このレンズ(複数のモデルが出されたシリーズなので、正確にモデル名を記すと'TAMRON AF 28-300mm f3.5-6.3 ASPHERICAL LD (IF) MACRO (model 185D)'ということになる)は、以前のエントリでも紹介した(「フルサイズデジタルと古い非デジタル専用高倍率ズームレンズ」と「〃 #2」)。デジタル専用設計モデルを示すDiがないので、フィルム時代のそれである。 35mmフィルムサイズフォーマット換算で28-300mmの10倍ズームレンズというのは、今時珍しくないし、コンデジでも、特にとんがった製品でなくても存在する。もっともそのあたりのコンデジは、スマホのカメラ性能が上がって、商品としての継続はずっと危ぶまれる状況にある。望遠側があるというのが売りだけど、高倍率で望遠側が必要な写真を撮る人となると限られるし、鳥や鉄道撮影となれば、デジイチを使用するだろうから、半分動画専用機みたいに、子供の学芸外野運動会撮影などに使うようなニーズだろうか。日本では子供の数も減っているから、そのあたり、国内需要に限れば減少中だろう。コンデジは、暗い林床や薄暮手前ではISOを高感度に挙げるのにも限界があるので、使用には限界がある。特に今のデジイチの高感度での低ノイズに関する性能は、年々フィルター処理が進化しているスマホやコンデジでも、到底追いつけないので、特に意識せずに使うとなると、デジイチと高倍率ズームの組み合わせが、嵩張る、重いをきにしなければ、撮影に際しては一番気楽ではある。 オークションで3,500円で手に入れたレンズだが、腐っても非球面レンズをレンズ群に組み込んでいて、α7系の画素性能もあってこのくらいの写りはしてくれる。発色も見事。
私は長らくEOS Kiss N/Xとシグマの18-200mmレンズの組み合わせをフィールドで使っていたが、本当にレンズ本体もカメラも丈夫だった。 フィールドではあまりレンズ交換する気にはならないので、荒く扱える10倍ズームレンズは、気楽なのだ。
めんどくせーと思いながらも、フルサイズデジイチとの組み合わせて、この発色やこの写りなので、やはり持ち歩く覚悟をして使う。
マクロ域は、最新モデルだともう少し拡大できるが、まあこの程度。レンジファンダーカメラ&レンズに比べれば、圧倒的に寄れるので、まあ満足すべき。これ以上が必要だったら、マクロ域に強いコンデジを一緒に携帯すれば大抵はそれで済む。
ボディ内手ブレ低減機構付きのα7系のボディは、レンズを選ばず、そこそこの定速度シャッターが切れるから、画質と表現上は有利だ。そうは言っても、この画は微妙に手振れが分かる。
ズームレンズは、山岳など、撮影位置に限界があるようなフィールドで、フレーミング自由度を確保できる。2019.05.18の、豪雨時に斜面が崩れ落ちた場所は、まるで竜の蹴り後のようになっていて、斜度のキツさと普段からの降雨の多さと岩盤が剥き出しになった状態なので、簡単には植生は再生できない。現地を一緒に見ていた林野庁関連のリサーチャーは、戻るとしても100年単位でしょうと言っていた。
スマホでも撮れるフレーミングから、さらにズーム倍率を上げて、全体を収める。
これがフルサイズデジイチでの300mmの画角。APS-Cサイズデジイチだと、これの約1.5〜1.6倍の倍率になる。もちろんその枠内の画素数が同じだとした場合の話。実際それよりも小さかったら、フルサイズで撮影して、トリミングしたのと意味は同じようなことだと思う。
フルサイズデジイチの場合、広角側があまり無理な設計をしなくても、十分な広角表現が得られるので、一昔前のレンズとしてはかなり良い感じで写っている。
地域猫の桜猫たち。5匹をフレーミングするのに、驚かせないように移動せずに瞬時に任意のフレーミングで切り撮れるのは、ズームのおかげ。それがズームレンズの使い方というわけではなく、通常はズームレンズとはいえ撮影する焦点距離、画角を決めてそれに合わせたポジションまで足で稼ぐのが正しいと習ったのだけれど、こういうのはズボラが許される使い方でもある。
そのままの位置で最大倍率。光線状態が、順光だと、画質的にも、この安いレンズでそれほど苦労はしない。
縮めると、まあまあギリギリのコンパクトさだが、ズームを伸ばせば、300mmレンズだなって思うぐらいは迫り出してくる。アスファルト道路に落下させて先端を少し凹ませたりしたが、正常に動いているし画質も光軸も曲がったりしていないようだ。期待通りの私のラフな使い方に着いて来てくれているので、ありがたい道具レンズである。