AからCまでの距離 〜 650Aママチャリで前輪クイックリリース仕様

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 出撃しようと玄関を開けてもらって出た所、いつもK2のシクロクロスが泊まっている玄関脇にいきなり出現した銀ピカの無印シティサイクルに、一瞬、警戒反応を示したチコだが、養父のいつもの病気の結果かぐらいに納得してすぐに無視したの図。いろいろ猫は、ちゃんと見ている。僅かな状況の変化についても、野生獣の作法で対応している。

 姉上用試作車がほぼ完成。

以下が自分が想定したスペック。
①足つき性がよく、足の可動域にハンディがある小柄の女性でも「前乗り」ができる26インチ相当のシティサイクルであること。
②車載しやすいように、重量もなるべく軽いシティサイクルであること。

 課題解決のため、当初は、26インチの外装式変速機で前後ホイールをクイックリリースで外すことを考えていた。それを想定して組んだスタガードフレーム26インチクロスバイクの始末記を書いた。
 これが没ということになって、U型フレームを前提に考えることにした。当初は、MTBなどで使われている26インチ、即ち650C(26×1-3/4; ビード径571mm)のホイールを当てることになる。ビード径とは、嵌めこんだタイヤのリムと噛む銅線の円周径のことである。当然、シティサイクル用の26インチ、つまり650A(26×1-3/8―それ故通称「サンパチ」; ビード径590mm)とは、リムの直径が19mmも違う。650Cのホイールは、650Aを前提としたシティサイクルのフレーム設計とは距離があり、シティサイクル用のキャリパーブレーキではリムが届かなくなる。
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 前輪をクイックリリース可能なシティサイクルを作るには、実は2つの方法があると思っていた。私ごときがやれそうなものとして当初はシナリオ1を考えた。これは、シティサイクルのヘッドチューブに入れられる650Cの26インチ用リジッドフォークに替えて、VブレーキかカンチブレーキをセットすればフロントはOKだと考えていた。フォークを650Cの規格のものが使えれば、残す問題はリアで、当初はシティサイクル用の内装式変速機付きハブを使うことにしていたので、ブレーキはバンドブレーキがインストールされているので組んでしまえれば650Aでなくても650Cでもいけるから前後整合が取れると考えていた。そう、あくまで足りてない知識の頭で考えていただけだった。でもこれはすぐに挫傷、いや脳挫傷じゃなくて座礁してしまう素人考えで、650Aと650Cでは基本、スポークの数が違う。無理だ。

 内装式変速機付きハブを使った場合、36穴なので、スポーク数も36となり、手組でやろうがなにしようが、32穴の650Cのホイールは使えないのだ。ハブとリムの穴数の違いを数学的に調律して対応しようと云う人もおられるが、数を減らす方向は、スポークの質を上げねばならないし、もちろん自己責任。
 シナリオ1で解決方法で進めると、内装式変速を使えば、結果、リアに650Aでフロントが650Cになり、まさかのシティサイクルでファニー車になってしまう。だから内装式を諦めて手間もかからず安い7sぐらいの外装式の変速機とハブで650Cでなんとかブレーキの部分を解決する必要性を覚悟していた。この場合、ブレーキはバンドブレーキは使えず、リムブレーキにするしかなくなるのだが、ブレーキはVであろうとキャリパー(シティ、ロード用両方)であろうと、シティサイクルフレームでは、リムとパッド位置の調整のためにちょっとトリッキーな技を使わねばならないと考えていた。

 26インチと呼ばれる規格の中で、650Aと650Cの「距離」は、ビード径とホイールとそれに対応するハブのスポーク穴数の違いが致命的に違っていて、思った以上に大きい。結果として、シティサイクルとMTBのフレーム規格の差も大きい。大きいのだが、そこのところのハイブリッドを考えることで、ちょっと面白いことになるし、スリリングではあった。

 スポーク穴数の数はそのままスポークの数=車載重量や衝撃を前提とした強度を担保するためのものだが、今どきの設計で32穴が荷重強度に対してハンディがある状況ではないような気もする。前後キャリア付きで29erのMTB型ランドナーライクな製品が11kg台で作られ、そこそこの大きさの街にはスポーツバイクの店が普通に点在する世の中にはなってはいるが、荷物満載のツーリング用ランドナーは、タイヤやチューブが手に入りやすい650Aと英式バルブのママチャリ規格を前提に作られていたままである。

 ちなみに、最近、MTBの世界では悪路走破性の高い29インチと加速、トルクのかけやすい26インチの中間をとった27.5インチと呼ばれるサイズのタイヤをベースにしたモデルがレースでも席巻する状況になった。メーカーもあっという間に、これからはナイナーですよ、みたいに言っていた29erから離れ、製品の主軸を27.5インチ、650Bにシフトしてしまった。こいつは別の規格からの呼び方では650B(26×1-1/2; ビード径584mm)と言われるサイズだ。
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 で、マイスターと相談して、結果的に採用されたシナリオ2では、シティサイクルに対応した650Aでともかくクイックリリース対応のものを作ってしまうというもの。フロントハブを650C(26×1-3/4)のクイックリリース対応のハブの部品と40年前の細い軸に対応した部品を使ってハブを改造した驚異のカスタマイズ。650Aのホイールでクイックリリース可能なホイールを作ってもらった。これは、私では考えつかないし無理な解法だが、プロとしてはむしろ理に合った改造であったもよう。
 またフロントフォークも、ノーマルのシティサイクルままの650C用のハブが塡まるように加工していただく必要もあって、それも私にはちょっとハードルが高いのだが、あっさり出来上がってしまった。結果的に自分で組む状況を想定していた26インチ650c、ボスフリー7sのリアホイールも出番なしとなったが、それでよかったのかも。
 気になっていたのはシティサイクルのキャリパーブレーキはロード用キャリパーブレーキと違って、タイヤを外すためにワンタッチで緩める機構が付いていないのだが、細身のスリックタイヤを嵌めてもらうことで、リム幅とほとんど違いがなく、結果的に緩める必要はないようにしてもらった。クイックリリース改造は強度もだが、650Aの法的に決まっているらしいダボ穴使った脱輪防止用のロックをつければ、何ら問題はない。シティサイクルのフロントのエンド幅は、MTBやクロスバイクのそれと比べると狭いので、フォークのエンド幅を広げてもクイックリリース部分も、少し手を入れる必要があり、そこもきっちり入るように調整を頂いた。
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 軽量対策としては、大したレベルではやっていないので凝ればまだ自由度は高い。両立スタンドをキックスタンドに交換し、フロントキャリアもプラスティック製に交換し、更に前後フェンダーを取っ払ってもらった。このままのほうが、自分達の感覚だとすっきりしていてかっこいい、雨の日はどうせ雨具着るし、とも思った。でも、やはりフェンダー無しに慣れてもらうのは無理だろう。姉上の使い方として、雨の日、それほど走ることはないようだが、フロントには簡易のMTB用フェンダーを着け、リアにはシートポストに装着する軽量の荷台をリアフェンダー兼用で付けるつもりでいる。

 これで、非アルミU型フレームの26インチシティサイクルとしては、22インチのアルミ製フレームの軽量自転車、ブリヂストン カリシア CAL22Tの16kgよりも軽い15.9kg(実測値)を達成した。アルミのスタッガードフレームシティサイクルで、最軽量は11kg台のものがあるが、丈夫な鉄製U型フレームベースとしての基本重量とも思える。これなら、ちょっと装備いろいろ着けて重めになったエントリモデルのクロスバイクレベルだ。あるいは、ルック車ではない正当なメーカーのフルサスMTBの廉価モデルレベルの重量である。ルック車だと16kgどころじゃすまないので、かなり健闘してるかも。
 フロントタイヤ&ホイールは1.8kgだったから、これをクイックリリースで外せば、少なくとも20kg前後のママチャリを車載するのに比べれば、遥かに楽にクルマに載せられる。折りたたみ式のペダルは、強度的にトラブルが多いようで、両マイスターとも否定的だった。一応、それをつければ、車載時はペダルがクルマの内装にめり込み難くなる故、更に楽になるだろうけど。
 乗ってみると分かったのだが、ママチャリにおいても軽量化は大きな武器で、そのうえで、ブリジストン製Uフレームの剛性が高くロスが少ない上に、プロによるBBからのパワートレインの調整、スリックに近い細身のブリジストン製26インチ用タイヤの滑らかさと合わさって、実際走りはなめらかだった。何度も乗るとそれに慣れてしまうのだが、最初に乗った時には良い方への違和感に驚いた。サドルとハンドルの高さが私に合っていないので、坂道を含む長距離の試走はちょっと辛くなったが。
 製作者とアドバイスを頂いた自転車マイスター二人のそれぞれの店の間を試走して、普段数十万円のロードを組み、最上位のMTBの走りにも慣れている二人がこのチャリンコを見て、両人とも、「これいいよね―、見てるだけでまだ手を入れるところもあってワクワクするよね」って言ってもらえた。いいもの作っていただいたと思う。

 費用合計は、マイスターのサービスも有ってママチャリ型のリング式の鍵もLEDライトも付いた。それでも「いやー、ホイールの手組、新品のスポークにして、32穴だったりしたからハブもハイブリッドで結構値段かかっちゃってごめん。」って言われて、こっちは恐縮するばかりである。

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 こっちは、その前の試作車として組み立てたスタッガードフレーム26インチクロスバイクのママチャリ仕様。重さは13kgで、ママチャリとしてみたら、確かに軽かった。ただ、その差は2.9kg。試乗した感じでは、それぞれ別の魅力があるが、U型フレームママチャリに乗り慣れていた「姉上」にとっては、Uフレームの皮を被ったまま、クイックリリースが使える改造ママチャリ以外の選択はありえないかも。今となっては、内装式の変速装置やチェーンケースは、フロントタイヤ&ホイールを外して車載する時にも、車内を汚さず、ボロ毛布敷いたりしても、どこかでクルマの内装に引っ掛けたりすることもなく、傷も作りにくく、ベストだろう。
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現在の形。ペダルを替え、前後のフェンダー(泥よけ)をつけた。フロントは安価なMTB用だが機能としては足りている。リアフェンダーはいつものシートポストに付けるキャリアで代用。
 後、グリップとサドルは、新しいのに交換してあげたいと思っている。あまりドレスアップして、新品部品を付け過ぎると目を引いてしまい、手頃感から、盗難リスクは上がりそうだが。
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参考文献:鬼頭莫宏「のりりん11」

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Commented by oratie at 2016-06-08 01:27
おぉ!シンプルでいいですねぇ。
このサドル、ケツが全然痛くなくていいですよ。
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Commented by complex_cat at 2016-06-08 08:00
oratieさん、どうもです。
私もシンプルで気に入っております。
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by complex_cat | 2016-06-06 22:46 | My Tools | Trackback | Comments(2)

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