兄弟猫

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AshとJitan。もう,二度とこんな素敵な兄弟猫と暮らすことはないでしょう。ちょっと仕事に行き詰まっていて,気持ちも後ろ向き。画像も身動きが取れないので,過去のストックばかりです。

 兄弟猫は,お薦めします。一匹だけで飼うよりも,自分たちで勝手に遊ぶので人間の方も楽です。♂二匹だとテロも酷くなりますけど。

  猫にケアーされた猫は,人に懐きにくくなる傾向が確かにありますけど,その子の個性もあります。時々,一緒に混ざって遊んでいれば,人間に興味を持たない猫になることもないでしょう。

兄弟猫_b0060239_1156395.jpgあぁ,忘れてました。ちゃんと我が家には,素敵な兄弟(人猫)が居ました。後ろ向きはやっぱり良くない。二人(匹)の重みが肩にずっしり。どちらも重くなった。



 肉食獣ではヘルパーという存在が知られております。これは,兄弟間で育児の世話をするそういった存在で,基本的に血縁のある雌が自分の姉妹の仔達の育児をサポートするというものです。ヘルパーが進化するために必要なヘルパー側の適応度について考えると,自分自身と共通のDNAを持った仔の生存率を高めることで,間接的に子供を作るのとDNAの複製という意味では同じ成果が得られると云うこと(近代生態学理論では「血縁淘汰」と呼ばれます)と,実際に自分が子供を育てる以前に,様々な経験を積んだりして一種のシミュレーションを行うことが出来るので,育児のスキルが上がるという利益が考えられています。
 また,猫族では,ライオンで知られるように,雄ライオンは兄弟で放浪の旅に出た先で別の群のボスライオンを殺し,そしてその時生まれている仔ライオンを全て殺すことで,その群の乗っ取りを行います。この場合も血縁とその兄弟どうしの共同作業は乗っ取りにおいて非常に重要になります。これらは,戦国大名か暴君による虐殺みたいな擬人化するともの凄い残虐な行動で,しばしば一般の人に余計な先入観を与えずに説明するのはかなり大変です。
 一種の社会ダーウィニズム的勘違いに満ちたあのドラマ,「不機嫌なジーン」の短絡的な行動生態学における解釈のデタラメさから云うと,そんなら人間だって子殺しも本来的には可になってしまいます。
 リビアヤマネコは,ソリタリー(単独性)で基本的に群など作らないはずなので,猫の兄弟の行動を追うことがそのまま祖先系の行動的な資質を明らかに出来るとは思えないのですが,一方で兄弟の絆の様なものを感じられる猫に内在するものの懐の広さー行動のオプションの広さには私自身非常な魅力をを感じます。ライオンの行動のモデルは,彼らが進化的に派生した中で生まれたものなのか,もっと共通祖先的なレベルで遙か以前から内在していたのか。
 例えば,猫の子殺しは,統計的に検証できるような科学的なデータをとった方が居られないので,分かりませんが,♂猫が家に侵入して,育児中の仔をあっさり殺していく例を,一度だけ観察しております。この場合も必要なデータは,それぞれのDNAによる血縁の有無や,それによって生じる殺した側の♂猫の適応度(繁殖成功度)などのデータを何例もとらない限り,その行動的意味の検証は不可能です。だから,実際,お話で終わっていくわけです。
 一方で,メーティング・システム(配偶者選択)について見れば,同じ種で,その空間密度や性比などによって,一夫一妻から一夫多妻制,あるいは乱婚,果てはレックシステムにいたるまで全てのバリエーションを示すそういった動物も哺乳類では存在します。これは,高度に発達した大脳の機能により,行動自体が,ジュークボックスのように固定されておらず,社会システム自体が非常にフレキシビリティ(柔軟性)を持っている哺乳類ならではのことだと思います。他の分類郡,特に昆虫を中心に研究している人たちは,哺乳類を材料にするとしばしば面白い勘違いをするので,横目で笑ってみております。年齢が行くと,意地悪になると云うのを自分でも感じます。
  何にせよ,この分野は,ドラマ「不機嫌なジーン」のマスコミでの取り上げられ方や一線級の生態学者が10年以上前に論壇を張って当時マスコミの寵児であったある動物行動学教室出身のライターの疑似科学理論構築の問題を指摘してそういったお金儲けを嗜めたにも関わらず,再びほとぼりが冷めてゾンビのように復活している状況を見ても,非常な誤解がそのまま受け入れられてしまうという状況が生じやすい分野です。簡単なアーティクルでご説明するのは無理がありますが,少しずつ「余計な」話を書き足していこうかと思います。
  多くの方が科学的真実には余り興味を示されません。ややこしい話だけれど,最後はどっちだって良いのじゃないかと云う話になります。或いは,それは,こういった人の考え方であってと,分野に全く理解していない方が勝手に,疑似科学理論とまともな話と相対化されてしまいます。これは,実際,法律や医学など,お金や自分の命に直結していない分野の専門家の意見がこの国では非常に低い扱いを受けているのと,根っこは同じであると思います。まぁ直結していても,言うことを訊かないぞと仰る方も人も居ますけどね。でも,最後は聞くしかないでしょ?

 自分がそれによって特に損しなければ,どう云った話が流布しようが関係ないと云うことであると思います。正しいか正しくないかではなくてそれによってお金が儲けられるかどうかが重要。基礎的な自然科学がこの国では不遇なのも,その先にお金をイメージできないからと云うことかと理解しております。みんながとは申しませんが,自然科学の価値を理解したこともその入り口に立ったこともないように見える政治家とお役人達の手によって。科学立国を考えるとちょっと問題が多いような気が・・・・これから,大学の業績というのは,東大,京大を例外として,短期間に産業に貢献して金を生み出す,その一点に集約されていくでしょう。とても分かりやすい。楽しい国になりそうです。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-02-26 18:08
かー兄弟も、ヘルパーの「お姉ちゃん」が一緒に面倒をみていましたね。だから、かーたち4匹を保護したときに、かーのお母さん猫とお姉ちゃん猫にきちんとそれぞれ猫缶を持ってご挨拶に行きました。
「キミタチの子猫はちゃんと大切にするから安心してください」って。
Commented by complex_cat at 2005-02-26 18:36
凄い,もう読んでくださったんだ。私は観察したことがないものですから,明記しませんでしたが,猫もヘルパーあるようですね。おそらく資源分布(餌場等)の状況によりヘルパーを生み出せられる資質を持っているのですね。でも,お母さんとの契約はいい話ですね。
 ヘルパーが血縁かどうかについては,一定の確率で血縁であるとしか言えなさそう。彼らもDNAチェックが出来るわけではありませんから,普通の動物なら行動により余計な投資を回避しているのですが,そんなら猫は・・・。この辺については今ちょっとアイディアが浮かんだのでそのうち整理がてら書きます。
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by complex_cat | 2005-02-26 11:15 | Cat Family | Trackback | Comments(2)

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