眼レフに組み込んで作られたが,結果的にやっぱり機構が複雑,当時のメカニズムや素材では故障ばかり,耐久性もなく,社史からも製造を消し去りたくなるほどだった黒歴史を飾ったカテゴリーのカメラだった。
 一眼レフは,レンズを光路を確保する必要があるから,レンズシャッターというのは,とても矛盾すると言われていた。フォーカルプレーシャッター一眼の場合、フィルムの直前にシャッターがあるから、光路を塞がない。レンズシャッターは光路を塞ぐのだ。シャッターは閉じた状態から開いて閉じるが,普段は開いていなければならない。また,シャッターを開いて閉じるまでに,感光フィルムは遮光しておく必要がある。これにミラーも加わる。
SONY α NEX-6, Kamerabau-Anstalt-Vaduz Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8
 コンデジと違って,おもいっきり絞り込んでも,パンフォーカスにはならない。焦点距離はNEX-6で使って,135フィルムフォーマットカメラ換算で,60mmマクロということになる。フルサイズで使った時のマクロプラナー60mmと同じで等倍まで。マクロレンズの祖先形に当たる。
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実は,ミラーレス一眼には,その奇々怪々なレンズシャッター一眼に通じる複雑さが存在している。ミラーの後ろにシャッターを置いて光路を塞がないように出来ないからである。感光することはないが造影素子に光が届いていないと,撮影前に像を見ることが出来ないから,シャッターは開きっぱなしになっていて,そしてシャッターをきる瞬間に,改めて高速でシャッターを一旦閉じて,そこから再びシャッターを開いて作動させ,再びモニターに像を写すため,シャッターを再び開ける必要がある。レンズシャッター一眼と同じく,二回シャッターを作動させる必要がある。露光感度を与えるタイミングは,フィルムと違って任意のタイミングでできるが,動画を取る場合のCCD自体の電子的に制御されるシャッターを使う以外は,古のレンズシャッター一眼と同じ,複雑なシャッターを一旦閉じてから作動を始めるという,仕切り直しが必要になる。
SONY α NEX-6, Kamerabau-Anstalt-Vaduz Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8
 キスデジで使っていた時に比べれば圧倒的にフォーカスしやすい。ユッチの鼻鏡に合焦。
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てなわけで,NEX-6というミラーレスに,かつてのEXAKTAマウントのレンズ,そのEXAKTAが作っていたレンズシャッター式一眼が,今のテクノロジーにより,利用できているのはカメラの歴史を思うと,ちょっと面白いなと思う。もっとも,レンズシャッター一眼は,その機構上,レンズ交換も出来ず,本当に繋ぎ且つ廉価製品としてのあだ花だったのだ。いまどきオークションを見ると,ものすごい低価格で出ているが,機構上生き延びているものも少ないため,完動品が殆ど無い。
 それ故,ミラー一眼というのは,クイックリターンミラーによる光路が確保されている故,むしろシャッターを作動させるまで,当然のごとく造影素子をそのまま遮光していて問題がない機構になっている。それ故,ミラーレス一眼より複雑に見えて,実はテクノロジーがおっつくまでは,そちらの方が無理がなかった。
 コンデジは,それが生まれた段階で,すでにレンズシャッター一眼と同じ二回往復シャッターの問題をこなしていたわけだ。シャッタータイムラグは初期のものは酷かったが,今時は,メカニカル動作のシャッターシーケンスは,高速で仕事をこなす。
 ミラーレス一眼では,小さなレンズシャッターではなく,フォーカルプレーンシャッターに大型の画像素子の遮蔽と露光を行うという仕事をさせねばならないとなると,それを高速で駆動させて制御するには,少しばかり大変だったと思われる。
 そういう複雑な制御をやっていても,NEX-6など10コマ/秒の連射をこなせるようになっている。ただ,その場合は,モニターとして画素子に光を当て直すシーケンスは多分飛ばして,プレビューで繋いでいる感じ。
SONY α NEX-6, Kamerabau-Anstalt-Vaduz Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8
 水中のイシガメにはフォーカスピーキングが上手く働かなかったので,これは眼でなんとなく合わせている。
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古いマクロレンズは,中〜遠景での撮影には向かない。ヘリコイド環は5m〜∞までで,5mmぐらいしか移動量がない。キスデジの時は撮影を諦めていたが,NEX-6ではそれでもピークの山を検出できるので,フォーカスを調整できる。まあ,合わせてもイマイチぴりっとしない描写だけれど。その辺りは,今のレンズでも望遠マクロ系を使ったほうが無難なので,ましてや40mm。そういう仕事は別のレンズに任せるべき話だと思う。
SONY α NEX-6, Kamerabau-Anstalt-Vaduz Kilfitt-Makro-Kilar D 4cm/F2.8
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これが最も近接での撮影。35mm版カメラでも等倍までの撮影が可能になっているが,実際の撮影倍率は,もう少し上がる。
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by complex_cat | 2013-05-30 21:27 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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