マニュアルフォーカスはお気楽

Macro Planar T* 2.8/60とキスデジ(EOS Kiss Digital N)との組み合わせは，私にとっては使いやすいレンズであると感じております。これは，イオウイロハシリグモDolomedes sulfureus の幼生か。


このクモが乗っかっている，サトイモ科テンナンショウ属の展葉。ムサシアブミやマムシグサの仲間です。もっと巨大なものもあります。
　この仲間は，雌雄同株，雌雄異株で雄株と雌株，個体群で混在するのですが，雌雄異株の場合は，性比が雄株：雌株＝１：５〜１：７に偏るという古典的な仕事があります。この性比にバイアスがかかっていることの説明では，雄株が増えると，実をつけた雌株が目立つようになるので，その場所が局所的に鳥によって食べられる割合が高くなる，一方で雄株が増えると受粉確率が低下して，バラバラに雌株があるので，鳥に食べられる確率が小さくなるということで，その辺りの折り合いが付いたところの性比であるという話を，学生時代に本で読みました。
　しかし，実際には，目立つ色をしている理由が鳥散布種子型であるということの形質であったり，その実自体が，人間が口に入れたら味蕾がダメージを受けるほど，食べられた代物ではない種類がほとんどであったり（後輩が口に入れて転げ回りました），全然，この仮説は説明になっていないなぁと思っております。
　実の話は，その季節になったら，また，ちょっと書いてみたいと思っております。


マニュアルフォーカスだと，このように飛翔中のトンボを撮影してみようと云う気にもなります。
１ショット当たりのコストをほとんど気にせずに「打てる」のは，まさにデジイチならではの長所です。サナエトンボの仲間だと思いますが，まぁ下手な鉄砲でマニュアルフォーカスでトライしても当たらないと云うのも本当のところですが，その場合の足掻き方が，まだ，何とか成るような気がします。もちろん最近のAFは性能が良いのですが，こういう被写体の場合，尾部や羽ではなく頭の方にピントを持っていくのは至難の業です。どうしようもなく見難いキスデジのファインダーであっても，MFの方が，博打としては確率が高そうです。


いずれにせよ，使いやすいマニュアルフォーカスレンズと良くできたファインダーというのは相当に一眼のオートフォーカスが進化しようが，薄い像面を操らなければならない場合には，どうしても限界があります。
　キスデジのファインダーだけ，アップグレードするような手だてをメーカーさんにはご用意して貰えないだろうかと思います。
Canon EOS Kiss Digital N, Carl Zeiss Macro Planar T* 2.8/60



このブログのこのカテゴリーに何度も登場するこのレンズは，独本家ZeissのS-Planar 60mm/F2.8をその原型として日本で生産されたZeissのマクロレンズです。S-Planarを触ったのは，まだ京セラにヤシカが急襲される前，当時初代ＲＴＳに填ったそのレンズを触った私は，当時はまだ学生でした。今のMacro Planarが，当時のS-Planarと同じものとは厳密には云えないだろうとは思うのですが，少なくともＭＰを使っている自分は，当時は想像だにしませんでした。ある意味，今は幸せな世界におります。
　確かに独本家のＧレンズに拘る向きの方のその感性は，尤もだなぁと思ったりもするのですが，その眷属のMP100mm/F2.8と同様，日本製といっても本家との差は個性の違いぐらいであると，私は考えております。特にMP100の場合は，日本製になってネガが消えた部分もあるという風評もあるほどで，当時のヤシカ光学部門に吸収された旧富岡レンズのスタッフのプライドと努力は相当なものであったと推察しております。止めたくても止められないプロジェクトＸのスタッフさん，この辺りのネタはいかがでしょうか？　京セラがカメラ事業撤退を決める前に，放送して欲しかったですけど。えっ，取材の交渉をしたけど撤退が決まっていたから断られた？（っていうのはジョークですけど）

　このレンズは，比較的EOS Kiss Digital Nにマウントアダプターを介して使って，結果は良好でした。銀塩に見るZeissの赤い色などは，みおさんの解説を読んでいるとデジタルの制約上，かなり無理そうなのですが，MP使っているなぁと実感させてくれるだけの画が，キスデジの絶対性能とその相性の総合的な結果として見ることが出来ます。