長く短い旅、終わる。
2024年 04月 01日
いつも見守りいただき、ありがとうございます。
チコたちはじめ猫たちの冒険は、これで終わりとなりました。
わかっていたこととは言え、家族であったcomplex catsたちをとうとう全て失ってしまいました。
とても喪失感に襲われています。
村上春樹は「僕はときどき今でも、静かに森の中に消えてしまった野生の雄猫ピーターのことを考える」とエッセイに綴っています。
スターリング・ノースの名作 「ラスカル」(Rascal 1963)を思い浮かべるまでもなく、野生に帰って行く動物の姿には目頭が熱くなっちゃう。
野生を捨てた人間の不幸は還って行く場所がないことかもしれません。
「楢山節考」(1956)を42歳で書いた深沢七郎は偉大だったなぁと思ったりして。
ユッチさんのご冥福をお祈りします。合掌。
雄猫ピーターも、家に戻りたくても戻れなかったのかもしれません。
私のような動物行動学知見でものを考える人間は、周辺の雄猫のテリトリーの外側にはじき出された、捕食者に襲われたなどの可能性を考えながら、電波タグをつけていればと後悔しながら必死に探したろう、というようなことを考えます。
批判ではなく、おそらくこの1/4世紀において猫と人間との関係は、かなり変わったと思います。飼育形態も変わり、猫と一緒に暮らすと考えた場合の責任の取り方が変わったのかもしれません。妻も少女時代の猫たちとは一瞬の間、今生の別れが来るのを何度も繰り返すのが当たり前の飼い方をしていたと言っています。いずれにより、永遠の別れはやがて来るとは言え苦しいです。長男が、フリーレンの気持ちが少しわかる気がしたと言っていました。