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チコの夢〜名前のない猫

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 チコを失って一年と三ヶ月、チコの夢を見た。
 「彼を遊ばせようと自転車に乗せて移動中、彼がじれて飛び降りたので、後を追っかける。
彼が走って飛び込んだ小屋の中。母猫が、生まれたばかりの子猫をケアしていた。そこに彼が飛び込んで挨拶を交わす。
解釈する方法も意味も分からないが夢で逢えたよ。」
 こんな感じで、ワイフにラインした。
 その直後、まるで、シンクロニシティか。次男がチコ似の子猫を保護した。
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 この子猫は首輪もしているし、飼い主はすぐに見つかるだろうと思ったのだが、来るべき方面と託した方向からも、一向に連絡がない。
 また、どうやら持病持ちで、ユッチへの感染を考えるとケージから出すわけにもいかないし、感染症対策をしてユッチのケアもしないといけなくなった。当然猫嫌いのユッチは、凄まじく機嫌が悪いし、たとえ一緒に暮らすとしても、絡ませるわけにもいかないだろう。
 最後の手段、子猫の行動範囲は広くないだろうから、足で稼ぐしかないと考えて、息子と二人で、拾われた場所を中心に心当たりを回ってみるが、全て空振りだった。今時、怪しい訪問販売に間違われないよう、ポスターを作りそれをドアフォンカメラに向けて、事情を丁寧に話して警戒を解いてもらう。
 実際、この子が息子に拾われるまで、3週間近く、餌をもらってケアされていた家まではトレースできた。アホな企業研修セミナーの罰ゲームじゃないしなと、気楽に聞き取りで回ったおかげである。しかし、肝心の元々飼われていた家には辿り着けなかった。実は、ひょっとしたらという家もあった。この子のことを話した途端に、首輪などから想定した若い娘さんがおられた上に、妙に目線を外され、途中からまともな会話をしてもらえなかったのはそこのお宅だけだった故に強い違和感を感じたというだけで、もしそうだったとしても引き取る気がないというサインなので、どちらにしてももはや考えてもしょうがない。

 一人の老婦人のお宅は、そこそこたくさんの猫の世話を抱え込んでいることで有名だったが、外猫たちへの餌もやっていて、その結果、自由飼いの他所の猫も来てしまうようだった。外猫に餌をやることで、実際には、あまり良くない状況がもたらされているというのもあるのだが、餌は絞って出しっぱなしでもないし、まあギリギリという感じではあったが、そこのお隣さんは、どうやらいい感情は持っていないことまでは伝わってきた。複雑な気分にはなる。

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 「あのね、通りがかりのおばさんが、うちに来てた猫を見て『あっ!うちの猫だ』っていうのよ。じゃあ連れて帰ってくださいって言ったら、うちはもう飼う気がないからお願いしますって行っちゃったの。そんな人、普通にいるのよ。」というお話も伺った。
 そんな話を伺ったら、このご時世、大切そうに探していたのかもしれないが、飼い猫であったこの子を途中で飼育放棄した可能性も残念ながら感じてしまった。この子が迷子になってから、時間が経ちすぎていることもある。保護してしまった時点で、ほぼ詰んだ状況だったのかもしれない。
 「でもね、この街にもあなたのような人がいるのね。ちょっと嬉しくなっちゃった。」「いや、うちもこの猫を抱え込めないと思っていたので、探しているのですよ」と返したのだが、どうやら迷子猫探す探偵みたいな仕事だと思われたようで、ええと、街を泣かせる奴は?ええと『風都探偵』?違いますよ。私が何度も成功したのは猫探しの方で、しかもチコ限定。飼い主探しとか、人間相手はどちらかというと勘弁してほしいと思っていたのに、重い腰を上げざるを得なくなったんです。
 それでも、皆さん、いきなりの玄関先の訪問者に、嫌な顔するどころか、ほとんどの方が親身になって話を聞いてくださり、この町に住んで居てよかったなと思った。家に戻ると、事情を知ったお隣の旦那さんが、試供品なんですけどと、ご飯と一緒に炊く麦を、去年のブルーベリージャムのお返しだと渡してきて、私たちの労を慰めてくれた。

 しかし、一眼見た時には、そんなにチコには似てないなと思ったのだが、Kilfitt-Makro-Kilar 4cm/f2.8で撮影した画を見たら、小さい頃の頃のチコに似ている。まあ、チコに似ている猫はインスタ始め、多く見かけるので珍しい毛色というわけではない。ただ、ブレスレットみたいな位置に茶色のパッチがあるところまで同じなのはワイフが気がついた。チコよりはうっすらしているけれど。今のところ、彼は宙ぶらりん状態で、名前も呼べない状態である。

 飼い主が育児放棄したのならしたで良いのだが、その連絡も取りようがなかったので、病院に連れていくのも、休みということで、どちらにしても控えていた。ただ、週明けたら、そんなことも言ってられない。ちゃんとした飼い主がいるようなので、我が家に来る子ではないからそこはそう考えていたのだが、チコが私に託すと言って巡り合わせてくれた猫なら、腹を括るしかないと思い始めている。

追記 奇跡的にこちらが張り巡らしたネットワークに、飼い主の人がアクセスしてこられた。どうやら、彼を里親さんの元に無事にお返しする手はずになりそう。ちょっとドキドキする。
 ありがとう、左翔太郎・フィリップ・鳴海亜樹子所長、そしてあちらの世界にいるチコよ。

そのことについての記事は、こちら。

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チコの夢〜名前のない猫 #2




Commented by bumidayat at 2023-05-29 07:43
こんにちは♬ (=^・^=)ヾ(*´∀`*)ノ 
名無しちゃん、どこで暮らしても幸せでありますように…出来たらお宅で…
Commented by complex_cat at 2023-05-29 20:05
bumidayatさん、
いつもお見守りいただきありがとうございます。
追記に今しがた書きましたが、どうやら奇跡が起きたようです。
まだ、状況は確定しませんが、彼は幸せな帰還ができると思います。
Commented by sknys at 2023-05-29 23:34 x
『迷い猫あずかってます』(中公文庫 2023)は金井美恵子の 「純文学的ネコバカエッセイ」(荒川千尋)。
ある日、金井姉妹の住んでいるマンションに、1匹の仔猫が迷い込んで来た。「迷い猫あずかってます。12月18日の昼ごろから、この近辺で迷子になって泣いていました」 という文面に猫のイラストを添えたポスターを近隣に張り出すが、音沙汰なし‥‥。

数年前に「猫を探しています」というチラシが朝刊に挿まれていました。
「2020年6月30日に新**駅付近の自宅から外に出てしまい行方不明」
近所の電柱にも同じ貼り紙が‥‥「保護または保護に至る情報を頂いた方には15万円謝礼致します」。

迷い猫を保護した作家と失踪した愛猫を探す飼主。
保護した子猫が里親の元に帰ることになって、本当に良かったなぁ。
Commented by complex_cat at 2023-05-30 11:07
sknysさん、 bumidayatさん、
今しがた、元の飼い主のところに戻っていきました。お話から、実に1か月近く、この子は放浪していたことになります。
ちょっと寂しいのですが、ほっとしております。
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by complex_cat | 2023-05-28 22:34 | Year of the Cat | Trackback | Comments(4)

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