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シカ頭ーシカの諸問題について

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 手札の中から適当にシカの画像を拾ってきてそれを適当に貼って、それを元に歯科の話をしていくスタイル。学会発表でもパワポの画に合わせて言わないといけないポイントだけメモって後は思いついたことを話しで時間内に収める、原稿を一回も作ったことがないズボラな私故のスタイルだ。ポスターなだと、延々といつまででも話しているので叱られたりする。

 明確に、落ち葉食いをしていたヤクシカの幼獣、動画に収めることが出来た。落ち葉と言っても強風などで落ちてくる緑色の葉っぱを食べることが多いとされているが、実際のところ、カピカピの落ち葉もやっぱり食べている。
 高密度になり、林床植生の可食植物を食い尽くすと、その場から離れてみたいなことはなく、食性は普段は食べない植物にまで広がっていく。
 日本語による九州大学プレスリリースはリンクが貼れないのでこちらに記す (chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.kyushu-u.ac.jp/f/51723/23_0123_02.pdf)。原著論文はこちら、シカ個体群において、そのために消化生理的にも適応が生じていることを、九大の濱村先生のチームが腸内フローラの比較で証明されたという研究。
 多くの植物が溜め込むタンニンなどの二次代謝産物は、消化阻害により消化が困難になり栄養になりにくい性質を持つことで、採餌加害を回避するように出来ている。それを腸内細菌の力を借りて可食な餌にできるように適応していく。これは高密度地帯で顕著に生じているというのが、ポイントだ。
 この地域もヤクシカの増加が始まっており、林床食性は普通に餌になるような植物は殆ど残っていない。落ち葉を食べる行動が状態化して久しい。
 

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 実は問題行動を撮っていた人は、地元の数人で、最近はかなり数が減少したシカへの餌やり。この後びっくりしたのは、このおじさんはパンの耳を大きな袋に入れたものを大量に持ち込んでいて、大量んばらまいていったこと。
 その後、いろいろ注意されるようになって、残りは強力な愛玩行動がやめられない人達だけになった。調査をしていた人達は、野菜くずなどを大量に持ち込むその人達をサンタクロースと呼んでいた。
 ヒトは餌をやるサル、という話を何度か書いたと思う。その特異な行動により、多くの動物を家畜化することが出来て、農林畜産業の糧としていったわけだが、野生動物にそれをやられると、非常に困るしいろいろな問題が生じる。流石に、表立ってやる人は少なくなった。それでゲリラ的行動に行う人達が生まれた。これは、もっと前のなんでもありだった時代の記録。実際奈良の鹿に鹿せんべい食わせるのが良くて、なんでこれがいけないのだ?問題って飢えを救うことがなにか悪いのか?みたいな話は農業被害誘導やシカの分布地域拡大とその結果の増殖を助ける問題は、そんなに理解は難しくないので、流石にちょっと減ってきたと思う。平成の時代の初期、シカの個体数増加問題は、まだまだ潜在化といえるレベルで、当初はシカによる農業被害というのは殆どなかったのだ。

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 国立公園内、ビジターセンター周辺。これも平成の時代。神の使いでもあるシカを集めて餌をやって、というような「観光ビジネスモデル」が存在する以上、これがあかんことやっているという認識を、一般の人が持つのは困難だった。流石にこの状況はなくなった。


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 当時は子連れで、平気で人の前に出てくる状況が当時は普通であり、狩猟圧ゼロの結果でもあった。彼らが移動制限や、採餌時間制約を受けずに、どこでもいくらでも使えるようになると、当然今までにないレベルの増加率で増えることになる。氷河期以来、人類が狩猟により生存していた長き期間にわたって、強力な捕食獣でどんな動物もあらゆる方法で捕まえて食べてしまう人類の捕食圧に抗して、他の特に大型獣類が絶滅させられる中で、生き延びてきた眷属は、ものすごく優秀でタフな生物だ。
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 当然、周辺の森林、その林床はこんな感じでぼろぼろになっていった。次世代を生産できる種の高層木や中層木が消滅するには数十年のタイムラグがあるから、すぐさま森林が消滅するということにはならないというシミュレーションもあったが、これだけすかすかになってくると、乾燥や強風からの倒木も増加するので、加速度的に森林の維持は困難になっていく。
 こちらの地域は、噴火や狩猟圧のテコ入れで、シカが国有林内捕獲だけではなく拡散した結果、一部はかなり密度が薄くなった。捕獲自体は、過去のテリトリーハンター的な捕獲が実施できるわけではないので、散逸させて別の地域の被害が出たりすることは避けられないが、人的努力限界や可能であっても現実のシステムの中では取り柄ない手法の限界の問題もある。やり方がないわけではないが、その話はまた別の機会に。

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 ここは北薩地域だが、一応、ここのシカは人とはフレンドリーな関係がないようなので、昼間に出てくる状況ではあるが、一定の狩猟圧が存在するということは理解できる。私の車のエンジン音を聴いたらスタスタ逃げていった。林道が縦横に充実することは、シカの移動コストを削減し、更に林道周辺の植物の充実などによりシカを増加させてしまう。でも、林道は山林の維持や治山における林業の充実やその地力維持に関しては避けられないので、林道が悪いという話ではないですって、林学関係者の前で話して、c_Cさんは、落として持ち上げるから、文句が言いにくいと苦笑されたことがある。
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 林内歩き回っていて、休憩していたら、私の気配を感じ取るのを失敗したか、風下だったか、たまたま遭遇した。まだ若い個体だったこともある。一瞬犬かと思ったが、きれいなシカだった。それにしても密度が高い。

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 シカを個体群管理のために捕獲して個体数減少させるということには、特に一部の地域では意見は色々ある。野生動物、野生哺乳類など、凄まじい魅力があって当たり前で、可愛いに決まっている。
 屋久島では林床食性ボロボロのところは、ヤクザルが採餌を始めるとシカがやってくる。ヤクザルの群れは、子猿が餌を食べやすいよう、食事の時間が始まると、成獣が樹上の枝葉を折って下に落とす。それをめがけて鹿が集まってくる状況が臨床の餌が枯渇した場所ではよく観察される。母親から子別れされれた直後のシカは、依代をもとめるのもあるのか、いつもヤクザルの餌場となる場所で待ってるか、つるんでるようにみえる状況も観察されることになる。これは屋久島観光では、宿の主人などが、エコツアーと称して観光客に見せたがったりする画で、そういう観光的な余録が無いと不満が出たりする。もう一つ、サルがなぜここに集まってくるかというと、工事関係者や観光客が食べ物を落としたりすることが最初の誘導になったりしてたりするし、悪質な例では民宿の人が餌付けをしていた事案もあったりする。

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 シカの仔は本当に可愛い。この破壊力は多くの哺乳類の中でも夢中になる人も少なくない。それ故に、かつてのように利用地域制約がかかり標高700m未満ではほぼシカなんか見たこと無いよっていう状況に戻せたほうが良いと思うのだが、それが過去なぜ達成されていたかというと、それなりの狩猟圧、それも今ではやれないような方法も含め、かかっていた結果でもある。それが達成されると、農業被害や低地照葉樹林の採餌ストレスも減少するし、これは名実ともに追い上げで、高標高地は定期的な降雪と低音に見舞われる冬を経て、個体群の爆発は簡単には生じない。これはある意味全国で生じていた現象だと思う。温暖化で登記ストレスも減少するだろうし、これも簡単な話ではなくなる。こちらの県では、本来まとまった個体群を持たないカモシカがとんでもない低地の人家近くに現れて、これもシカの個体群拡大により生息場所を奪われた結果であることが言われるようになった。カモシカが本来の生息場所を追われて、ジプシーみたいになっちゃったと。

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 シカの問題は、他の野生動物、野生生物に対する問題にもなってしまったゆえに、シカだけが悪者にされている印象を持つ人が、更に頑なになるが、今では特に植物の保全生態をやっている人達にとっては天敵となってしまった。本来、野生動物であるシカが野生植物を食べても、加害とは言えないものであったはずなのだが、数の問題が破綻するとそうなってしまう。私も野生植物の採餌を、いちいち加害とカウントするのはちょっと違うと思っているが、この株しかもう地球上に存在しない、みたいな植物をパクパクっとシカに食われたりする構造が出来てしまっていると、もはやそんな事も言ってられない。なかなか難しい。

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 最近は、その役目を終わったので、あまりやらないが、夜間の調査はかなりやった。シカが夜行性だと思われたのは、一つは狩猟圧の結果なので、それがなくなると、昼間でも普通に出てくる。照葉樹林の中で、夜間のシカ撮影のための機材には手持ちの機材で対応したのでちょっと苦労したが、こういうのもデジタル一眼レフが出たおかげで随分楽になった。これはモノトーンに見えるがモノクロにしたわけではない画像で、自分としてはなかなか気に入っている。

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 実際に、LEDの強力なライトが普通に手に入るまでには、少し猶予があった。当時は、まだ暗闇を突き通す能力はLEDライトでは低く、ダイバーの友人も同じことを言っていた。その次代にあっても、デジカメはかなり進化していって、ハロゲン球の光でも、楽に撮影ができるようになったのもデジイチの恩恵だった。
 
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 やはり撮影が楽にできるのは幼獣が多い。警戒心が少ないこともあるが、子別れ後、林道周辺をウロウロしていることが多いからかもしれない。

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 奈良に普段乗りクロスバイクも搭載しつつ実家への往復で訪れたのは、そう言えば長男の受験のときだったなと思い出した(『古都の猫男』)。両親に連れられて幼少期に行ったのと中学の修学旅行以来、鹿せんべいを食べるシカにはずっとご無沙汰していた。動物としてのシカとの距離とその社会への影響、生態系保護管理との関係、そういった文脈の中では一種の特異点のようなものかも。
 自分が野生動物保護管理で普段関わっているシカとは全く違う存在だが、実は本質的に人間と人間社会のやり方とその問題を含んでいるという部分では、共通している。



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by complex_cat | 2024-08-09 13:26 | Wonderful Life | Trackback | Comments(0)

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