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黄金の蛹を探して

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整理中の蔵出し画像です。まだ,野外の自然個体について見つけたことはありません。オオゴマダラの蛹。蝶園の中なので,勿論,資材のひとつ。不心得者に持って行かれると困るので,全部糸で縛り付けてありました。本当に金色の蛹です。
 食草となるキョウチクトウ科のホウライカガミの分布どおり,奄美群島(喜界島)が北限になるのですが,こういったチョウは貴重だということで動物園などの「チョウの森」などで,繁殖させたりしています。

 
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一方これは,イヌマキ(ヒトツバ)という,今まで余り利用する動物がいなかった生け垣の植物を利用して北進しつつある,典型的な移入異種のキオビエダシャク。本体がこのようにメタリックのあるシャクガ(尺蛾)です。綺麗な蛾と仰る方が居られますので,ちょっと驚きですが,確かに鮮やかな色でメタリック光沢のあるものを綺麗と言えば全部そうかも知れません。南西諸島から奄美,屋久島を経て,今では南九州も数年前から侵入を受けて常在化してしまいました。
 大量にひらひら飛んでいるのに,あまり鳥に食べられている様子がありません。ひょっとしたらオオカバマダラみたいに,本体が鳥も食わないほど苦いのかも知れません。どうやって入ってきているのかについても言及したサイトはありませんでした。ともかく入ってしまっているので被害情報や注意を呼びかけたり,被害実験ばかり。私などはそちらの方がずっと気になるのですが。緊急性から応用科学の部分だけ追っかけていると,見事に対処療法的な視点しか出てこないので,やはりバランスが重要かと。しかしまぁ,誰にも責任をおっかぶせることもとりあえず無いとしたら,一見水戸黄門やゴクセンに出てくるような分かりやすい悪役に見えます。
 しかしながら,過去にも生息していたという情報などを見ると,実は,侵入害虫ではなく,上のオオゴマダラと同じ「移入種問題」とは無関係の生物か?という話になりそうです。
 おぉ,今まで見たこと無かった種が急激に入り込んで増えだしたという見た目だけで判断すると勘違いを犯す典型的な例かも知れません。もしも真実とすると,なかなかに面白いです。
結論ー移入種問題は人間活動も生物も複雑であるゆえに,複雑。



まぁ生活力も強くないし,どこで繁殖させて逃げ出しても問題はないので(直ぐに迷蝶,珍蝶として捕られてしまうし),移入種問題は引き起こさないと思います。こういったところの線引きが関係者に,明確ではないところが移入種問題の面倒くさいところだと思います。大目に見ろ,といわんばかりの話をされる方の気持ちも分からないではありません。

 経験的に人間の産業活動において,特に農林水産業などは利用価値のあるものを導入してそこで繁殖させるという作業が基本となっている作業に従事される方は,大学の先生だろうと普通のお百姓さんだろうと,この線引きの存在などを,気にする方があまりおられないような気がします。また,多くの場合,人間が手をかけてやらねば,逃げ出して繁茂して他の野生植物を圧迫する野菜などというものもあまり聞いたことがありません(まぁ日本産のクズなどはカナダに入ってもの凄いことになっているようですが)。 あるいは,アライグマなど,飼育施設が動物を逃がしてしまったことから波及している問題もあります。

当たり前にやっていることだから,逆に移入種問題は根が深い問題を含んでおります。

 ともあれ,何も余計なことを気にする必要も無さそうな,黄金の蛹でした。しかし,人が価値があると感じて,育種や栽培,培養といった能力を駆使して好きなところで増やすという一点において,移入種問題と根っこは繋がっているのでややこしいところかと思います。
 まぁ茄子が畑から逃げ出して,その辺の猫たちをとっ捕まえて頭からばりばり食べ出したら,なんぼ,焼きなすが美味しくても,栽培を考えるでしょうけどそんなことあるはずがない。しかし,移入種というのは野生動物にとっては,極論そういった存在に近い場合があります。そういったことは余り認識されないので,気にされない方が大部分です。気にしても,俺はこれで召し食っていると言われれば,大っぴらに批判は出来なくなります。
この論理が,意味をなさなくなるのは,やはり,移入種導入をある意味で法律上の「罪」として規定するしかないでしょう。強盗や山賊をやって家族を養っているというのと,ある意味同等,なって頂くしか,止めようがないのですね。そのあたりも,社会的によいのかどうか,論議の別れるところだと思います。

 ちなみに,昔,マックのハイパーカードを使ったゲームソフトに,「夏休みー黄金のカブトムシを探して」というのがあって,今回の題名のネタはそれです。結構お気に入りでした。あのソフト,どうしたのだろう。息子達にやらせてみたくなっているのですが。ちゃんと動かせるマシンがないな。

この件の続編はこちら

Tracked from COMPLEX CAT at 2006-09-25 21:13
タイトル : 少年達のチコ
今日も近所の少年達が,集まって遊んでおりました。家の下二人の息子も参加。殆どが小学校1年生以下の幼年組なので,かくれんぼや鬼ごっこもルールがはっきりせず,また,直ぐに飽きてしまって,ゲームにならなかったりしておりますが,なんだかんだで大声を上げながらおいかけっこをしていれば楽しいのであります。 Canon EOS Kiss Digital N, Carl Zeiss Distagon 1:2.8/25 T* 長兄は,このブログを見てくださっていたアイミさんの御陰で我が家でも動くようになった「夏休み...... more
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-21 21:23
ううう。サナギが光ってる(トリハダ立ててみてます すいません)。
Commented by complex_cat at 2005-02-21 21:28
鳥肌カード,一杯握っておりますが,これは違うんですけど(笑)。でも,分かります。昆虫駄目な方は,幅広く駄目でしょうねぇ。実は,これほんまもんの黄金で出来ていますと思っても駄目でしょうか。それなら,この蛹持って宝くじ買うと,御利益が・・・・
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-21 22:02
サナギって、中がどろどろだっていうじゃないですか。ううう。
…といいますか、自分でも本当に虫がダメなのかなんなのかわからないんですよ。うぎゃうぎゃいいながら、魅入られたように見てしまうので。幼少の頃は、昆虫博士と言われていました。図鑑みて、名前だけは他の子より知っていたので。でも、全然触れなかったので虫愛ずる姫君ではなかったです。
Commented by complex_cat at 2005-02-21 22:18
蛹の中で実際何が起きているのか,まだまだほとんど分かっていないそうです。幼虫の体を構成していた諸器官は一旦分解され、成虫の体を形作る部位「成虫原基」を中心に新しく形態形成が行われるそうですが,このとき中身はどろどろで,リジッドな構造ではないので,切片を作って顕微鏡で時間毎に比較できないようですし。でも,最初のウチは,幼虫の運動機能が停止しておらず,ぴくっと動いたり。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-21 22:29
モンシロチョウのサナギが、ひくひくくねっているのを観たことがあります。うえええええ。(だったら書くなっつの、すみません)
Commented by benebello55 at 2005-02-21 22:36
鳥肌カード公開おねがいします!蛹の中身はどろどろなんですか。蛹が動く様子は何度か見たことがあります。また蛹の初期段階でいじり過ぎて成虫になれなかった可哀想な蛹君も知ってます。かなり微妙で繊細な期間なんでしょうね。
Commented by complex_cat at 2005-02-21 22:49
生物系でも,虫が苦手な人って結構おられますよ。昆虫の足の付け根を見たら泣きそうになる人とか。私は昆虫少年でしたが,蛾は皮膚がかぶれるのがトラウマになっていて,昔から苦手です。しかも厳密に蝶と区別できて,それから恐怖が襲ってきます。オオミズアオとか綺麗と思ってもやはり蛾じゃんとか思ってしまいます。でも,「インディ・ジョーンズ〜魔宮の伝説」で洞窟棲でも吸血性でもない大量の昆虫がうじゃうじゃ居るのを見ても,何にも感じません。
 学生時代,隠れ仁王洞と呼ばれる廃仏毀釈酷かりし時代の隠れ仏教の洞窟を調査したことがあって,集会に使っていた直径5mほどの地下ドームの壁一面のオオゲジを見たときは,流石にゆっくり撮影してとかは考えずに直ぐにそこを出ました。「恐怖は無知から来るのです。」というフクロウのトートーの言葉通りにいかないことも多々ありますね。
Commented by complex_cat at 2005-02-21 22:57
benebello55さん,分かりました。まぁ無理にそういったモノを出す趣味はありませんが,書きたいアーティクルに関係したものはそのうちご覧になれるかと思います。ここがちょっと変わった猫ブログだと思われている方もおいでですので(居られないかな),だまし討ちになると良くないので,More機能を使ってクリックしなければ暴露しないようにすればいいのだと,最近思ったものですから。
でも,kyoko_fiddlerさんが,「うええぇ〜ん,クリックしなければ良かったよ〜」とか仰りそうですね(笑)。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-21 23:06
いえ、クリックしなきゃよかったとは思わないんですよ。クリックしてうぎゃぁとは言うんでしょうけど。
確かに、恐怖は無知から来ると思いますが、知っているからこその恐怖の方が恐怖度は高いですよね。
Commented by complex_cat at 2005-02-21 23:15
流石です。失礼しました。
「知っているからこその恐怖の方が恐怖度は高い。」仰るとおりです。「知らなきゃ良かった無駄知識」ってのもありますものね。
Commented by oratie at 2005-02-22 00:15
「黄金のカブトムシを探して」って面白そうですねぇ。タイトルが。
私はとくにマックが好きってわけじゃあないんですけど(ビッグマックは大好きです)、自宅にあるのはマックなんです。それも2台。パフォーマとimacDV(古っ)。最近パフォーマに入ってたT.breakっていうボードゲームにハマッております。やりだすとやめられません。

Commented by complex_cat at 2005-02-22 00:28
oratieさん,いつもながら,角までしらっと読んでいただいておりますなぁ。「黄金のカブトムシを探して」って,夏休みにセミ採りをしていて,もの凄いSFチックな冒険に巻き込まれるというアドベンチャーゲームでして,ハイパーカードが動くことが前提なのと,確かSystem6の頃のフォントに対応していたような気が・・・そうしないと謎を解くキーとなる台詞が読めなかったような。今,手元にあっても動かせる環境が作れるかどうか。面白かったですよ。思い出して,少年期に息子達にやらせたいとおもったのですが。T.breakって,分かりません。が,そういったゲームありますね。ゲーム機がどんどん進んで,実際もの凄いゲームが走っているわけですけど,案外楽しいと思うもののは,テクノロジーの頂点ではないところにも存在しているという感じで。
Commented by benebello55 at 2005-02-22 16:39
ハイパーカード、T.break、どちらも懐かしいですね。私もくだらないゲームをよく買いました。ロスの街をキャデラックかなにかで爆走するとか、水道管を繋ぐだとか、部屋の中で紙飛行機を飛ばすとか....ハイパーカードで英語を学ぶためのロールプレイングゲームなんていうのもありました。話は飛びますが実は私も昆虫少年でした。
Commented by yusuke at 2005-02-22 18:43 x
トラックバックありがとうございます。珍しくちょっくらお出かけしておりました。
きれいなサナギですね、持って帰りたくなるのも分からなくはないような、、ドロボーですけど。サナギの中身がドロドロなのは、初めて知りました。私は蝶に関しては昆虫少年ではなかったので触った記憶はそれほどないですけど、懐かしいですね。私の少年時代は王道のカブトムシや蝶に興味が何故か行かず、毛虫(刺さないヤツ)触ったり、アリを筆箱で飼ったり、そのアリを食べたり(確か、酸っぱかった)、ナメクジ解剖したり…笑、裏街道?を突っ走っておりました。しかし、もはや毛虫も触れません。あの時はなんで平気だったんだろうか。。
Commented by みかん at 2005-02-22 22:55 x
あぁ、きれいですよね。持って帰る事はできませんが(触れません)見るには美しいと思います。
私も芋虫系が、どうしてもダメなのですが、さなぎは大丈夫です。ヘビ、カエル、昆虫、なんでも大丈夫ですが(見るだけね、触れない)芋虫毛虫だけは、ダメ。先日、愛猫のパンが、芋虫(貰ったキャベツに付いてた)を、散々いたぶった後にパクっと食べてしまったのには、びっくりしましたが。
それはさておき、このように写真を見せて貰わなければ、蛹とか蝶とかにも近寄る事もないでしょう。だから、模様をまじまじと見る良いチャンスかと。(多分、本物には近寄れないと思うのです。なんだ、結局はこわいのか、といわれそうですが。)
世の中には、いろんな生き物がいるんだな、と見るのはとっても楽しい。
Commented by complex_cat at 2005-02-22 23:05
yusukeさん,みかんさん,ありがとう。まだまだ,秘蔵?の画像は沢山ありますので,楽しみにしていて下さいね。
Commented by アイミ at 2006-09-20 01:09 x
はじめまして。夏休み黄金のカブトムシで検索してきました。
写真とても綺麗ですね!金色のさなぎ、話は聞いたことあったけれどほんとに見事な金色なのですね。
ハイパーカードのそのゲーム私も持っています。
ハイパーカード1.2〜2.0があれば新しいMacでも出来ますが、
それ以降のバージョンだとバグるんですよね…
HPにファンページを作ってあります。
Commented by complex_cat at 2006-09-20 08:18
アイミさん,ありがとう!,ありがとう!,もう一つおまけにありがとう!
HP最高です。よくぞ遊びに来てくださいました。
あの亀ダンス,覚えておりますよ。
Commented at 2006-09-22 18:36 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2006-09-23 06:04 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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by complex_cat | 2005-02-21 16:02 | Invasive, Not-native | Trackback(1) | Comments(20)

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