The Fall of the House of a Paper Wasp (フタモンアシナガバチ家の崩壊)

The Fall of the House of a Paper Wasp (フタモンアシナガバチ家の崩壊)_b0060239_9262759.jpg
一昨日,Distagon 21mmで撮影したときまで,全くなんの問題もなく暮らしていたフタモンアシナガバチ一家でしたが,一晩で崩壊しました。観察用保護シールド(CDケースの蓋)越しに取っているので,少しぼやっとしてます。最初のアーティクル「フタモンアシナガバチ」より2ヶ月が過ぎたある晩のことでした。

The Fall of the House of a Paper Wasp (フタモンアシナガバチ家の崩壊)_b0060239_92903.jpg
ボロボロに食い破られたフタモンアシナガバチの巣は,無惨な姿をさらしております。
 一体何が起きたのでしょうか?




The Fall of the House of a Paper Wasp (フタモンアシナガバチ家の崩壊)_b0060239_9294214.jpg
それは,女王蜂がこの巣を最初に構築するときに最も恐れていたアリの一種でした。飴色の小さなアリです。少年時代,このアリに,虫かごを襲われて,中にいたトンボやチョウなどは外骨格だけになりました。一緒に入れていたカブトムシの蜜の匂いを辿って虫かごを襲ったのでしたが,アリのほとんどは雑食性とは言え,この小型のアリが見せる獰猛さは少年期に焼き付いております。残念ながら,種名は今調べております。画像も未だ倍率が足りないので,撮り直して後で修正します。

The Fall of the House of a Paper Wasp (フタモンアシナガバチ家の崩壊)_b0060239_9304462.jpg
以前のアーティクルで書きましたが,アリはハチにとっては最大の驚異で,ハチの行動の多くが,このアリへの防御を意識したものです。例えば,蜂の巣は,なぜあのような細いシャフトでぶら下がっているのか,その部分だけがなぜ色が違うのか。これらは,アリが蜂の巣にたどり着けないように僅かな部分だけで保持され,その上に,しっかりアリが忌避する物質が塗りたくってあるからで,何れも,対アリ戦略と言われております。温帯のアリは,まだ数も種類も獰猛さも可愛いものが多いのですが,熱帯に行けば更にアリの脅威は大きくなるため,複数の女王で一つの巣を立ち上げるという行動を取る種もおります。
 働き蜂の増築時の僅かなミスで,巣の一ヶ所だけ,ほんの微かに壁に接触してしまっていたのです(上から二つ目の画;下の方暈けていますが一番食い破られている部分)が,そのアキレスのかかととでも云うべき場所をこのアリに見つけられてしまったのです。巣材ごと囓られ,中の幼虫や卵は既にほとんど食べ尽くされました。

一番急襲を受けているタイミングで観察できなかったのは残念ですが,未だに,アリたちはハチの巣内に出入りしており,最期の最期まで手が抜かれません。
 ということで,庭の青虫などを食べてもらえると云うことで,我が家と共存してきたフタモンアシナガバチ家は,崩壊しました。
 陥落後,半日は巣に留まっていた女王でしたが,その後姿を見かけなくなりました。僅かなワーカーを連れ,何処かへ旅立っていったのか・・・定かではありません。もう一度やり直すにも,圧倒的な時間的ハンディキャップを背負い込むことになるでしょう。既に彼らの主食となる青虫たちは,蛹からチョウ・ガとなって飛び立ち,多くは卵でこの猛暑をやり過ごすわけで,夏とは言え,今が一番餌が少ない時期です。
 アシナガバチの巣を嫌がる方が普通ですが,キアシナガバチ以外は,全く攻撃的ではありませんので,巣を触らなければ,優秀なガードナーをお金を払わなくても雇うことが出来る。どうしてもという場合は,アリに襲わせる方法もあるのだと,長男に教えました。実際,子供達が遊びで踏み込む場所にもかなりの巣があったのでしたが,長男が頑としてそれだけはしたくないといいました。このようなあまりの破壊作業を実際に見てみると,如何に自然の営みの一部とは言え,少なくとも人が意図してやるべきではない行為だと思いました。巣が小さい内に自分の手で落とす方がずっとマシですね。彼の考えが正しかったのだと思いました。まぁ,かつての昆虫少年の性で,もしもスズメバチだったらアリを仕掛けてみたいという好奇心はあります。しかしながら,研究としてもあまりに乱暴で,ハチの研究者でも多分誰もやっていないと思います。
 自分でも驚きますが,私のブログ内検索に「アシナガバチ」と入れると,なんと多くのアーティクルを書いてきたのかと思います(この辺り,小学校時の日記で運動会が2行,窓にへばりついたヤモリの観察が3ページという少年期のままですが)。どんな生き物でも,こうやってつき合うと,思い入れや愛着が出来るもので,少なからずこの事件はショックでした。
トラックバックURL : https://complexcat.exblog.jp/tb/3110023
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Tracked from 本日の☆または今週の☆あ.. at 2005-07-19 19:00
タイトル : 真夜中のカラス
深夜、部屋に帰る階段を登っていると目の前に黒い鳥。 腰を抜かしました。 camera:Canon EOS Kiss Digital N +SIGMA DC 20-200mm ... more
Tracked from 〜魔女のココロ〜 at 2005-08-02 20:05
タイトル : 困った同居人
今日も暑いですが、窓から入る風が結構涼しいです(^^) エアコンつけずに済んでます。 ヒマワリも咲き始めました。 しかし、困ったことがひとつ。 玄関に、蜂が巣を作り始めているんです。 1匹だけど怖い。 complex_catさんの記事の蜂と同じ種類かなぁ? これは、私の身長くらいの高さにあって危ないので、夜に蜂が留守なのを狙って、叩き落としてます。 (でも毎日懲りもせず、同じ場所に作るんですけど^^;) ・・・実は同じ種類の蜂の巣が、玄関の屋根の瓦の内側に、手のひらサイズで出来ているんです(T...... more
Commented by dojou7 at 2005-07-13 15:26
なんと。
初めて知りました。
Commented by complex_cat at 2005-07-13 17:39
dojou7さん,Vespa(スズメバチ類)を研究していた恩師の話からの連鎖推理で,アシナガでどの程度,こういったトラブルが生じるものなのか,私自身もよく分かっておりません。結果的に場所が悪かったのと,左官をやったワーカーが,うっかりミスをしてしまったのが原因ですがそのこと自体も滅多にあることではないと思います。しかし,「みなしごハッチ」や「バグズライフ」などでは描かれることがない,結構深いドラマだと思います。
Commented by kyoko_fiddler at 2005-07-13 17:51
うわ…
Commented by complex_cat at 2005-07-13 18:17
去年の観察結果から,アシナガを常食としているヒメスズメバチも,ここまで壊滅的に巣を壊すことは無さそうです。びっくりしました。
Commented by みゃ♪ at 2005-07-13 22:33 x
小中学生の時に、私の部屋のベランダのすぐ横に、蜂が巣を作ってしまい、父が夜中に殺虫剤を使って、撤去してくれました。
(しかも二回)

1個目は、夏休みの自由研究に使ったような記憶が・・・。

たしか、こんな巣でした。懐かしいなぁ。
いま、思うとかなり怖いんですけれど。
Commented by capybaba at 2005-07-13 23:20 x
虫を擬人化して感情移入していると辛い思いばかりするに違いありません。だから永いこと虫には関心を持たないようにしてきたと思います。
でも近年、養老孟司さんの言葉に触発されて昆虫好きになりました。
「昆虫は…キノコのようなもの。子供が昆虫採集でどんなに捕っても、生息する環境さえ整っていれば爆発的に増殖できる。逆に言えば、昆虫を根絶したいのなら、その環境を破壊しさえすればよいということだ。」そんなようなお話でした。
せっかく虫ってきれいなの多いですから、環境ごと愛でればいいのですね。
Commented by す〜さん at 2005-07-14 01:37 x
アリにやられてしまいましたか。(T^T)
しかし、こうやってみるとハチよりもアリの方が遙かに凶暴に
見えますね。
アメリカには毒のある(強い蟻酸?)を持つアリがいるそうですが
この辺りのアリとスズメバチを見ると
蟻もハチも羽根があるか無いかだけで同じモノなのでは?
などと思ってしまいますね。(−_−)
Commented by complex_cat at 2005-07-14 06:58
みゃ♪さん,キアシナガバチでは,よく刺されるなどの事故が起きますが,他のアシナガは,危険は全くありません。チコのように巣に飛び込んだりしない限り・・・
Commented by complex_cat at 2005-07-14 06:58
capybabaさん,私も子供が取ったりするのは全く問題がないといいたいです。しかし,コレクターに関わる人たちも,産業としてなりたっている分野があって,中国や東南アジアなどその世界の乱獲にはもの凄いものがあります。貴重な植物と同様,生息場所破壊とともに乱獲でとどめを刺されかけた昆虫はヤンバルテナガコガネなど決して少なくないのです。これらはある意味で,環境が破壊されて細々となってしまったわけで,養老先生の仰るとおりなのですが,とどめを刺しかけたのは,営林署関係の人たちの小遣い稼ぎの乱獲でした。最近,養老さんと池田さんらアエラに鼎談が載ってましたが,良い昆虫少年時代を過ごして,環境問題が深刻化する前には死に逃げできる方々で,保護に取り組んでいる昆虫コレクター嗜好のない生態屋は,勝手なことを言って居るなぁと思う部分もあります。キノコだって採って採ってももわき出るような森林が今一体どれだけ残っているでしょうか・・・キノコだって持続的利用のためならやり方がありますが,業者さんの乱獲はそんなレベルではありません。
Commented by complex_cat at 2005-07-14 07:09
す〜さん,アリは凶暴ですね。昔,Sim Antというゲームがありましたが,下手すると人間も母屋を取られる設定になっていました。
 同じ膜翅目なので,アリは,針と翅を失ったハチとも言えます。で,真社会性(不妊カーストが存在する)は膜翅目だけで進化したのも,一つの謎です。ハチの針に仕込まれた毒も,基本的には蟻酸から進化したものですし,ハリアリ亜科とフタフシアリ亜科は毒針を持っているそうです。
Commented by capybaba at 2005-07-14 11:42 x
そう。業者の経済行為の自由を制限することは出来ず、個人採集家を咎めるにとどまっている社会の現状も含め、養老さんは虫(および自然)を愛する立場から、かなり効果的に警鐘を鳴らしてくださっていると感じましたよ。
種の絶滅自体は太古から繰返されている事実ですよね。にもかかわらず、今生きているそれ(虫)そのものがどんなに素敵なものかを教えてくれるのも、虫屋さんたちならでは、なのでは?
昆虫ビジネスも、環境保全にともなえばすごく素敵な事業であると思います。そうでなければ持続できないビジネスですし。
虫屋さんも生態屋さんもぜひ協力し合っていってください。
Commented by complex_cat at 2005-07-14 12:15
capybabaさん,深く前向きの諫言有り難うございます。仕事一緒にすることは少なくないのですが,昆虫採集の関連領域におられる方の考え方も凄く幅があります。日本の場合そんなにむちゃくちゃな方は逆に少ないです。
 それと残念ながら持続可能(これも私も含めてなんとか想像が及ぶのはせいぜい子供の世代まで)でなくても一次的にお金が入ればその仕事に従事される人は漁業なども含めて一般的なので,皆さん,賢い商売人になって欲しいと思います。どんな素敵なものを売っても買っても,それがただ消費されていくだけというのは,あんまり上手くないと思いますがこれがなかなか難しいですね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by complex_cat | 2005-07-12 20:01 | Wonderful Life | Trackback(2) | Comments(12)

Necology(=猫+Ecology) and Nature Photo Essay, Camera classic, Martial arts & etc. 本サイトはhttp://complexcat.exblog.jp/です。画像はクリックすると大きくなります


by complex_cat
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31