After the Experiment II


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チコミシュラン2 キビナゴ vs イカ刺しの選好性実験の後,完全満足状態で,爆睡中のチコベイ。ずっと眠っていてくれると楽なのですが・・・


After the Experiment II_b0060239_1928294.jpg刺身実験の翌日,シンクの上でおねだり状態の公陳丸。逆光に立つと,彼は画になります。またの名を,イカ刺しを待ち続ける男。



通常イカ刺し(要するに生イカ)や貝類は,猫にはタブーの食材となっています。これとスルメを食べると猫は腰を抜かすという言い伝えと更に混同されることで,猫にイカをやるなどとんでもないと思っている方は少なくないと思います。
 スルメの問題は,干し物を摂取した後に,喉が渇いて大量に水を飲み,これで胃内で膨れて動けなくなるというもので,毒素や栄養素の破壊酵素の問題とは少し異なります。
 イカを与えてはいけないという根拠になっている,Thiaminne=ビタミンB1群分解酵素(Thiaminase)を含んでいる食品を検索すると,イカや貝類,鰯や椎茸などにも入っております。当たり前ですが,体内で使われたビタミンは代謝されて輩出されるわけで,当然分解酵素を生物は持っております。これは補酵素と呼ばれるB群でも同じなのですが,あたかも,毒のように書かれていますが,イカや貝類,鰯や椎茸で有ろうが無かろうが,特に死活していない内臓部分を摂取すれば,当然分解酵素は含まれております。
 小さな動物である猫にとっては,量の問題が大きいと思います。基本をバランスの取れた固形フードとしても,例えばイカなどは,塩辛を食べるわけではないので,内臓部分の摂取をさせなければ,毎日大量に食べさせない限り問題は無さそうです。同じものを専食するというのは,人間だってリスクがかかると思うのです。リンゴだって一度に80個食べれば含まれている生産分は致死量に達するというジョークがありますから。また,探検家がホッキョクグマの肝臓を生食したところ,肝臓に大量に含まれていたビタミンAで中毒死したという話は本当にあります。

 さて,「ネコちゃんには,ニンニクやタマネギは毒なんですぅ」といったWebは山のようにありますが,まともな作業機作について説明したものを探すのは骨でしたので,覚え書きとして少し書いておこうと思いました。アワビの毒についてはまだ説明いくつか有りました。最近,獣医師を扱った少年漫画でも取り上げられてました。
 タマネギやニンニクなどの食中毒(これも摂取による溶血作用によると書いてくれた方がずっと分かるのですがね)はここに,本人にも手加減抜きのテキストがありました。この獣医さんは,とても誠実という印象を持ちます。
http://www.vets.ne.jp/faq/f_tamanegi001.html
 実際,江戸で3代続いた(という言い回しがしてみたくなる)女系の獣医さんから,ハンバーガーを食べさせていてタマネギを食べさせているという認識のない飼い主が少なくないという話を伺ったことがあります。生理特性を区別することは当然当たり前なのですが,猫は身近な動物であり過ぎるので,まんざら生物学に関係が無くはない人でも落とし穴に落ちることはあると思います。私,昔,某歯科大の非常勤講師のバイトをやっていたとき,一般生物学で学生の解剖実習の時,ラットに胆嚢が無いということを直前まで知らなくて恥をかきそうになったことがあります。哺乳類は種間で体制が近いのでまさかと思ったのと,マウスにはちゃんとあるのでうっかりしていました。同じ哺乳類でもラクダにはないということは知っていたのですが。もちろん,ラクダが解剖実習の材料になることはありませんが。

 なぜ,人間ではこのチオ硫酸化物が催溶血のような悪さをしないのかということが,むしろ知りたくなります。でも,どうやら,生ニンニクの成分が体に良くないことは,結構言われておりますね。私の恩師は貧血体質でしたが,生ニンニクは御法度だと言っておられました。基本的に,猫で危ないというのに体の大きさも大きく関与していると思います。このアロメトリー的な考え方は小動物を扱っている人間には非常に重要な考え方です。

 猫の必須栄養素つまり摂取もしくは摂取阻害が深刻な事態を引き起こすと考えられるものをまとめてみますと,
◎アミノ酸
アルギニンとタウリン。猫では肝臓活性が高いため犬よりもより必要となるということですが,この場合は,実際に体重と必要量をチワワからセントバーナードまでプロットして回帰直線(或いは曲線)を引いて,犬の品種毎,個体毎の変異の幅から明らかに猫のプロットが統計的に乖離していれば,猫は犬(この場合の犬とはいったい何なのでしょう)の3倍必要とするということが言えると思います。その当たりのデータを見たいと思うんですが,代謝系が違うので,同一体重で比べた結果3倍ということだと思います。もしもそういった意味でないのだとしたら,この解釈は少し変というか正確ではありません。

◎脂肪酸
アラキドン酸が必須脂肪酸。これはレバー、 卵黄中 に僅かに含まれます。野外でイリオモテヤマネコの採餌を何度か観察しました。撮影のために置かれた廃鶏などでも,ほとんど内臓だけを食べて帰ってしまい,モモ肉など口も付けませんでした。先ほどチコと公陳に鶏刺しを上げましたが,彼らは好きで食べてくれます。でも生レバー食べる猫というのも,ちょっとペット自慢や獣医さんのWebを見ても,そんな記述はありませんね。今度,新鮮な野飼いの鶏の肝でもやってみて様子を見ようかな。
今時汚染物質が濃縮される部位を食べるわけですから,何にしろ,多様な生物を多様に摂取するというのが,当たり前ですが,彼らの採餌スタイルであると思います。ネズミの丸飲みなど,完全栄養食だという感じですね。

◎ビタミン類
ナイアシン(ビタミンB3)を体内で合成できません。したがって 犬より大量のそれが必要となるとされています。同様にピリドキシン(ビタミンB6)も犬の4倍程必要になるそうです。この場合,「犬」とか「猫」とか,素人である飼い主に分かりやすいように一般化しておりますが,どのくらいの大きさの犬を想定しての比較かということで意味が違ってきます。せめて「体重当たり比」とちゃんと断ってくれると,本当に基本生理が全く違うのだと思えるのですが・・・・
 また 猫は、犬や他の雑食動物ができるβ−カロチンからビタミンAが合成できないので必須ということです。人間と近い部分です。ビタミンCは体内に合成系があったように記憶しています。
イカや貝類などが良くないとされるのは,B1の分解酵素(Thiaminase)が含まれているからで,これの摂取によりかなりの劇症が生じると云うことが書いてあります。B1の合成系がないと明記しているテキストは少ないのですが,どちらにしても急激な供給は出来ないでしょう。これは,体重当たり採餌量が人間とはかなり違うので,小さな体に対して,大量に一度に摂取できてしまうということもあると考えられます。成長期の幼獣だと特にリスクがかかるというのは何となく分かります。
 いずれにせよ,生イカを与えるなら,墨や内臓部分をまぶしたりすると拙いでしょう。手製の塩辛くない塩辛やイカスミスパなど好きで食べそうな子が居そうなので,この点は注意が必要かと思われます。

 ペットフードや提灯獣医さんのテキストにあるアミノ酸とビタミンミクスチャーを加えてある餌を食べていないと,ほとんど即死するような記述は,野生動物と長年つき合ってきた私にはもの凄く奇異に感じるのです。
 細心の栄養学の知識が犬猫の寿命を飛躍的に延長したということは事実ですが,思いっきりなんとかみたいに,まるで宗教上の真理のように,食品栄養素の摂取を喧伝やその栄養障害情報を喧伝するのは,あまり科学的ではありません。アメリカ式の不安を煽ることで消費を増加させるということに荷担するのは日米のTVマスコミの得意技ですが,ペットフードやメーカーの提灯獣医さんの世界にも近いものを感じます。

 まぁ例えばマウスを飼育するならビタミンミクスチャーとアミノ酸ミクスチャー+繊維分を混ぜ合わせて固めた,固形フードは便利でしょう。どんなに野生の昆虫を多くの野ネズミ(ここでいう野ネズミは,アカネズミ,ヒメネズミ,カヤネズミ,ハツカネズの昆虫・種子食者)が好きかということを知っていれば,そういった食べ物を与えたくなるものですが。
 もちろん,固形フードは,栄養バランスなどのデータに基づき改良されて,ペットの寿命を延ばすのに貢献してきました。しかし,どうもそういった食べ物だけを食べさせていると,私自身が,実験系の動物の飼育のようで,絶えられなくなってきます。特に,自然の食べ物をあまりに喜んで食べるウチの二匹を見ているとです。実家にいた猫で思ったのですが,人間の食べるものや魚などにはいっさい興味を持たず,獣医師に勧められた固形フードしか食べない猫も確かにいるようなので,そういった子はそれでよいかと思います。そもそも新鮮なイカが手に入る状況の過程はそんなに多くはないので,とりあえず,今の,時々御馳走,基本はカリカリでよろしいかと思います。公陳丸もチコも今日もせっせとカリカリも食べております。もちろん,今から一日のエネルギーを摂取して,好き勝手やろうというチコには,まるで朝飯を義務のように食べて出て行く中学生のようなものを感じて笑ってしまいます。
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by complex_cat | 2005-04-29 19:29 | Cat Family | Trackback | Comments(0)

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