チャリの師匠の愛車の真似をしてみた。26インチMTBに700Cのタイヤを嵌めて走るというやつ。不整地や林道を走るにはダブルサスは心強いし、そもそもフロントだけでもリジッドフォークなら坂を下るにも振動で手も尻も大変なことになるのだが、ダブルサスMTBを平地移動の足として使う場合、頑張って走ると、それなりのハンディを感じる。
Vブレーキなどのリムブレーキではないディスクブレーキだとこういうのは簡単にできる。ちなみにどちらもカセットスプロケットは8速で、ローは32、トップは11Tに交換してある。でこういうトランスフォームは、ヘタすると「シルエイティ」や「ワンビア」のような自動車のスワッピング遊びのようなものに見えるが、これはLOUIS GARNEAUが市販モデルとして10年前に出したコンセプト。その結果、キメラ的なキワモノではなく、一つの自転車の使い方における回答ということになった。今どきは、ただの変態かもしれない。
一応、不整地への余裕を持たせるため「ロード並みの細いタイヤ」ではない32Cだが、車重を考えるとホイールの拡大だけで、十分な気がする。林道までの移動も想定しそこでまさか背中にしょっている26インチラジアルに交換なんてのは無理なので、自分の使い方だと、ともかくフルサスフレームに700C、タイヤはもうちょっと「悪路寄り」あたりに落ち着くのではないだろうか。
チコは、本日は朝早く定期健診を済ませて、戻ってから好き勝手パトロールしている時間。一応、私が何しているかチェックに戻ってくる。ああ、また義父はチャリウイルスの治療中ねと横目で通りすぎている。
参考にしたLOUIS GARNEAU LGS-DWは、「700Cと26インチのホイールを自由に履き替えられ、ロードバイク用の700Cを履いた場合は、ターマックでフラットバーロード並みの軽快な走りを実現し、一方26インチを履いた場合は、ちょっとしたグラベルやダウンヒルなどにも適応できるフルサスバイク」というコンセプト。
MTBは、最初あこがれで購入しても、タイヤの転がり抵抗や車重の重さ(MTBルック車とは違ってエンドモデルでも14kg程度かそれより以下だが)、タイヤサイズによる巡航速度の低さ(ロードよりも遅いクロスバイクよりも更にスピードが上がらない)から、よほどMTB特有の乗り方が楽しいか、そういうこと考えずにただ単にチャリンコ乗っていればたのしいという少年、もしくはそれに近い脳構造を持った人間でない限り、移動手段としての効率を自転車に見てしまう人は、やがて持て余すようになる。
フロントは26インチサスペンションフォークにおいて十分余裕のある感じ。リアホイールは、あまり余裕が無いが、さすが駆動してもフレームとのクリアランスは変わらないから問題なし。シャコタンでフェンダー内によく入ったなみたいなクルマのヤンキー文化を想起させるほどではない。
そこで奥さん、ディスクブレーキ化&700Cホイールっすよ、と。26インチはロードやクロスバイクの700Cに比べれば、径が小さいことの不利から、29インチ(29er通称ナイナー、700Cとホイール外径は同じ)のモデルも目立つようになったが、流石にタイヤの厚みを考えると、26インチ用フレームには、700Cにおいては32Cあたりが限界なようだ。
それでも、数センチもクリアランスがない状態で、特にフレームに触れるようなことは構造的にありえない。ピチっと定位置にハマったタイヤと節度あるギヤチェンジ、ディスクブレーキがほとんど調整なしで違和感がない状態は、なかなか精密な感じもして悪くないのだ。
で、かたや26インチのグラベル用タイヤに換装した700C標準のクロスバイクの方は、これはこれで全く違和感がない。私のは故あってシートチューブが最短のモデルなので、余計にそう見える。サスペンションフォークは700C用だが、もともとクロスバイクは、フレームに余裕があるので、こっちは厚みのあるMTB用タイヤでも更に問題がない。29erについては確認が必要か。ディスクブレーキへの改造は、輪行時、前後ホイールの脱着からの再装着時、Vブレーキのような調整の煩わしさがないので、寧ろ手元のチャリはフルラインディスクブレーキ化だぁと思っているのだが、それ故、こういうスワッピングがいきなり可能だったりする。できれば、舗装路を外れて林道に入る頃に、「タイヤコーカーン」とかの電子ボイスとともに、MTB用タイヤが勝手に空を飛んできて、チェンジできれば言うこと無いけど。
これ(ノーマルの26インチ)が。これ(700C)になった。パっと見せられても、チャリンコによほど興味のある人以外は、違和感すら感じないだろう。MTB乗りの末っ子と昼ご飯の買い出しに行ったらロードバイクショップの前に居た青年が、まるで全裸の変態おじさんを見るような顔つきで見ていたが。 それで、ロードやクロスバイクのフレームよりもMTBでコンパクトで比較的軽量でよく出来たハードテイルフレーム、場合によってはサスペンションフォークではなく、リジッドフォークに700Cというのも、自分的には有りだなと思っていて、中古のMTBフレームに平凡に26インチタイヤをはめるより、なにかお得感を感じた次第。
天気の良い日には、末っ子が散歩させているミナミイシガメのペコ。実は一枚目にも写っている。ポタリングの達人なように見えて、ちょっと目を離すと屋内と違って、結構な移動距離を稼いでいて慌てる。継続は力で、イソップの観察は鋭かった。
完成されたフォーミュラのような数十万円のロードを乗り回す、手堅く健全で、安寧に統治される世界とは、全く明後日な方向の変態チャリ生活はまだまだ続くのであった。