家の前は行き止まりの私道になっていて、ご近所との井戸端会議に都合が良い。
3人で話しているところに私が、グラベルクロスにするつもりの寄せ集めバイクの試走から戻って参加。
話題の中心はチコがフィールドに使っている畑の持ち主のNさんちのご主人。
「c_Cさん、あっちのツールドなんとか出た?」
「知り合いの若いものは毎年出たりしてるけど、自分はまだ。」
「Nさん、何度か出てるってよ?」
「え?!それは凄い。」
「いやなー、初めはなんにも分からんかったもんだから、最初MTBで参加してひどい目にあった。」
「そりゃぁ、重かったでしょう、あのコースなら。」
「今はロードで参加ですか。」
「うん。完走だ。」
「Nさんところ、今、猫何匹?」「2匹」
「一匹すごく元気なのが居るよね。樹の上まで登って行ったりするの」
「夜、くっついて眠る猫というのは初めてだ。」
「今年の米は最悪に不味かった。」
「早期米の分でしょ?」
「そう、日照量少なかったし、普通でもあまり肥料やらないから。」
「そういえば、紅い卵の貝、最近あまりみないね。」
「スクミリンゴガイ、ジャンボタニシね。」
「あれなんで居るの。」
「どこか勘違いした人が、エスカルゴの代わりになると移入した。水田雑草食うからって、放した人も居た。誰も食わないし、最悪。」
「それ、最近もやった人がいるよ。」
「あらま。どこも退治で苦労したし、外来種問題で顰蹙買うよ。」
「出水なんかも酷かったけど、ツルでほとんど消せた。」
「どうやるの?」
「稲刈りの後、水を落とすときに一角だけ一時水を残して最後に落とす。そうするとそこにジャンボタニシが集まるから、ツルが効率よく採餌できて、二、三回やるとほとんど水田からいなくなる。」
「冬越せるの?」
「確か、でかいやつほど、冬の死亡率は高かったと思う。」
なんてとりとめのない話を楽しんで話していると、チコが登場。全員にスリスリっとして、ちょっと離れたところで座ってこっちの話を聞いている。
「Nさん、あたしチコを間違って閉じ込めたことがあるのよ。こんなに僅かな隙間が開いていてそこからこの子が入ったって知らなかったから、閉めちゃったの」
「いや、ご迷惑をお掛けしました。戻る時間に戻らなかったのですぐに探しに行って、発信機ですぐに見つかったから問題なかったです。」
「チコ、もう幾つ?」「13歳。もう人間で言えば僕の年齢は遥かに超えてます。」
「そろそろ夕飯の準備じゃないか。」
「あ、そうだね。またね。チコ。あたし、ねこ苦手。」「お前、チコだけは大丈夫だな。」「この子と、えっと誰だっけ。もう亡くなったの。コウチンだけは慣れたわ。」
夕闇が周りを包んで来たが、チコは、優しい人たちが去ったその空間に留まり、まだ井戸端を続けたいようだった。しょうがないので、しばらくわたしも残って一人と一匹でボーっとした。
いつものことだが、戻ってからワイフと「チコって、近所の井戸端会議好きだよね。たいてい参加してくる。」という話になった。
チコの場合、猫は大嫌いなので、猫の集会には出ないと思う。どっちにしてもこの周辺では空間的な資源重複が起こりにくいので多分、「猫の集会」的なものは発生しないだろうと以前書いた。でも彼はご近所の人はみんな大好きなので、井戸端会議への出席率は高い。本当に高い。
最後の一枚はPhoto by @yu-kubo先生
TOPSY