屋久島、春田浜。iPhoneの小サイズCCDの被写界深度でも、流石に遠景の種子島に合焦したら、流石に、近景のグンバイヒルガオは暈けた。鹿児島県本渡でも生育しているが、基本亜熱帯要素。この花を見ると、ああ、南に下った島に来ているなぁと思う。 サツマイモ属なので、アリモドキゾウムシ排除のための検疫から、本土への持ち込みは禁止されている。生息環境を画像でフォローしようと思った時には、スイングパノラマはそれなりに役に立つ。銀塩時代でも方形魚眼でも間に合わないこの画角を撮るカメラは有ったが胸ポケットには入らなかった。
この時期、クサギが満開である。ヤクシカの好物で、高密度地帯では実生をついぞ見なくなった。踏査すると、どこからとも無くこの植物の香りが匂ってくるものだったが、それが全く無くなるので極小化しているのに気がつく。チョウの方はミヤマカラスアゲハか、ちょっと自信がない。 ハスノハカズラを食そうとする☓ 食草とする◯ ミナミエグリバ。成虫は割と地味な蛾であるが、幼虫はとても凝った装い。
タイトルの割にそんなにとんでもない生物が登場するわけではないけれど、希少種の生息ばかりが多様性ではないのでと、気にせずに画像を貼っていく。まともなデジ一短望遠マクロではないけれど、頑張って距離を詰めれば、AW130で十分に撮れる。画像合成でらチュードを広げる機能がないので、ちょっと暗部が潰れやすい傾向はあるけれど。
タイガービートルの英語名のイメージ通り、剣歯虎みたいなマンディブル(大顎)を撮りたくて前に回りこむ。この個体は、結構じっとしていてくれた。
クサキリ。キリギリス類はヤブキリのような捕食型の肉食に植生が振りきれている種もあるが、こちらは草食型のようだ。バッタの尻を咥えて内臓ぺちゃんこにしてしまうという少年期の観察の記憶はヤブキリだった。巨大なマンディブルが有ったのは間違いないだろう。
ハナアブの仲間だと思う。伐開された土壌も全く無いところで集団で産卵をしていた。種類が特定できていないので、幼虫のステージを含め、どんな生活史を送っているのか。蟻の巣で過ごすものも、幼虫捕食その他、生活史の実態がよくわかっていないものも居る。
センチコガネは地域、個体変異で色は様々。バリエーションカタログのような本も出ているほど、マニアも多い。エンマムシだと思っていたのはエンマコガネだった。ファーブルの昆虫記で知って以来、未だに見たことが出来ない。島内に持ち込まれた国内外来種のホンドタヌキの糞に集まっていた面々。
道路に出てくるヤクシマザルの画では、白線や人工物を排除して写すのが至難の業。白線の内側を歩こうね、みたいな標語が付きそう。
意図せぬ・意図した給餌影響で、道路周辺にだらだらと滞留する群が発生する。もちろん良いことではないが、ちょろっと入っただけでヤクシマザルが見られるという状況も地元の観光資源ではあるので、あまり原理主義的に目くじらを立てるのも良くないのかもしれない。ただ、こういう積み重ねが、農地への群の誘導の先の農作物被害発生の遠因となっていることも確か。高速船の中の学習ビデオ、道路沿いの立看、機会あるごとに普及啓発はなされているが、工事関係で入った人がうっかり弁当が盗まれて、それ自体が誘導の端緒になったりもするのでなかなか難しい。ただ、登山口までの道路が自動車による通行自主規制でシャトルバスを出すようになって、かなり状況は改善したと思う。
この島に来ると、「水の画」を撮ってしまう。山下大明氏の故山尾三省コラボの写真を思い出す。山下氏は精力的に屋久島の生物の写真を撮影するだけではなく、島内での新種や新産地発見の立役者でもある。
自然遺産や保護地域指定では、どうしても奥岳地域がメインになる保護管理においては構造的な課題を持つけれど、低地照葉樹林にも、重要かつ楽しい場所は沢山ある。エコツアーガイド関係者の力量なども上がらないと、そちらの方の楽しみ方を提案できる状況にならない。その辺り、自然遺産にしていられた時からずっと課題となっている。
ヤクシマサワガニかなと思ったが、違った。普通のサワガニ。ヤクシマサワガニは青みを帯び、こうひようこう地域を中心に、森林限界から数百メートル下の領域まで生息地としている。
モジホコリっぽい。変形菌。バクテリア(真性細菌)を食って個別の単細胞生物の群体である「細胞性粘菌」と私も現地で判別できていなかった。変形菌は真性粘菌と呼ばれるグループ。この辺りの違いは
ここに詳しい。で、進化系統的にどうなのかという話が気になったが、かつては変形菌門
Myxomycotaというファイラムに全部一緒に投げ込まれていた。今は、全く関係ない別のグループということで良いようだ。何も理解が進まないけれど。
キノコはさっぱりわからない。ベニヤマタケなら、食用。
カワラタケだと思う。食用向きではないけれど、抗悪性腫瘍多糖体が含まれ、という記述がウェブ上にある。やはり漢方薬カテゴリーか。
ナチシダ。シカの非選好性植物、というかほぼ忌避植物。屋久島でヤクシカ高密度地帯ではアブラギリ、ナチシダ、そして上に有ったハスノハカズラが三大忌避植物で、これらの植物だけがめちゃくちゃ繁茂しているところは、シカの植生採餌による生態系衰退が深化(しんか)しているわけで、「風の谷のナウシカ」のプロローグのユパ様のセリフみたいな気分になる。
で面白いもので、Wikipediaからの孫引きで見つけたのだが、
松本定(2009)【※いきなりダウンロードが始まるので注意】 によれば、ブータンではこの植物が草食獣に食べられないため食用として栽培しているという話があって物凄く興味深い。確かに、シダの仲間は一般的にワラビ、ゼンマイなど食用シダとされているものも、
プタキロサイドという発癌性物質が含まれている。それをアク抜きをしっかりやって問題ないレベルにしてずっと日本では食べられてきたので、特に珍しいことではない。日本では多分、ナチシダは食べないなぁ。
ハシカンボク。ノボタンに比べると小ぶりで色も微妙なあじわい。夏に咲く花というのは、温帯要素では少ない。で、亜熱帯要素。この時期は満開。