Telemetry覚え書き4
2005年 10月 24日
で,ついでに,いつも相談に乗って貰っている京都にある野生生物調査特殊機器の制作ラボの大将に電話,Hさんには5分ぐらいで必要な質問のやりとりが終わるだろうなと思って電話しすると,結果40分ぐらいは話をするハメになるので,ちょっと気合いが要ります。
画像は,急に冷え込んできたので,最近,外出時間が短縮されて,部屋でじっとしていたり,やたらくっついて寝たがるチコと,それにふざけてくっついているAkiraです。
Canon EOS Kiss Digital N, Sigma 3.5-6.3/18-200
「テレメ,最近海外から入れてます? 50Mhz帯の水晶発振子とかのパーツ入りません?」
「いや,電波管理法の運用が厳しくなって,いろいろ面倒になったのでウチは今やってないよ。ひょっとしてc_cさん,自分で組むの?」
「えぇ,50M帯なら簡単に作れるので。」
「今は,やばいよ,お猿さんの調査で使っていて引っ張られたという噂もあるよ」
「えぇ?!,そうなんだ,一応分かって居るつもりだったんですけど。」
以前,ツルに装着する分を確か電波管理法に合わせて低出力で作ってもらったときのフィールドテストで,それでも,十分使えると判断している旨を話すと
「c_cさん,今ねぇ,ハム免許もってても,関係ないよ。2m以上飛んだらあかんてことになっているよ。」
「えぇ?2m?!」
「そう,受信機と合わせたセットで,2mしか飛ばないという証明が必要。」
「今時TVのリモコンでも5m以上飛びますよ(あっちはもちろん赤外線通信ですがそういう比較ではありません,念のため)。」
「そう,むちゃくちゃや。市街地で普通の海外の発信機使ったらあかんでぇ,直ぐ引っ張られるちゅう話やで,今は。そやけど,クマとか,被害調査とか学術研究用はまともに飛ぶやつ使って,国の報告書などにも書いてしまって,既成事実を先に作ってまってやな,そいで考慮して貰えるように皆やってる。変な話や。」
そういえば,数年前ですが,それに近いことを結果的に私もやった覚えが・・・・
「う〜む,そうなると,FM式のトラッキングにしろGPSデータにしろ,再回収して読み出すしかないなぁ。」(註:実際は,装備が複雑になりますが,アルゴス衛星に飛ばしてそこから読み取るという方法なら,FMトランスミッターも必要ありません)
「そやね。だからウチでは,しばらく様子見や。引き合い多いんやけど,扱かわんようにしとるわ。」
「道理でPHSとか携帯のインフラ使ったテレメの仕事が増えたと思ったぁ。」
しかし,海外製品の野生動物位置方探用GPSシステムは,自動離脱できてFMで探せるようにやっぱり電波出します。そのままの仕様では日本では使えないと云うことになります。取扱業者さんも,HPでも,「海外の研究者もしくは海外での野生動物研究用に売ってます」というエクスキューズを着けてます。でも,国内で使ったらどちらにしても校閲者のいる論文雑誌には書けないし,まぁ,野生動物ではなく,飼い猫なので,毎日の回収とデータ読みだしは簡単です。外から戻ってきたらパソコンに読み込んで,「それで,お前,今日はどこに行っていたの? カシミールで見てみようね」てな具合に使うなら,使えますけど,
私が学生の頃は,厳密にはやばいのでしょうけれど,生態学徒はクラフトワークを競って,1gぐらいの発信器は普通に作ったり,或いは海外から入れたりして卒論なんかにも書いちゃってました。今浦島の気分。そう言えば,輸入代行して貰った某野生生物調査会社から一度「c_cさんに大量に買っていただいた海外メーカーのテレメ,あれもう全部,既に死んでますよね?」って確認の電話があったけど,その辺り行政指導を想定しての対応であったのかなぁと今更ながら気がつきました(遅いって)。
うーむ,法律音痴なのがばれた上に,愛猫セキュリティのためのテレメ計画,あっさり座礁してしまったではないですか。こうなったら,位置特定が出来る携帯を,一次的にハーネスで公陳とチコに背負って貰って,追ってみるしかないかな。首輪に着けられる大きさじゃないから,嫌がるだろうなぁ。何処かで引っかけて落としてきたら目も当てられないぞ。それよりも,腕時計タイプのGPSを買って,背中側に廻るようにして着ける方が簡単かも。でも藪とか,軒の下とか住宅の壁際とか入り込んだら,直ぐにロストするから,多分,市街地の猫には衛星GPSタイプは苦しいだろうなぁ。
まぁ一応ちょっと検討。コウチン達に着ける前に,彼らが立ち寄りそうな場所で衛星を拾ってみるというテストも出来るし。
しかしそれでは「チコが戻ってこない,何かトラブルが? 今,一体どこに居る?」という使い方は出来ませんね。それが本来の目的でここまで遅々として進まないテレメ装着計画なのですが,予め彼らが立ち寄りそうな場所の抽出をやっておくという作業しかできません。
と,ここまで考えたとき,アマチュア無線の世界ではARDF(Amateur Radio Direction Finding)という国際競技が行われていることを思い出しました。
実際,ハム免許を持っていれば,競技中だけの一次的な固定局として申請をちゃんと出していれば,問題ないのかも知れません。実際の競技では,発信器を何処かに置かずに,誰かが隠し持って動いたりすると云う難度の高い設定もあると聞いたことがあります。でも,
「うちの猫たちにつけますんで,とりあえず,電池は数ヶ月ごとに取り替えて,彼らが元気なウチは何年でもずっと電波を発信させて使いますんでよろしく!」
というのがあっさり同じように許認可されるとはあんまり考えられませんね。
もうちょっと調べる必要がありそうです。でも,その辺り抜け道があるのなら,ショップも堂々と,ハム免許をお持ちの方なら,各種申請手続きにより国内で使用できます,ぐらいのアナウンスは着けるでしょう。その方が電波法に抵触する危険を冒さずに売ることが出来ますから。結局駄目かなぁという気がしております。
それとも、ただいじけているでしょうか。
面白くかわいらしい写真ですね。
一昔前ならば,お目こぼしもありましたが,今時,非合法でやっても,ここでご紹介できませんし,第一,市街地だと周りに迷惑をかける可能性があります。市販のFMワイヤレスマイク+トランスミッターでも方向探知は可能ですが,デバイスの目的が違うので,電池が数時間しか持ちません。もう少し,資料を集めて考えてみたいと思います。
「今時TVのリモコンでも5m以上飛びますよ。」
・・・このくだりが、社会の摩訶不思議な仕組みを的確に現してますね。
この分野、全くの門外漢なのでわかりませんが、なにか方法(抜け道)が見つかると良いですね。
水晶を関西方面の友人に買ってきて貰おうと打診していたら,今時ラジオ少年など居ないのと,ネット通販に切り替わっていてパーツを置いている店が極端に減ってしまったとのことです。20年前よりも,不便になっております。銀塩の悲哀に近いものをここでも感じます。