猫の仔殺しについての覚え書き

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 宿題の4番目に書いておいた,ネコの仔殺しについて,少し,書き進めてみました。誤解を生じる可能性もある分野の話ですが,人間理解が決して人間の綺麗な部部だけでなくても,人を愛すると云うことにおいて無意味ではないと云うのと同じで,私自身は,生物としての彼らの理解が進めば進むほど,「よくぞ,こんな素敵な生き物を作ってくれたねって」造物主に感謝して,ますます,公陳丸やチコが愛しくて仕方がないのです。
 以下,難しいことを分かりやすく書くだけの頭がありませんから,読みにくいのはどうかご容赦ください。
 というわけで,クリックは,読む読まないは関係なく,その読みにくい長文の披瀝(ようするにテキストがだらだらって出てくると云うことです)をお許し頂けると云うことを前提にお願い致します。 今回はテキストと画は一応,関係ありませんが,チコがこれを読んだら,「父さん(と呼ばれるはずと勝手に期待)暇だなぁ」と言うかも知れません。
「誰に言われても良いけれど,お前に云われたくないよ〜。4時に起こしやがって!」



・種のため・・・ではないー前提条件
 分野外の方には意外と思われるでしょうが,現代生態学は,「全ての生物は種のために何かをすることはない」という認識の上に成り立っております。また,基本的に「動物は人間のように同種通しで殺し合いや競争などをしないというのは,ウソであり,むしろ同種の他の個体ために振る舞ったりするのは,人間だけ」という認識の上に構築されております。これは,1970年代後半から,新しいムーブメントとしての社会生物学が,近代の集団遺伝学的手法と手を結び,膨大なデータにより検証してきたものです。世間一般の認識や自然科学番組の説明とは180度違うわけで,このスタート地点(セントラルドグマ)にとりあえず立った上で,生物の生態学的事象を読みとっていく姿勢をとれるかどうかが,分野のまっとうな研究者ある証でもあります。
 そして,数多の生態学者や遺伝学者,数理生態学者がフィールドでの膨大な仕事やコンピュータを使った解析の結果,近代生態学は,この起点(終点ではないですよ!)にたどり着きました。

 この考え方については,いくつかの反証が試みられましたが,生物の振る舞いを個体ー遺伝子の利益により説明する手法を突き崩せるほどの話は,ほとんどありません。種内でお互いにフォローしあいながら,種のために生物個体がお互いに種のために振る舞うという古来からの魅力的な考え方は,群淘汰理論(グループセレクション)と呼ばれます。この群淘汰理論は,やはりとても魅力的で,社会生物学的概念が基本になった後も,果敢にも,そのベースとなったネオ・ダーウィニズムを理解しながら,新たな群淘汰を提案しようという試みは繰り返し行われてきました。しかしながら,いわゆるネオ・グループセレクションの一派の仕事において,僅かに,注意を喚起できた程度です。
 ほとんどの自然科学番組は,50年以上前の生態学の黎明期以前の認識で作られており,この部分については,現代生物学の新しい知見を入れたと喧伝したTVドラマ「不機嫌なジーン」においても,未だに30年前の混乱のまま,適正な生物や遺伝子の振る舞いについての理解にはほど遠い状況にあります。

・仔殺しの機能と適応度
さて,以上の前提をふまえて頂いた上で,子殺しの話を考えていきましょう。別に論文投稿することが目的ではありませんが,私自身の現象理解と考察のための覚え書きのつもりで,書いていきます。

 一般に,哺乳類などで知られる(同種の)仔殺しは雄雌,それぞれで意味が異なりますが,それぞれが,個体の適応度(次世代に残せる仔の数,極論すれば,自分と共通の遺伝子のコピー)を上げるために,それをしなかった個体との,競争(個体の淘汰)の結果,進化してきた行動と考えられます。動物自身が選び取ったような記述をここでも,行動学の書物でも致しますが,あくまで,個々の個体は勝手にそれをやって,その戦略が他の戦略に比べて優れていたため,次世代ではその行動をとることに拘わった遺伝子などがより多く生き残った結果という意味です。

1)雄が,自分の交尾機会を増加させ,自分の遺伝子を持った仔をより沢山生産するために,またそうでない仔を減らして,競争者である他の雄の繁殖成功を減少させるために,仔を殺戮する。

これは,分野の学問の歴史上最も有名なものは,ハヌマンラングーンというサルについて著名なサル学者により報告されたもので,当初はほとんどの研究者はこの観察結果を信用せず,観察者が個体にストレスを与えるなどしたために生じた「異常行動」として片づけられそうになったことは有名な話です。その後,少なくない研究者が観察例を上げることになり正常な行動であると理解され,近代動物生態学には大きな影響を与えました。
 また,ビギナー向けの教科書にも載る有名なものでは,ネコ科のライオンの群の乗っ取りの話があります。ライオンでは群で育った雄ライオンは,ある時期に数頭で連んで群を離れます。若雄のチームは荒野を彷徨い,別の群に遭遇すると,共同してその群の雄ライオンを殺します。殺して乗っ取った群の中で,彼らが次に何をするかというと,その時に生まれていた全ての仔ライオンを全て殺すということをやります。その結果,育児中だった雌ライオンは,再び交尾可能,受胎可能な生理状態になり,速やかに自分の遺伝子を持った仔を産んで貰える状況になります。同時に自分の遺伝子を持っていない仔ライオンへの群の雌の投資量をゼロにすることが出来ますし,葬り去った前の王の遺伝子が次世代での競争に絡む確率をゼロにする効果もあります。

2)雌による子殺し。これは,現在の仔に投資するよりも次の仔を新たに作って子育てした方が,結果的に生存率を低下させず自分の遺伝子を増やすことが出来る場合におこう動物がおります。例えば件のライオンですが,通常2,3頭出産しても,干魃の時などに例えば1頭のみになってしまった場合,この仔を遺棄するという行動が知られております。
 こういった話をするとライオンが嫌いになるという困った感想が出てきやすいのですが,日本の自然科学教育の問題でもあります。動物から人間が勝手に都合の良い倫理観を引き出す道具にするのは,最も忌むべき行為でありますし,彼らの激しい生存のための戦いにおいて,それをして尚,生きてきたその進化的な歴史とその存在自体に敬意を払うという気持ち無くして,自然の真実を知ろうとしてはいけないと思っております。人間社会の勝手な投影に過ぎない善悪や倫理観で自然を理解しようというのは,そもそももの凄く不遜なことだと私は思います。一方で,自然から都合の良い部分だけ学ぼうという勝手な考え方の延長線には,子殺しはライオンだってする自然なことだからという形で,人間の生き様にそのまま直訳して持ってくれば,非常にとんでもない問題が待っております。これだけの素敵な自然や生物の世界を見ても,また,読みやすい最新の生態関係の書物を都合良く読み取りながら,学び損なう人はおいでになるのは,他の分野と同じです。

 生態学用語というのは,非常にエモーショナルな言葉がそのまま専門用語になっております。曰く「レイプ」,「ハラスメント」,「スニーカー(間男)」,「子殺し」,兄弟間闘争(カインーアベル・コンフリクト)などなど。だから,ここでの「子殺し」という言葉が,初めて聞かれる方には,全く様々な印象を与えると言うことは或る程度認識しておりますが,分野の専門の流儀で書かないと話が進みません。
 さて,雌の子殺しですが,これは,流産なども広義のこの行動の範疇に入りますし,生まれてまもなく胎児を食べてしまうなどの行動などでも見られます。

 流産で有名なものには,マウスで実験系の人間によりよく知られた「ブルース効果」と呼ばれるものがあります。これは,妊娠中の雌に,交尾をした雄と別の雄の臭いを嗅がせると流産してしまうという現象です。マウスの場合,雄は,自分の遺伝子を持った仔かそうでない仔かをもの凄く簡単な方法で見分けています。即ち,交尾経験がない雄は,未だ自分で種をまいていないわけですから,目に入る仔は,間違いなく自分の遺伝子を持っていません。だから,自分の血縁関係のない,即ち同じ体臭を嗅いだことがない雌が育児中の仔は全て殺しても大丈夫,という人間の感覚で言えば身も蓋もないフローで多くの個体が行動しております(全ての雄ではない)。即ち,逆に言えば,それだけ仔殺しが一般的な動物でもあるわけで,もし雌が,自分が交尾した雄以外の雄の臭いを嗅いだとき,その場合は,彼らの空間利用や社会性から,自分の仔を殺しに別の雄がアプローチが可能な状況に既にあるということを意味するわけで,どうせ殺されるのならば,産まずに胎盤から再吸収して次の妊娠に備えた方が,適応的と云うことになります。
 因みに,日経サイエンス日本語版にかつて,実験動物であるマウスの子殺しの論文が載ったことがあります。しかしながら,実験生理学者である著者は,その当時,既に北大や京大の生態学者がとりつかれたように研究を行っていた,社会生物学的概念をご存じありませんでした。件の論文は,その概念無くして子殺しの現象を考察しようとする無謀さを,無惨にも見せてしまう結果となりました。実験では,交尾経験のない雄は,仔殺しをする確率が非常に高い。また,交尾経験のない雄が,過去に認識している雌の匂いの着いた仔は,殺す確率が低下するというものでした。今の行動生態学の基礎に基づきこの現象を読み解くのは非常に簡単なことです。

・ネコの仔殺しが簡単には生じない理由
 さて,ネコの子殺しについての話を致しましょう。ネコの場合,ライオン型の雄による子殺しが生じている可能性が少なからずありますが誰も検証しておりません。私自身は,出産後まもない仔ネコを,外から雄猫が侵入して殺していった例を,少年期,友人宅で見たことが一度だけありました。本家のリビアヤマネコにおける,このような行動についてのデータを見つけておりませんので,何とも言えませんが,公園などで,特定の雄個体が殺すことを目的として仔猫を襲う例について,別のブログでのお話「クロチビ&ミケチビ@あさいんち」もありました。恐らくネコを専門に研究している人間においても,ほとんどのその事例は,一般的ではないでしょうし,データを分析できるほどの観察例もほとんど無いと思われます。だからといって,それが,特殊なことだと言えるかどうかは,また別問題です。なんとなれば,或る都市空間や漁港周辺という人の集落内での枚挙的な観察は山のようにありますが,ネコにとって本来的な資源や利用空間の分布がどのようなものであるか,それが原初的なリビアヤマネコのそれとどれぐらい乖離しているのかまた共通している部分は何かという問題は,あまり検討されていないからです。

 例えば,仔猫と雄性ネコの遭遇実験では,このような殺戮はほとんど観察されないという方が居られます。しかしながら,実験設定としてはおかしいわけでして,本当に検証をするためには,1)交尾・繁殖可能な雌,2)この雌が育児中の仔,3)仔の父親ではない別の交尾機会をうかがっている雄,の3つの条件と更に,他の繁殖可能雌の有無や,別の雄の競争者の有無など,目に見えない因子が拘わっている可能性があり,再現するための実験設定は,狭い檻に閉じこめて可能でないこともあって,非常に複雑で簡単ではありません。実験系,獣医系の方がよく勘違いするのもこのあたりの感が取れない人がおられるからです。
 哺乳類のもう一つの問題は,昆虫など,温度や光環境さえ同じならば後は何も気にしないという生き物ではないということです。狭い檻(勘違いした実験者に寄れば十分広いつもりでいたりする)に閉じこめると,縄張りの確保やそのための防衛努力が意味をなさなくなるので,本来的な行動が消失することが哺乳類では多々あります。複数個体を数日間同じ檻に入れた場合,そりが極端に合わない場合ならば,強ストレスで,本来の繁殖生理状態にならなくなってしまうことがあり得るでしょうし,そうでない場合は,疑似血縁集団的に振る舞うようになることが予想されます。闘争にはコストがかかるので,それに見合った利益がないと消滅することも知られておりますし,また,婚姻システム自体が変化してしまう可能性もあります。この場合,一夫多妻型で,雄同士は,雌を確保するためにバトルを行っていたのが,それを行わず,完全乱婚状態になってしまうなどの社会性の変性を意味します。

 単純に,子殺しの検証をするための実験を考えても,如何に簡単に再現できないかと云うことがおわかりになるかと思います。逆に言えば,繁殖にも参加しない去勢雄で,周りに自由分布しているこれまた繁殖可能な雌が居るわけでもない,普通の町中の飼い猫の世界では,生じる性質のものではないと思われます。公陳やチコ達にとってはどこまでもお気楽な世界で,彼らがもしもある公園で生まれた直後,その場でほとんどの雌を妊娠させていたボスネコの交代劇が生じていたら,ひょっとして新たな王として侵入してきた雄猫に殺される可能性があったかも知れませんが,こう書いているだけで,その確率は極めて低く,もしもネコの仔殺しを目撃された方が居られるならば,稀有な舞台設定における今の日本のイエネコの世界では滅多に生じない現象の,神がお選びになった観客となっていた可能性があります。まぁネコ好きなら貰いたくもないチケットだったかも知れませんが,神様がその人には「見なさい」と思ったとしか言いようがありませんね。

 余り整理されたテキストではありませんが,後輩に分野の考え方の理解を促すために読んで貰う資料として,タタキに使うつもりで,今後,修正加筆していく予定です。もう少し読みやすくしたいのですが,正確な記述や情報を欠損させたくないので,昼休みに叩くテキストとしては,私には,あまりにパワーが必要です。しばし,ご猶予を下さい。

 読んで頂いた方には,その努力に深く感謝申し上げます。

追記ー2019/7/21放送の『ダーウィンが来た』の人為環境下のノネコの生態研究が紹介され、このつたない記事へのアクセスが増えております。私が気になったのは、件の放送前に、侵略的外来種の横綱である猫を可愛い可愛いで放送するNHKの見識を問うみたいなツイートが上がっていたのですが、漁村の人為環境下で、生存餌資源は港に捨てられたりする(意図した給餌行為の結果であるものも含む)魚を利用する、小群だったものに目をつけて猫の原初的な行動進化についての観察の場として永代研究が行われてきた場所の話ではあります。無論そこから一定数拡散していく個体がいる可能性もありますが、幸か不幸か猫が野生生物だけに依存してやっていけるほどの環境ではありません。昆虫食を利用しながら小動物を襲える奄美大島やワレン(アナウサギの巨大集団坑道を持つ集団の巣)のハンティングをベースに巨大化して、他の動物群にも猛威を振るっているオーストラリアに比べると、多少事情は異なります。大都市の市街地空間での地域猫が生物多様性影響に寄与していると目くじらを立てる人はあまりおられないでしょうけど、地方だとどこも自然環境や生物多様性が高いという思い込みから、いきなりそのハードルが上がるのは致し方ないのかもしれません。実際には、都会でもないけれど、開発や長年の人為の作業により、自然環境も貧困という場所の方が、悲しいことに、この日本多いのです。だからと言ってどこでも猫放逐というのが許されるということではありませんが。
 また、関係研究者は、関連外来種問題(無論猫も含む)の前線でも戦っているクラスターに含まれ、岩合さんの猫コンテンツとは同じレイヤーではありません。そこと区切ることができて行動生態学分野の整理に終始されたのは、関連研究者の監修によるものと感じました。

 哺乳類は、雌が先行して卵の段階から胎児を育て、その後も授乳という圧倒的な仔への投資が行われるために、父性による育児行動(paternal care)が子供の生存率=
適応度上昇に寄与し、かつオスが自分の配偶者が生んだ仔のパタニティを確認できる局面が少ない故、それを進化させるにはかなりの条件が必要になります。しかし純然たる事実として、一夫一妻制monogamyと父性による育児行動paternal careを進化させてきた種(それ自体はシステムとして遺伝的には固定はされていない)は存在します。はっきり言って人間も、かなり多くの条件ではかなりその傾向が強い、そういう種だったりします。哺乳類の父性による育児行動進化の扉の鍵を解明する入り口にもあの猫たちの観察事例は立っていると考えると、ちょっと研究者の努力や研究価値を理解していただけるのではないでしょうか。
 生態学が、社会生物学的なパラダイムシフトを経て、適応理論や遺伝子進化の極相における仕事が落ち着いて、次のムーブメントを待つ間に、この自然環境はかなりの危機的な状況を迎えて、保全生態学的な実務的な仕事にシフトせざるを得なくなった状況もありますが、本来は、人の生活圏を維持できる生態系理解と個別種個体群から全体システムまでの保全という人類全体のセキュリティにもコミットしながらも、自分たちやこの世界が何であるか、それを解き明かしていく、スリリングな分野である、とても稀有な分野であるということを理解した視点で見ていただきたいと勝手に、まさに勝手に思ったりいたします。蛇足の追記ながら。

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Tracked from ねころもち―blog at 2005-05-12 19:46
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Commented by nekoromochi at 2005-05-12 19:40
ウニャァーっ≦⌒ω⌒≧З
「猫の仔殺」っていうのは、ボクの周りでもほとんど目撃事例がありません。トラバ記事に書いた“クロチビ(初代)”首根っこを咥えて持っていったクロは雌猫で、実際には殺したシーンは見ていません。

公園に遺棄されたばかりの兄弟の片方を咥えて走り出したのは、ケンカ猫でもある雄の黒猫。10メートルほど離れた場所でチビを咥えたまま、首を3、4回ほど振っただけでチビの首の骨は折れ、息を引き取ってしまいました。時間にしても10秒くらいの出来事でした。

また、トラバのエントリーで鍵コメを下さった方もこのあっという間の出来事を目撃してとても心を痛めたと話してくれました。

引き続き、この「猫の仔殺」についての事例など集めたいと思っていますっ≦⌒ω⌒≧З
Commented by complex_cat at 2005-05-12 19:43
nekoromochiさん,有り難うございます。猫を専門に研究している知人も,観察例はほとんど知りません。目撃する条件の難しさはアーティクルで述べた理由によるものと考えております。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-05-12 22:56
先日子猫を預かった時に一番懸念していたのは、かーが子猫を攻撃しないだろうかということでした。繁殖能力のない、もっといえば、性的成熟を迎えたことのないかーが、繁殖行動として子猫を殺すとは思いませんでしたが、子猫の体躯の小ささから、獲物として捉えてしまう可能性があるのではと思ったのです。猫とのつきあいのない猫ですから。
雄猫の子猫殺しについて、子猫の動き(しっぽたててよたよた歩く)を、交尾可能サインの雌猫と誤認するという仮説を読んだことがあります。交尾しようとして、結果として殺してしまうのではないかという内容でした。実際に見たことはないし、その仮説が検証に値するのか、まったくの見当違いなのかわかりませんが。そもそも、雄猫の発情は、雌猫の発情がきっかけで起こるわけですよね?だったら、育児中の雌猫を「対象」として雄猫が選ぶと言うのも妙な話だという気がします。ライオンの場合は、はっきりとした群れ(プライドっていうんでしたっけ)を形成しているわけですから、発情期もいっぺんにくるので有効でしょうけれど、猫の場合、基本的には群れていないし、発情もバラバラなはずで、子殺しの意味はないような気が…。
Commented by complex_cat at 2005-05-13 06:43
 詳細なコメント有り難うございます。猫はプライド確かに無く,発情もバラバラです。また,発情は雌猫の発情がきっかけで起こることも確かです。ただ,自由生活している猫では,雌の発情はある程度揃うことも知られております。少なくともプライドの発情タイミングもまた,ライオンも発情行動の一貫として仔殺しをしているかどうかその辺りが気になります。
 仔殺しの観察例は,詳細なものはほとんどありません。私が仔殺しを目撃した例は,目も開いていない小さな4頭をそのまま簡単にかみ殺して去っていく一部始終でした。とても交尾信号誤認とは思えませんでした。一方で,分娩後,死産だったりした場合の発情についても,猫についてはほとんどデータを知りません。
 交尾行動の混乱か捕食対象と間違えて殺すというという考え方は,結局,適応度を持たない一種の異常行動ということになると思います。仔猫を一部でも補食していれば,まだ,その行動は適応度を持ちますが。その辺りがずっと気になっておりこの話を書きました。
Commented by complex_cat at 2005-05-13 11:09
少ない観察例ですが,散見されるものは,室内での純血種の猫の話ではなく,野外における半分野生状態に近い雄猫の行動ということで(これもどのくらい確かな話か分かりませんが,少なくとも室内での純血種でこのような話が沢山あるとは思えません),私は何らかの適応的意味があるという仮説を立ててみました。そこまで雄猫は馬鹿(行動が機械的だと云うことです)だろうか,そこまで,哺乳類として適応度と乖離した行動(将来の交尾相手になるかも知れない個体を認識できずに殺す)をとっているのかという疑問が私の根幹にはあるのです。また,人工授乳で分娩直後から放された個体なら分かりますが,自分の兄弟を見て臭いを嗅ぎながら育った個体が,同種を認識できないということがあるのかという疑問も。餌と見るなら,そこまでの割り切りをしているはずですから,逆に綺麗に食べちゃうでしょう。
 でもそんな哺乳類は,肉食獣では聞いたことがありません。チンパンジーは同族食い(カニバリズム)をやりますね。もちろん,異常行動ではなく,別の群の子供を栄養源として襲って食べるもので,ヒトも含めて霊長類はこの原罪的なDNAを内在させているのかも知れません。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-05-13 11:51
野外生活の雄猫に見られる行動なのだとしたら、と思いついたんですが
イエネコはもともと人と生活を共にするという「種」として人間が作り出したものですよね。だから、猛獣ではあるけれど、幼形成熟の種なんだというのを読んだことがあります。それはちょっと極論かなとも思うのですが
例えばノネコと呼ばれるほど人から離れて暮らしているイエネコでも、どこかで「依存する」「保護される」ことを要求している幼生成熟のシッポが残っているとしたら、兄弟が母を争う行動の変形として子猫を殺しちゃうとか…雄に多いのは、メスの場合は自分が母親になってしまうことで保護する側に立場が変わるから とか… 
うちのかーですが、親猫から離して三日後に親猫と対面させたら、もう親猫だってわからないで威嚇したんですよ。親猫の方もわからなかったみたいで、ちょっとびっくりしました。かーの「瞼の母」って、いるんでしょうかね…。
Commented by complex_cat at 2005-05-13 12:33
まぶたの母問題も興味深いですね。再会を果たした場所は,もとの場所ですね?
一端離したら,生理的に一定時間相手の臭いを嗅いでいなければかー君のその月齢も微妙ですが,仔猫側にも仔別れの準備が行動生理的にも成立してしまう可能性があります。チコ一週間失踪で,公陳はリセットされました。このことはさらっと書きましたが,非常に重要な問題です。人間側がもう一度一緒に暮らす条件を作ってなければ,それまでだったでしょう。
 因みに強力な仔別れの行動は,かつてはインセスト・タブー回避として説明されてきましたが,哺乳類では,インセスト・タブーは必ずしも個体の適応度を減少させません。現在では,親子,相互の資源利用と次世代を作る場合の利益を減ずるためと云うことで,数多くのデータのもとに説明がなされております。
 いずれにせよ,仮説を検証する形でデータを集める必要があります。個々では,検証の手順が,今まで物の本に書かれている話の展開には猫がどのような動物であるかということに近づくための仮説検証の手順としては問題があるということです。
Commented by complex_cat at 2005-05-13 14:27
雌の発情誘導でないという可能性もちろんあります。餌資源確保利益が効いている可能性はあります。適応度のない闘争で相手を死に至らしめる一種の誤動作による事故であるという考え方を動物行動学徒が検討するのは,もちろん最初から疑いますが,上記のことが完全に否定されて以後のことです。異常行動の見極めは,確かに難しいのですが,さて,猫は,「身近な野生」と呼ばれながらどのくらい野生動物のセオリーから外れた生き物なのでしょうか。
 イエネコがどれくらい種として原初的な種が持っていた行動から乖離した動物になっているかというのは,なかなか難しい問題だと思います。極端な小集団から作り出した純血種ではなくて,乱婚状態にある日本のその辺の猫については,幼形成熟の種と云って良いほど変性しているとは私には思えないのです。そうは言っても,毛並みのデタラメさは,タビーのようなカモフラージュ的な紋様を持っていなくても生存が許されてきたわけで,家畜の性質そのままです。自前で狩りをしている集団では,ハンティングにおける有利さから紋様に淘汰が掛かっている可能性は示唆されます。
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by complex_cat | 2005-05-12 12:31 | Wonderful Life | Trackback(2) | Comments(8)

Necology(=猫+Ecology) and Nature Photo Essay, Camera classic, Martial arts & etc. 本サイトはhttp://complexcat.exblog.jp/です。画像はクリックすると大きくなります


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