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Dancing with his destiny

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多くの自然景観や生物との関わりは続いているのだけれど、個人的には大変な年だった。

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 チコは、未曾有のトラブルに遭遇し、家族全員が懊悩しながらも、ギリギリ彼を死の淵から取り戻すことができた。
 我が家のゲートから侵入したバイクに、彼は大腿部と腸骨を破壊されたのだ。現役引退で庭をうろうろするだけになって遠出しなくなっていたので、まさかこの中にバイクが入ってくるとは想定もしていなくての事故だった。バイク側も悪意があったわけではない。本当に不幸な事故であったと思っている。

 チコの主治医の先生お二人は、レントゲンを撮り診察をしたのち、緊急で大学獣医学部病院に連絡を入れてくださり、MRIと診断を受けるように私に指示した。
 今のこちらの獣医学部のMRIは、像映された任意の部分をパーツ化して可視化に邪魔な部分は消すことができる。担当獣医師は、彼の尻尾を画面から消すと、詳細な説明をしてくれた。彼の左後脚大腿骨と腸骨の破断は絶望的だった。
 彼の心臓と腎臓の検査結果を見て、関わった獣医師全員の判断は、手術不能。手術中に彼の体は負担に耐えられなくなり死亡する公算が高いとのこと。つまり最終判断は、ペインケアだけして、彼の体の中で破断された骨を繊維化細胞が包み帳尻を合わせるのに任せるということだった。
 無論、手術が可能でも、つなぎ合わせる手術は、とてつもないものになったろう。その覚悟はしていたのだが、そこまでも辿り着けないという説明を聞いて、私は勿論ショックを受けた。家族になんて話そう、特にチコの異父母兄弟としか言いようがない末っ子にはと思った(結局そのまま話した)。

 それからの話は、少し省略する。実際に彼が身に受け続ける苦痛と経過次第では、安楽死を考えねばならないかと覚悟したが、チコはチコであることは変わらず、彼はあくまで彼の運命とダンスすることを選んだ。

 状況変化に対応した主治医ご夫婦の的確な指示に家族全員でのケアで、その日その日をやり過ごしている間に、時間は過ぎていってくれるのか、チコはどうなっていくのか。はっきりしたことは何も分からず、家族で海に乗り出した気分だった。

 事故は9月20日。それから3か月経てば、前脚だけで匍匐前進ぐらいはできて部屋のあちこちに移動できるかもしれない。これも特殊な事例での話ではあるが、それは彼をフォローしてくれる主治医の先生方の経験からの予想だった。

 実際には1か月後の10月22日、ぎごちない動きてはあるものの彼は4本の脚を使って歩き回るようになった。家族の誰かが付き添うことで庭に出られるようになっていた。垂直に2mを飛び上がり、近隣の猫を出し抜ける運動能力の最後の残渣とも別れを告げねばならなくなったが、普段の散歩には十分だ。
台所まで食べたいものをねだりにくるスピードは驚くほどだ。というか以前の移動のペースに戻っていた。
排便においてやや後遺症は出たが、奇跡の回復だった。彼が事故に遭遇して、身動きができない状況に気がつくのが比較的早かったということもある。結果的にだが、神経や循環器系に受けたダメージも小さかったのが幸いした部分もある。

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 事故から3か月を過ぎ、今は食欲は完全に復活した。右下は昨晩も、すき焼きで味付けした豚肉が気に入って、何回もお代わりを要求してる時の顔だ。刺身顔だったりする場合もあるけど、これは薄く絶妙に味付けされたすき焼き味の豚肉顔だ。

 『塀の上にいる虎に狙われていて、襲われないようにその虎に向かって鳥の唐揚げを投げて食べさせてたらその虎が途中からかチコに変わったの。』ワイフは、彼の元からの選り好みの酷い状況に消化系の負荷からか拍車がかかり、日々プレッシャーを感じて新たなパウチを探して回る日々。こんな夢を見るほどだ。

 車での高速を使った彼の通院や医療費の経済的ふたんは、遠距離にいる親のまともなケアやフォローすらできてないのにと思うこともある。私が泊まりの出張を入れるのは、チコの問題が生じる前から、訳あって最少にしてもらっているのだが、私がいないときにはわいふに全ての負担がかかってくる。
ワイフの夢は「ああ、僕たちは虎と過ごしていると思おう。だったら、食費やケアが大変なの当たり前だし。『千の虎』と書いてチコ。当て字のネタだったけど、虎千頭と暮らすと思えばなんとかなると思う」などと私が余計なことを言ったからだと思う。
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 隣の畑を末っ子と一緒にチコの散歩に付き合っていたら、畑の持ち主の奥さんがやってきて、「あらまぁ、チコちゃん、しばらく見ないうちに、体が半分になってしまって。好きに散歩させて写真たくさん撮ってあげてね。皆んな歳を取っていくねえ。」と言い残して立ち去って行かれた。
 チコが全身筋肉の塊で6.8kgあった時代を知る彼女の言う通り、彼の体重は、今、約半分である。

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 チコが奇禍に遭遇し122日目の大晦日その日の姿。チコも様々な人に、見守られて、尻尾を立てて末っ子と歩いている。家族と共に年を越せることを感謝したい。

追記ーこの件は、ごくごく親しい人だけに知らせて秘匿していたわけではないが、ブログには書いてこなかった。彼のケアについて、手探りで家族で悩んでいたこともあるのだが、何とか彼に以前並みの生活をさせられるかもしれないという光がはっきり見えてきたことで、記録として書くことができた。末っ子とこんな風に尻尾立てて出かけられるようになるとは、事故直後数カ月、正直思っていなかった。散歩はSP付きにはなるけど、彼も17歳を過ぎ、もともと遠くには行かないで戻ってきていたので、行動的な制約は最小限にできてはいる。彼が外に出たいとなれば、誰かが一緒に外に出る。寒い日、悪天候の日には、本当に外に出なくなった。

Commented by umi_bari at 2019-12-31 20:48
今年もいっぱいありがとうございます。
アラックの知らないことがいっぱいでした。
チコちゃんの頑張りも感動ですよ。
来年も宜しくお願い致します。
良いお年をお迎えください。
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by complex_cat | 2019-12-31 10:06 | Cat Family | Trackback | Comments(1)

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