チコの行動で、不思議だなと思うことが時々ある。あまり気に入らないご飯が出てくると、さっと踵を返して一旦外に出かけていき、戻ってくるとそのままの皿を一生懸命食べ始めるのだ。
まあ、諦めて食べ始めるということなんだろうと思ったりするのだが、この一回間合いを外すような行動は、どういう意味があるのか。しばらく考えていたのだが、思い当たることが有った。彼らは、狩場に出かけていって、あまり獲物の状況が良くないと、一旦そこを離れ、少し時間を置いてから、再びそこを訪れるということをやるのだ。
狩場の風が悪いときに、そこにこだわらず、一旦、そこと立ち去るというのは、一つの知恵なんだろう。その後、目にしたものは、やっぱり本人が当初想定していた獲物の探査像より劣っていたとしても、とりあえず、狩って食べ物は確保しておくということなのだろうか。
野ネズミを飼育していたときに、当時実家に居た猫がしつこくケージを気にしだしたので、取り上げて隠したのだが、数時間後、彼女はもう一度最後にケージが置いてあった場所のチェックに来ていた。ハンターとしての作法だろう。
本日は彼の定期検診。血液検査の結果は良くて、治療やメンテの方向はこのままで良いという話になった。前回彼の腰には突発的にトラブルが来たが、そこも含めて、あれから調子も良い。獣医さんに連れてこられている猫でも、気がついたら最高齢に近い年令になっている。そう考えると、定期的な通院が必要にしても、元気な方だなと思ったりする。
でも、どうも今日は勝手が違ったようで、彼が落ち着かない。しばらく肩に抱いて落ち着かせようとしたが、どうもいつもと状況が違う。いつもの獣医看護士の女性が保定役でなく旦那さん先生だったので、そこからさらに機嫌が悪くなった。いや、後の話なのだが、そう奥さん先生に言われて、まさかとも思わなかったのだが、彼女に交代してもらったら、彼の苛立ちは収まったので、その話は本当だったようだ。
チコが彼女にそこまで信頼を寄せて会いに行くことを楽しみにして、多少は通院のストレスが軽減されているのなら、本当にありがたい。彼は男女関係なく、彼が信頼を寄せる人に対してはかなりこだわる。
もともとそういう人付きの、人に信頼を寄せる性格の子だったのだが、その性格が裏切られることは、我が家に来てから、様々な客人を含めてあり得なかったとも言える。