私がフィールドに持ち出すデジイチ用のレンズは大体、こんな感じで選定している。
・比較的マクロ撮影が効く。
・比較的広角が効く。
・比較的小型軽量。
・取り扱いはラフになるので潰れたとしても安価、中古で買い替えが効く値段。
・画質は、一応自分で満足できるレベル。
京セラ製ZeissレンズであるCarl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T* は、発売当時、Ariaという廉価モデルとの組み合わせで出てきた。フラッグシップだけのRTSも、他のレンズも高画質を売りに、どれも高価であったので、少し手が出やすい製品を供給しようとしたものと思われる。鏡胴はエンジニアリングプラスティックで、軽く、少しチープな印象がある。類似の広角ー短望遠の焦点距離のズームモデルにくらべると、その分価格も、開放F値などのスペックも落とした感があったが、写りは安っぽくはなかった。それに今どきは対してマクロ域というレベルではないけど、APSサイズデジイチなら1/2までのマクロモードが使えて、短望遠マクロ的な使い方ができるというのも売りだった。C/YマウントZeissレンズのズームレンズは、画質が単焦点に勝るとも劣らないというのが売りだったが、でかくて開放F値もそれほど明るくない。
このレンズは、少なくとも回転ズームで、コンパクトにできているので比較亭フィールドでの携帯は楽ではある。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*

APSサイズモデルで使うと、少し焦点距離も延びるので、その微妙なワーキングディスタンスが、これまたマクロ撮影には都合がいい。その分広角側は、標準レンズの画角でしか使えないが、それでも風景撮影なら割と使いどころとして、悪くない。
奄美ではこのソテツの実のでんぷんを使った蘇鉄(なり)味噌が、名産で、というか、ソウルフーズとして広く食べられている。ただ、蘇鉄は有毒植物で発癌性のあるアゾキシメタンを含む配糖体であるサイカシン(Cycasin)が種子、全草に含まれる。サイカシンは配糖体の一種で、これが体内に入ると、体内強制金の持つβ-グルコシダーゼで分解されてメチルアゾキシメタノールに変化し、それを摂取後に体内でホルムアルデヒドに変化して急性中毒症状を起こす。また、メチルアゾキシメタノールや、その代謝産生物であるジアゾメタンには発がん性もあるということで、水溶性であることを利用してサイカシンをしっかり毒抜きして食用にしてきた文化である。
このソテツは徳之島のものだが、こちらの方ではなり味噌つくりは絶えてしまっているようで、地元の島民の方に伺ってもあまり食べないなーということのようだ。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*

今のデジイチで使えば、このレンズの情報量は、かなり多いことがわかる。奄美、徳之島のリュウキュウマツにマツノザイセンチュウが入って久しいが、山中、ものすごい量の枯死木が白骨化している。パイオニア植物で世代交代、成長が樹木にしては速いので、かろうじて全滅はしていないが、毎回見るたびに、枯死木が並ぶ状態はかなりの風景に見える。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*

奄美大島と違って、徳之島は平地が多く圃場規模が大きく、一次産業でかなり経済をうまく回しているという印象だが、近年はイノシシの個体数増加によるサトウキビなど農作物被害に手を焼く状況になっている。現地の豪農には、飛行機で本土までラーメン食べに行く、みたいな人がおられたりする。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*
ズーム環の望遠側に、軽いクリックがあってその先が、クローズドフォーカスモードになる。望遠70mm側で撮影倍率0.33のマクロモードは、APSサイズデジタルでは、0.46倍程度になるので、まあ、今時のコンデジやマクロ領域が得意のスマホのマクロレベルには及ばないけど、十分マクロレンズとして使えるということになる。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*

野外での植物写真など、実際のところ被写界深度が深いコンデジならともかく、デジイチだと特にマクロ域ではフォーカスの芯をAF任せにできないので、MFでもAFでも使うポイントとしてはあまり差がなくなる。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*

SONY系デジイチに限ったことではあるが、α6系のボディで使うと、マクロ倍率が上がることと、いざとなればポップアップストロボを使うことができるのも、フィールドでの撮影の煩雑さを考えると、長所として小さくないのだ。アベイラブルではないストロボ光臭さを消すにはティッシュ一枚あれば済む。TTL調光が、純正レンズほどうまく行かないが、そこはシンクロ以下でのシャッター速度と絞りを変えて試写をぽんぽん繰り返せば問題ない。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*
CONTAX 167MT, Vario-Sonnar 1:3.5-4.5/28-70 T*
α6系のボディで使う限り、そんなにでかい道具感はなくなる。SONYαシリーズのデジタル一眼レフシステムは、レンズシステムにZeissレンズが組み込まれているため、このレンズの正常進化したフルサイズAFレンズは、この商品になると思う。Vario-Sonnarではなく、Vario-Tessarの銘になっているけど、間違いなく後継レンズと考えたらいいのだろう。値段も、10万円を超えてしまうので、AFが使えるとはいえ、おいそれとフィールド用に購入できる代物ではなくなっている。どちらにしてもかなり大きなレンズだ。写りも使い勝手もよいのだろうなと思いつつ、フィールドで振り回すのは、どっちにしてもあきらめている。
おそらく、販売数の問題もあるのかあるいは、それなりに旧MINOLTA系のGレンズの性能は素晴らしいことの裏返しなのか、Zeissではない方の同じ焦点距離のズームレンズの方が、倍以上の値段になっているのは、ちょっと面白い。
フルサイズでのズームの画角からのAPSレンズへの菅さんを基にした商品だと、実際にはこの標準でついてくるレンズがそれにあたるわけで、ずいぶんコンパクトになってしまう。過去のフルサイズMFレンズを使うというのは特にAPSサイズデジイチではこういう矛盾もあるのだが、個人的にはこのレンズは、ズーミング用モーターなど、すぐにフィールドでのまぁまぁ普通の取り扱いでぶっ壊れて、2台をつぶして使うのをあきらめた。
次男はαNEX-5を使っているけど、彼に渡したのはマニュアルズームレンズの方。そこそこよく撮れる。電動ズームが欲しくなるのは、動画撮影しない限り、あまり生じないと思う。 SONY製の電動ズームレンズは、使う気がしないのである。メカニズム的に脆弱なのか、対して粗雑に扱っていないのに、このレンズは二個を故障させて使う気が失せた。最新のAF機構に頼り切る、特に望遠、動態撮影をしない限りは、フィールドでは壊れるところが少ないマニュアル成分の多いレンズが一番みたいな話にはなる。

そうは言っても、長い付き合いのチコなら、動きを予測して追うこともできるので、あまりAFレンズに拘らなくてもよかったりする。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*
あまりろくに今のレンズを持っていないので、過去の資産を使って、それで、ともかくよく写れば、それで自分は十分喜ぶことができるというのもある。もちろん撮影対象による。
SONY NEX-6, Carl Zeiss Carl Zeiss VArio-Sonnar 3.5-4/28-70 T*