フランス料理☓ バイキング◯

　チコには、一皿ずつサーブすると駄目だしを食らう。一番、自分の食べたいものが出てくるまで待っている。

　カリカリ、鰹のたたきに火を入れなおしたもの、あじの焼き物。これだけ並べると、どれもちょっとだけ食べて、しばし食事が止まる。どうやら今日は、鶏肉が所望だったようで、それを出すと、全てをほぼ完食した。

食いたいと思ってるものが出てくるまで、この顔で待ってる。

　カリカリが嫌というわけではない。食べたいものが出てくると、カリカリも食べ始める。バイキングやくるくる寿司に連れていくわけには行かないので、家のバリエーションで満足してもらうしか無い。
　豚と鶏の水炊きも食べたがる。日によってどちらを好んで食べるのかが違うし、火の入れ方は、海原雄山並にうるさい。ずっとコンロをつけっぱなしで追い焚きしてしまうなど、肉の旨味を殺す許し難い行為になるらしい。まあ、結果、ぷいと食べないというだけで「この水炊きを作ったのは誰だぁっ」って怒鳴られたりはしないけど、結構、プイをされると堪える。　　若い頃から旨い物好きだったが、それでも、ストライクゾーンは広かった。彼も高齢猫の戸口に立っているが、消化機能が落ちているからか、刺し身を全く受け付けなくなった。焼身にするにしても、刺し身品質の魚は不可欠だが。　実際、ちゃんと目利きした食材を適正に料理したものが、ほんの少しあればいいので、高級缶詰よりは手間以外はあまりかからない。若いころは、絶対食事量も多く、そこそこのものを出していたら食べてくれたが、歳をとって運動量も落ちて、こんな感じになった。　二度の手術を受けた彼は、体重を落とさせるわけには行かないので、ともかく、カリカリにしてもパウチものにしても、食べてもらえるものを探す。そうしないと無駄になってかえって不経済。
大抵、皿を３つ並べることになる。最初に鯵の焼き物を食べて、カリカリとパウチを食べて出かけていった。