SONY α NEX-6 #13〜デッケルマウント
2013年 05月 05日
NEXシリーズは,カメラ誌のアダプター特集を見ても,地球上に存在するクラシックレンズの内,殆どもののをマウントアダプターを介して使用できる状況にある。
Skoparexは,カラー用コーティングもない,前玉を見ていてもガラス球みたいな小さなレンズだが,赤がなんとも言えない発色をする。これはフィルム時代には,むしろ,妙なカラーバランスの写真しか取れなかった茶色くレンズ焼けしたレンズでも,AWB一発で見事な発色が可能となったデジタル時代の福音でもあり,デジタルカメラが開発されていなかったら見ることが出来なかった画像だと思う。
SONYα NEX-6, Original Voigtlander Skoparex 1:3.4/35
SONYα NEX-6, Original Voigtlander Skoparex 1:3.4/35
SONYα NEX-6, Original Voigtlander Skoparex 1:3.4/35
SONYα NEX-6, Original Voigtlander Skoparex 1:3.4/35
SONYα NEX-6, Original Voigtlander Skoparex 1:3.4/35
ちなみにレンズ交換式RetinaレンズやProminant要レンズ,Lマウント旧CONTAXレンジファインダーカメラ用ロシア製デッドコピーレンズなど,この辺の廉価で手に入るクラシックレンズは,絞りバネの枚数はそれほど多くない。ただ,数千円でこれだけの画像が取れるのも,f値を欲張らないというか,一眼レフの像面でのフォーカシングに対応しやすいように,広角であればf2.8以上の明るいレンズとして設計されているレンズと違い,設計時の開放f値の設定が無理の無いところにあるわけだが,高感度撮影スペックが高い今時のデジカメにおいて,この部分もマイナスに働かないというありがたさがある。コンピュータによる設計と高次の加工技術により開放f値の明るさと,要求されるズーム倍率などに代表される複雑なレンズ構成及び超高度加工技術が今のレンズスペックを支えているのだが,そこを前提にしなければ,単焦点,非ズーム,暗いf値ということで,むしろハンディがない土俵で戦える存在とも言える。それをデジタルカメラ技術・文化の熟成により支えることができていると言えなくもない。
それこそ軍事転用技術として国家プロジェクト並みの予算をつぎ込まれたかつてのドイツ帝国のそれに代表されるレンズ群が,今の高性能レンズと競っても,周辺光量やデジたるゆえの周辺色カブリなどが発生するという瑕疵は,撮影実感としてはそれほど神経質にならなくても良い場合が多い。レンズの出自を思うと被写体により,遜色ない画像を吐き出せるのはその辺りのことを考えると,そんなにおかしなことではないのかもしれない。
オークションで数千円で手に入ったレンズの写りと発色が楽しむというのは,傾いたり,やせ我慢でなかったりするのは,作例にある通り。解像感ではなく,コントラストで絵を作るみたいなレンズなので,絵画的ではあり,等倍画像鑑賞や力いっぱい伸ばして悦に入るという方向とは違う楽しみになると思うけれど。
SONYα NEX-6, Original Voigtlander Skoparex 1:3.4/35
私はこのレンズが提示する「赤」が気に入っている。今時スマホでも各種フィルターが内蔵されており,画像の発色のさせ方など,いかようにもアプリケーションでシミュレートできるにもかかわらず,それじゃない感みたいなものは残るし,意外性と納得できることが並立するみたいなのは,クラシックレンズ使うと可能だったりする。単純に個人的,心理的な問題だけだと思うのだけれど。