このシリーズも3回目。チコを出汁にして、好き勝手な音楽の趣味を紹介してるようでもあるが、最終的に選択権があるのは彼だ。
サラ・マクラクランは、カナダのフォークロックシンガー、クラシックの声楽も学んだ彼女の声は、カントリー調にもエンヤ調にも聞こえる稀有なボイスの人。1980年代後半から90年代の、ネオ・フォークロックのスザンヌ・ヴェガやシェリル・クロウなどの女性アーティストの一角となって、彼女と同じカナダ出身のアヴリル・ラヴィーンがカバー曲を歌うなど、時は流れていったが、彼女自体の活動も長い。
デビューアルバム含め、ヒットアルバムは多い。多くの人が聴いたことがある楽曲として、大ヒット映画"Toy Story 2"の"When She Loved Me" (1999)がある。カントリーバラッド調だが、彼女の作品。大事にされていたはずのおもちゃであるジェシーがいきなりガレージショップの露天に段ボール一山として捨てられた悲劇のシーンのバックに流れた曲で、これ見て、おもちゃを捨てられなくなった少年少女は当時、少なくないのではと思ったりする。まあ、あの頃と違って、ガレージセール文化の弱かった日本も、今ではオークションサイトだけではなく、メルカリもあるけどどうなんだろう。
上記アルバムはベスト盤ということで、かなりお買い得品だと思う。アップテンポな歌曲も多いが、スッと流れていく彼女の声は、存在感はあるけど、お昼寝時には決して引っかからない印象。
『戦メリ』と言っても今の時代どれくらい通じるか分からない。もう40年近く前の作品だ。坂本龍一氏とデヴィッド・ボウイとビートたけしが共演した、戦争映画『戦場のメリークリスマス』のメインテーマとなった。このアルバムはそのサウンドトラックとは、直接は関係なく彼の単体のアルバムだが、最後に映画のタイトル曲『禁じられた色彩』が入っている。映画の評価は様々だが、名作だと思うし、楽曲は英国アカデミー賞をもらった。デヴィッド・シルヴィアンはこれ以前にJapanという海外ビジュアル系ロックの走りみたいなバンドのボーカリストで、クイーン同様、当時のロック少女の胸を熱くさせた。今は、この流れから想像できるように、ミュージック・コンポーザーやオルタナティブ・ロックの実践者でもあるが、坂本龍一氏や矢野アッコさんらとのコラボ作品も多い。
心を鎮静化する深い闇の中に佇むようなボイスによる楽曲は、全体夜想曲的で、チコもよく寝ている。チコはお客さんについては男女区別なく歓待する猫だが、彼にとって男性ボーカルは、この手のボイスが良いような気がしている。
エリック・クラプトンって誰?って次男に聞かれて、「Beatlesの楽曲(While My Guiter Gently)でギターを弾いてたこともあるギターのレジェンド」って答えた。初期のヒット曲『レイラ』など熱のあるロックの人だが、年齢を経て紳士淑女が正装で集まるようなアンプラグド・コンサートも普通のスタイルになった。
このアルバムは、彼のクリーム時代など、全く知らない人までも虜にしたこれ以前のヒット曲、『チェンジ・ザ・ワールド』と『ティアーズ・イン・ヘヴン』もついてお得だが、クリーム時代からのファンからの評価も高い。
クラプトンは、SMAPとの親交もあって彼らに楽曲を提供したり、かなり日本フリークでもあるが、このアルバムジャケットも、彼のお気に入りの日本のアニメーター貞本義行氏の手による。ジャケットのイメージ通り、ファンを興奮させる熱量のある曲なのに、心は鎮静させる不思議な効果がある(気がする)。ピルグリム=巡礼者のイメージは裏設定なのだろうけど、それを感じさせる楽曲群。
おじさんの落ち着いた声は、チコには良いのだろう。
バルビローリのシベ2は、ロイヤル・フィル版もあるのだけれど、ファンの評価が高いのは、こっちのハレ管弦楽団版の方。1857年から続く、伝統のオーケストラだが、バルビローリが第二次世界大戦末期の1943年、徴兵でガタガタになっていた楽団を女性演奏者を入れて育て上げることにより、再建した。文字通り彼の手足となった黄金期の作品。Sirの称号を持つ彼のシベリウスでも名盤というのは、知らずに懇意にしていた今はないレコード屋さんで適当に購入していた。クラシックが好きでもほとんど素人の私が、何も考えずに適当に選んでいて名盤が買えているという状況は、そういうお店があったからこそなのだ。
そのお店のオーナー夫婦は、Amazonやネットサービスの襲来のはるか前に、自分たちの商売がもはや音楽シーンにとっての意味や価値が変性していく状況を肌で感じ取って、廃業されていった。私の住む街の音楽喫茶やジャズ喫茶御用達のお店で、地方の音楽ファンには有名だったお店だったのだが、それ故、判断はとても早かった。今考えると、愛した音楽を嫌いにならないようにするためだったのでは?って思っている。
クラシックシンフォニーはダイナミックレンジが広いので、ピアニッシモでボリュームを調整すると、マックスのときには音量が出過ぎて、そっと子守唄にして流すには向かない。逆をやればピアニッシモで音が聞こえなくなる。それでも、やっぱり聴きたい曲はあるので、まあ、音量を途中でいじってチコの様子を見たりする。
このニューエイジ系のアルバムは、なんとなく能書きはあまり書きたくないのだが、とりあえず、マントラ風のよくあるパターンのそれではある。
Singh Kaurはキーボード奏者のKim Robertsonとのユニットで、
1988年にビルボードニューエイジミュージックのリストに乗った結果、 英語版Wikipediaにも乗るレベル では、 かなりの商業的成功と評価がなされているアーティストの一人だ。この人の名前は、彼女がシーク教徒である必然通りの名前で、 教徒社会全体で Singh (獅子) という名を付けることになっており、Kaurも彼らがよく副名とするKaur(姫・雌獅子)そのものの名前だ。 名前読みも「シング」ではなく「シン」「カウル(カー)」だと思う。
最初はMike Oldfieldの"Incantation(呪文)"やイタリアのPepe Minor(キング&フォノグラムレコードのプログレッシブロックコレクションでかなりの人が知って評価した) みたいな音楽を探していて、 見つけたわけだが、当時のニューエイジ系ショップではよく売られていたようだ。それでも波動がなんちゃらとかチャクラがくるくる回ってなんとかとかそういう能書きを付けないと売れない毒にも薬にもならんようなところで、結局は音楽作品たり得ず忘れ去れていくその手の多くの音楽CDの中で、売れていた数少ないアルバムだったと思う。
まあ、元を正せばマントラ(宗教的真言 )音楽なので、同じ繰り返しで、 "Incantation"みたいなプログレッシブ・ロックの大作叙事詩みたいなのに比べると本気で繰り返しばかりで、曲の長さも中途半端なのだけれど、マントラ的にはこれ繰り返し流せれば良いだけの構成は既に表出している。
今時はヒーリングやニューエイジは、それと紐つけられやすいヴィーガンや環境保護アクティビストの特に過激な人たちへの行為によりそっち方面への風当たりも強い世になって、こういうのがずっと流れていると、引かれる可能性はあるかもしれない。面倒な時代になったなと思うけど、子供や猫のいる部屋のおやすみタイムには使えそうだし、実際、そういうニューエイジ的なものへの変な羨望がない人も、雨だれ音楽として評価して使っている人も少なくない。まあ、好みはあろうが、音楽的に大したことがないと「ヒーリング・ミュージック」を標榜している作品でも、実際にすぐに飽きるのが常だと思う。そういう意味では、その世界で生き残った人だと思う。
髪振り乱して、ヘッドバンキングの「共鳴」も普通にやっていたシンフォニック・ゴシック・メタルの雄、Within Temptationのオーケストラとアンプラグド的(あくまでパフォーマンスであるので「的」)なライブアルバム。プログレッシブ・ロックにはバラッドとリリシズムの極地みたいな曲が混ぜ込まれるけど、このバンドが長く評価されてきたのは、やはり楽曲の美しさみたいなものがあって、他の類似の人気バンドも、そういう裏技飛び道具みたいな静の名曲を持っているのが常。ライブでホコリが壁に貼りつきそうなパワーと、リリシズムを煮詰めたような旋律の名曲も多く出せることで、評価が確定した部分もある。
ボーカリストの Sharon den Adelの突出した歌唱能力や表現力も楽曲の柔軟性においては大きく作用していると思う。彼女の盟友、 元ヘビメタバンド Gathering のボーカル、 Anneke van Giersbergenも鉄板のデュオ曲 Somewhereで登場する。
アネクの古巣のメタル・バンド、Gatheringも最初はデス声の男性ボーカルだったのが、シンセ・ロックやプログレッシヴ・ロック、オルタナティブ・ロックに路線を変更していった。商業的にも、必然だった部分がある。プログレッシブ・ロック的なニッチは、広くはないけれど、かつてのビッグネームのバンドが消滅、活動休止に至っていった流れにおいて、世代交代的にも、そういった音楽を求める需要に対応できる正式継承者になり得ることに一部は気がついたのではと思ったり。
猫の睡眠を全く邪魔しない毒のないパフォーマンスではないけれど、やはり夜想曲的なものが必要なシーンでは、小音量で、綺麗に鳴らすことが必要ではあるのだが、そういう使い方でチコには許可をもらった。
ちなみに、アネクは、あのプログレッシブロックのレジェンドの一人、既に故人となった、John Wettonとのデュエットで、ものすごくリリカルなバラードを歌い上げたりしている。シャロンとの相性は最初は飛び入り的におこなったデュオの観客受けがものすごく良かった結果なのかどうかは分からないが、多くのライブで二人のデュオパフォーマンスは、行われている。彼女のアルバムはチコ向きの本旨とは別なので番外。
洋楽好き、歌唱力に自信のある女性は、ぜひともこのデュエット曲に挑戦していただきたい。ライブ受け良いはず。
Hooverphonicはベルギーのトリップホップグループだったのが、もともとソングライティング能力も高く、ジャンルがオルタナティブ、エレクトロニカ、エレクトロポップ・ロックへと広がっていった。これは前中期のヒット作で、あのSarah Brightmanがこの中の"Eden"をカバーしたことで、バンドも曲も一躍有名になった。Sarah Brightmanは、アメリカンプログレのカンサスのフォークロック曲”Dust in the Wind”なども歌っていて、良い曲ならジャンルを問わず、カバー曲にしたりする。
"Eden"、"This Strange Effect" はモトローラの宣伝に使われ、菅野よう子による『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX OST 2の』の「Cyberbird」に"Battersea"をサンプリングで使っていることが知られていて、知る人は知る重要なアーティストと言える。
このアルバムは前中期のバンドの人気を支えた
Geike Arnaert がボーカルを取っていた時代のヒット作。浮遊感のある、でもメロディがついて離れないきよくが多い。スタジオだけではなく、ライブパフォーマンスも良いバンドとして知られている。ボーカルの人選レベルが高く、歴代歌姫は変わっていったが、いずれも彼女たちのパフォーマンスが素晴らしいということかなと思う。前任の、Noémie Wolfsのボーカルも良かったのだが、活動を継続してくれているのはありがたい。 チコの反応を見ながら、小音量でかすかに聴くのも悪くない気がする。
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