Telemetry覚え書き

このアーティクルがらみで終わっていない宿題は，チコの好物実験を初め，実は沢山あるのです。何れもやり始めると結構大変なので止まってしまっております。その中で，チコと公陳丸のトラブル時のことを考えて，発信器を検討するという話を以前書きました。
仔猫の時のように久しぶりに私のお腹の上で横になったチコ。この首輪に果たしてカスタム発信器は，無事載るのだろうか（続く・・・のか？）。
Canon IXY Digital 400
相変わらず，1/1.8インチCCD4M機，良く撮れると感心。



市街地で動物に着けるなどということをやったことがないのですが，ご近所のＴＶ受信など（我が家もだけれど）に影響を与えないように，かなり出力を押さえないと，ひょっとして使えないかも知れませんね。牛ぐらい大きな動物だと，GPSシステムを使ってそのデータを短く送信するなど方法はいろいろあるのですが。
　自分が以前研究用に自作して使っていたＦＭ電波帯を用いたTelemetry(発信器)の回路の載った文献コピーを探しきらずにいたところ，偶然同じ回路図をＷｅｂ上で発見しました。
日本ツキノワグマ研究所関連サイトツキノワグマ痕跡写真集に，調査の覚え書きがあって，ここのラジオテレメトリーについて１からのシリーズに，よくぞまとめてくれたなぁというありがたいページがあります。大きくて移動範囲の広い動物に適合したやり方で，ネズミなどの小型小動物の電波方探においては，また別のノウハウや調査スタイルが必要なのですが，ともあれ，お見事です。発信器装着調査をする生態学徒は必見です。
　驚いたのは50MHzの水晶発信子を使った150MHzの発信器の回路まで載っていたことで，これは非常にありがたいのです。なぜかというと，　素子の長さは，300÷（周波数(MHz)）÷2となるので，周波数の値が大きくなる（波長が短くなる）ほど，素の素子の長さは小さくなります。50MHzでは，素子の長さがは約３ｍとなり，50MHz帯の場合，二素子の八木アンテナでも，回転半径が1.5ｍ以上になってしまうのです。これはアンテナを建てる場所を確保するだけで一苦労です。だから，国内での野生動物の発信器は全て144MHz帯が主流です。これだと，１０素子とか弱い電波を離れて拾うためのアンテナでも，我慢すれば使える大きさに何とか収まりますし，ロッドアンテナを自動車に搭載する場合も楽です。
　また，電波は凄く飛んで遠いところから方探する場合は都合の良いことが多いのですが，海や山などに反射してしまうので，もの凄く困ることがあるからです。また，50MHzの回路で単純に周波数の高い水晶発信子を使っても動きません。この回路は基本的にその辺りの周波数用の設計であり，それ以上は通常はＩＣなどの流用を考えねばならないと訊いたことがあります。
　今時は，パーツセンターなどで不利な地方在住でも，ネットショップという手があります。本日，千石電商さんに，水晶発信しとトロイダルコア以外のパーツは注文しました。私が発信器を組み立てていた頃と違って，リチウムなどの電池類は飛躍的な進歩を遂げておりますので，１〜２ｇ程度の重さに押さえても数ヶ月間持つような発信器は簡単に作れます。50MHz帯の瑕疵を書いてしまいましたが，最初は，この回路で制作して，装着実験してみようと思います。なんにせよ今の首輪にくっつけるわけで，小さい方がいろいろ便利です。
　水晶発信子とトロイダルコアについては，大都市在住の知人に頼むか，或いは，こちらのサトー無線さんに，メールでオーダー票を送るかで対応するのが楽そうです。
　電波法遵守はもちろんですが，愛猫に着けたい方，誰でもそんなに難しい仕事ではありません。もちろん，野生動物調査用のちゃんとした製品を作って打っているところもありますが，国内については，ちょっと都合によりここではご紹介できません。海外ではATSやHolohilなどがあります。日本には代理店などもちろん無いですし，むこうの製品をそのまま使うと電波法違反になります。また，野生動物用なので，運良く回収できたとしても，樹脂包埋された本体から，電池交換などは簡単には出来ない仕様になっており，基本的に２万円弱の発信器は使い捨てです。
　その辺り，細かいノウハウまでは，ちょっとブログではご紹介しかねますので，ご了承下さい。仕上がったら，また受信機の話と遇わせてご紹介致します。