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デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #1

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 カセットテープは、デジタルオーディオ以前の時代には、録音機能と合わせて、音楽を気楽に外に持ち出す、数少ないのテクノロジーの一つだったと思う。視聴した生演奏や環境音を記録に残したり、製作した音楽を気楽にデモテープに入れ、シェアするという目的では、当時のアマチュアや、プロの音楽家の願望を叶えた製品。その結果、たどり着いた音質は、現代のデジタルオーディオ時代になっても卑下されるものではなく、当時も必要十分以上ではないどころのレベルに達していたと思う。厳密な数値性能で測れば、テープメディアの弱点故に、変調ノイズで苦戦することになったが、それでもちゃんとしたカセットデッキで録音再生した音は、今、試聴しても決してCDやサブスクのノイズレスの音源に比べて、決して悪くないレベルなのだ。
 マニアやフリークも沢山いる。ブラインドテストで聞かされれば、カセットデッキ&テープの音を高音質とするのは、決しておかしな話ではないと思う。オーディオファンの中では、既に変態扱いだろうとは思うけど。
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 今回なんとなく、カセットの音について聴いてみていこうと思ったのは、かつて何十年も前、垂涎の的だったカセットデンスケ、つまり外に持ち出せる高性能カセットデッキの眷属、その最後の方の生き残り(TC-5D)を数年前に手に入れ使ってきたこともある。その録音再生音に、未だに驚きつづけている。本当に、こんな半世紀前のものなのから惚れ惚れとするほどの音で、LPだのデジタル音源からの録音を鳴らしてみるとその性能がよく分かる。これで十分じゃんってくらい。当時の音楽試聴の機材として聴いていた人たちがそうであったように、素晴らしい音だと感じる。だからもう一台、もうちょっとまともにドライブするカセットデッキを入れようと思ったのだ。何を言ってるのかわかねぇと思うけど。

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 デジタル録音装置、PCM録音機器の性能やその便利さにはずっと恩恵を受けてきたし、実際普段の録音にはTASCAM DR-100IIIを使っている。内蔵マイクは超音波領域までカバーしているし、PCからDACを同軸デジタルケーブルでデジタルインすれば、ノイズレス、ロスレスでPC音源からも録音可能な完璧なデジタル録音再生機だ。
 一方で世の中、カセットテープに復活の兆し、とまでいかないが、予測通りの消滅曲線に乗らず、小さなブームの波も起きてもいるようだ。
 この豊富なデジタル音源が利用できて、いつでも何度でも聞ける状況で、さらに私の場合録音装置もPC音源からもCDからも、いざ録音しようと思ったとしてもTASCAMのDR-100MKIIIなるPCM録音もデジタルtoデジタルで入れられるレコーダーも既に揃っている。それでも再びカセットテープをガチャガチャやっている人たちがおられる。とても不思議な状況だ。

 今カセットデッキで、カセットテープの音を聴いてみると、当時の技術者と専門メーカーは本当に闘え利、と思ったりする。

 デジタルオーディオの魁、CDの発売は1982年10月から始まる。その後のデジタルオーディオ技術が、ゲームチェンジャーとなった。ディスクメディアにより、ランダムアクセスが可能になり、録音の場面でも、テープメディアは、劣勢を強いられる。末期の中級以上のカセットデッキには、メタルテープの開発もあって、周波数特性を20,000Hz以上まで伸ばし、CDプレーヤーに類似の選曲機能や、レンタルCDを効率よくコピーする機能などを載せて、時代の波に抗う歴史もあった。

 2001年11月17日に「iPod」が発売された。それ以前、1980年代の終わりには、カセットデッキは、オーディオ装置の主役からの転落が始まっており、一方で、カタログスペックとしては、普及機種でもCDコピーを目的として購入してもらおうと、明らかに仕様が落ちるレベルなんてのは許されなくなっていた。同時にコストも下げるということをやる必要があり、音質のために迷宮のような凝ったディスクリート回路は回避され、普及機では集積化が進んだ。テープの弱点であるヒスノイズ対応のノイズ・リダクションシステムも、Dolby Bの改良型のDolby CさらにDolby SになってS/N比(信号/ノイズ比、いかにノイズが少ないかという値)でCDと引けを取らなくなった頃には、手軽だけれどそれなりの音質を達成した録音再生オーディオ製品としての役割に引導が渡されるデジタル時代が始まっていた。機構、部品が倍必要になるダブルカセットデッキみたいな、テープデッキファンから見ると、あまり音響装置というようなスペックでないにしても、部品数も上がるが値段も上げられずに作られていた時代が、カセットデッキの歴史の最終期あたりだろう。
 そうだ、CDやAVアンプなどはリモコンが当たり前になったので、上級機も含め、普及機についてはカセットデッキはリモコン操作装備も必須になっていた。それで、主役としてのギャラはもらえないというのが、末期の頃の少し前のカセットデッキだったと思う。

 そして2005年8月にAppleがiTunes storeを開始し、2005年12月にYouTubeが始まった。それから著作・コピー問題とその対策、法的な整理でエネルギーが費やされたが、2016年9月にはSpotifyが始まり、iTunes含め、音楽配信のビジネスモデルも変わった。音楽ファンは、好きに楽曲を聴ける手立てを複数手に入れ、結果、音楽コンテンツは、コピーしたりそもそも必ずしも所有するべきものではなくなっていった。音源の合法的な、ある意味で無償デジタル音源配信が始まり、デジタルオーディオも熟成期を迎えた。オーディオメーカーはこの間、ハイレゾ化までやってハードウェア販売のテコ入れをやったが、デジタルソースの質は、ヒトの聴覚限界を基準としたら、性能面ではプラトーに達していたと思う。
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 そういう状況で、カセットデッキの話をエントリとして上げようとしている。我ながら酔狂なことではある。
 猫は、デジタルとアナログの音の違いとか、どう感じるのだろうとか、Linuxで古いデジタルアンプをつないでPCを音源化した5年前、作業横で爆睡しているチコを見ながらそんなことを想った。私がそっとオーディオを鳴らしている横で、爆睡してくれていたチコは、もうこの世にはいない。聞きたいことがあっても聞くことはできない。
 実は、動物とデジタル音源という部分に私が今、マクロ生物系のミステリーとして関わっている話があって、それがもう一つのカセットテープという媒体に興味を持ったきっかけでもある。それは公にできるところまでの結論が出るのか、現時点では微妙で、こう書いていながら、伏線が回収できるかどうかわからない。なのに余計なことを書いてしまっている。
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 話は逸れるが、ちなみにこれが、ヒトのボーカルを妙に生々しく不思議に響かせることで有名なVictor SX-V05。拾い物だったが、たまたまフジコ・ヘミングのドキュメンタリーの動画を流していて、彼女の愛猫の鳴き声が、あまりにもリアルにそこで鳴いているように生々しく再生されたので、私にとっては、特別なスピーカーになった。
 カセットデッキで録音した音も合わせて聴いたりしている。

 猫が、猫が鳴いてる 声が声が聞こえる ウフッフッフー

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 以下に適当にまとめ。

・カセットデッキ、かなり前に手に入れた SONYのTC-D5、電池駆動もする生録機だけど、結構いい音で音楽流せてる。
・ノイズレスの高音質音源が今はいくらでもあるから、それを録音再生すると、逆にカセットデッキ&カセットテープは素晴らしい音で鳴ってるのがわかる。
・なぜか LPレコード&レコードプレーヤー同様、カセットテープも消滅せずに、ちょっとブームらしいです。新製品(磁気研究所)や改良製品(Maxell UR)も出てる。
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・テープは、ノーマルのものに限って生産されているが、高性能なハードーカセットデッキについては、きつい状況。カセットデッキ、カセットプレーヤーの現行製品や新型は、全盛期のスペックは出ない。全く別物であり、Walkmanとか完全にオーパーツ化した。高級デッキはまだ、まともに作動するのが手に入れられるので、余計にヴィンテージに意識が向く最後の時代。やがて100年も経たずに、風の谷のガンシップのような末路を辿る。
・本当に高性能なカセットデッキが欲しいなら、20世紀のビンテージの状態のいいものを、今、探すしかなさそう。メンテナンスサービスも、永久というわけには行きそうもない。
・かつてのカセットテレコ音質はつらいなというような感覚を持たれない場合は、現行商品もわずかにある。それらは修理も可能で、カセットテープの音としては楽しめると思う。
・私は、LPプレーヤーと同様、一定の金額を出すなら、状態の良い名器が手に入ると思う側なので、現行商品にはあまり興味はない。そこは各自の判断と価値観。
・残念ながら真っ当なオーディオ生活を送りたかったら、FAとしては「カセットデッキなどという過去の遺物は今すぐ投げ捨てろ!」という意見には一理も二理もある。

 こういう話をしていたら、「え?カセットデッキ?、言ってくれれば処分する前に差し上げたのに。」みたいに言ってくれる知人もいたりする。クラシック音楽を愛し、QUADやSANSUIのアナログアンプを愛す人であるので、デッキもそれなりの機種だったりしたのだが、まあ当然の反応だと思う。今時はオーディオはヴィンテージものが人気だとは言え、今どきカセット&カセットデッキなどというものは、既にそういう扱いであるのが、どちらかというと普通だと思う。

とりあえず、カセットデッキに関する参考サイト(随時、補足更新予定)

1.「オーディオの足跡」の以下、主なメーカーのカセットデッキ部門リンク
  なお、ここは英語版(Audio Database)もちゃんとあって、そちらも基本同じだと思うが、ひょっとしたら海外流通モデルとか微妙に重ならない情報があるかもしれない。

https://audio-heritage.jp/AIWA/player/index2.html
SONYの下請けメーカーだったりしたが、カセットデッキメーカーとしての矜持は深く、いくつも高級機、高性能機を出している。
XK-S9000は、ダイレクトドライブでない機構でワウ・フラッター0.018を達成したモンスター。今のカセットデッキや新製品のカセットプレーヤーが辛いなあと思うのは、時代が違うとはいえ、こういう技術力の消滅そのものを感じてしまうから。現在の AIWAは、全く異なる会社が複数ある別のブランド名継承会社。
 カセットデッキについては、NakamichiとAIWAだけは別格という方が少なくない。私はラジカセなどしか縁がなかったが、非常な意地と矜持、真面目なメーカーという部分で、適当なものを作っていたら生き残れないという部分を感じるものを作るメーカーだった。評価の高いものは、球数の問題もあって、高額で、良い生き残り個体とは縁がないので、深く思い入れのある表現では語れないのが残念だ。
 現在まで続くブランドだが、SONYに完全に吸収されたのち、終焉し、その後二つめの企業に現在はブランド名が使われているが、昔日の栄光とは全く関係ない企業となってしまった。

https://audio-heritage.jp/AKAI/player/index3.html
こちらもカセットデッキ一筋と言って良い、専門メーカー。オーディオ分野のパイ縮小で、三菱ダイヤトーンと一緒になったのがA&D。そちらでも評価の高いオープンリールからカセットデッキ、総合的なテープレコーダーメーカーと言える。
 1991年発売のGX-Z5300とか、3ヘッド、クローズドループ・ダブルキャプスタン方式で、バイアス、レベルのマニュアルキャリブレーション、dolby B/C、dolby HXプロ搭載、30曲飛越の選曲までてんこ盛りで、当時の定価50,000円を切っている。でも作りや耐久性、過去の名機と比べた音質スペックそのもの(ノイズリダクション外してノーマルテープで試す)と、そんなには進化していないし1990年代以降は、個々のメーカーに限らず国外外注依存が増え、昔日の日本生産モデルの優秀さと比較して、フリークからの評価は辛口になる。
 上記の話どおり、当時、カセットデッキというカテゴリーが限界を迎えているのを感じる。他社製品だとKENWOOD KX-4520などが類似スペックと価格の製品。Super GXヘッドを持つ機体は、今も燦然と輝く、このブランドの遺品。オープンリールメーカーとしてだけでも、現在ATR MagneticsやRTM Industrysが維持している市場に生き残れなかったのは、とても残念だ。デジタルオーディオメーカーに移行できたTEAC/TASCAMのなどとも世帯が違っていたのだろう。

https://audio-heritage.jp/LUXMAN/player/index.html
カーオーディオ、カーナビ、カーAV、複合商品のALPINEとLUXMANとのコラボ製品としてのカセットデッキ。当時、LUXMANファンは、気になったかもしれない。球数は出ていないと思うし、私も縁がとんとないので、コメントは難しい。ただ、どのカテゴリーの製品も、このブランドのハードウェアを手に入れて完全メンテしたならば、それなりの音が引き出せてガッカリすることはないと思う。自分には資金的に余裕のある人のオーディオ好事家のアイテムという印象はあるが、むしろここのメーカーのカセットデッキにわざわざ手を出す必要は、LUXファン自身にはないという気もする。

https://audio-heritage.jp/AUREX/player/index2.html
なんと言っても原発まで作っていた巨大な総合電機メーカーを母体とする巨大グループ企業のオーディオ部門の会社(だった)。dbxと並ぶダイナミックエクスパンジョンタイプのノイズリダクションシステム、adressを内蔵モデルを普及価格から上級機まで出したりしていた。実家にPC-X60ADが置かれていて、当時ヒスノイズの低さは驚愕もんだった。高級オーディオではないけど、CD内蔵Bluetoothプレーヤーや普及価格の小型カセットテーププレーヤーなど現行商品もちゃんとある。後者は、スペックとしてはWalkmanの代わりにはならない別のカテゴリー商品。

https://audio-heritage.jp/DENON/player/index4.html
1939年(昭和14年)に設立された老舗のオーディオメーカーと言って良いと思う。その後日本コロムビアの音響機器事業のブランド名として、ファンも多いオーディオメーカーだった。1980年代までは、ダイレクトドライブ、dolby C搭載のそれなりのカセットデッキも作っていた。私は特に気を引いたモデルについての知識はない。
 ただ、1987年発売のDR-M27HXなどは、値段を見ると値段は中級の少し上だが、スペックはものすごく高い。現在まで続く総合オーディオメーカーとしての矜持はずっと続いている印象。

https://audio-heritage.jp/LO-D/player/index2.html
グループ会社はスパコンからオーディオ民生品、ホーム家電まで、かつては総合エレクトロニクス機器の大会社で、オーディオに投入された資本も半端なく、このカセットデッキ部門も全盛期には、かなり数も多く、エポック製品が目白押しだったが、1980年代中期以降、新規で目を引く高性能モデルは出なくなっている。ただ、ダブルカセット、MD機の時代まで、製品群はちゃんと音楽録音用デッキの終焉期の最後まで続いている。巨大グループ企業のオーディオ部門は、母屋が苦戦していった結果、最終的にはここのオーディオ部門は東芝などと同じような末路を辿った。

https://audio-heritage.jp/NAKAMICHI/Player/index2.html
言わずと知れた孤高のカセットデッキ専門メーカー。音質では他を寄せ付けないと言われるほどの性能のカセットデッキと強固なファンを持つメーカー。
高額製品であるのはヴィンテージ、ジャンクになっても変わらない。簡単に手は出せない。身代つぶし。少し前に、1000ZXL Limitedがオークションで3,000,000万円で出されていた(今は少し値を下げて、2,000,000円になっていた)。海外のフリークも強力。そのあたりになると、個々の製品でもマニアの優劣評価がシビアで、怖い。適当なモデルをなんとか手に入れて、私のなんか、ただNakamichiってロゴがついてるだけですわ、でへへへへって言ったりすると、また叱られたりするので、手を出すのはやめておく。経年劣化におけるアジマス調整がここまで影響すると分かっていて、自動チューニングまで搭載したメーカーだったが、高額で大切にされていても経年劣化に強いということではない。それだけメカニズムや音質のためのディスクリート回路が、経年劣化に対応するのが難しいほど懲りすぎていた結果ではあると思う。

https://audio-heritage.jp/ONKYO/player/index2.html
 製品数は多くはないが、カセットデッキに注力したのは1970年代後期から世紀末まででかなり頑張ったメーカー。1990年代、最後の方は、ミニコンポ型で音質の良いアンプ、CD製品との組み合わせるため、奥行きを伸ばして縦横サイズを縮めてデザインを合わせたハーフサイズのトレイ型の製品になる。トレイ型は、カセットテープの顔が見えず、またトレイの引き出しメカニズムでゴムベルト切れなどのトラブルが多いので、私は好きではないが。
 安価で質の良いオーディオにシフトして頑張っていたが、オーディオ機器の名門は大阪地方裁判所に破産手続き開始を申請し、破産手続き開始決定を受けた。スピーカーはお世話になったので、悲しい。昔日の洛陽。

https://audio-heritage.jp/PIONEER-EXCLUSIVE/player/index2.html
SONYと並ぶ安定したオーディオ・ビジュアル製品のメーカーだった。かつては「サントリパイ」(サンスイ、トリオ、パイオニア)の通り名通り、オーディオファンには無視できないメーカーだった。1976年販売のCT-8は、当時のオーディオブーム黎明期で評価の高い標準機で、よく売れて、その当たりから評価が確定した感がある。
 最後は、1990年代末に、デジタル入出力を持ったデジタル時代に繋ごうとしたT-D*シリーズを出すに至る。普通、どのメーカーもディスクリート全盛時代よりもこの時代のものはスペックが落ちているが、そういうこともない。きっちりデジタル録音機器のスペックまで周波数特性を確保している。

https://audio-heritage.jp/SANSUI/player/index3.html
黒い筐体のプリメインアンプは評価が高く売れたゆえに、下手なものを作ればアンプで得たメーカーのの評価に跳ね返る。自社でそれに相応しいモデルということもあるのだろう、全体機種は少ないが、評価が高い製品もある。中古の球数としてはシビアなので、状態が良いものはすぐに落札されていく。面白くユニーク開発能力のある企業だったけれど、経営トップがおバカをやって潰してしまったもったいなかった会社でもある。

https://audio-heritage.jp/SANYO/player/index.html
1970年代、各メーカーが、オーディオブームの波に乗ろうと圧倒的な資本を投入し出して、競争が激化した時に、カセットデッキの開発生産も終了させた。レアなモデルの収集品的価値しか見出せないが、当時の音を知る上では、完全動作品があれば、貴重かもしれない。R-5500とかはspecは低いけれど、音の良い名機と言われていて、その後、高音質オーディオのガチ勝負からは比較的早く撤退したが、ヒット商品ラジカセU4などを支えた技術とは繋がっているとは思う。

https://audio-heritage.jp/TEAC-ESOTERIC/player/index2.html
カセットデッキに注力したメーカーの特徴として生録機がラインナップの歴史にあることが一つ上げられるだろう。SONY、Victor、Nakamichi、電池駆動もありというモデルならYamahaなどもあるが、生録機としてのカセットデンスケは、TC-2890SDで評価が確定したところがある。最終型TC-D5Mは、今でも状態の良いものは、高額だし、ジャンクも修理対象で値段が下がらない。ビンテージ人気というだけではなく実用機的にも、十分使える。M付きのほうじゃないTC-D5も音質は驚異的に良い。
 据え置き型では、1976年のTC-K7がnon dolbyで使った時の音質の良さからリファレンス機となって、友人はまだこれを使っている。その後、三桁シリーズでは中級機の上555系が1993年発売のTC-K555ESJまで長く続いて、今でも評価は高く人気がある。
 現在ワウ・フラッタも周波数特性も性能が維持されているTC-K555ESIIの廉価版タイプのTC-K333ESの個体が手元に来て、自分の持ち物の中では一番マトモなカセットデッキとその録音テープを手に入れられるようになった。このシリーズはモデルの年代で見事に基本スペックの壁みたいなものがある。1990年代に入るまでは、TEACみたいに古い年代のが異常に性能が良いモデルが合ったりする逆転現象はあまりない気がする。シリーズ後年型が良いのは当たり前だが、状態と中古の値段を勘案するみたいなことにはなる。

https://audio-heritage.jp/TEAC-ESOTERIC/player/index2.html
ここが業務用、民生用とも、最後まで「カセットデッキ」を生産、販売していた。最近のモデルは、恐らく国外のラジカセモジュールと変わらないスペックのもので、まあ、ラジカセだと思えばカセットテープの視聴は可能だ。全盛期の日本メーカーのラジカセのレベルとは違う。
 同社の業務用録音機材のブランドTASCAM112MKIIの生産販売が終わったときに、実質的にここの名機C-3からの系譜が消滅したと見るべきかもしれない。因みに、本当の意味での3ヘッド等メカニズムを踏襲していたのは、122mkIIIではあって、その生産終了したのはもっと前なのだけれど。
 名機は多いが1970年代後期のC-1/C-2/C-3の系譜と、その後のCDの長時間視聴に対応できるよう、基本スペックや音質で不利なので、マニアは避けたがるオートリバースモデルをたくさん生み出した。最終的には民生用としては、左右対称レイアウトのVシリーズにDolby Sを載せたモデルを1990年代まで製造販売していた。
 私はC-3を所有していたことがあって、ワンモーターマシンではあったが、音質的には今でも評価されるマニアが多い。
 それでも1990年代前後では、コスト減少のためディスクリート回路のIC化と国外への外注が進んで、値段と重量を抑えることについては、Specからすると1970年代後半から1980年代前半のおおよそ半分ぐらいになっている。ここは長くカセットデッキを作り続けたので、そのあたり顕著に学習できるモデルとなっている。
 IC化は、軽量化とトラブル防止には寄与したが、基となるディスクリート回路の出来いかんでは、音質低下が避けられず、口さがないフリークにはこの時代の機体はディスられることになった。現在3head機のV-3000とオートリバース機であるR-616Xを所有している。中古としてはマシな状態だったと思うが、V-3000はアジマス調整しても高域のスペックがちょっと落ちていて、音質的にはSONY TC-D5の方が上に感じてしまう。この機種はTEACフリークからは全く評価されていないので、そんなものかもしれないが、ヘッドの摩耗の影響かもしれない。どうやらこの時代のヘッドは内部が弱いようで、摩耗がなくてもスペックが出てなかったりする。しかし、普段の視聴に使っていたら耳が慣れてしまった。今どきの中高域の音圧と解像度の高いイヤーフォーンで視聴すると、この欠点は全く気にならなくなるので、そんなレベルではある。

https://audio-heritage.jp/TECHNICS/player/index2.html
縁がなかった。アンプからスピーカー、純粋オーディオ製品については、本当にほとんど縁がなかった。私はそれ故に語ることができない。今回中古オーディオで、何か手に入らないかと思ったりしたが、私の場合、リニアトラッキングLPプレーヤー(三台手元にある)以外は、私の中の情報が更新されるきっかけは今のところ全くない。その出来の良さもあるし、当時、大きな資本を持った電気製品メーカーであったゆえに、かなり攻めの製品を出していたし、否定的な印象は全くないメーカーではある。

https://audio-heritage.jp/TRIO-KENWOOD/player/index2.html
2headデッキだったり、ダイレクトドライブでなかったり、クオーツでなかったりしても、性能がものすごく良いモデルがあったりして、ここも、プライド高きメーカーだと思う。ユニークで、先進的なメカをいち早く採用して、老舗に対しても絶対性能を誇ったりするだけではなく、オーディオ誌でベタ誉めされたりする名機をもいくつか輩出していたメーカー。コストダウンのさじ加減も、中堅メーカーらしくかなりよく考えられていて、コストをかけたモデルでは、絶対にポイントを外さないようきちんとしていたり、侮れないメーカー。
 現在も、カーオーディオではちゃんとしたブランドとして存続しているところも偉いのである。

https://audio-heritage.jp/VICTOR/player/index2.html
キャプスタンのダイレクトドライブをいち早く採用したメーカーで、実際に当時ワウフラッター性能が化け物のモデルを作り出していた。ワウフラッターだけでも、高性能でピシャリとしていたら、音質の乱れ、変調ノイズは普通は人の耳では簡単には感知できないから、エネルギーを投入すべき部分がよくわかっていたメーカーだったと思う。それ故、当時他社も慌てて、ダイレクトドライブ機構に追従するしかなくなった部分がある。私は今でもDDを冠したモデルには敬意を払いたくなる。
ANRS、SuperANRSなどノイズリダクションシステムには、独自のテクノロジーを注いていて、効果は抜群だったが、NRの共通規格競争の敗北という部分では、これも一つの事例となってしまった歴史部分。Dolby Cの後は、そちらを採用していくしか無くなったのも辛いところだったと思う。生録機でも定評があるモデルを作ったり、とてもひたむきな開発をやっているなという印象の真面目なメーカー。最終的にJCVとなりKENWOOと一緒になり、メーカー名は消滅した。
 中央部にカセットを置くレイアウトが一般的になる前は、カセット部分を右側に配置していた唯一のメーカー。なぜそうなのか、どこかオーディオ雑誌で読んだ気がしたが、理由はわすれた。

https://audio-heritage.jp/YAMAHA/player/index2.html
高性能でファンが多い。ここの音作りは合わない人はだめかも知れない。それくらい一つの理想を求めているという印象はある。実際ここのアンプの音は好きで、現在中級機をメインにしている。オーディオは見た目で音質の良さを感じる部分が少なくないが、その意味で、デザインの好みも大きいと思う。
ディスクリートの部品は、モーター内パーツとか意外なところが壊れる事があるから、全盛期の高性能機を手に入れるのはそれなりにリスクは有る。私はK-1000で酷い目にあった。KXシリーズが最終モデルの眷属だが、ダブルデッキKX-T900まできっちり性能を出しているのは流石と言える。
 スピーカーの名機NS-1000M/X、NS-10などリファレンスともなったベストセラーアナログオーディオもたくさん市場に出してきた。総合メーカーでトップレベルの演奏家の楽器や数億のクルーザーまで作っている会社のオーディオ部門だが、ブランドイメージもある故に、手堅い商売もしている印象。デジタル方面へのシフトも明確故に、デジタルアンプ、AVアンプ、楽器や音楽制作現場とのリンクでデジタル資材も必然で、市場への対応は進んだ。1980年代後半以降はカセットデッキカテゴリー商品は終了している。ここのカセットデッキには高耐久性と位う印象はない。中古を手に入れるときには良い状態のものは少ない気がする。

メーカー別のコメントはこれ以外は、Marantzや海外メーカーに数社あると思うけど未完です。
なにか忘れてないかな。ささやかな忘備録でもあるので随時補足していくと思う。
基本自分用の覚書の開陳でもありますので、ご容赦ください。
 
2.カセットデッキ関連サイト、ブログ記事など

http://audiosharing.com/review/?cat=312

Super Cassetters' カセットデッキでは超有名なYoutuberの方のブログ
https://nishimurasound.jp/blog/
機種の情報量、カセットデッキ全般の知識とも圧倒的で、日本のカセットデッキフリークのリファレンスみたいな方。

https://audiof.zouri.jp/menu-kiki-3.htm

https://a-nkmr.com/archives/category/compact-cassette/cassette-deck
FA "カセットデッキなどという過去の遺物は今すぐ投げ捨てろ!"で有名なところ。

https://note.com/toby_nakamichi

http://ao.gmobb.jp/pelodi/ct_main2.html

https://www.hifiengine.com/
ヴィンテージ・オーディオ コンポーネントについて基本スペックなど、情報を集める時に役に立つ。オーディオマニアにとっては宝の山のような場所と言われている。

https://www.tapeheads.net/
海外のカセットデッキでは有名なSNS。カセットデッキのモデルについて、’tapeheads.net'を頭に入れて検索すると、フリークならではの情報が拾えたりする。凄まじい金額を投じて、TEACやNakamichiの評価の高いモデルだけ何台もレストアして持っている人とか現れたりする。濃い人が多いので、有名メーカーの製品でも彼らが駄馬扱いのモデルについては、情報は少ないかも。質問しても、評価の高いモデルと違って、誰も返事してくれなかったりする。怖い。

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by complex_cat | 2024-05-18 17:40 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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