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犬歯(リュウキュウイノシシ)


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調査中に見つけたリュウキュウイノシシの下顎骨から持って帰った犬歯です。採餌の際に顎の咀嚼を必要とする動物では,下顎骨の左右の動きは重要です。臼歯で細かく繊維を粉砕するなどの必要がある動物は前後左右に顎が動かないとどうしようもありません。で,リュウキュウイノシシですが,そういった下顎骨の自由度を生かして,上顎の犬歯と擦り合わせる事で,このようにナイフのように鋭いエッジが常に保たれるように,メンテする事が出来ます。

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犬歯は通常の下顎骨に埋まっている状態ではほんの2〜3cm程度の長さしかないように見えますが,全体はこのように湾曲して大部分が下顎の中にあります。見えている先端部分に相当な仕事をさせることが出来そうに思えますね。
 また,犬歯自体が無根歯であって,人間などの有根歯とちがって,ネズミの門歯のようにある程度は伸びるものと思われます。
 というわけで以前,コメントで書きましたが,ネズミ目のほとんども,咀嚼のためにかなり複雑に顎が動くので,伸び続ける門歯自体は,上顎下顎のそれをすりあわせる事で(下顎骨の前後にスライドさせる動きが基本),自分自身をメンテナンスできます。堅いものを食べて磨り減らさないと伸び続けて最後はものが食べられなくなって死んでしまうという話は,皮膚全体を金粉で塗ったら皮膚呼吸が出来なくなって死んでしまうと云う話と同じように,まともな観察もせずにでっち上げたか,顎関節に機能障害を持つ個体の門歯が伸び続けて見かけそういった現象が起きるのを勝手に勘違いして作ったお話です。いたいけな少年達に無責任なウソを刷り込んで,一方で動物学者面して金儲けした事実を思うと,心中ちょっと許せぬ部分があります。多分本人は,今でもそう思っているのでは。
  イエネコは下顎骨を左右に動かせないと何かで読んだ事がありますが,餌を丸飲みに近い状況で摂取する肉食獣は何となくそういった機能制限があっても大丈夫そうで,逆に顎の強さに特化できるのかも知れませんけど,本当かなぁとちょっと思います。実際,公陳丸が1歳未満であった頃。私が蹴りの練習をしていて,蹴ろうとした足に飛びついて,私の指先と彼の下顎骨の犬歯が正面衝突した事があります。とっさに引いたのですが,それなりにかなりの衝撃がありました。その後,公陳丸がどうなったかって,ちょっと怒られると思って隠れましたが,呼んだら何にもなかったように抱っこされ,ご飯をねだりました。しかも彼の顎には全く何のダメージもありませんでした。つまり突進のエネルギーを全て下顎骨の犬歯の先端に持っていっても,びくともしないという事です。この驚くべき強度はハンティングに生かされて,この犬歯に運動エネルギーの全てを込めた「突き」は,「剣先」が打ち込まれた獲物の頸骨などをあっさり剪断,粉砕するということです。後頭部から頸椎を狙うのは彼らの標準的な作法です。
 まあ,ライオンなどは鼻と口を塞いで窒息死させるという殺しの技を使います。やっぱり殺すという事に関しては,専門家なんだなぁとスッパリいかれて,血を流している親指を見てそう思いました。だから獲物を持って帰ってきたネコちゃんに対しては,ピアニストがピアノを弾いて怒られる人がいないのと同様,当たり前の事をしているだけなんだと思って接してあげてください。
 問題を飼い主自身に問い直すとするならば、そのような状況を放置して良いような、獲物と自然環境にお住まいかということです。




結局まともにA1でピンを合わせられませんでしたが,撮影に際してSUNPAKのリングストロボautoDX12Rを使っています。各社のカメラでTTL調光を可能にするDXシューを使っていますが(何故か135カメラ用はニコン以外は全部あります),メーカーの方も,既にあまりやる気がないシステムのようで,最新のミノルタのTTL調光には対応しておらず(なぜかαSweetIIには使える),MINOLTA A1ではマニュアルストロボになってしまいます。マニュアルで最少光量で発光させてもとても絞りが追いつきません。NDを使うかストロボの前にデヒューズを置くかが常套なのでしょうけど,手元にあるものを足しても間に合いません。
 ここでプログレッシブタイプのCCDを持ち,全速ストロボシンクロが可能なA1だけに可能な技があります。シャッター速度は1/16,000secまで使えるので,本機のシャッター速度はストロボ発光中でも露光制御に寄与します。絞りはF11と回折も出るし,まぁかなりぎりぎりですが,この普通は何に使うのと云うようなレベルの高速シャッターを使って,今回何とか露出が間に合ったという事です。
 あぁ,バックの黒紙買ってこなきゃぁ。
Commented by benebello55 at 2005-02-12 22:17
こうしてみるとスゴイですね。大きさこそ違いますがまるでマンモスの牙のようです。数年前に天寿を全うした実家のネコが若かりし頃よくハトを捕まえてきては家の中でバリバリ食べて親に叱られてましたが、それも当たり前の事だったんですねぇ。でも一度生きたコウモリをくわえて帰ってきた時にはさすがに驚きました。コウモリって確か超音波で.....
Commented by complex_cat at 2005-02-12 22:38
コメント有り難うございます。飛翔しているコウモリは,猫にもおいそれと獲れないと思いますが,何らかの問題があって落ちたり,或いは,アブラコウモリ(=イエコウモリ)なら,一時的に木に留まる事がありますし,また,古い家屋の板壁の隙間などに昼間は潜り込んでいるのですが,それを猫が見つけて引っ張り出す事もあるかとおもいます。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-13 00:49
ちゃんと狩りをさせたやりたいと、時々思います。遊びがエスカレートしてわたしの手を噛みしめて感触を愉しんでいるのなんか見ると、かなり痛いにもかかわらず、本気でこころゆくまで噛むなんてこと、したことないのを不憫に思ってちょっと我慢してやりたくなります。でも痛いから我慢できないんですけどね。かーが来たばかりの頃は、「生餌」を本気で考えたこともありました。
Commented by complex_cat at 2005-02-13 08:43
  雄のニャンコの甘咬みは痛いですよね。雌猫しか飼った事がない友人が初めて雄猫と暮らして驚いていました。kyoko_fiddlerさん,生き餌とは凄い。日本には少ないナチュラリストの発想ですね。保護されたテンでもの凄く人にべたべたの子を野生に戻す事を検討して,一度マウスを与えてみたのですが,驚いた事に遊び相手と同じように甘咬みして,肉食獣としての慈悲のある瞬殺は全く出来ず,かなり練習が必要でした。個体差もあると思いますが,猫はいきなり生き餌を与えても素晴らしい技を見せる子がいます。
 無菌的に培養したマウスならSPF豚肉みたいなものですから,かー君に与えてみますか? 凄い事になると思いますよ〜。でも狩りの事など忘れても,とりあえず人間とやっていける天の邪鬼なところが猫の良さかも知れませんね。自分が何者であるかは,自分自身で決める。
Commented by dojou7 at 2005-02-13 22:59
TBありがとうございました。
ネコ・ヘコ・トコというのを聞いたことがあります。春子、夏子、秋子で獲物の得意種類が異なるという話です。本当なのかな?
Commented by complex_cat at 2005-02-14 07:25
春生まれはチョウを追うからチョコ,猫は,冬生まれで鼠を追うから猫,夏生まれは蛇を追うからヘコ,でしたっけ。トコは,初めて聞きましたが,トリのことでしたでしょうか。
 やはり,小さいときから,よく目にして,遊んだりしているものに,狩りをするときの探査像が固定されやすいという事だと思います。私たちでも,花を探しているとき,昆虫に気がつかなかったり,その逆もあります。チコは今までの戦跡から行くと,トコで,公陳丸は,オールマイティですね。
Commented by complex_cat at 2005-02-14 08:06
ちなみに公陳丸の犬歯の一本は,八重歯みたいに変な方向に出ています。これ何?って人に聞かれると,「チャームポイント」って説明してます。勿論,私が蹴ったせいではありませんで,生まれつきです。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-14 22:16
「生餌」を考えているんだけど、って猫先輩の友人に言ったことがあるんですよ。そしたら、「アンタ、ハムスターとか砂ネズミとか可愛がっている人だっているんだから、絶対ブログで書くんじゃないよ!」と厳命されました。ソレは確かにそうだなと思って黙っていたんですけど。ふくろうを飼っている人は冷凍のマウスを与えていますよね。それを知って、ちょっとマジでSPFマウスを考えたことがありました。いろんな本にベストの食事はネズミですって書いてあったものですから…。
雄猫と暮らしてみて、何故ペットを作りたがる人間が、大型の、ライオンぐらいの猫をつくらないのかが判りました。死者がでますねー。
Commented by complex_cat at 2005-02-14 23:05
軸足をどこに置くかで考え方や感じ方は変わりますね。鳥をペットで専門に飼われている方は,猫は悪魔や仇敵のように仰る方も少なくありません。新鮮なネズミは猫にとって,完全栄養食だと思います。実は栄養分は,新鮮な内臓に多く,イリオモテヤマネコの観察に廃鶏を使っていたときも,もも肉などは手つかずで(私の知る有名な研究者はそれを回収して食料に回し,経費を節約していました),内臓だけを食べて去っていきました。味の分かる肉食獣は内臓食いかと。哺乳類の刺身って,魚よりも美味しいというのが定説です。
 豪州の野生化した10kg台のノネコでも,捕獲時は,最早猛獣ですね。ライオンサイズは,もしも作れて,飼い主だけに慣れたら,ボディガードがつとまると思いますがこっちも怪我が絶えないでしょう。餌がねぇ。サイズ的にも戦闘能力的にも,人間ぐらいが楽で良いかもって,ちょっとブラックな話です。宇宙人が地球に来てライオンや虎が気に入ってペットとして連れて帰ったら,母星への帰途の宇宙船内での餌は,きっと裸のサルでしょう。いっぱい居るし。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-14 23:18
昔、テレビを見ていて、気付いたんですけど、わたしはアザラシみて、うわぁ、可愛いって思うけど、イヌイットの人たちは、うわぁ、美味しそうって思うんだろうなって。我々がタコ見て美味しそうって思っても、大多数のアメリカ人は「Yack!」ですもんね。
本当かどうかは判らないんで、もしご存知だったら教えていただきたいのですが、猫は、自分の肝臓の解毒作用の不足分をネズミの内臓(肝臓)を食べることによって補っているという説があるんですよね。そもそも「生餌」なんて考えたのは、その文章のせいなんですけど。
…もし、かーがライオンサイズになったら、最初の生餌はわたしだな…
と、さっきからかーがちょっと異常に暴れています。なんだろう。
Commented by complex_cat at 2005-02-14 23:47
水族館でイカが泳いでいるのを見ると,おお,器用だなぁとか,不思議な泳ぎ方するなぁとか,魚捕るの凄い上手だなぁとか思う事はなく,こいつのボディを刺身包丁で長く割いて,ワサビ醤油で・・・とか,今この場で,沖漬けとか塩からにしたら新鮮で上手いだろうなぁってことしか頭に浮かびません。ただ美味そうな食材が生きているとしか見えません。
 タマネギ入りのハンバーガーでもネズミと一緒に食べれば大丈夫とか・・・酵素の基本構造であるアミノ酸基は胃酸で消化されてしまうのではと思われます。組織外(消化管の中は組織の外です)で作用する酵素以外は,経口摂取してちゃんと働くかどうかちょっと疑問ですね。ホメオパシー療法的には正しい発想かも知れませんけど。
 かー君,プロレスがし足りないのでは。チコがコウチンに絡んでいるのを見ると,体力とエネルギーの有り余った雄猫の相手は,大変だと思います。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-15 00:02
そうですよねぇ…どう考えても餌にした肝臓を自分の肝臓の働きの助けにすることができるなんて、漢方の薬膳の発想でもあるまいに、と思っていたんですよ。
うちの母は、テレビでワニが映ると「ハンドバッグだぁ」と言います。最近はダチョウ見ても言ってますね。
かーのさっきの暴れ様はちょっとなんだか鬼気迫っていました。もう気が済んだらしく、おとなしくなってますけどね。
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by complex_cat | 2005-02-12 20:47 | Wonderful Life | Trackback(1) | Comments(12)

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