家族が650Cのクロスバイクで通勤している。私がスタッガートフレームのクロスバイクのGIOS LEABEをママチャリに改造したやつだ。タイヤは650Cの25Cで、ハンドルはセミアップハンドルで、変速機は6段グリップシフト、前後スルーアクセス、Vブレーキ、後輪ボスフリーだが、カセット、スプロケットも準備してあり、前籠、呼び鈴(ロードのもの)、バックミラー、ライトはママチャリ風の発電型も検討したが、スポーツバイク同様に、今は、充電型がめちゃ明るくてセキュリティ上、ありがたいのでそっちで問題ない。そして肉厚で広い、とっつぁんでもどっかり腰を落とせるサドル。ペダルも、MTB用だが、わざとでかくて目立つのを着けてある。要するに重量がママチャリの3/5ぐらいのロードのタイヤを履いたチャリンコということで、とても軽快だ。
空気圧以外はあまり気を使わずに乗ってもらっているので、いい「やれ」具合になってはきていて、たとえば、駅や職場の駐車スペースに停めてあっても見事にママチャリの群れの中に溶け込んでいる。ミミック、成功である。流石にちょっと磨いたりポリッシュかけようかなという部分は増えてきたので、そのうちやろうかなとは思っている。
今時はスポーツバイクの車輪はほぼ100%近く700C(ホイールリムの直径が約622mm)の規格になっている。650C(ホイールリムの直径が約622mm)は14年前のこのスポーツバイクコミックの名作『のりりん』発刊時でも、マイナーになりつつあって、その後、順当に絶滅曲線に乗っていった。この作品では、主人公が、友人であった小柄な女性に合わせる意図もあったが、当時はトライアスロンにも使われることからの650C規格のTT(タイムトライアル)仕様のフレームがまだ多く出回っていたこともある。群像劇中、主人公の仲間たち、ロードレース競技志望のキャラの愛車以外、ほとんど650C。体躯が小柄な人たちにとっては650Cが気楽に選べないのは少し残念な状況かもしれない、ママチャリの26インチ=650Aか650B=27.5インチが、普通に唯一の選択肢になってしまったかも。それがでかいなら、ミニベロかフォールディングバイク選択してねという感じか。
『のりりん』(3)第18話より Kestrel 500sciは物語のヒロインの愛車だが、当時は650Cでシートチューブレスの傑作といわれて久しい。UCI国際自転車競技連合)適合のフレームと異なり、シートチューブの空気抵抗を消滅させ、ドラフティング(自転車のロードレースなどで、先行する選手の真後ろについて走ること;空気抵抗を少なくするための方法・戦術)殺しと呼ばれたフレームには、私も一時期憧れたものだ。 当時は状態のいいものがまだ出回っていたが、その分、高額に跳ね上がったので手が出なかった。トライアスロンはドラフティングが禁止とのことなのだが、元々UCI適合フレームを使えという制約は無く、シートポストレスの意味は、ロードバイク競技とは違うようだが、ともかく、メーカー生産の問題からも650Cは縁遠い存在になってしまったようだ。 ちなみに今回コミックからの資料としての転載をしてしまっているが、それを最初は避けようと思って、AI描画でシートポストレスのTTバイクを描こうと思ったら、本当に訳のわからないゲテモノが出力されてしまう。AIはUCIの規定を守ってるのか、守ってないのか分からないが(まあそんなことはないです)、どのように記述してもシートポストが消えない。Kestrel 500sciとかcheetahとか思いつくだけの非UCIフレームを上げたけどダメっぽい。そもそもスポークやペダル、などのパーツをAIは理解しているとは考えられなかったので、私のスクリプトの追い込み方では無理だなと思った。 これは別のアーティクルを記述するときに、私ごときのスクリプトでは、カセットテープデッキをAIはまともに描くことができなかったのと共通している。
650Cは同じ650という数値を用いる規格が三つ存在するので、何を示しているのかちょっとややこしい。それぞれがどのような自転車に使われている規格かということで見ると、以下の通り。ビード長とはタイヤの内径になる。
①650A: ビード長590mm。古典的ランドナー(最近は27.5インチも多い)、26インチのママチャリ(軽快車)
②650B: ビード長584mm。現在主流の27.5のMTBやグラベルバイクがこれ。MTBの26インチは消えていっていると聞いている。
③650C: ビード長571mm。
この650Cは、かつてはトライアスロン用のバイクのものだったし、自転車コミック『のりりん』掲載の頃には、ちょっとリバイバルで人気が出たりした。小柄な男性よりも更に小柄な女性がスポーツバイクに乗りたいと思ったら、やっぱり良い規格だと思うけど、当時もスポーツバイク店は、部品やフレーム企画など消滅が予想されているので、部品の取り寄せやメンテも大変になる。それ故になんとか700Cに乗ってもらうようにしているのが趨勢で、消滅規格とか言われていた。それでも650Cは現在でもごく一部のメーカーから販売されてはいる。一昨年前の
BOMA FENTEや
GIANT GRAVIER DISCなどが目を惹いた。完成車は、それなりの企業生産においてロットが出るので、まだそういうやり方では生産はぎりぎり可能だろう。ちなみにディスクブレーキタイプだった場合、②と③は互換可能だったりする。それは700CとMTBの28インチが互換可能なのと同じ。私の改造クロスバイクのディスクブレーキ用のフロントフォークは、28インチのそれを流用している。カンチブレーキやキャリパーブレーキはきっちりリムの位置を合わせないといけないのでかなりトリッキーな改造をしないと無理なのだが、ディスクブレーキは、ホイール中心からの距離なので、何もせずにそのまま対応できるのだ。
このスタッガードフレームのクロスバイクとして売り出されたGIOS LIEBEベースのママチャリ風クロスバイクは、タイヤサイズがママチャリに近く、700Cのクロスバイクより小ぶりで、乗りやすく、小柄な人間でもポタリングなどでもストレスが少ない。普段使いで走りに関して、ロードと遜色ないってわけじゃないけど、クロスバイク並みには十分な走りが可能ってことが言いたい(巡航速度重視でロード用のタイヤを嵌めていたが、今は、ちょっと安全面に降る目的で前輪はブロックパターンのMTB用に変えてしまった)。
軽快車についてもルック車と呼ばれる、大陸メーカーのコストダウンされたものが入ってきていてそれも下火になってきて入るが、基本、フレームの出来と重量がそれらのどちらとも全く違うので、実際取り回しは、とても楽だ。ただ何も考えなくても、どんな扱いをしようが、まずフレームにトラブルが起きないだろうというような日本メーカー品のママチャリの鉄フレームのような強靭性はにはないので、その辺りは注意が必要だ。中古バイク、特にアルミフレームの経年劣化による破損トラブルは一定数あるから、中古を乗り回す場合、アルミフレームのロードの製品と同様、リクスはトレードオフではある。
追記ーGIOSのスタッガードフレームクロスバイクGIOS LIBRAは、650Cの名車だったけれど、現行品は、もはやコストダウンで650Aのママチャリ規格になってしまった。ただ、クロスバイクらしくアルミフレームなので、13kg台ということで、通常のママチャリに比べれば半分強ぐらいの重量で、それはそれなりに、エントリーモデルのクロスバイクのカテゴリーの重さ。取り回しは楽なはずだが、クイックリリースみたいなスポーツバイクでは当然の機能ともさよならだと思う。前輪後輪外して車に乗せたり、もちろんパンク修理やタイヤ交換なども自分でやらず、余計なことをせずにそのまま乗りなさいという製品だ。
私が650CのGIOS LIBRAをママチャリギミックに改造したパーツの一部は以下の通り。この中で、サークルロックがうまくつかなかったのだが、取り付けるVブレーキの台座の部分をペンチを使って曲げて後ろに後傾させるとばっちりであった。これは、私のバイクマスターの一人が、「頭柔らかいねぇ」って、褒めてくださった。