島幻想 #2
2009年 04月 04日
大和村だったと思う。奄美北部海岸。海岸から伸びる赤土のラインが,この時は気がつかなかったけれど写っている。河川工事などで出たシルト分は簡単には海岸周辺から消えないで対流する。
海岸に来てみるとよく分かる。それでもシルトのないところは圧倒的に澄んでいるのだけれど。まるで,離岸流をビジュアライズする実験のように見事。ある意味離岸流の恐ろしさが分かる画でもあります。この続きの海岸で,盆帰りしていた小さなお子さんが流されて亡くなっています。
モダマ。巨大な豆科植物,その大刀並の大きさの鞘もオーナメントみたいな種も魅力的だけれど,その木本化した蔓自体もユニーク。
奄美市。かつての名瀬市商店街。地元の食材などこの辺りを廻っているだけで商い。小さな商店街は,巨大ホームセンターが出来て,売り上げはかなりキツイだろうけれど,消えて欲しくない町並み。
天然記念物のルリカケス。不通の鴉波に常在化している。開発工事で土壌を一繰り返している重機の周辺は,土壌中の無脊椎動物なども掘り返されて散乱するので,一時的に彼らの餌場と化す。アマサギが耕耘機の後ろに飛び出す蛙などを狙って集まるのと似ている。
奄美市内の定宿の近く。飲み屋のスタッフの車なのか,Suzuki Twinがいつも停車していた。タスマニアで見た初代シビックとか,日本では悲惨にしか見えないスカイブルーにぺたぺた塗装されたクルマだったけれど,偉く格好良かった。被写体としてその当たりのビジュアルな不思議さを感じるので,クルマは何処に行っても気になる。
いつもの常駐のお店。上が奥様である紅さんのイタリアンレストランで,下がご主人の陶芸の工房になっている。アメリカで17年,サンドイッチショップをされていた上で,笠利の海岸に惹かれてここに移られた。愚痴を聞いてもらいに,ここに寄ることが多いが,結局,刺激的な話を頂いて,美味いもの食べさせて貰って帰る。寄れて,時間を過ごせて良かったといつも思う。この海岸沿いが,ゼネコン系デベロッパーが土地を買いあさり少々きな臭くなってきていた。開発情報を掴んでODAと同じ手を使ってきているような気がしてならない。島特有の人の良さもあって,海岸風景や防風林の保全の仕方は今一上手くない。新しい土地に出来たコンビニの恩恵に自分もあずかる。開発行為全体否定ではなく,グランドデザインが議員がらみで簡単にぶれるし,島の自然資源を上手く残すには不安がありすぎること自体が問題なのだと思う。まぁ,それは日本何処に言っても同じなので,この島の場合は,突出した自然と目に着きやすいというだけなんだけれど。
紅さんの父上は,高倉健とも親交があった役者さんで,著名人の知り合いも多い。この時は,永六輔氏が丁度店から出てくるところだった。
ある日,島の中央部を流れる河川沿い,1km毎に6件ほど土建屋さんの社長さんのお城のような豪邸が建つ。人と待ち合わせていて,来ないのでおかしいと思ったら,お城が延々と等間隔で並んでいて,相手も目印の「お城」を間違えていた。奄美振興事業の御陰で道路,トンネル,港湾,巨大工事が進み,雇用が生まれ,大部分を大手ゼネコンが吸い上げるも島にもお金が落ちた結果だ。ビジネスマンを乗せて飛ぶジェット機はいつも混んでいた。繁華街だけでなく,店の多様性もどんどん上がった。最近はちょっと違うかも知れない。
島に住む土木作業関係者も,10年前と比べると丁寧な言葉遣いの普通のサラリーマンの人ばかりになった。世代もあるけど雇用により分野の人材が多様になったためだろう。それ以前は,大島紬で機を織って女性が自立できた島だったが,日本の繊維産業衰退で人口は減少し,産業構造は公共事業中心にシフトした。そう,だから,かつて,島の離婚率は高いので有名だった。女性が腕一本,機織りだけで飯が食えたから酔いどれ亭主を叩き出せた。私の義理の母親も,紬の見事な生糸を持っている。今は,人に頼もうにも,人件費が出なくて誰も織ってくれない。ボランティアになってしまう。
先のことは,考えてもしょうがないと島の人の知恵としてはあれこれ悩むことを良しとしないだろう。日本すらどうなるのか分からないのだからそれはある意味正しいかも知れない。
ツイン・・・Zuzukiじゃないですよぅ(笑)
私の愛車だった車です。子供が生まれて手放しました。カワイイですよね。
綺麗な島ですね、海も美しい
土建事業が雇用を生みお金を生み出すのは解りますが
それに頼り切ってしまうと、この先ずっと土建事業を生み出さなければなりません
今の日本の悪いパターンではないでしょうか?
不必要なダム工事などを正と偽って自然に欺く仕組みは考えないといけないと私は思います
本当の自然が無くなりつつある日本、今ある財産を残して欲しいものです
小さいくるます危難ですよ。ワイフと二人だけだったら,スマートのロードスターにでも乗っています。
なかなか難しいです。むしろ本土から来られる方でそういう分野に関わっておられたが,海岸の風景を壊しているようにしか見えない開発の無頓着さにびっくりされたりしています。これほどの自然など無かった自分たちの居たところの方が,もっといろいろうるさかった,大丈夫なのかと。