ドブガイ
2005年 01月 30日

淡水産のイシガイ科,巨大な貝です。一緒に写っているサギ類の羽と比べて貰えると大きさが分かると思います。シェルに穴が開いていますので,おそらく死んでいると思います。シジミのように食用に適していたら,この大きさですからあっという間に絶滅していたか,養殖されて全国でクローンがばらまかれていたでしょう。
クリークに降りられませんでしたので,丁度持っていた135mmでメモ代わり。というか,大Leica様の135mmで撮れる被写体を探してキョロキョロしていたら見つけた代物です。どうも,動機が不純ですね(笑)。Leica R4s, Elmarit-R 2.8/135
この地域だと南限個体群のアブラボテが有名ですが,タナゴ バラタナゴ、タビラ類、ヤりタナゴ など,多くのレッドデータの淡水魚類がこのドブガイを産卵床にします。アブラボテを飼っている水槽にドブガイを放り込むと,早速,雄が貝の周りになわばりを作ります。これは見ていて本当に楽しい。アブラボテでは,繁殖期になると雌がドブガイにやってきて産卵します。体外受精動物では,そこを見計らって自分で精子をかける事が出来るので,こういった戦略を採る事が出来ます。ちなみに体内受精の動物では,人間も含めて,連れ添いが産んだ子供が確実に自分の子であるという確証は,21世紀の現代においてDNA解析をやれるようになって初めて可能であり,機構的に雄側には全く手だてはありません。哺乳類の雄が嫉妬深いのは,こういった機構のためです・・・・っていう話をするつもりではありません。そっちは,ややこしい問題が多いので,別の機会にゆっくりやりましょう。
ドブガイで,淡水産の真珠を作るという話もあるようですが,貝類の生物蓄積は非常に有効な指標なので,環境中の放射能汚染などのチェックなどにも使えます。
また,ドブガイが一方的に淡水魚の産卵床になっているだけと思っていましたが,グロキディウムと呼ばれ る幼生期に棘状の突起を使って底生魚(ヨシノボリ、チチブ、カマツカ等) のヒレや鰓に寄生して養分を貰うそうで,まぁ卵を放り込んでくる種類とは違いますが,ちゃんと淡水魚とは相利共生しているという事です。良くできている話です。
アブラボテの良い画像先を探したのですが,南九州では「シビッチョ」と呼ばれる所以である,尾部の婚姻色が綺麗に出ている画像が見あたらなかったので,載っけていません。まぁ検索しても淡水魚を飼育される方にも人気があるようで,もの凄くヒットしますので,ご覧になって下さい。私も,もしも良い画が撮れたら追加します。
ちなみに,酷い生物和名についてですが,植物では「ヨグソミネバリ(夜糞箕張)」とか「ヘクソカズラ(屁糞葛)」なんて酷い名前に事欠きませんが,動物ではあまりありません。しかし,動物の名前の付け方の方が,即物的で身も蓋もないそのまんまという名前が多いような気がします。シロアリに近いカースト制度を持っている哺乳類のハダカデバネズミ(裸出歯鼠)なんてのもありましたが,あんまり酷い(名前を付けた人間のセンスが?)のでハダカモグラネズミと呼んだりしてますが,大して変わらないかな。
植物の場合,特徴を考えるセンスがかなり必要なので(これは植物を知らない人が見たら,その辺の草木など全部一緒に見える事を思えば分かると思います),どんな名前でも,なかなか深い思いを感じたりします。学名の付け方もラテン語の意味で特徴を記載するように厳密なお約束に基づいていますので,昆虫などでは時々ありますが,研究室で可愛いと思っている女の子の名前を勝手に付けるとか(miyukiiとかありますぞ)など,ぜったいに(多分?)許されません。
妹さんの感覚は,割と普通だと思います。私の友人などはイモリを見て,「足の生えた魚がいた!」と本気で大騒ぎしたので,それが世間一般の感覚かなと。ちなみに彼女は,優秀なバード・ウォチャーです。
食材で動物の分類群をビックリしたように覚える方も居られます。えぇ,タコとエビはぜんぜん違う仲間なの~?とか。