Cat and Rat Snake
2009年 05月 20日

最初,草を食むつもりなのかと思ったが,途中から動作がいきなりとまり,動かないのでいぶかしんでいると,彼が眼でポイントしてくれた先に,でかいRat Snakeが居るのに気がついた。
公陳丸の反応から,彼は,アオダイショウ Elaphe climacophoraを観察して,彼のデータベースに照合すると同時に,大きさを判断しようとしているのが分かる。彼は,全盛期にはスネイク・ハンターとしてブイブイ言わしていたので,かなりの種類について対処は慣れていてジムグリ,やヒバカリなど,家まで何度もお持ち帰りしてきている。もちろんワイフは嫌がっていた。悲鳴をあげる人ではないけど。
実際,蛇にとっても猫は脅威と感じるらしく,シマヘビでは,彼の姿を見てこんなに高速で蛇が移動できるかと言うような速度で風を食らったように逃げていくのは何度も見た。だから,彼は蛇には最も慣れている方の猫だ。
だが,その彼が慎重。相手の大きさ,場合によっては種類を判断している模様。高等動物の肉食獣の眷族にあって,遭遇した動物のサイズに鈍いはずがない。ひょっとして,過去にばったり出くわすか,ちょんちょん手を出して,反撃されたことがあるかも知れない。彼の怜悧な観察と彼自身の獲物のデータベースに照合して,不用意に手を出さない方が良いと判断していることは確かなようだ。ふと,チコならどうするかなと思ったが,このときは珍しく寝室で縛睡中。
多分執拗な猫パンチで仕留めるかも知れない。
猫がマムシ等でも平気で対応できるのは,過去暮らした猫が教えてくれた。散々叩きまくって遊ぶ彼らの前には化学兵器を持っているかの毒蛇も思いのほか脆弱で,猫にプラプラ咥えられてお持ち帰りされた。どうしようもない状態にまで疲弊したにせよ,ベッドまで猫にマムシを持ってこられて,あわてて口から取り上げたことがあった。
奄美以南で,ハブに対して猫がどのように対するのかは知らないが,大きさと,あの攻撃性,攻撃範囲を思うと,彼らにとってもかなりリスキーであるということは想像がつく。ここには居ないからその点は,お気楽猫を抱えるお気楽者としては楽をしている。
アオダイショウも,間違っても猫を獲物と判断したりしない,猫にも,彼らを押さえつけることは不可能で,だから逆に死に物狂いで絞め殺そうと反撃してくることはないと思われるが,牙は長く,咬まれるのは痛いと思うし,牙が折れ残ったり化膿したり。シマヘビなども結構気が荒くて,無人島で捕獲した黒色タイプをホルマリンに漬け込もうとした友人が咬まれるのを見たが,アオダイショウも個体差が大きくて,噛みついてくるやつも居る。「まぁ,毒蛇特にハブじゃなければ,攻撃能力も知れていて,どうやっても笑い話で済むんだけど」というのがフィールドワーカー的生物屋の見解。マムシは,華奢で動きも知れているので,慣れている人は蹴り殺すのは,長靴履いていれば難しくない。
アオダイショウなら,公陳丸やチコは気づいて対応できるし,万に一つ後れをとることはないだろうけど,ワイフや子供たちやお客さんが間違えて踏んだりしてトラブルと拙いので,とりあえず捕獲することにした。お百姓さんには,ネズミ獲るので守り神なんだけどな。

踏み抑えた次の瞬間,絞め殺し屋らしく私の脚を本気で締め付けてきた。そのままの緊縛状態で,彼らの締める力を試しに体験。5重に巻きついて,グイ,グイっと来る。この個体,尻尾の先端が輪禍か何かで千切れていたが,その丸い傷口を持つ尾を私の靴と足の隙間に突き入れてくる。公陳丸には下がってもらった。ちゃんと言うことを聞いたと言うか,彼も私の声と,私の足に巻きつく全身像を見てやばいと思ったらしく,下がって逃げた。素直な良い子。

丁度,ささみの削り節の安売りを買いに行って戻ったワイフが,蛇を踏みつけて次ぎのアクションに移る段で止まっている私の脚に巻き付いているモノを見て,顔色が変わる。流石の彼女も,不意を突かれて驚愕。まずは,それ以上驚かせないように,普段の調子でワイフに話す。
「すまん。お願いがある。」
「わっ!わわわ! どうしたらいいの? なにすればいい?!」
「とりあえず写真撮って。」
「えっ??」
すまん,こういう旦那で。
「そこにカメラあるから。あ,大丈夫。あんまり蛇の扱い慣れてないもんだから,保定するより先に巻き付かれちゃった。いや,パッと手で掴んでも,こんなもんかな。」
「どうするの?」
「大丈夫。今からこの子外して,誰かが踏んづけたりして事故らないところまで連れていく。・・・すまん,写真撮って。」
いたずらっけのある旦那なら,「もうだめだぁ足の骨が砕けた!救急車を呼んでくれ!」と喚いたりするかもしれない。蛇に巻きつかれて一言なんて滅多にないシチュエーションなので,チャンスだったかもしれないが,まじめなワイフ相手に,そういうジョークをしかけたことはない。それよりも早くこの蛇を楽にしてやりたいし,その前に,写真だもんもんもん。
ワイフは,例えば私がアカネズミを捕獲して,風呂場で撮影しようとすれば,「可愛い~!」ときゃっきゃ喜んで手伝ってくれるけれど,流石に蛇は苦手。まぁ,こんな旦那と結婚したんだからしょうがないよ(棒読み)。一応,特に爬虫類好きということではないけど,大抵の生き物なら来るもの拒まずなんで。すんません。
「ひえー」といいながら,流石ワイフ,私が押さえたら,結構距離を詰めて的確な構図で撮影してくれた。私よりカメラ・ワーク上手いかも。いや,それは,私の写真の師匠もみんな知ってる。

そういえば,末っ子はへその緒を首に5周も巻いたまま,生まれてきた。出てきた赤ん坊に付いて先生と助産婦さんが「いーっち,にぃー,さーん・・・」と何を数えているのかと見たらへその緒の巻き戻しだった。「すごい,当クリニックでの新記録です。」だって。もちろん安産で生まれた方のだけど。
なんてことを思い出しながら5周分巻きついた蛇の軀を取って外して両手で確保すると更にワイフに,「お次,撮って。」
ワイフも慣れてきて,パシャパシャシャッターを切る。もちろん蛇も力を出している。少し牙の先端に触れてみたらすげー尖っていて,簡単にぷすりといくのが分かる。あー,子供たちに見せたかったなぁ。彼らにとってこういう父さんはデフォなので,彼らも慣れている。

やべえ,ちょっと足に力入り過ぎて,牙が一本折れたか。ごめん。また生えてくるよね。でかいアオダイショウをぶらぶら持って,近くの河川沿いの森まで行って,そこで離した。そのときには,仲良しになっていた。まぁ,こっちが一方的に思っているだけだけど,友情もそういう部分あるでしょ。時間があれば,彼らが魔法のロープのように樹上に上って行くところを撮影したかったのだが残念。もともと尻尾にダメージを負っているからその行動を見せるのは無理だったかもしれないけれど,尻尾の先,数cmほどを枝に巻きつけたら,一直線に手がかりなしにまるで魔法のロープのように天空に伸びていくシーンはかなり素敵なのだけど次回の楽しみ。

「いいから直ぐに殺して。山の向こうに捨ててきて」と遠くを見るように言われて,身内にも無害であることを説明できずに生物多様性保護なんて無理だなぁと呟いていた。ワイフは生物屋じゃないけど,生き物全般にむける情愛は深い女で,その点,私は大分楽させてもらっている。苦手な動物でも誰かが平然と石ぶっつけたりすればと,彼女は悲しむのが分かる。
ワイフと二人,時間の少なくなった昼休み,お昼の弁当を食べながら話していて,昨晩ユッチが窓の外を見てずっと啼いていたのは,なんだろうと思ったのだが,暗視力の高い彼女が見つけていたのがこれだったのかという話になった。窓の外,でかいアオダイショウが彷徨いていたのに反応していたんだろうと想像する。訪光昆虫なんかでは出さない,とても切ない声出していたので不思議だった。

追記ー昨晩ユッチが反応していたモノは,多分このアオダイショウだと思うのだけど,もう一つ候補となる存在がうちの庭を彷徨いていたことが,先ほど判明。そっちは違うと思うんだけれどナー。
蛇はギャーってほどではないですがあまり好きにはなれない相手ですね
子供の時からあまりいい思い出がありいません^^;
クワガタ取りに行って木を蹴ったら蛇が落ちてきたとかw
カマキリとりに野原に入るとマムシにシャッーって言われたりとか、まったくいい思い出がありません^^;
私の周りでもそうですけど,野生生物に憧憬を持てるのは,ずっと大きくなるまで知らなかったからというのもあります。見るものすべて,図鑑でしか見たこと無いもので感動の嵐www。

最近は見かけなくなった我が家近くのアオダイショウとは全く別で血色良いですね~^^;
子供の頃、犬の散歩に行って、履いていた下駄の歯の間を2m近いアオダイショウがす~っと通り抜けるのを経験したことがあります。
やはり私は経験が少ないから、苦手ですね。生け捕りはできないかも。

まず、奥様尊敬します。私なら誰かの足にからみついているの見たと同時に荷物放り出して隣の町内まで逃げます、全力疾走で。以前実家で見てパニックになったのも多分これと同種。ついでに亡くなった伯母が鼠取りに屋根裏に放していたのも同種と思われ。しかし彼女の家では怖がっていたのは飼い犬だけでした。
以前、パイソンのロングコートをお召になっていたアナ ウインター女史(ヴォーグの鬼編集長)とご対面させてみたいものです。
鼠とってくれてありがたいのは認めるので、せめて私が薮掃除しているときに目の前で日光浴するのは止めて欲しいものです。つくづく、住み分け希望、切実。
奇麗なへびですねぇ♪
靴の中に尻尾が入ってる写真に、衝撃を受けました。
蛇のアンクレットしてる旦那に、どん引きせずに写真を撮ってくれる奥さん偉い。
我が家の猫は、何も獲ってくれません。それが平和なんですね。
天井裏のねずみには、蛇の方が効くのかな。
私も、蛇つかんだのは,数えるほどです。毒蛇じゃないので、何とかなりました。後、ヤマカガシは,蛇好きの人にとっては扱いやすい蛇なのですが、毒を考えると,手は出せません。
流石にもう少し弱いですけど。絞められる雰囲気はそっくり。
受けましたかw。実際の会話なんですけど。
有名猫&天文サイトなので、存じ上げております。
学生時代、一緒に暮らしていた猫は野うさぎやキジを捕ってきたりしました。おい良いのかとかなりドキドキしました。
C_Cさんの手の中で怒っているへびの顔みておおー(はぁと)と喜んでおりました。
多分、写真だからでしょうけど(=写真が良いからでしょうけど)おー怒ってる怒ってる、本気で怒ってる かわいー♪ って。
でも、へび触ったことないです。