7年使っている、GarminのGPSがボロボロになりつつある。とはいっても、防水ラバーと一体となっているスイッチ部分が劣化して、気が付いたらもげるという状態。本体機能には問題はない。 右側のメインスイッチが昨年同様の劣化破損の仕方をしたのだが、その時は、ネジとホットボンドで急場スイッチを作って対応していたのだが、押し釦の部分は全部こんな感じで壊れていく。このモデルは、小さくてGPSロガー代わりに使っても負担にならないので気に入っている。メーカーの現状のラインナップだと、etrex 20/30は後ろにxが付いた「みちびき」対応日本向けモデルが出ていて、そちらに移行しようかなとも思った。なんと言ってもみちびき対応である。
しかし、あちこちのGPSの記事を読んでいて、ちょっと考えが変わった。今時のスマホ自体搭載GPSが既にみちびき対応になった日本モデルは多い。私のiPhone6sPlusは、遠からず買い換えないと拙い状況になる上に、みちびきだけで新たにGPS出費をする理由が弱くなってきた。
・現状のetrex20でも十分使えている。
・本体機能は壊れていないので、スイッチ修理だけの問題。
・これは英語版バージョンであり、たたき売りで12kで購入。
・後継モデルでもみちびき対応とはいえそれなりに出費。
・中のスイッチを押すだけのパーツをつければ済む修理。メーカー修理は安くはない。
・100円ショップで使い物になりそうなものを探していて、あるものに気が付いた。
ということで、こんな感じの修理になった。
もとは犬のおもちゃ用の金平糖型のゴムボールを見ていてなんだこれそのまま使えるし防水処理も楽じゃんってことに気が付いた。100円で買って、切り抜いて瞬間接着剤で裏表ひっくり返して、接着するだけだ。
ボタンを押すのにはいい塩梅で抵抗があるから、以前の修理のように(ネジとボルトの間に噛ませられる適当なスプリングを入れるのを忘れた)勝手にスイッチがオンオフになったりすることもない。ちょっと押しにくいなと思ったら中心部にボタンを張り付けて少し高くしてやるともっと使いやすい。トキトキの長さが足りないときは足してやる、長い場合は切ってやることで調整はできるだろうと踏んだが、この高さは丁度良い高さだった。
猫の肉球みたいなのもパターンとしてついているから、ついでに切り抜いて、メインスイッチに着けた。オシャレでしょ?
瞬間接着剤で貼って問題なさそうだが、貼り付け部分からはがれて浮いてくるのを防止するために、側面をやっぱり何とかの一つ覚えホットボンドで固めた。ぶつけても大丈夫だろう。ホットボンドべんりやっか。
素人修理だが、スペックとして心もとないことは無くて、地図表示付きGPSロガーとして、サブのGPSとして使うなら何ら問題はないという判断。まともなメイン機は、ハードフィールドに行く場合は、借りられるので、今のところプライベートではこれで問題はない。
追記ーこのeTrexシリーズのこの部分の脆弱性をカバーするために、文字通りGarmin eTrex対応のシリコンケースは、必須と思われる。
最近は、スマホにGPS機能がついて、本格的フィールドワーカーでなくても、普通に誰でも常にGPSを持っている状況となった。それ故、GPSの使い方と山行に関する誤解から、寧ろ、遭難、事故に遭うリスクは上がっているのじゃないかなと思っている。もちろんGPSのありがたい機能のおかげで道に迷っても、目的地がどちら方向にあるかと知ることができて、難を逃れるというのは、生じているだろうとは思うのだけれど。
例えば上記のような山岳ルートがあったとする。現在地から目的地までの平面上の移動距離は400mちょっとぐらいだ。これ、市街地の平面で考えると、どうやっても目的地にたどり着くことは簡単だ。大きなグラウンドや広場なら、どんな選択をしようが、まっすぐ一直線に向かおうが、目的地にたどり着ける。極端なことを言えば、目をつぶってひたすら走れば、いい。オリンピック選手なら1分以内にたどり着ける。
ところが山岳ルートとなると意味が違ってくる。自分の位置と目的地の位置が分かっていてもダメなのだ。読図とルートハンティングが必要になるのだ。
下の図は、本来の登山道を黄色で示していて、ある地点からルート選択を間違えたとする。無論、間違えた本人も目的地の位置はGPSで分かっている。そちらに向かっていることは確かだから、ルートハンティングを間違えていたとしても、本人はあまり不安を感じてないかもしれない。しかし、登山道が登山当たり得るのは、例え悪路であろうが、そこを通って何人もの人が目的地にたどり着けるというテストを経ている道だからである。
ルートハンティングの失敗故に選んだ下に流れてしまったルートは、単純に複数の滑落リストの高い地点を含んでいると普通に考えられる。○囲み番号が進むほど、回避不能の悪魔の顎に向かって突き進んでいること、そして引き返すための技術的心理的ハードルはどんどん高くなっていくことを、ルート・ハンティングの意味を知らない人には分からない。微地形の起伏すらない、つるんとした丘であれば、問題は少ないが(それでも足を突っ込んでくじいたり骨折したりする穴などは存在するするかも)、沢山の人が通過して目的地にたどり着けている道とは全く違う滑落ポイントや、一旦降りたら容易にはもどれない形状の地形は一定数含まれる。つまり頑張って降りたけどその先移動が無理で、引き返すにも滑落リスクなしで戻れなくなるか、全く動けなくなるというトラップにも山行、ルート・ハンティング技術がなければ容易に陥るのだ。
追記ールートが間違っていなくても、その時の気候条件で、そのルートが最悪の選択となる場合も簡単にある。屋久島での沢の渡河で失敗して流水の圧力で流されたことをきっかけとして二名が亡くなられた場所を、私はその後に何度も越えたが、晴天が続いていれば、なぜこの場所で人が落ちたのわからない場所だ。現在はそちらに誘導される人がいないような対策が取られているが、緊急避難的にも使えないようにしてしまうというのも、長短はある。
また、整備されて安全なはずの登山道でも、台風の直後では様相が変わる。例え、経験があろうとも、地元のリアルタイム情報を得て動くということが常識化されていない人に手を引かれて歩くのも、リスクである。
読図などの山行技術やルートハンティング技術の必要性はそういう部分でもあり、平地移動と同じように考えていたら容易に最悪死亡するトラップに陥るのだ。普段、整備された人為空間を歩いているのとは違い、ただの起伏のある地形というだけではなく、足元がいきなり危なくなるということ自体、ハードフィールドワークの経験のない多くの方には、なかなか理解され難いと思われる。大抵のキャンプ地では登山道は整備されている。これは危険ポイントの抽出、危険喚起や排除が行われているということだ。整備のテストでは実際に人が歩くわけなので、そこで行われることは、通行を妨害する岩や倒木を排除するということだけではないのだ。テスト済みということだ。
昨年youtuberの方が、富士山の雪渓で滑落して亡くなられたが、この件についていえば、彼がその場にはあり得ない冬山の装備と技術であそこまで入り込んだのが、一義的な問題であったわけだが、滑落前に、フェンスに沿って移動してしまっているのを見て、ああ、完全なるルート選択ミスもしてしまったのだな感じた。あのフェンス横はルートではないのだ。だからただでさえ滑落しやすい場所の正に最悪のルート選択をしてしまわれたのだ。都市区間で暮らす人間の性質としてフェンス脇に向かってしまったのが分かるので、そういう勘違いをせずに的確なルートを選ぶというのは経験や事前チェックが必要だ。まともな山行では、ぶっつけ本番なんてない。下見は必然であるなどということも多分ご存じない人が多いと思っている。
積雪の状況は更にリスクを上げただろう。平地であれば、現在時点とゴールとの間に無数のルートが結べるのだが、まともな装備であっても、確かなルートの線上を歩かないと、雪渓においてはリスクはうなぎのぼりに跳ね上がる。それ故、力づくでともかく登ればよい、のではなく、正しいルートに自分の足を積み重ねていく目が必要になる。
何度も書くが、ルートハンティングの失敗によって更にリスクが係る地点に足を置いて移動することになれば、滑落、移動不能リスクは格段に上がってしまう。山行は時間との勝負でもあるから、時間がかかってしまえば、更に夜間山中で過ごさなければならなくなるなど、滑落しなくても、死亡フラッグが立ちまくる確率はどんどん上がっていく。
登山道は整備されていても、アスファルト道路とはわけが違い、微地形も刻々と変化する。どんな高性能GPSと地形図があろうが、地形と自分が正に足を置いて辿るべきルートを正確に示してくれるような代物ではないのだ。分かりやすいハイキングコースでないような低高度の山であっても、読図とルートハンティング能力が不可欠になる場合がる。そして、スマホの一般的な地図や衛星画像では、危険を回避するための地形を読むには情報が足らない。最低でも必要な1/25,000の地形図の意味と価値を知らずに山に入ってしまうということ自体が、通常の市街地の移動と山岳ルート移動の違いを理解していない結果ではあると思う。地形によっては、あるいは距離によっては、リスクを感じることなくて、スマホ便利じゃんで終わるかもしれないので、そのことには余計に気が付きにくいだろう。
ルートハンティングの意味が変わってくる冬季においては、さらに危険な話である。ゴールの方向や自分との相対的な位置が分かることが、リスクなく目的地に着けることを保証してくれる状況とそうでない状況との違いが判らぬまま、スマホであろうが、ガーミンであろうがGPSの位置情報が分かることだけに頼って入山することは、多くの山では死亡フラグとなってしまう。
スマホのGPSは本当に便利で、整備されたキャンプ場などでの行楽などでは問題はないだろう。自分向かうべき目的地の方向や自分がいる場所との相対的な位置が分かることは、それだけでありがたいものだ。しかし、残念ながらリスクなく目的地に着けることを保証してくれる状況とそうならない状況との違いはそんざいする。それが判らぬまま、スマホのGPSに頼って入山することは、何度も金太郎あめのように書くけど、フィールドによっては死亡フラグとなってしまう。
参考までにリンク先のやり取り、ダブさんのツイートだけでも読んでいただければ幸いです。
一部はこんな感じ。だぶさんとのツイッターでのやりとりを全部貼ったら、コードだらけで20,000字超えましたのでアップできません、ってことになってしまった。それ故です。
スマホは便利なんだが、丸一日の行動には電池が持たない。必ず予備電源が要る。紙の地図は電池がいらないし、濡れても壊れない。スマホに命を預けるのは好みじゃない。
ちょっと長々と書きすぎた。まとめてみよう。
スマホのGPSは便利だが、地形特異的な滑落リスクを避けるための正確なルートハンティングをしてくれるわけではない。平面空間なら何も問題ないけど、山はそうはいかない。読図の履修や経験者について経験を積むなど、登山ルートをちゃんと見極めることができるようにしておかないと、フィールドによっては方向が分かっていても、目的地に着く前に、滑落するトラップにかかるか日が暮れて遭難コース。
最低でも1/25,000地形図がインストールされているGPSはその点では、山歩きのツールであり、スマホのアプリもそちらに近いものが出てきているが、より情報がつかみやすいかというとそうでもない。紙地図のブラウジングには勝てない。
追記ースマホでもGoogleMapではない読図がきちんと可能なアプリ、Geographicaやスーパー地形は必須だと思う。スマホで使うこれらのアプリは、ある意味Garminより優れいているが、分厚い保護用のグローブをしたまま操作はできない。専用機の意味はなんでもできるジェネラリスト的スマホとは違うのだ。
こんなところだろうか。便利な道具はその特性と限界を理解して使いましょう。
追記ーこれがみちびき対応の後継モデルで、内部に電子コンパスが入っている上位機種の30xは、数歩歩かなくてもどちらに向かっているか進行方向が出る分少し便利だが、実際の体感としてはそれほど違いはない。新型の20/30xでは、カーナビ機能などもついているはず。
小型なので割とぶつけにくいけれど、ハードワークが前提ならケースに入れた方が良いだろう。miniSDのデータフォルダーなど初期の20系はやわで、衝撃で内部が壊れたりしたけれど、地図は後付けではなく最初から全国版の地図がインストールされている。いろいろ改良されていると思う。
私の旧モデルは反射液晶のバックライトをつけずに使えば、1日の活動時間中は電池交換は要らない。反射液晶だから明るい日光の下ではその方が見やすい。新型のバッテリーライフについては、使ってみないと分からない。
後継モデルが出るということは、Oregonなどのモデルと違って一定の評価があったのだろう。Garminは、ユーザーが人柱化する外れモデルも出ることがあるので、注意が必要です。そういうのはあっという間にカタログから消えるから、フットワークも早い。ある意味、人の生死に直結するデバイスを作って販売しているという自覚があれば、そうなると思う。
新商品で状況はがらりと変わるし、できればヘビーユーザーのアドバイスをもらえた方がいい。スマホを意識したタッチパネルタイプもあるけど、フィールドでの使用感では、やはりボタンタイプが良い。分厚い手袋越しに操作できるというのは、それだけでリスクが減る。
最近ではイリジウム衛星ネットワークを通して、カスタムおよびプリセットされたテキストメッセージや電子メールの送受信ができる(inReach テクノロジー)機種などもある。測地ができる状況であれば、SOSのメールを転送したり、限定だがテキスト送信によるコミュニケーションが可能なデバイスもある。