![トランスルーセントミラー〜Sony a7用アダプターとCanon RT_b0060239_21495392.jpeg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201903/26/39/b0060239_21495392.jpeg)
Sony a7系には、クイックターンミラー一眼のαレンズ群を違和感なく使えるアダプターが存在する。トランスルーセントミラーテクノロジーをインストールしたLA-EAシリーズがそれだ。今回α7IIと同時LA-EA4を手に入れられたのは、とても幸運だった。もともとフィルム時代MINOLTAα機をAFの主戦機として使っていたの私は(MF機はYASHICA-CONTAXとZeissレンズ群)、EマウントのAFレンズなどほとんど持っていない。NEX-6購入時のズームセットだけだ。旧ミノルタαフィルム一眼のレンズ資産しか持っていなかったわけだが、それらのCPも高いレンズ描写は気に入っていたので、デジタル時代になってもα機を使い続けた。
α7系のミラーレスには、αレンズ群を使うためのマウントアダプターとして、APSサイズミラーレスのシリーズNEX-6, α6000系用のLA-EA2に対して、135フィルムフルサイズの
LA-EA4が販売されている。LA-EA2は生産を終了したようだ。
ちなみに両者は外見ほとんど同じで、両方が手元にあると混乱する。LA-EA2かLA-EA4かどうかは、こうやってカメラマウントの接続側を見て、フルサイズかAPSサイズか見て判断した方が早いという話。
トランスルーセントミラーとは、一種のハーフミラーで、光路がミラーに当たるとそのまま像をCCDに結ぶ光路と真下にある位相差検出方式AFセンサーへの光路に分けられる。当然、露光が減衰するレベルほど真下のイメージセンサーには光を分けれないので、照度が暗くなるとAF性能については、廻る光がさらに減るので不利になる理屈だ。そのあたりは今の位相差検出方式AFセンサーの性能が上がっているので、まあ、実用上問題になるほどではない。
逆にクイックリターンミラーを動かす非ミラーレス一眼というのは、位相差検出方式のAFセンサーに光を当てて測距したらすぐにミラーを上げ、シャッターを開けてCCDに露光に必要な光を当てたら、シャッターを閉じ、またミラーをリターンさせてAFセンサーに光を当て測距してフォーカスを合わせまた、ミラーを上げてCCDに光を当てて・・・みたいな技をを1秒間に数回やっているわけだ。ミラーはAF精度のためにも、振動せずにきちっと所定の場所に止めねばならない。すげえテクノロジーだが、本当にカメラはお疲れ様だ。
SONYは、ミラーレスのシリーズを生み出す前に、ミラーボックスを持つ一眼レフについても、比較的安価なα55などでもトランスルーセントミラーテクノロジーを採用していた。その御蔭でAFが追従しながら10コマ/秒を達成し、同時に動画機としてもCCDのコントラストAFを使わずに済むため、AFの能力を下げずに対応できた。α55は割とファンがおられて、それなりに評価すべきカメラだった。十分練られた技術とも言える。
![トランスルーセントミラー〜Sony a7用アダプターとCanon RT_b0060239_21500924.jpeg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201903/26/39/b0060239_21500924.jpeg)
手元には、Canon RTがある。これはかつてヤシカコンタックスマウントのZeissレンズを使えるサブボディとして安く手に入れたものだ。このカメラのミラーは、固定式でクイックリターンの稼働がないので、他社レンズであるZeissの飛び出し部分が干渉し難く、アダプターを介して使えるレンズが多かったのだ。しかも、元々オートフォーカス機だから、マニュアルフォーカスで使っても接点のあるアダプターを介せば、フォーカスエイドが使えたのだ。
Canon RTはフィルム時代の極少タイムラグカメラの系譜で、当時のオリンピックの公式記録カメラに採用された、EOS-1n RSの廉価版みたいなAFフィルムカメラだ。どうやって極少タイムラグシャッター搭載を搭載したカメラに作り上げられたかというと、このペリクルミラーがキモとなる。ペリクルミラーは、実のところマニュアルフォーカス一眼レフ時代からキャノンの開発した資産だった。1960年代のCanon Pellixがその実機。当初の固定ミラー一眼カメラの開発意図は、クイックリターンミラーによりファインダーが一瞬ブラックアウトしてしまって、ポートレイトなどで肝心の映っている瞬間をファインダーで確認することができないという、レンジファインダーカメラに対する一眼レフレックスカメラのネガに対応したものだった。
光路はイメージセンサーが組み込まれているファインダー接眼部方向とフィルム面に分けられる。クイックリターンミラーのアクション音もなく、ミラーショックも皆無、ファインダー像が消失することもない、ポートレイトやスポーツ撮影などに対応したカメラだ。このミラーがペリクルミラーと呼ばれていた理由は薄膜鏡ということからだが、半透明の透過型固定型レフレックスミラーという意味では共通している。
SONYの技術者としての説明では、トランスルーセントミラーとペリクルミラーとは全く異なるテクノロジーだという話だ。
ペリクルミラーは光学ファインダーに光を届けながらフィルムに光を通すといったものでしたが、今回のトランスルーセントミラー・テクノロジーは「AFセンサーに光を途切れさせないようにするにはどうしたらいいか」という発想で作られています。結果として透過ミラーと位相差AFセンサーの組み合わせが最適ではないかと考え、研究開発を進めたのです(ソニーに訊く「トランスルーセント・ミラー・テクノロジー」の秘密)。
いずれにしても、ハーフミラーについては日本の一眼レフの歴史に色々絡んできているところでとても面白い。α7/6000系ユーザーにとって、Eレンズを充実させられれば無縁のデバイスになるよねと切り捨てず、過去のユーザー資産をきちんと使えるように用意をするということは、メーカーの信頼やシステムカメラ開発としては重要なことだと思う。メーカーの方も、新たなマウント設計で、同様のレンズシステムをすべて提供するというのは、高額で特殊なレンズほどコストがかかり、販売価格の高さと逆行してあまり儲けも大きくないので、その方が良かったりする。
さて実際の使用感だが、動体に対してはこの方の記事にあるような状況になって、やはり望遠系だと純正Eマウントレンズを使うかあるいは、なるべく最近のαマウント一眼を使った方が良いという話になっている。MINOLTA-SONY系のフルサイズはα900かα99で、前者はかなり前のモデルで底値だ。お買い得だと思うが、やはりフィールドで振り回す私には大きすぎる。どうでもいい話だが。
フルサイズ対応ではなくAPSサイズクロッピングで使うことが前提だが、LA-EAもα7系で使えるというのは、気が付いていなかった。実際の使用感として、広角~中望遠は、α7IIのAF能力をフルに生かすことができないこれらのアダプターでもそんなに困ることはない。短望遠マクロでは、特に風に吹かれてそよぐなのは何やってくるミツバチをとるみたいなことをやると、やはりちょっとAFのふらつきまくりは辛いのは確かだ。マニュアルフォーカスで技術を駆使した方が打率が高いかもしれない。
AF望遠系レンズは持たないので、Eマウントレンズで購入を考えるにしても、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSとか、カーボンクロスロードバイクが買える値段なので(自転車脳換算)、まあ、手を出すことはあり得ないのだが。でも、SpecializedのS-WORKS並みの値段のFE 400mm F2.8 GM OSSとか、ちょっと借りて使ってみたい気は確かにする。確かにその辺りの超望遠レンズは、カメラ本体に仕込まれたスペックや機能をフルに活用して作動する設計になってるので、カメラ性能の持ち腐れにはならないだろう。そういう意味では、最新設計の純正のシステムレンズに勝るものはない。
アダプターによる別のシステムのレンズはあくまで使っても充分に使えるけどねって、エクスキューズ付きの性能ではある。それでも充分すごいのだけれど。