マルツノゼミ
2013年 08月 22日
流石に,全長4~5mmの大きさなので,こういうのはデジタルマイクロスコープ的にマクロに強いコンデジで撮影するのが楽だけれど,私はそっちの性能に強い機種を持たない。
TTL調光対応の純正ストロボではないので,マニュアル露光モードにして撮影画の露光を見ながら,ストロボの光量とISOで調節する。もちろん絞りはなるべくしぼり込む。AEモードだと,画質を落とさないようにISOを下げると勝手に低速シャッターになって,面倒。
SONY α NEX-6, Carl Zeiss Macro Planar 2.8/60 T*
ツノゼミは,本当にとんでもないのが居て造形の不思議がウケて,写真集まででているが,まあ,蝉じゃなくてウンカに毛じゃなかった,ツノが生えたような虫だ。
で,マルツノゼミは,そういった意味でアートなぶっ飛んだホーンはついていないので,本当に地味。下手するとアワフキと間違えそう。
半翅目(あえてカメムシ目ではなく旧称で書く)はセミからカメムシ,ヨコバイにウンカ,水生カメムシ類のタガメやタイコウチ,捕食性や吸血性のサシガメやトコジラミ(『ナンキンムシ』)までかなり多用な種群を含むけれど,針のような口吻を持つのは共通している。植物か獲物である動物であるかの違いはあるけど,ともかくそれをぶっ刺して,チュウチュウというのが基本的な採餌スタイルだ。なので「針吻チュウチュウ目」でいいんじゃないかと思う(いいのか)。
旧称で上手くフォローされていたラテン語名に込められた情報が欠損する,ネコ目だのチョウ・ガ目だのの今どきの目名は,そもそもあまり使いたくないのだが,「カメムシ目」って目名を笑うくらい多様性は高い。で,「半翅目」から「カメムシ目」と平易な言葉に直された分類学上の目名だが,その下の亜目レベルだと,'腹吻亜目 Sternorrhyncha'だの'頸吻亜目 Auchenorrhyncha'だの'鞘吻亜目 Coleorrhyncha'だのといったいわゆるオリジナルラテン語名の情報を損なわないようにした「半翅目」的な目名が生きている。他に言い様がないかも。まあ半翅的な異翅類は翅の基部が革質で厚い前翅を持つのは実際はカメムシぐらいなのだけれど,Hemipteraの訳語としての目名としては実際に正しかったりする。ということで,やっぱり「針吻チュウチュウ目」でいいじゃないかと思う。
アリマキも針吻チュウチュウ目の仲間で,排泄する蜜で有りと共生関係に或るのは有名だが,ツノゼミも同じ手を使っているらしい。ホンジュラスで発見された「甘い蜜」の契約者にアリだけではなく,スズメバチ科の用心棒をもつ種が見つかっているもよう。
最近,日本でも患者が見つかって少し話題になった中南米ではマラリアに次いで危険な熱帯病シャーガス病の媒介昆虫もサシガメだ。もっとも病害生物であるトリパノソーマは,サシガメの唾液腺ではなく消化器官に巣食っている感じ。
もっとも唾液腺機能も高いので,吸血時の酵素注入や血液からの水分のみの逆送を利用した病害生物も居てもおかしくない感じでは或る。毛細血管壁や組織破壊を促進して吸血の効率を上げたり,かれらにとっては死を意味する血液の凝固によるリスクを最小化するのが,唾液腺分泌物の働きかと思う。
SONY α NEX-6, Carl Zeiss Macro Planar 2.8/100 T*
SONY α NEX-6, Carl Zeiss Macro Planar 2.8/100 T*
鳴かないんですよね?