SONY α7II and Rodenstock Eurygon 30/2.8

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 エクサクタマウントのレンズは、銘玉であっても、本体カメラ自体が癖のあるクラシックカメラで、しかもAlpaほどにはマニアックな人気が出たりしなかったこともあって(これも仕掛け人がいたのだが)、フィルムカメラ全盛期時代でも、それほど高額では取引されなかったレンズが少なくない。でも、日本の一眼レフ帝国が席巻する前の全盛期には、それなりの評価がされていて銘玉が供給されていた。
 古いレンズは、自動絞りをインストールするために独特の機能が本体カメラとの連携メカに存在して、それゆえに、デジタル時代になっても一眼レフレックスカメラでは少々使いにくい部分があった。
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 自動絞りというのは、一眼レフのマニュアルフォーカシングは、中心部のスプリットで基本的にわせることになるわけだが、これは位相差が十分に確保できる絞り開放で機能するように設計されている。つまり、フォーカスを合わせるときには絞り開放で、実際に絞りを実絞りまで絞り込むために、シャッターを作動させる直前に絞りを実絞りまで動かして、再び絞りを開放に戻す機構が、中期以降の一眼レフでは普通になった。レンズを通過した光量を測るTTL測光が標準仕様になると、絞り込み測光だと、フォーカスを合わせて絞り込みさせて、そこで光を測る形式から、絞り開放で測ってそこから何段絞り込むと適正な絞りになるかみたいな情報だけレンズとカメラとでやり取りされる開放測光が一般的になった。現在の光路にクイックリターンミラーが存在するデジイチは、この開放測光と絞り制御が基本になっている。

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 では、ミラーレスデジイチではどうなってるかというと、わざわざ開放でフォーカスや測光を行わない、絞り込み測光かつ絞り込み測距が基本になってる。これはこれで、ミラーを持たない機構であるため、シャッターを切る直前に開放から絞りを露光で想定された実絞りまで絞り込むという余計な手順が省略されている。なんとなれば、絞りが絞られて光が減っても、適正露出である限りモニターには、明るさとして適正な画像が映るように作られているし、そうでなければまずいからである。実絞り画像が見られるようになっているのは、当然被写界深度が深くなってもピントの検出ができるフォーカス機能をも新ストールされたイメージセンサーの性能が上がったこともある。初期のミラーレスが、フォーカスが遅かったり低照度に弱かったりフォーカス迷いまくったりしていたのは必然なのである。このあたりは、私にとっての最初のミラーレス、αNEX6が手元に来たときに、フィルムカメラ時代のメーカーによっては黒歴史扱いになっている、「レンズシャッター式一眼レフ」との驚くべきほどの類似性に気がついて、エントリーに書いてみたりしている。
 曰く
 「像を見るために普段はシャッターを開けっ放し→一旦シャッターを閉じる→ミラーアップなりフィルム面遮光装置を開く→必要な絞りの大きさまでレンズシャッターを開ける(シャッター作動)→シャッターを閉じる→ミラーアップ(遮光装置作動)→シャッターを開ける。
 つまりシャッターを開ける前に一旦シャッターを完全に閉じて,遮光装置を解除するみたいな余分な動作が入るわけで,ミラーレス機も,画像素子の電気的なシャッターを採用せず,電子制御の機械シャッターを走らせるために一旦画像素子をシールドしてそののちシャッターを開けるみたいなことをやっている。ミラーで画像素子をマスクしても象が見える一眼レフと違って,「感光」させるべき画像素子に最初は光が当たっているゆえに,面倒な手順が余分に一回入るわけなのだが,今時のミラーレス機はそのあたりが本当に巧みに出来ていて,クイックリターンミラーのデジタル一眼に比べて,シャッタータイムラグも全く遜色ないレベルが達成されている。

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 画素子を完全に遮光してその上でレンズからの像を見ながらフォーカシングする、更に高速でシャッターを駆動する。ミラーレスは、そういう意味では、意外とハードルが高かったのは、レンズシャッター一眼レフを想定するとむしろわかりやすい。

 さて、ミラーレスの絶対性能が上がった恩恵として、そのテクノロジーは、一眼レフのファインダーでは使い物にならなかった絞り込み測光と絞り込みのままのフォーカシングを、使い物になるようにしてしまったわけだ。絞ってもファインダーは影響を受けないL/M型ライカのレンジファインダーカメラと同様の作法になっている。これは、絞りが作動するタイムラグや絞り羽のバウンド等による絞りの誤差などを生むことがないので、いろいろ有利ではある。

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 逆に高性能クイックリターンミラーのデジイチは、それらの高速制御や露出のフィードバックなどを更に高速制御で行っていて、メカニズムの精緻さは、信じられないレベルにあるとは言える。その分、どんな条件でもある程度のメンテナンスフリーで使えるようにするには、コストや技術的ハードルは上がることになる。新興カメラメーカーでこれをやろうとすれば、これほど精緻なクイックリターン自動絞りとフォーカシングを組み込んで10万枚撮影してもびくともしないミラー一眼レフを作り出すことはあまりにもコストがかかるため、長く日本メーカーの独壇場となってきた。でも、ミラーレスなら厄介なクイックリターンミラー&シャッターユニットを捨てて、さらに基本的にレンズは絞り込み制御でやれるようになったので、ハードルはかなり下がったとも言える。そうは言っても、画素子性能とインストールされたフォーカシング機構とこれと連動させられるフォーカルプレーンシャッターが肝だから、例えば上級機には必須の1/8000secレベルのシャッター制御となると、まだまだ簡単ではないだろう。日本メーカーに追従できる開発能力は、中国などの国では資本主義原理ではなく、国家戦略次第だろうけど、わざわざそこのパイを狙うことはないだろう。国家安全保障や軍事技術転用が効くのはスティルカメラではなくて、むしろ高性能ムービーカメラだろうから、そっちの路線は進めるだろうけど。

 エクサクタマウントレンズには、とてもいかつい金属のバーのようなものがついている物があるが、これが絞りを機能させるための、絞り込みボタンである。ボタンを押せば実絞りまで絞り込まれ、解除すると絞り開放になる。解除するピンがカメラ本体側と連動していたりしたわけだ。カメラのマウント内部ではなく、外側にむき出してあるのが、むしろスチームパンクっぽいデザインを強化している。設計上の限界として、ミラー切れをしばしば起こしたマウント径は、本当に小さくてちっぽけに見えるのだが、このバーだけはなんか強そうに見える。
さて、フィルム時代のRetinaや大判カメラを使いこなす人以外は名前も知ることはないであろう、名門ローデンシュトック様のEurygon30mmも、前玉がドーム状でなかなかの押し出しだ。でも、オークションで私以外盛る人がいなかったのでここにある。最初のあたりの印象は、やや不思議な色味のレンズかなぐらいだったが、今のデジイチのAWB一発、驚くほど艶っぽいラチュードのある見事な画が浮かび上がる。
キスデジの初期の製品で撮影したものが以下の画像。よく撮れているが、今回のような感動はなかった。カメラ本体の性能向上で、むしろフィルムカメラみたいなレンズの資質が拾い上げられている印象。LPレコードから現在のデジタル技術で、より多くの情報が引き出せるみたいな話なのか。
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 ということで、オールドレンズは、半自動絞り、実絞りを前提で使う時代のものなので、ミラーレスは作法を変えずにそれに対応できる。絞り込んでも適正露光調整範囲内なら画面が暗くなったりしないし、AFが使えなくてもデジタルピーキング機能は十分使えるからである。ミラーレスのフォーカシング能力なら、レンズは実絞り絞り込みで、十分追従できるというのがよく分かる。それでも余裕があれば、一旦は、開放で測距してそれから絞り込むというやり方を違和感なくできる人間は、使い回しには苦労しない。もちろん絞り込みにより焦点移動する癖のあるレンズも存在するが、まあ、被写界深度の範囲内に落ち着いているので、近接撮影以外ではそんなに困ることはない。



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by complex_cat | 2019-02-10 22:43 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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