
今年も,ネジバナが,豪雨の間隙をついて庭に出現,その独特の「螺旋」の花を見せる時期になった。

本種の花序の構造は,四方八方から,ポリネーター(花粉媒介者)となるコハナバチsp.などを呼び寄せるとともに, 例えば、ねじれが大きいほど,授粉機会が豊富な条件下では隣花受粉≒自家受粉の機会を減少させる。一方,ポリネーターの訪花が少なく受粉機会がより少ない場合は,ねじれ成分を減少させる方が,結果的に隣花受粉でも,とりあえずは受粉できることが先決ということになって,有利になる。もちろん前提として,適応度は他家受粉>隣花受粉(この用語,基本は
雌雄異花の場合の自家受粉。
雌雄異株ではない。)。 授粉機会の多寡が時間的空間的に変化する場合、個体群内に多様な花序構造が維持されることになる。

この辺りの話は,昨年のNew Phytologistに掲載された
論文(Iwata, T., O. Nagasaki, H. S. Ishii and A. Ushimaru 2012 Inflorescence architecture affects pollinator behaviour and mating success in Spiranthes sinensis. New Phytologist., Volume 193(1): 196–203.)で明らかにされた話。論文にあるバリエーションの画像がとても参考になるが,左螺旋,右螺旋,巻が緩いの,ストレート,と隣花との角度という形質の変異が存在する。
ネジバナは,豪雨にも強い印象があって,南九州の時間数十ミリの雨が頻発する時期でも,群落のあるところに行けば,タケノコのようにその独特の花序が乱立する。まさしく,「雨に負けぬ花」という感じ。花は小さく蜜量なども,どうなんだろうという感じだが,まさに豪雨の時期に咲く花である故,ポリネーターを惹きつけられるのかもしれない。

ちょっとぶれた。この方向で,次の豪雨のスパンに撮り直ししよう。
本当は,ここにSimon & Garfunkelの「雨に負けぬ花」の動画を貼ろうと思ったのだが,エキサイトブログは,youtubeの動画を貼れない仕様に,「セキュリティを強化」したらしいので,古いフォークソング,そう,彼らの作品としても初期のスリーフィンガーフィンガリングで歌うようなスタイルの小品のリンク先だけ,
ここに貼ってみました。
以下に動画を貼るテスト。