チコが奇禍に遭い、何度か命の存続が危うくなる危機に陥り、その度ごとに主治医の先生の治療や的確な指導のおかげで家族でフォローするための突破口を探しながら日々暮らしてきた。
チコが出かけるというので、彼と末っ子と雨の中、菜乃花畑を行く。修復不能と言われたダメージを負いながらも半年が流れ、ここまで来られた。
彼は本当に凄い。因みに末っ子はスキーに行ってもこの格好で動き回れる特殊体質。氷点下でもx-menみたいな発熱能力により?ランニング、短パンでも全く平気な彼の異父母兄弟である。
彼に再び、菜の花の花咲く畑を歩かせてやりたいなんてことは、当初、間違っても望めるとは思っていなかった。もう一度だけ、菜の花畠を抜けて好きなところまで畑を歩かせてやりたいと、彼が回復するに従い、思うようになった。同時に幾つかのトラブルが予想もしない形で顕在化してきた。彼が排便で苦労するようになったのもその一つだ。彼が長年ファームランドキャットとして、クマネズミの排除を行ってきた場所がここである。 彼が自分で口にするものを選ぶことでこれがコントロールできている状況は、最初はちょっと信じられなかったが、ここまで処置もなしで、クリニックの彼の主治医のお世話になることもなく半月以上過ごせている。
驚いたのは、彼が水平に80cm、垂直に20cmもジャンプしたこと。彼のダメージを受けた部分が彼の体の中で、どのように修復されて、彼の体として折り合いをつけているのか、現時点では謎である。
そう言えば、あまりにも夢中でこっちも走ってきたから忘れていたが、それまでなかなか回復しなかった口内炎が、ダメージを受けた際に大量に放出された彼の自前のステロイドで、鎮静化してしまったことなど、彼の体にはいくつかの驚きが生じている。