A long beach memories


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二つ前のアーティクルの続きの画です。こうやって広角で遠景っぽく撮れば綺麗に見える海岸も,潮干帯の最上部では,ゴミのベルトが続いておりました。日本を取り巻く海の状況を思うと無理もないのですが,とてもお見せする気になりません。


A long beach memories_b0060239_22515710.jpgシロチドリかそのあたり。鳥になるといい加減になりますね。時間をかければ,接近できるチャンスもありますが,やはり,フィルムカメラ換算で300mm程度では,野鳥の撮影には,少々きついものがあります。


A long beach memories_b0060239_22551578.jpgオオマツヨイグサの群生がところ泥子に見られます。移入種にして,強力でどこにも適応しております。


A long beach memories_b0060239_22594174.jpgスナガニの巣穴のように見えます。同じ間隔でいくつか並んでおり,砂をけり出しているやり方もお隣さん同士でそっくり。潮が満ちてくると動き出して採餌を始めるのでしょう。

この長大な海岸には,毎年アカウミガメがかなりの数,産卵のために上陸します。
 海岸に向けて,ライトを向けたりすると,カメは上陸を中止してしまいますから,ウミガメの観察者も,もちろん密猟者も,海岸では,ライトをつけずにカメを探します。これは数人で歩いたりすれば,カメラのラッセルに突き当たる感覚は足下に違和感を感じるものなので,慣れたらそんなに難しいものではありません。実際には,数十キロに渡る長い海岸を効率よくチェックする方法がありますが,悪用されるといけませんので(保護関係者,その反対の密漁の経験者は百も承知の方法ですけど)ここには,書きません。

 私が最初に仲間達と,ウミガメを発見して観察したのも,この海岸の沿長上でした。

 午後9時を廻っていたと思います。当時私は,21歳になったばかり。ライトもつけずに,僅かな月明かりでウミガメを発見した幸運を反芻しながら,産卵の為の穴掘りをするカメのシルエットを見ていたのですが,突然,なにか,酷くとんでもない違和感に囚われたのでした。
 その母ガメと思われる生き物は確かに穴を掘っているのですが,突然なにか得体の知れない恐怖心のようなものを感じました。頭の中を痺れさせるような悪意といって良いかも知れません。



 同じようなものを私は西表島でのイリオモテヤマネコの観察のためのベースキャンプでも感じたことがありました。頭の中で警報が鳴る,その正体は分からないのだけれど,警報が鳴っている,そんな感じです。西表島に渡って二日目だったと思います,深夜,初めて訪れたフィールドの正体の分からない鳴き声があまりに沢山聞こえる闇の中で,尿意を覚え目を覚ましました。川縁のもちろん誰も来ないはずのベースキャンプのテントから,私は外に這い出ました。キャンプサイトを汚すわけに行かないので,沢から離れようと電池が切れかかったキャップライトを頭に填めて,森の中に踏み出していきました。その時,気がつくと頭の中で,何故か二人の男が叫んでいました。誰かを殺せ,殺せと,不思議な声が響いていました。その二人が兄弟であるということを,何故か私は知っていました。兄弟は30代半ばと20代半ば,地元の訛りのある声で,ずっと叫び続けて殺せ!殺せ!と叫んでいました。夢遊の状態であったと思われますが,今でもあの声は覚えています。
 トイレのポジションにたどり着き,薄暗い光の中,用を足して,ふと我に返った瞬間,その声は消えていました。あぁ,これは随分サイキックな話で,神秘体験や霊感体質から縁遠い私の,唯一のその手の経験かも知れません。寝付きが良く,眠りも深い私が,夢遊病者のように,何者かに導かれて,何をしようとしていたのかと少し後で怖くなりました。西表島は怪談には困らない島で,別の機会にまた別のお話を致しましょう。

 一度,サイキックとされた女性から,私の場合,魂の振動数(?)が,いろいろな霊などを近づけないように作用しており,勝手に鉄壁のバリアーを作ってしまっていると言われたことがあります。それも悪口のように指摘されたのです。何故か彼女は武術どころかスポーツを嗜む人間ですら憎むように,ろくでもないというのでした。私は愚かなる武術修行のせいで,魂はろくでもない状態にあって,自分が覗いてやることも出来ないと繰り返し,私を叱るように言いました。
 というわけで,私が神秘体験の素養がないのは,サイキックからのお墨付きもありますので,間違いありません(なんか変だ)。でも,反証可能性を前提にした,サイキックを見せて下さったか立って,未だお会いしたことがありませんね。

 話を元に戻します。ウミガメまで5mぐらいのところにいた私は,母ガメに目をこらすと,彼女は前足を使って穴を掘っていることに気がつきました。???これだ,これが,私をとらえて放さない違和感の源だ! と思った瞬間,本当に恐ろしいと感じたことには,その大きなカメのシルエットは,唐突に穴を掘るのを中止すると,いきなり立ち上がったのです!  これは,実際にかなり,びっくりする経験でした。その後の人生で,あれ以上に驚いたことは,深夜に自分のアパートの部屋にベランダ伝いに侵入した暴力性ホモ(後で知った)のおじさんが目を覚ますと横でマスターベーションを始めようとしていたことぐらいでした。
 あの時は,1秒ぐらい状況把握に時間が掛かりましたが,我が人生で最も真面目に道場通いをしていた時期だったので,直ぐに寝ている状態から回し蹴り気味に顔面に蹴りを入れました。ホモおじさんは,「わぁ」とも「ぎゃあ」とも着かない叫び声を上げ後ろに転がりました。直ぐに当時は軽かったヘッド・スプリングで跳ね起きて,びっくりしてこれまたすぐに起きあがったおじさんと退治すると,渾身の後ろ蹴りを下腹部に入れて蹴り倒しました。このときの気合いは恐怖心もあってかなり大きな声を出したので,アパート中に騒ぎは伝わり,そのあと,大家さんに知らせて,大騒ぎになりました。日が昇るのを待って,父親にことの顛末を電話で伝えたときは,かなり興奮は収まっていました。

 因みに,ネックスプリングは中学生時代,カムイ外伝を読んで真似して出来るようになりました。布団を積み重ねておいて,そこから足を振り上げて降りたつように練習しながら,少しずつ布団を減らしていくと,足をけり出す方向とタイミングが理解できて,それほど運動神経の良くない私でも30分も掛からずにネック・スプリング(両手を使う)はマスターできることを発見しました。松田勇作のジーパン刑事の最期の見せ場で,彼が両手で拳銃を持ったままヘッドスプリングで起きあがるのを見て,更に練習をしたのでしたが,これもネック・スプリングが出来るようになると,回数こなせば可能になります。
 中学の体育教師が,クラスの中でさしたる運動神経の持ち主でもない私が最初からやけに簡単にヘッドスプリングやって見せたのを見て,首をかしげておりましたが,一人にんまりしていたのです。足は速くなく,球技も卓球以外は駄目で,でも,小学生からカムイの飯縄落としに憧れる変な少年の底力を見せた瞬間でした。体術とは本来,自分で創意工夫するところに価値があるのかもしれません。
 やばいときは勝手に体が動くようにしておくと,恐怖心を感じずに済むと誰かが言っていましたが,私の場合は,寝惚けていたことも,余計な恐怖心を感じる前に体を動かせた素因だったかも知れません。
 他にも,もっと人間において恐ろしいことがあったかも知れませんが,余り覚えていません。

 話が脱線しました。
 私がウミガメだと信じて見ていたものは,実は這いつくばってウミガメの卵を掘り出していた密猟者の男でした。実際には,ウミガメはちゃんとそこにいたのです。その密猟者が掘り出している穴あたりにお尻があって,その男の前に蹲っていました。
 その後,やや険悪なやりとりがありましたが,そこで生じたことはここでは省略します。

 東京や大阪の高級料亭で引き取られるという,当時の相場でウミガメの卵は1個200円。1個体が100〜200個近く卵を産むわけですから,1匹でも産卵に入っている個体を見つければ,相当な小遣い稼ぎになりました。一番良い食べ方の話なども,保護をされている方のことを思うとなんですので,書こうかと思ったのですが止めます。本来は,個人が自然の恵みを分けて頂く,それを楽しめるぐらいのキャパが,どこにでもあって良いと思いますが,これだけ自然環境が疲弊している中で,流通経済の渦の中に引っかかると,待っているのは,不毛の大地だけのような気が致します。

 県のウミガメ保護条例によって,「第5条 何人も、県内の海岸に上陸しているウミガメの捕獲(殺傷する行為を含む。以下同じ。)をし、又は県内の海岸に産卵されたウミガメの卵の採取(き損する行為を含む。以下同じ。)をしてはならない。」と定められるまで,ここではウミガメの卵の密漁にはかなり酷いものがありました。もちろん,罰則は,規定自体がありませんから,地元保護関係者の監視などの法的なバックアップのようなものですが,それでも,あるのとないのとでは状況も違うと思います。

 このアーティクルを書く前に,あの時,密猟者が去った後に,撮影したウミガメの画は,どこに行ったのだろうと古い段ボールの中のアルバムを探しましたが,出てきません。実家の倉庫だろうか。ちゃんと彼女の赤い涙も写っていたはずなのに。
 今回は脱線に継ぐ脱線アーティクルでしたね。
Commented by complex_cat at 2005-05-27 01:11
何処かのアーティクルのコメントで予告編をやった,危険な生物の話,やっと披瀝できました。チコミシュランも早く当選者決めないといけないし(実は商品がたまっていく)なかなか思うようにいきませんね。
Commented by nekoromochi at 2005-05-27 03:43
ニョォーーーっ≦ ̄□ ̄;≧З
ったく、どうなってるんだっだろうね、この国はっ! そして人間達はっ! 一番危険な動物になってどうするっ≦ ̄δ ̄≧!

常習的に盗っていたのでしょうね。現行犯で見つかって逮捕、あるいは送検されない限りはずっと繰り返すだろうし、その後も、雨後の筍のように新たな密猟者もでてくるだろうし……≦ ̄δ ̄≧З

実際に、その現場に遭遇してしまったcomplex_catさんの怒りはよーーーーくわかりますよ。ボクもネコを捨てる現行犯の戯け者には、徹底的に向かいますしっ≦ ̄δ ̄≧З(暴力はふるいませんよっ)

よく新聞やTVニュースで、「どこそこで遭遇した感動の産卵シーン」「あそこで咲いた珍しい花」っと報道されるたび、「明日には、みんなそこに殺到して荒らすだろうなっ」と思ってしまうことが多々あります。報道側もヤジ馬も、どうしてそっとしておけないのかなぁ……≦ ̄□ ̄;≧З
Commented by complex_cat at 2005-05-27 10:06
密漁のおじさんは,猫を虐待する人間に比べれば,ましな方だと思います。魚を捕ったりする行為の延長線上におられる方が普通です。
 また,猫などをあっさり殺すことは,動物実験や牛豚のと殺に拘わって殺すトレーニングを受けておられる方にも,簡単に出来るものではありません。獣医学科では,多くの学生さんがこのハードルを越えられずに止めていきますが,ハードルを越えた人たちも,一匹でも救う技術をつけるためという大儀を繰り返し言い聞かせて必死でやっている人たちがほとんどです。

 nekoromochiさん,いつもお話には,深い思慮と安心感がを感じますが,未知の人間と交錯するわけですから,どうかお気をつけて。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-05-27 10:57
昔、某農獣医学部のオーケストラのトレーナーをしたことがあるんですが、ある時、オーケストラの部員さんが、最初の実習の時にはマウスが死んじゃう、かわいそうって泣いてた女の子が、学年の終わりごろには、躊躇する男子学生に「さっさとやっちゃいなさいよ」と言い放つ、という話をしてくれました。「あとでお返しするしかないんだから」って。

猟の延長で、つまり生活のために密漁する人たちが、じゃぁ、オレたちの生活どうなるんだ、と言うのも、例えば鹿が、畑を荒らしてしまうからと自治体が駆除を決めたら非難の電話が殺到するのも
…根本からして 言ってることが違うんだわ
と思うのですが 保護 そのものが 片手落ちな部分も否定はできないのかなとも思います。
Commented by complex_cat at 2005-05-27 11:39
まぁ,生き物を深く理解して拘わっていく職業において,殺しという作業はある程度,ついて回ることが多いのです。お教え頂いたエピソードはとてもよく分かります。人間のお医者と何ら変わることが無く,多くの無力感,矛盾などを経験しながら,皆さんプロの良い顔になってきます。
 有害鳥獣駆除を責める人たちは,シカの生息環境を奪い或いは人間に影響が出るように誘導するような,森林改変,宅地開発,道路工事,法面植生などには,鈍感です。自然保護における動物愛護の矛盾やそれ故の混乱,それが成立できる条件についてももっと論議がされるべきでしょう。人間側のやっていることとして,後ろから鉈を振り下ろしておいて,その後,優しく赤チンを塗ってやっているというような状況が無くはないです。
 しかし,公園猫も含め,動物との関わり方や,その背景にある深い思慮や知識などに感心することも多く,動物に拘わる方の意識やその状況は随分変わってきたなと,Webを見ていて思います。自分自身も抱える矛盾の中で戦っている人たちを影ながら応援したいと思います。
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by complex_cat | 2005-05-27 00:20 | My Shot Life | Trackback | Comments(5)

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