神秘体験

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 かなり昔の話だが、まだ大学院生だった頃、友人から「そっちに居る霊能者におふくろがハマっている。色々心配なのだが、どんな相手かなにかわからないか?」と言われたので、当時、好奇心だけで生きていた私は、何のリスクも感じず速攻でそこを訪ねてみた。まあ、単純すぎたのだなと今は思う。通っていた道場も、微妙な領域の人の出入りには事欠かなかったし、霊山にあった大学の研究所の常駐の先生は、退官直前、新興宗教に嵌っていて、私が行くと週末はいつも里に下りてそこで駐車場整理しているみたいな状況で、自分を破滅させる可能性のある領域とは、あまり思っていなかったのかもしれない。ある意味でオウム以前の話。
 電話をしてドアをくぐった瞬間その霊能おばさまは警戒心を露わにしていた。あとで話を聞くと、それは意外な理由であった。入ってきた瞬間「同業者」だと思ったらしい。私が何かを発散させていたのか、特に年齢不詳で怪しい雰囲気があったからか、本人にはよくわからない。





 で、文句を言われることには「あんた、なにかやってるでしょう。」だった。「普通はその人が私の前に立つとその人の情報が私の中に流れ込んでくる。だけどあんたからは何も見えない。空っぽだ。」「今は、キリストさんもお釈迦さんも何もわからなくなっている時代に入り込んでいるからしょうがない。」詩的表現じゃないのだろうと思ったが、要するにシールドされて霊能者から正体が見えない存在だという。
 それ故、同業者ゆえの霊的シールド(?)を張っているのかと思って彼女が反応したということであった。もしかして「オレSUGEEEEE!」状態とかんがえるべきなのか? 
 もうひとつ、今の時代は、神様が機能停止している神無しフェイズにあると言いたいのかなと言葉の意味を漫然と考えた。「ええと、中国武術を少々やっとります。全然、遊びのレベルですけど。」「ああ、それだそれ。全く余計なことをしてるものだ。」また叱られた。彼女によると、別に武術系でなくてもスポーツは魂を見えなくしてしまうのでろくなものじゃないということらしい。皆、何もせずにゴロゴロしていると、魂がシールドされなくて良い状況が保てるそうです。凄い真理だった。
 
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『RiN』 ハロルド作石 著(別冊少年マガジン2015年3月号, pp.316-317)
 彼女が言いたかったことは、多分、このコミックでも描かれている「こういうこと」なのだろうなと思うが、当時は意味がよくわからなかった。ちなみに、私には霊能力どころか、人魂、枕元、予知夢、UFOその他の神秘体験等、ほとんどと言ってよいほど経験がない。極めてオカルト的神秘体験皆無の凡人である。
 金縛りはあるが、大脳系が覚醒しても、運動野が上手く目覚めてない状態みたいなのだなと思って、随意運動と不随意運動の両方の領域である、まばたきや呼吸に意識を向けると、その状態から抜け出せれるのを試したりして、実際、多少時間が掛かるが、パニックに陥る前に、なんとかなるのを何度も実感して、そういう状態なのだなと思っておしまい。当然、上から老女が乗っかかってきたり、ということはない。どっちにしても、寝ている私の上は、猫がディフェンスしている。

 「わかった、同業じゃないのなら、方法がある。」といったと思うと、彼女は深呼吸して「ふっふっふっふー」とラマーズ法のような不思議なリズムを刻みながら息を吐きだした。ちなみになんとなく、近代太極拳最強の達人、陳発科老師の姪御さん(『拳児』でもすごく意地悪なおばあちゃんとして登場。原作者の松田サン、陳家溝でなんかあったのかなと思ったくらい。)に似ていたような気がした。
 その不思議な呼吸を繰り返すこと数分。「よし、ようやく見えてきた。なんにも見えない空っぽの阿呆だったのから、ずいぶんマシにしてあげた。」喜んでいいいのか、よく分からなかったけれど、同業者候補ではなく、多少は普通の人間に近づいたらしい。もちろんここに入る前と同じ自分で、魂に何らかの状態変化が生じていると言われても、何の自覚症状もない。あたりまえか。
 その後、色々雑談して(大部分は彼女の今の「本当の仕事」の説明)、ついでに私の運命を教えてくれるというので訊いてみたら「あんた、最強の男になりたがっている。だからそうなる。益体もないが、本人がそうなりたいと思っているのだからしょうがない。まったくもう。」とまた叱られた。ええとバキか? バキのことか? よくわかりらなかった。地球征服しちゃったりする気はないし、何の話だろうか?と当時思ったが、これも未だにわからない。とりあえず、まだ、天下一武道会に出たり、ショッカーとかは作ってない。少年期、国際救助隊サンダーバードみたいなのは作りたいという野望は持っていたけど。

 「あんたの周りは霊は何も寄ってこない。」「魂がうるさいから」とも言われた。歩く魔除けか? 好きな話なら、許されれば、一晩中話したりしているから、なんとなく分からんでもないが。これも喜んでいいのだと、自分的には解釈した。そうか、神秘体験皆無なのには理由があったのか。

 「霊が寄ってこない」 魂が煩いから。

 彼女の本当の仕事の話だが、各地に封じ込められている神を開放するために、オーストラリアに行ったり東北に行ったりしているらしい。この発言と行動は、以前NHK「驚異の人体シリーズ〜脳」で、統合失調症と同じ脳波の状態(おそらく変性意識状態をいう解釈っぽかった)で普通に話をしているという沖縄のユタが、統合失調症状態にあった時に神様が封じ込められていてそれを開放していないことをずっと謝り続けるような意識状態になっていたと独白するシーンが有ったが、それと全く同じだった。同じ頃、武術系の師匠が、「いやー妙なおばさんに出逢ってな」な、と話してくれた霊感商売の女性も全く同じ行動原理で動いていて(あるいは動いているという話をする)、神秘主義者において非常に興味深い何らかの共通タイプみたいなのだが、なぜそういう発想と行動原理になるのか、私にはこの件について分析する知識と能力はないのでこれはこれでおしまい。

 ちなみに件の霊能おばさまに入れ込んだ友人の母上は、程なくして離れられたのだが、後日「あの方は『アウト・オン・ア・リム』を書いたシャーリー・マクレーン(ヒッチコックの映画にも出ていた米女優)のような経験をしてあのようになられた。」とおっしゃっていて、「ただの平凡な女性が、とある神秘体験をしてその結果『覚醒』する」エポック的なものがあの著作にはあった。要するにシャーリー・マクレーンの手記は、あの世代で、オカルト的な人生を歩んでいる人にとっては、一つの「成功モデル」として流布されていたのかもしれないなと思ったりした。

 友人には「まあトンデモなく強引でも悪質でもなかったし(実際には、友人は家族に降りかかった不幸についてかなり色々霊障的なことを言われて相当怒っていたが、私は当時、そのことを知らなかった)、見た目金にも執着してない人みたいだ。母上、離れた方がいいと思うけど、差し迫ってやばいかといえば微妙かも」と伝えたら、友人は了解していた。その時、その友人の祖父が祈祷師で、結構狐突き落としなどもやっておられたらしく、そっちは民俗学的なお話の材料なのだが、件の霊能おばさまは、実はその祖父上のかつての弟子だったという話を初めて知った。その後、霊能おばさまは、まだご健在なのか、その弟子の方が育ってどこかで活動しているのかわからない。他の霊能師の方々も、一瞬私を見て、霊能シールドを張った同業者だと思うのだろうか。それならそれで、なんらかの再現性があってなかなか興味深いなと思うのだけれど。
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 ということで、私自身、今日まで生きてきて神秘体験は皆無ですが、ちゃんと「理由」があるらしい。私にとっては、西表島の山中で真夜中にイリオモテヤマネコに出会った、チコが我が家に辿り着いた、亡くなったコウチンを送るような鳴き声を、その墓に向かってあげていた、そういう瞬間が神秘だということで、霊は寄ってこないが猫は寄ってくる体質のようで。非常にありがたい。当時の予言には猫のねの字も含まれていなかった。あれば、結構評価高かったのだが。

 以前、義母の知り合いのユタからの伝言を受けたことがあって、「事故に気をつけて」と言われた年にジタンを失ったのは辛かった。私の身代わりだったとは思っていないけれど、以来、そういう話は伺ったりしないようにして、おみくじぐらいにして済ませている。

 正月もとっくに過ぎたが、今年は確か中吉だったような。大吉じゃないなと思ったが、それでも、今、チコが元気を取り戻して、最も難易度が高かった野外実験も無事終了して、とりあえず、まあまあの運勢なような気がしてきた。

 とりあえず予言ぽいものを考えれば、我が家族は猫とともに暮らすだろう。ちょっと先の大学受験の選択肢で、もしもこの家を出ることになったら、自分にべったりのユッチはどうしたらいいだろうと、長男が悩んだりしているから、きっと間違いはない。

Commented by jinsei_rarara at 2015-02-25 22:52
長文ありありのC-cさんのブログは
期待を裏切らず本日も読みごたえありました。
ども♪
Commented by complex_cat at 2015-02-26 01:23
jinsei_rararaさん、
読んでくださってありがとう。
まあ、ある意味たわいもない事件なのですが、私もなんとなく書き残しておかないとと思って書いております。そうすると、なんだか長くなってしまいます。
ありがとう。
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by complex_cat | 2015-02-22 22:21 | Cat Kick Dragon Fist | Trackback | Comments(2)

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