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Why cats create

溜まりきった仕事で疲れているせいか,ちょっと芸風を変えて,いつもより場外乱闘っぽい?アーティクルをお許し下さい。
 画像は公陳丸の作品集です。サインは無いけど彼の匂いが着いてます。
 絵画ではありません。彫刻風現代アート? えっ,ただの爪の研ぎ跡ですって?
そ・そうかなぁ? とりあえず,我が家の作品展示をプロムナード沿いに見ていきましょう。

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作品001 “嘆きの壁”


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作品002 “全ては塵に”


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作品003 “サンダーバーズ・あ〜・ボロボロ”

 ここ以外で被害が増えて欲しくないのでやりたいようにやらせています。ケージにおとなしく入ってくれないニャンコは,家の中でも,まぁ,ははは,なかなか凄い事になります。チコはあまり家の中では爪研ぎをやらないのですが,私が見つけてないだけかも知れません。外でやっているのはよく見ますので,先輩である公陳丸に敬意を表して,場所をずらしているのかと思ったりします。

 猫アートとその金字塔的資料?として,一度,本書の書評を書きたいなとずっと思っていました。

Why cats create_b0060239_181919100.jpgWhy Cats Paint: A Theory of Feline Aesthetics
Heather Busch and Silver Burton
 本の表紙も著作権関係に引っかかるかと思ったのですが,エキサイトの問題かライフログで最初に紹介したのにサムネイルが表示されませんでしたので,ちょっとサイズが違いますが,アップしてしまいました。
邦題は「猫が画を描く理由」になっているかどうか,そのままみたいです。
ちなみに邦訳本は,とっくに買えなくなっております。日本で紹介されたのは今から7年ほど前のようです。その後,猫雑誌で,たびたび紹介されています。

 内容を普通の人にざっと説明すればたいていの人にはトンデモ本だと思われるでしょう。いや,猫が画を描いても良いんじゃないって云うぐらいの反応でしょうか。動物分野では,昔「ハナアルキ」などという一冊完全に冗談で作ったある架空動物のモノグラフが売れた事がありますので,ろくに情報を知らずに書けば恥をかいたりします。冗談本になってしまったものには古くは弟子達が埋めた動物たちを化石と勘違いして本にしてしまった人の回収漏れ本とか,日本にも某私設化石研究所の方が石灰岩の紋様を全て化石だと信じ込んで膨大な記述を行ったミニ人類の話などもありました。最初手に入れたとき,人生慎重にならねばと,どっかにジョーク本のサインが出てないかとページを捲ってみましたがそんなものは,勿論ないです。
 猫が画を描くのは当たり前という世界に立ってこの本の世界に浸るのは、どこか抵抗のある方も多いでしょう。抵抗のない方は、そのまま行きましょう。実際の猫アーティストの作品のように絵描き猫の制作状況の動画の証拠資料でも添付されていれば、問題ないのだけれど(作品群はWebで検索すればかなりヒット)。真偽はそのようなビデオ資料付きの猫の描いた作品をオークション等で高額叩いて手に入れた人しか判断できないことも確かです。一説によると1,000匹に一匹は(この数字の根拠もよく分かりません),画を描ける,即ち,ある意志の元,自分の前肢にあの絵の具を着けて書き殴ったりペタペタやる作業をやるネコちゃんが居るという事らしいです。実際にオークションで検索すると真贋チェックもかなりしっかりやっているようです。あぁお金に換金されるとなると,いずこの世界も,まじめに調べるんだな。

 私は,画才のある猫と暮らした事もないので,何の分析も出来ませんが、猫が絵画を描く(いや、絵画を描く個体が猫には存在する)ことは収蔵品のパビルスが示すように遙か古代エジプト時代からずっと知る人には知られていたそうです。画才のある猫は滅多にいませんが、かつてはサーカスの出し物にもなっていたことを示すポスターが残っている、ということです。現在の数匹のトップアーティスト(!?)猫とその作品群を、印象派や写実派、シュール・リアリズム派、変性意識状態で創作するトランス派などのジャンル別に紹介。かなり前に「猫印象派」という有名印象派の名画中の人物を全部猫に描き変えた作品集が話題になりましたが、これは画を描いている「猫印象派」なんです。スティル写真ではありますが作成風景やその画が生まれた状況、猫モデルなどの紹介もあります。特にエキセントリックなトランス派の猫が狂乱のブルー・ザ・ブロディじゃないけど,行っちゃっていて,見せた人には好評でした。私も彼のガッツポーズを見て、とても幸せな気分になれました。また,写実派は,その作品を書く前に牧場に行った思い出を画にしているという説明ページもあって,逆にちょっとできすぎた夢みたいに感じるのは,私だけでしょうか。

 実際に猫たちの作品と彼らのアーティストらしい(?)ポートレイトを見るだけでも、猫好きは、英語が拾い読みできなくても幸せになれること請け合いです。まじめな美術関係者の方も息抜きにいかがでしょう。美術関連図書としたら装丁や印刷はベストではないが普通なので、この本は破格だと思います。

 猫が画を描くという行為について,猫という動物自体に,全くコミットした話がないのは,とても残念です。この事実(?)を、動物行動学者達に見せたら、彼らが霊長類観察でも滅多に目にできない高次の創作活動というPlaying behaviourをどう思うかが私には気になるところ。かなりの学会ネタを内包していることになってしまいますが,私のちんけな論文までも引っかかる生物系文献データベースBIOSISでも猫の絵画創作活動のようなPlaying behaviorについての文献は皆無であることを付記しておきます。サイババや長崎のサイキック喫茶店のようにインチキを暴いたアーティクルもありません。学会タブーなのか? まぁ今時のサイエンスペーパーに投稿するようなデータを取るのは簡単ではないでしょうけど。「ドン松五郎の生活」がそのまま現実化したような,大変な話なんだけどなぁ。

 ついでに書くと,この“Why cats paint”関連のカレンダーがあって,印刷でも猫の描いた画のカレンダーなら嬉しいなぁと,アマゾンで注文しました。しかし,これは,購入者を馬鹿にしたような「猫に」ペインティングしたアート集であり,オヤジ・ギャグ以下の昔の見せ物小屋のカッパや大イタチよろしく,完全に「詐○!!」といっても良い商品であった事を怒りと共に記しておきます。これじゃぁ動物虐待やないのかぁ〜!!? 誰だってあの本買った後なら,こんなこととは思わないぞ〜!
 制作中のビデオ付きで猫の描いた絵画が高額で取引されています。関連ホームページからmpegの画像も見られるのですが,それを見る限り・・・・確かに描いてますねぇ。出来の良くないCGとも思えず,信じて良いと思います。

 「さんちゃん」「アフター0 Neo」がビックコミック系雑誌に連載中の岡崎二郎氏の漫画に「NEKO2 ねこねこ」っていうのがありまして,猫語を話す少女の冒険奇譚なのですが,それに絵画を描く猫の話が出てきます。ネタ本はこれだったのかって思います。どのように評価しても,すげ〜楽しい本です。ハードカバー版もそんなに高くありません。
 「猫」から獣偏を外して手偏を補ったら「描」になるのはなんか意味あるのかな。国内では,まだ猫画家の話を私は聞いたことはありませんけど。

 もしご自身の家の猫が画を描く猫だったら,世知辛い世の中,絶えず誰かに盗まれたりする危険性が出てくるし,閉じこめて飼わなければいけなくなったりするでしょう。我が家の二匹は平凡な猫で良かった。そのまま,どうか一生を平凡に生きてくれ〜
Commented by ≦◎δ◎≧З at 2005-02-06 21:43 x
ウニョニョっ≦ ̄δ ̄≧З
こりはまさしく「現代ニャート」っ!!
公陳丸くんは、デュシャンをはるかに越えたねっ!
そのまま美術館に送りつけちゃいましょうっ≦⌒▽⌒≧♪

絵の描けるニャンというものはまだ会ったことありませんが、現代アートシーンでは稀に見かけますよね。長いロール紙の上にニャンを歩かせた跡とかっ……≦ ̄□ ̄;≧З

ボクは、かの路上観察者らではないですけれど、コンクリートが乾いていないところを歩いたため、足跡が残っている箇所の写真を収集中です。100枚ほど集め並べてみたら、それなりのアートになるかなって考えていますっ≦⌒◇⌒≧З
(※現在3枚収拾……。道は遠いニャァーっ≦T□T;≧З)

Commented by みかん at 2005-02-06 22:06 x
絵を描く猫ですか?(そういや、猫と描くは似てますね)
へぇ、これまた考えた事も無かった。面白いなぁ、と感心して読みました。

しかし、公陳丸氏の作品は、すごいですね。タイトルが、またヨロシイ。悪いけど「嘆きの壁」には笑ってしまいました。
サンダーバーズもお気の毒です。

アートって、身近にあるものなんですね。発見だわ。

Commented by complex_cat at 2005-02-06 22:59
≦◎δ◎≧Зさん,コンクリートフットプリントですか。達成したら是非とも拝見したいですね。
みかんさん,お褒め頂いて恐縮です。もちろん嘆いているのはワイフですけど。こんなに弱い壁紙だったのかって。サンダーバードは古いLD集を丸ごと7000円で買って,いい加減息子達と何度も見たので,まぁ中身が無事ならとほってあります。
 画を描く猫を見分ける第一段階の方法に気がついたのですが,書くとあっちこっちのネコに迷惑が掛かりそうなので止めておきます。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-07 00:30
ああ、この本、以前に古本屋で見つけて、立ち読みして散々迷って買わなかった本です。当時猫いなかったからなぁ…惜しまれます。
嘆きの壁はいいですね。次回は壁の前にうなだれる公陳丸師をいれて撮ってくださいませ。
かーは…そういう創作するのかしらん。したいならさせたやりたいですが。彼はタテ方向への(つまり壁などへの)つめとぎをしませんので、
公陳丸画伯のような立体造形は…ああ、ダンボール箱の彫刻はしてますね。今度アップします。
Commented by complex_cat at 2005-02-07 05:50
オリジナル英語版は,今でも,勿論購入できます。1700円ぐらいです。実際,大先生が創作中のところは,10秒未満なので,なかなか撮れないですね。カメラ構えると,逃げて行ってますから。
Commented by yusuke at 2005-02-07 10:23 x
「嘆きの壁」には笑ってしまいました。
猫が画を描く理由ですか面白そうな本ですね、英語は不得手ですが
表紙がステキだし買ってしまおうか。
大先生の次の作品を楽しみにしております。笑
Commented by みお at 2005-02-08 23:10 x
http://www.flickr.com/photos/44124472516@N01/4459217/
パソコンで遊んでいる猫かと思いましたが、スクリーンセーバーのお魚が気になっているようで。(笑)。昔実家にいたタマ(猫)も毎朝TVの体操番組にかじり付いてみていました。
Commented by complex_cat at 2005-02-10 09:54
yusukeさん,みおさん,どうも。
最初,Art of catsというのを作ろうかと思いましたが,まぁそこまでのアーティストはおりませんので止めました。しかし,創造性というのは,通常は霊長類に限定されるかなり高次の活動だと思います。猫好きの人にとっては,画を描こうが描かなかろうか,唯一無二の大切な連れ合いだということに何の影響も与えませんが,この事実の持って行き方によっては,猫という人類の伴侶をもっと深く見直す重要な問題に成り得ると思います。
Commented by どらねこ at 2009-01-25 14:14 x
>岡崎二郎氏の漫画に「NEKO2 ねこねこ」っていうのがありまして,猫語を話す少女の冒険奇譚なのですが,それに絵画を描く猫の話が出てきます。ネタ本はこれだったのかって思います。
 
 同じ事考えてました。
 もしかして、私のためにブクマしてくれたのですか?そう思ってしまうくらいのエントリー。←自意識過剰。
 絵の具を落とすのが大変そうだな、そっちのほうが心配になってしまったり・・・
 次は、猫のスプレーアートなんて如何でしょう。
 あ、「全ては塵に」1票
 
 
Commented by complex_cat at 2009-01-25 15:01
どらねこさん,
 このエントリ,4年前のものです。最近,エネルギーをかけたエントリを書く時間がないので,過去の資産紹介をやってます。興味を持っていただけるであろうお方のリストのには,もちろんどらねこさんは,入っております。vip扱いでw。

 スプレーアートは臭い付きですね。
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by complex_cat | 2005-02-06 17:17 | Miracle of Felidae | Trackback | Comments(10)

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