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No cycle love, no cycle life

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 都市部でチャリンコ需要が増えていると聞いている。新型コロナウイルスの感染リスクを避けるため通勤通学都市交通機関を避ける傾向が強まった結果だという話。地方都市ではそもそも自家用車依存が高く(この辺りが新型コロナ感染リスク低下には寄与していると思う)、むしろかなり以前にガソリン代の高さに根をあげて、公共交通機関から自転車へのシフトよりも、自動車通勤から自転車へのシフトが起きている。だからそちらへの移行ができる人はかなり前にやってしまっているので、地方都市ではあまり大きな動きにはなっていない気がする。
 坂を重い内装3段か外装7段のシティサイクルを押して登っている高校生の横を、カーボンシクロクロスで加速して上がっていく時に、ちょっと申し訳ない気になる。それでも最も激坂の上にある団地では、コンビニに集まる高校生のママチャリはほとんどモーターアシストだけだから必要なら手に入れるべきものを人々は理解している結果だと思う。
 とりあえずモーターアシストママチャリより数キログラム軽いスポーツバイクを購入するには、何よりも節約が前提の地方都市の若者には、高すぎるのだと思う。一方で安かろう悪かろうのホームセンター系、自転車量販店の自転車も、気をつけてみていると、少しずつマシになっているような気もするのでこれはしょうがないのだ。

などということを思いながら、息子が激安で手に入れてきた放置チャリの放出品の整備を始めた。通常はこれはプロの手に渡り、整備されてもう少し安全担保されてセカンドハンド製品として売られたりするのだが、その手を通していないからさらに安く、いや、メンテ諦めたレベルのそれっぽい。確かに、すごいわこれは。
 別居始めた長男が、友人たちとシェアしているママチャリで帰宅時、とりあえず整備できるところをいじり始めた。これ盗まれないだろうなっていう波動がバンバンに出ている機体であった。どうせ盗んで乗るには、もう少しマシなの選ぶだろうという崖っぷちにあるような代物で、とてもセキュリティ的に素晴らしいシールドが張られている気がした。あくまで気がしただけだが。
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 彼は、私の自転車趣味には全然興味を示さなかったので、日本メーカー品のママチャリも、大陸のホームセンターママチャリも区別がつかないだろうから、どんなのを手に入れたのかなと思っていた。
 実際にメーカー品ではなかったが、最低限、Shimanoのローエンドディレーラーとボスフリーギア(しかも今時5段)、流石にタイヤはほぼ新古品で、山も十分、ブレーキもリアのバンドブレーキ含めて、極めてまともな動作をしていたので、少し安心した。
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 気に入った点はブレーキその他のつくりが思ったよりも良かったのと、U字フレームでないので、強度的にはそんなに問題のないところで意外と軽量だったところ、更には、破損や錆具合がかなり入っていて、実際の実用面は十分果たしそうな反面、盗難には合わなそうな個体だということだ。彼の今の活動中心は、かつてワイフが結婚する前、一人暮らししていたこともあった場所の近隣なのだが、彼女はそこで2回チャリンコを盗まれたと言っていた。私たちが今いる場所よりも人通りは多く、街なのだ。
 リアフェンダーは腐食でステーのネジ部分が溶け、ネジウケ部分をステンレスで作ろうかと思い悩んだが、結局コストかけるのもなんだかなあと思ったので、いつものナイロン結束バンドで補修した。数年ぐらいなら持つだろう。

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 彼の要望に応えて荷台を付けることにした。しかし適当なものを見繕って付けると金がかかるの嫌だという話で、昔ワイフ用に買って既に廃車になっているフォールディングバイクの後ろの荷台から外したものを付ける事にした。容量的にはバッチリだがバランスはちょっと悪い。なるべく重心が手前に来るように、中に仕切り用のワイヤーを張るのがいいだろう。機能重視、容量は十分なのだが、フロントキャリアに使えば、ちょっと前に飛び出しそうみたいなバランスの悪さを感じたが、通常のステイ取り付けではなく、位置と装着方法を変えて何とか邪魔にならず使える位置に装着した。最初は後ろの荷台を作ることも考えたのだが、ここで発見があった。荷台用取り付け用のダボ穴がないのだ。おそらく、シートステイ、チェーンステイも細く作ってフレーム強度などもないため、荷物乗せたり子供乗せたりされたら困るからだと思う。その結果、アルミでもなんでもないスティールフレームだが、思いの外、車体が軽く作られていてびっくりした。これは元々の日本のシティサイクル設計の発想ではないなと思った。
 気になって、安価なママチャリを紹介しているページを検索すると、ここにある最も安いママチャリ、ルピナスのデザインとほぼ一致することがわかった。よく見ると、シートステイが湾曲してなくて、荷台が存在しない。そこへの荷重がかからないことが前提のデザインだ。

 呼び鈴が破損してネジが固着していたので電鋸で切り落とし、代わりにキメラバイクにつけっぱなしのクラシック風の黒電話みたいなのがあったのを思い出して、それをメンテ、塗装しなおして付け替えた。
 ライトは割れて吹っ飛んでいて、その部分も交換したかったが、間に合わせでつけられた乾電池式のLEDライトはパワーが足りなさそうだったので、充電式の明るいのを彼に進呈した。ライトが暗いのだけはだめだ。ママチャリにお金かけない判断をしても、ブレーキとライトとタイヤ、このスペックだけは外せない。辺境の地方都市は人工光源に溢れた大都市に比べると本当に暗い。ライトは本当に重要。彼の場合、彼の親父みたいに車と競って飛ばす乗り方とは真逆なので、それで十分だと思われた。



 何となく自分で自分を理解したのだが、私は、高級スポーツバイクであろうが、ホームセンターママチャリであろうが、ともかく自転車が好きなんだなっていう部分。これを補修しても、乗っていても楽しいのだから始末が良いのか悪いのか。リアギア磨いてチェーンギア変えようかと思ったが、この次の楽しみにすることにした。ちなみに、たいていの人が錆びたチェーンやギヤにぶっかけまくるCRCは、オイルを流してしまうので、むしろその後拭き取ってきちんとしつこくオイルを回さないと、錆を早める。高額バイクのギヤ、チェーン周りに吹き付けるのはタブーだなんてことはあまり知られてないようだ。バンドブレーキも、変な音がするからオイルが切れたんだで、中にオイルやCRCを吹き込んでブレーキが完全に死んだ機体は少なくない。ママチャリのバンドブレーキ、馬鹿にされるけど、よくできた高性能ブレーキだ。姉上のためにママチャリを一機組み立てた時に、バイクマスターにバンドブレーキ交換してもらったので、その時いろいろ教えてもらった。
 時間もなかったので、次回また交換することにして、錆止めをした後にオイルを回してそのままの見た目にしておいた。フリクションロスはあるけど、これ盗む奴いないだろうというあたりを狙って。

 日本のシティサイクルの問題は、中国産のそこそこデザインが良くて安価なシティサイクルが大量に入ってきて、これまでの街角の自転車屋さんを通じた販路ではなくホームセンターや量販店、通販などで大量に売られるようになったことだと思う。まがい物はないとは言わないが、変速ギア周りのパーツにはシマノのローエンドが使われ、一定の動作保証が得られている。よくできたそれなりの値段がするシティサイクルと比べると、軽量化と耐久性のバランスは微妙だが、それでも普段使いにおいては、まず問題は出ない。

 この安かろうでそこそこ乗れるシティサイクルは、同時に自転車の価値下げを引き起こして、製品パーツのクオリティや組み立て精度やプロ整備込みの値段だった日本産シティサイクルが酷く高価な製品に見えるようになってしまった。多分乗っていてもその違いと意味を感じ取れるユーザーはあまりいなくて、ママチャリなんてこんなもんだろう、みたいな感じで見た目のデザインとカラーリング(これも塗装のクオリティなど判別付く人は少ない)で売れてしまう結果を見たら、酷く大変なことだなと思う。
 実際に、こういったベンチャー型のメーカーも増えて、その中には製品の当たりはずれがあっても名車が生まれたりする状況も生じた。私のお気に入りのフォールディングバイク、WACHSEN Weiβ BA-101 も評価する記事は多く、そんな感じのホームセンター&通販用のベストセラーだ。自転車屋さん経由で手に入れないのなら、自分で整備がきちんとできることも前提で、当たり外れはあるから注意は必要だが。まあ、BA-101も通常は1万円後半から2万円ぐらいはするのだが。

 一方スポーツバイクは、どんどん進化して、それにかかわらない人にとっては何が違うか分からないという部分では同じなのだが、ローエンドはシティサイクルの上級モデルより安く売られたりしている。これも大陸型ママチャリが席巻した企業によるOEMの余剰的な部分もあると考えられる。スプロケットではないボスフリーで7段のモデルは、ブランド名を刻まれ、いわゆるルック車とは違うレベルのフレームにシマノ等のパーツが付けられ、一定のクオリティは保証されながら、コストダウンに成功した部分かと思う。Giant、Trek、MeridaなどのクロスバイクやMTBのローエンドモデルは、このパターンで数を売っている。

 私のTCX Advanced Pro2は、戦闘力の高いクロスロードバイクで、エントリークラスならそのままシクロクロス競技用として使えるものだが、やっぱりいいバイクなら、普段乗りしないともったいないよねと考えるようになって、ほぼ通勤にも使っている。ほぼと書いたのは、あまりにも天候が悪い場合やそれなりに高額なTCXは乗って行きたくない場所には、サブマシンである、Merida CROSSWAY BREEZE TFS 100R(改)の方を使っているからだ。
 
 私のような本格派ではない人間が、スポーツバイクに乗る場合、ロードバイクと違って、クロスロードマシンは、ともかく気を使わなくて済むのがありがたい。ロードのようにバチっとロードバイクウェアに身を包み、激走してて当たり前みたいなプレッシャーはないので、適当な格好でちんたらポタリングモードで走っていても、全く気にならないし(本人だけはそのつもり)、下の動画のように、側溝ブロックの段差とか1cm以上あっても、車輪を並行に持っていってもスルスルと登ったり降りたり、全く危うさを感じない。抜重もせずにサドルにベタ座りでも、これができる。
 ちなみに、右側のライトの後端をアルミテープで巻いてあるのは、ワイヤレスのサイコンがLED点灯時、電波が撹乱されて作動しないため。後、たった1cm、サイコンと離せば問題は消えるのだが、ハンドル周り、2燈ライトを装着するとなると、なかなかスペース的に余裕がない。その距離が確保できなかった結果、ジャミングをシールドするために、水道周りのアルミテープを巻いたのだが、二周巻いただけで、サイコンは正常に動き出した。
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 ギャップをスルスル超えてくれるのは、TCXの能力というより、採用されているクロスロード独特のタイヤの特性による。タイヤのセンター付近はターマック専用の扁平度の高いトレッドパターンでありながら、側部にはMTBのタイヤのようなブロックパターンが刻まれていて、これが段差をひっかけてスルスルと登ったり降りたりできるわけだ。ロードバイクの細いタイヤでこんなずぼらなことをやれば、危うい事になってしまう。クロスロードカテゴリであってもその辺のクロスバイクなどは、通常の浅いトレッドパターンなので、抜重コントロールが巧みでない限り、こんなことはしない方が良い。類似のタイヤは、Giantのクロスロード系、例えばAnyroadにも標準装備されている。
 ちなみにTCX Advance Pro2 2016の標準装備タイヤは、MAXXIS MUD WRESTLER 700x33Cでシクロクロス用。中央部もターマック対応のパターンではない。クロスロードとあるが、やはり競技用シクロクロスバイクだとわかる。ターマックでの使用が多いと、無駄に中央部のブロックパターンが削れるので、私の使い方だと、Anyroad用タイヤの方が無駄がないなと思うが、これはGiantオリジナルの生産品。
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 休みに晴れの日が続いたので、末っ子のを含め、久しぶりに残りのチャリンコを引っ張り出してメンテナンスの続きをした。テント内でも、屋外収納で乗っていないバイクは、サス周りやサドルステー、細かいネジ部分など、あちこち痛みが出るので注意が必要になる。

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 末っ子のMerida製エントリーローエンドMTBは購入後、8年目になるが、シティサイクルと違って、プロでなくてもメンテが用意なので、フレームさえ大丈夫なら一生ものでもある。まあ、BBだのスルーアクスルなど、スポーツバイクは規格がどんどん変わって行くので、限界はあると思う。私が、チャリンコにハマり出した頃には、まだ1990年代のフレームやパーツも使えるユニバーサル規格が基本で、こいつは具合がいいなと思ったりしたわけだったが、機材が進化するにつれて、メーカーオリジナルや製品オリジナルのものが増えてきている。


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by complex_cat | 2020-04-25 10:35 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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