標準的なクラシックスーその3

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 古いVogtlanderのローコストレンズ、COLOR-SKOPAR 1:3.5/50mm。モーツァルトの時代からの光学メーカーは、今は日本の㈱コシナにブランドを襲名されて、そちらはそちらで最新技術により、意欲的なレンズが生み出されているけれど、こっちはその名門の全盛期の終わり1954年に、コンパクトカメラのベッサなどにも標準装備で売り出されたCPの良い名玉。このProminat用の交換レンズも基本1950年代ということでいいと思う。
 私が、クラシックレンズと呼ばれるものの描写に驚嘆して、そちらの世界に関わり始めた第一号レンズでもある。その時にオークションを眺めていた、写真の師匠が、私がProminantとこのレンズを落札したのが分かって、ああ、ついにって思ってわざわざ電話をされてこられたほどのターニングポイントだ。

 なお、コシナ製Voigtlanderにもこの銘玉の名をつけたCOLOR-SKOPAR 50mm F2.5というレンズがあるが(2009年に生産終了)、そちらとは全く系統関係もなにもない。良いレンズだと思うが、コシナ系Voigtlanderレンズは、手元にお借りしているのが一本だけあるので、そのうちに紹介するつもり。

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 レンジファインダーカメラ用のレンズは、一眼レフと違って、開放f値が低くて、被写界深度がある程度深くなっても、測距精度に違いは生じない。SONY α7IIの液晶ファインダーは、大変見やすく、ピーキングもそれなりに捕まえやすいけれども、流石にf3.5の開放f値レンズでフォーカスの像面を捉えるのは、簡単ではない。そこそこフォーカスは来ているが、拡大して動き回っていたチコの眼にフォーカスが来ているかどうかは、やはりなかなか難しい。最もOriginalのProminat I/IIの使いにくい中心部にしかない二重像合致式のレンジファインダーでフォーカスを合わせるのは、多分SONY α7IIを使って合わせるより難しい。
SONY α7II, original Voigtlander colorskopar 50mm/f3.5


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 それでも、有機液晶ファインダーとそのピーキング機能を借りて、チコの動きをトレースしながらシャッターを押す。厳密に眼にばっちり合焦しているコマは少ないが、開放f値が暗いこともあり、この大きさならあまりバレない。開放f値が暗いと言っても、今時の標準的なズームレンズのそれと同じ程度。

SONY α7II, original Voigtlander colorskopar 50mm/f3.5


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 植物の緑の発色とチコのコントラストで作られた描写。今、値段を調べると1万円以下というわけにはいかないレンズにはなっている。クラシックレンズはバルサム切れを起こして、メンテなしでは状態が良い個体が今後はますます少なくなる。
SONY α7II, original Voigtlander colorskopar 50mm/f3.5


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 チコ愛用の水がめの写り。寧ろデジタルの今どきのカリカリの描写にはならないが、草の線の細さなども合わせて、うっとりする。レンジファインダー専用レンズの設計制約から近接撮影が苦手なので、レンズアダプターには接写用繰り出しヘリコイドのあるものを求めたい。
SONY α7II, original Voigtlander colorskopar 50mm/f3.5


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 クルマの下の方の暗部の映り込みなど、フルサイズデジイチの能力もあってかなり粘っている。
SONY α7II, original Voigtlander colorskopar 50mm/f3.5


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チコを呼ぶ。彼が答えてこちらに戻ってくる。横に色々写りこむものがあるので、待ちピンして撮影しやすい状況だが、連写となると彼の歩む歩を追わなければならなくなるので、まあ、ドタバタ撮影することになる。一応、フォーカスを追い込むには開放にしなけらばならないが、自動絞りは使えるはずもないので、そこから瞬時に必要な絞りまで絞り込んでシャッターを押すという、彼のクールな画とは裏腹に、撮影側は水面下でドタバタする白鳥のごとし。
SONY α7II, original Voigtlander colorskopar 50mm/f3.5


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 これも数コマ撮っているが、かっちり彼の光彩にまでフォーカスがきているのだけ選別したら、歩留まりは一定レベル。デジタルのおかげ。
SONY α7II, original Voigtlander colorskopar 50mm/f3.5

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 戦後、ソ連が戦時賠償として工場も技術者も収拾していったCarl Zeissの技術そのもので作られた Sonnar 50mm F1.5のデッドコピーのJupiter3 50/1.5。コーティング技術や省略などにより、素通しのレンズに近く、ハイコントラストに乗りすぎる傾向はあるものの、そもそも、素の設計出自が天才Ludwig Berteleの手による良品であるため、それなりの描写を示す。
 最近、このJupier3を現代のコーティング技術を使って仕上げるという復刻版が出たようで、Manufactured in Krasnogorsk, Russiaのものが販売されるようになった。カリカリの描写ではなく、それなりの雰囲気があるポートレイト向きみたいな描写のようだ。このあたりは、確かに開放で使うとそんな感じで、今時の開放からしっかり描写するレンズとはちょっと違うのだが、それでもレンズの味として回収できる範囲で、決して甘い性能ということではない。


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 インスタグラムでは、各種多様なタイプの美男美女のポートレイトが目白押しだが、ネェちゃんフォトには無縁な私が撮るとなるとお姫様ユッチになる。なんとなく柱の立つベッド(語彙がないのでそういう表現分かります?)で寝そべる美女みたいに見えるでしょ(見えない。

SONY α7II, Юпитер Jupiter3 50mm/f1.5

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 このレンズ、自分がフィルムで使った時には、繊細だが解像感があるレンズという印象だったが、恐らく後玉とCCD間での反射影響もあるのだろう。そのあたりはデジタル専用設計でないレンズの瑕疵が思ったよりも、強く出てしまっているのかもしれない。ちなみに、デジタル専用設計レンズになって、後玉の反射による画質低下は、かなり見直されたのだが、私の場合は、MINOLTA純正のAFレンズを含め、対策前のレンズを使っていても、それほど問題を感じたことがなかったので、クラシックレンズを含め、ほとんど気にしたことがなかったのだが、このレンズについては、コーティングなしと後玉周辺形状などにより画質低下影響があるのかなと疑わざるを得なかった。もう少し天気の良い時に、再撮影を考えている。
SONY α7II, Юпитер Jupiter3 50mm/f1.5


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 某駅弁国立大学の林縁を抜ける道。わけあって次男と末っ子と歩いた。ここの林縁の中でカミキリムシの幼虫を取ってきて食べたら旨いよとか、まあ普通の人が言わない話をして中を回った。
SONY α7II, Юпитер Jupiter3 50mm/f1.5


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 いろいろなものが流れ込んでて、とても飛び込む気にならない溜まり池。道頓堀プールよりましかなと思ったりするが、かつてここで焼酎を飲んだ勢いで、水泳の対抗リレーが行われたという。あの橋の下をくぐるのが大変だったと言っていたやつがいた。適量を超えた焼酎はあるタイプの人間にとっては、すべてを可能にする。私の先輩は、ある日深夜、福岡の某大学近くの川の汚泥の中で一生懸命もがいていた。本人は泳いでいるつもりだったようだが、今は水産系の大学の教授である。飲んでいて消えたので、どこに行ったのかと探していた。
 今時の学生さんは品行方正を要求され、外した場合のリスクも大きい。純粋な、ああ馬鹿やってるなで済まない方向の馬鹿をやってしまい、ネットで拡散いう流れも少なくないのがむしろ気になってしまう。ただ、ネットに上げられた場合、特定されその後、いろいろ言われてしまうというリスクが大きいので、人様の車をひっくり返して壊すとかの犯罪ではなく、単純に誰にもほとんど迷惑をかけない馬鹿な行為が馬鹿な行為で済まなくなるというご時世でもある。

 あ、何の話だったか。石橋の上面の反射など、やはりややハイライトにやや乗りがちの描写になりがちという印象のレンズ。そういう意味でも女性ポートレイト向きかもしれないのであまり私の撮影では出番は来ないなという印象を強めた。でも写っている建物や木々の線は繊細だ。
SONY α7II, Юпитер Jupiter3 50mm/f1.5

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by complex_cat | 2019-06-20 23:05 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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