ブドウスカシバではなくブドウスカシクロバ

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去年も,こいつのおかげで,庭のデラウェアが壊滅した。
 今年はせっかくなので,結構退治している。とはいっても,いったんこれが大発生すると,生半可の量じゃないので,さて無事実がなってくれるか。

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米酢,友人作の異常に度数の高い焼中,木酢など,噴霧してみたが,やはり酢や焼酎ではほとんど,いや,全く効果がなかった。もちろん管瓶に米酢や焼酎を入れて虫を放り込めば死ぬだろうけど,それは,噴霧レベルで体表に付着して死ぬというのとは全然違う話だ。
 もしも,米酢や焼酎などをふん蒸して殺虫機能があるとしてもせいぜいアリマキぐらいだろうか。昆虫は小さいけれど結構タフで,蚤などアルコールに漬けても,ショックで動けなくなっているだけで,アルコールが揮発した後,蘇生したりする。
 木酢液は,適当な希釈で捲いても,十分に効いてくれる。ただし即効性がないのと一発でころりと云うような神経ブロック系の作用機作ではないし,何故昆虫が死ぬのか,あるいはどのような昆虫殺しに効くかと云うことについては,どうも少々検索してもはっきりしないので,そのあたりは注意が必要と思われる。
 強い殺菌作用があるということだが,別に昆虫もその幼虫も,「菌」ではないので,無脊椎動物に有害な物質が含まれているからと云うことになるか。「殺菌」ってお邪魔虫毎全部死ぬみたいなイメージで考える人も居たりして,この言葉も結構面倒だ。木酢液は有機酸、フェノール、タールが有効成分だが,タールなら煙草の浸出液で殺虫液ができるので,特に魔法と云うことではない普通の毒物だ。まぁ,大量に庭に捲かなければ問題ないやと云うぐらいの判断しかないけれど,少なくとも上の画のように,枕を並べて各ステージがお亡くなりになっている幼虫の状態を観察すると,体内で分解が始まっているような嫌らしい色になって数分~数十分ぐらいで動きが止まり死ぬのは確認できている。成り始めた実にかからないように,適当に噴霧した。

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 追記-この記事結構読まれているのが不思議なのだが、それだけ今の時期、本種による被害が多いのかも。プロは当たり前のように対策してるだろうから家庭菜園関係かもしれない。

 ちなみに成虫のブドウスカシクロバの画像が撮れたので加えておきます。なかなか綺麗で渋い見かけをしている。思ったよりも小さく、目立たない。こちらは鱗翅目の成虫だと分かりやすい。ブドウスカシバの方は、ハチにベーツ擬態した姿をしているので、成虫を見れば、両者を取り違えることはない。

 追記2-なぜか検索で引っかかるみたいなので、あまり有用な情報をお伝えできてないので恐縮する。アシナガバチ(できればあまり攻撃性の高くないフタモンあたり)の巣が近くに三つほどあれば、多分これくらいの量のブドウスカシバは、壊滅してくれるのではと思ったりしているが、まあ、アシナガバチコントロールは、相当酔狂で、アナフィラキシーショックリスクも管理できないと難しいと思う。我が家に来ていたのもどこから来ていたかは分からない。昨年我が家に茂く通ってくれていた個体の巣も場所は不明。

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 去年も今年も,鱗翅目を食べてくれるアシナガバチ系の庭の保安要員は最近はとんと縁がない。天敵であるコガタスズメバチの密度が高くて,結構避けられているか。そのスズメバチも,一昨年は「宇宙家族ロビンソン」の様に枝から台風で落下して損傷を追いながら,コロニーが豪雨やアリの攻撃などをやり過ごし次世代を生むまで無事存続するのを観察し,また去年は食材にして,舌鼓を打たして貰いその後はこれまた今年は,今年は我が庭及びその周辺においては縁がない。
 お向かいのツバメは順調に成長しており,本日,長男と観察していたら,下から見ていて黄色い小さなくちばしの先端を初めて確認した。去年は可愛い盛りにカラスに襲われてペジテ市のごとく逆ドーム型の巣ごと破壊されて雛は食われて壊滅した。その直前まで,本当にいい感じだったんだが。

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ツバメはお向かいにいるが,こういう低木につく幼虫を探して食べてくれることはないだろう。
 この時期まだ,雛がお尻を巣の外に突き出して排糞できないので,巣を汚さないように親鳥は雛に餌をやったその口で,真っ白な雛の糞を銜えて飛び出していく。撮りたい画だなと思っていたが,子供と観察する方を優先した。撮影すると,ゆっくりいろいろなことを考えながら観察したりデータを取ったりすることがしばしばできなくなるので,見てるついでに撮影すればと云うのは,実はあんまり私にとってはできない相談なのだ。
 本当に楽しい瞬間やそのシーンは,撮影できていない事の方が多い。撮っているとしてもさんざん同じシーンに遭遇して観察した後とかのはなしだったり。撮りたいと思うが,覚悟を決めて網膜に焼き付ける。

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夕暮れどき,公陳丸とチコがツバメをぼーっと観察していると,頭上すれすれを警戒音を出しながら彼らは去っていく。こういうのも良い画を撮りたいなと思うが,画としてかなり高度なものが要求される。
 やっぱり,二匹と一緒にツバメを見ている。

昆虫料理の専門家の内山さんから,ブドウスカシバが子供の疳の虫の薬として珍重されているという話を伺いました。
 毒刺胞を持つことは,内山さんも御存じなかったようです。
 礼を尽くして信頼関係を結んだ上で,こちらもそれなりに情報を学習,整理する努力をする限り,専門家に直接伺える今のwebの状況は本当に楽しいですね。
 もともとの種が、私の同定ミスによりブドウスカシクロバだったということで、その辺りコンタミのないようにお願いいたします。

Commented by dojou7 at 2009-05-24 09:50
ブドウスカシクロバの幼虫、毛が毒針という説も聞いたことあります。お子様お気をつけて。
また発生ステージが後何回かあるのかも。今年は食べられると良いですね。
Commented at 2009-05-24 10:39
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by tochi0150 at 2009-05-24 10:53
こんにちは
こんなのが大量発生したらちょっとひきますね
最近街中で雛の声を聞きます、きっとツバメだろうと思うのですが見つけられません
まぁ人に見つからないように場所は選んでいることと思いますが
Commented by complex_cat at 2009-05-24 19:12
dojou7さん,結構かぶれますね。毒蛾系みたいに酷いことにはなりませんが。結構いやらしいです。
 とりあえず,木酢でかなり落ちました。数回波状攻撃かけて,様子を見ます。
Commented by complex_cat at 2009-05-24 19:14
tochi0150さん,画の類は,結構大発生しますね。
アシナガバチがいると丁度良いサイズの獲物なんですが。オサムシとか差しが目とかエンクロージャー式に閉じこめて駆除できないかなと思ったりしました。
Commented by n.amimoto at 2010-06-28 23:11 x
ブドウスカシバとブドウスカシクロバが混同されているようですね。写真にある幼虫は、ブドウスカシクロバの幼虫で葡萄葉を食害します。ブドウスカシバの幼虫は、葡萄の枝や幹の中を傷害し、食害部分から先を枯らしてしまいます。ブドウスカシバの方が被害甚大です。
庭に葡萄を植栽しており、今はブドウスカシクロバ幼虫と戦い、秋口に、ブドウスカシバの幼虫と戦うことになると思われます。
Commented by complex_cat at 2010-06-28 23:22
n.amimotoさん,ご指摘感謝です。
途中で名前を混同したところから,記述が混乱してますね。ありがとうございました。
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by complex_cat | 2009-05-23 18:11 | Wonderful Life | Trackback | Comments(7)

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