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デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #8

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「アムロ、いいか、このデータをガンダムに読み込ませろ。圧倒的に戦闘能力が向上するはずだ、」
「こんな古い物を・・・. 父さん・・・酸素欠乏症にかかって!…しかもエル・カセットでもない見たこともない規格。どこから?」
ガンダム「ぴーーーー・・・ガピー(カセットテープデータ読み込みの音)」

 ようやく音質的に、十分なクオリティにある中古カセットデッキに当たった。中古の高性能カセットデッキの値段は、天井知らずの部分もある。現時点なら、資金さえ投入すれば、状態の良いメンテナンスも詰めた個体もまだまだ買えると思われる。ただ、修理の手間も含め、購入費用としては崖っぷちで勝負してこそ中古オーディオの醍醐味だと思う(勝手な断言)。料理だって材料が費用天井知らずなら、よほど才能がないか技術がないかしなければ、ある程度うまいものをテーブルの上に並べられるだろう(ちょっと意地になってる)。まともに動く中古個体の数は少なくなっているし、時間経過するほど、性能維持が困難になっていく。調べたら10年前なら、完動備品で5,000円レベルだったようだ。ブームもあるので、相当値が上がってしまっている。

 カセットデッキについては安い中古を狙うとしたら、モデルのスペックにおける以下の項目のチェックを一つずつ外して妥協していく必要がある。勿論、それなりの性能を求めるとすると、外すと音質の階段を降りていくことになる。それも音質については当時の企業努力もあるので、一概にはいえない部分もある。
 今回は少しハードルを上げて3と7と8の✅は外れている。他の要件は満たしているということだ。

✅1. メタルテープ対応の製品
✅2. 高音質、耐摩耗性と3headの製品
✅3. キャプスタンのダイレクトドライブモーター(更に言えばクオーツロックの製品)
✅4. クローズドルーブダブルキャプスタン方式の製品
✅5. 周波数特性がノーマルテープでも高域18,000Hzを超える製品
✅6. dolby offでもSN比が60dBに達する製品
✅7. 当時の定価が80,000円を超える製品
✅8. アンプがDCアンプ構成になって以降の製品

1.はメタルテープが開発販売される前の製品であると云うことで、基本、古い個体が多いカセットデッキの中でもとびきり大昔の製品であると云うことである。怒涛の音質向上のための開発がなされる以前の個体というわけで、性能維持も含めてかなりハンディがある。全くないわけではないが、一般には手を出すのはやめた方が良い。尚、年代が新しくなるとテープのタイプの判別や知識をユーザーに求めるのは販売戦略的によろしくないと、自動的に判別したりする仕組みを作ったり、名称もメタルはType IVとなったりしている(ノーマルがType I、クロームがType II、デュアドフェリクロームがType III)。そういう呼び方をしているモデルは基本的にメタルテープ対応製品だ。勿論、今時未使用のメタルテープなど頭のおかしな値段でしか購入できないし、磁性体が経年劣化していない保証もないから(メタルテープ全盛時にもBASFなど、それはあった)、基本性能が高く、より後年に開発されたモデルを判別する以上の意味はないと思っている。

2.は、ヘッドの素材の選択は、音質と経年による摩耗とのややこしい問題だが、A&D(旧AKAI & Diatone)のGXヘッドは、音質と耐摩耗性を高次元で達成したものでそれを選択すれば、かなりリスクは回避できると思われる。その音質で録音・再生できるレベルの個体が、まま安価で手に入ったお陰で、手元のカセットデッキのいくつかは、ヘッドがLC-OFCを使用したレーザーアモルファスヘッドとなっている。耐摩耗性は馬鹿みたいに固くてガラス鏡面でツルツルの1970年代のSONYのカセットデッキの性能を牽引したF&F headには負けるが、音質は固すぎず、ボヤケもせずにとても良い。
 中古デッキで気になる、耐摩耗性については以下の通り。使用履歴にもよるが、GXヘッドは、A&D(旧AKAI)のエポックで音質と耐摩耗性を両立させたヘッドだ。私にとっても憧れのヘッドだが、残念ながら手に入れるに至っていないので、評価にはその補正が入っている。

GX=フェライト (Ferrite)>センダスト (Sendust)≧アモルファス金属 (Amorphous Metal)ハードパーマロイ (Hard Perm-alloy)>パーマロイ (Perm-alloy)の順。

ちなみに音質は私の独断だが、こんな感じか。

GX=アモルファス金属 (Amorphous Metal)センダスト (Sendust)フェライト (Ferrite)>ハードパーマロイ (Hard Perm-alloy)パーマロイ (Perm-alloy)

 ちなみにパーマロイというのは、高耐久性や高音質が求められないラジカセ用のヘッドとして一般的だ。
 レーザーアモルファスは、新品の音質は素晴らしいのだが、同じアモルファスヘッドでも、コバルトアモルファスヘッドよりも耐摩耗性で劣り、内部構造の経年的な耐久性で、トラブルは起こしやすいようだ。調べてみたら、カタログ値の帯域のはるか手前でドロップしていたりする。

3.はテープの音質に簡単に影響してしまう変調ノイズ狩りのためのワウフラッター性能を上げる機構で、勿論コストがかかる。最終的にはWalkmanにもその機構を乗せたほどだ。誰にでも回転ムラによる音の劣化はわかりやすいが、ダイレクトドライブはゴムやプーリーが介在しないので、理屈の上では経年劣化に強いという長所もある。それでもDDだからと油断は禁物で、精密機械動作品は、どこが破れてくるかわかったものではないし、DDでなくても回転性能が良いモデルはあるし、経年劣化に関してモーター自体に弱点のモデル(YAMAHA K-1000など)もある。回転系メカとしては究極だが、モデルが限定されるので、当然ここにチェックが入る完全動作品は高額になる。メカがシンプルに見えるが、制御系はやっぱりディスクリートやチップが劣化、破損することはあるので、生きている個体は貴重故に高額。

4.は二つのキャプスタンの間に安定したヘッドタッチでテープを回すわけで、完動品でトラブルなく動いていれば、その性能が満たされている可能性は高い。当然うまくシンクロしていなければ、テープやメカニストレスがかかるわけで、まともに動かないはずで、中古品にとっては0か1かみたいな話ではある。ただ、これもシングルキャプスタンでも、音質に定評のあるモデルは少なくないので、コスト管理が進んだ時代には、必殺技として外してくるモデルもあった。その分、こだわりを捨ててチェックを外せば、元値はそれだけ安くなる通りではある。実際に、採用メカは思ったほどはワウ・フラッター性能がブッチギリを担保するかというと、そうでもなかったりする。実際に、このメカはSONYの1970年代黎明期の製品でも達成されている。当時のワウ・フラッター性能は0.14ぐらいなので、先入観は危険である。

5.周波数特性は、ワウフラッターと同様、ラジカセとカセットデッキの間の深い谷間を示す性能部分。全盛期の一般のラジカセがそこそこ音が良いと言われるものも13,000Hz止まり、カセットデッキは黎明期から15,000Hz上限を確保していた。人間の聴覚は、加齢により50代のオーディオ評論家は下手すると12,000Hzも聴こえない人もいるわけだが、そこでカットされた結果の音質は、どうせあんたの耳じゃ聴こえないからカットしても関係ないでしょっというようなことにはならない。それ以前の高域からハーモニックスのゆらぎなど、音声パターンでは微細になりすぎてわからない部分の解像度が落ちている可能性もあるから、間違っても音が変わらないということはない。デジタルデータとは違うのだ。アナログオーディオの帯域性能記述は、デジタルでスパッと20,000Hz以下がデータとして取り扱わない形で切られるのとは意味が違うので、高域に余裕があるということは、結果的に、その下の帯域の音質も担保されることになる。

6.最近はDolbyなどノイズリダクションを回避する流れも大きいが、SN比はそれなしでの音質がデッキの素の音質でもあり、素養の良いのは、この値も良い。ただ、これも例外があって、当時、フィルムカメラのような商品テストみたいな雑誌やその特集には限界があるので、カタログ数値性能を絶対的に信頼すると、安く音質の良い機体が漏れるモデルは多くなる。でも大抵はそういう機種の評価はしっかり知られていて、オークションでも安値にはならないけれど。

7.物価や、その時代のカセットデッキのオーディオにおける地位のようなものも反映するのだが、技術や資材が投入されたものはやはり発売当時の値段もそれなりに高額。またCD、デジタルオーディオが普及し始めると、価値の低下から、基本スペックはそれなりなのに、思いの外発売時の価格が低かったりする。でもその意味は、海外外注や以前と数が売られていたラジカセの部品共有などにより下げられているわけで、投資が減少した結果でもある。それ故に、カセットデッキ全盛期のモデルを脅かすような基本性能の高い製品は、あまりにも安くなった時代には、作られるケースはほとんどなくなった。その時代においても、それなりの値段はしているが、Dolby Sやダブルカセット化によって低い寝付けにならないモデルもあるので注意が必要。勿論、中古個体では、高額だったからと言って昔日の性能が維持されているかは個別の問題。

8.DCアンプ構成は、1980年代後半からプリメインアンプだけではなく、カセットデッキでも、内部アンプに採用する高性能、高額モデルが登場した。低温や高音の最終的な再生音質も、それに左右されるから、上級機の激戦区では差別化のために必然だったとも言える。

 古いSONY製だが、Dolby B/C、3Headカセットデッキとしての音質がなんとか維持されている個体が手に入った。イジェクト周りダンパーが壊れていること(中を見ていないが、多分修理可能だと思っている)以外は、基本機能は納得できる範囲内の性能を維持していた。LC-OFC巻線レーザーアモルファスヘッド機は、新品なら素晴らしい性能が出るが、耐摩耗性は今ひとつなので、ヘッドが良好な個体はこれからもどんどん少なくなる。要するに、個人所有で細かい状態の情報がないものについては、購入自体が博打。私はSONYのF&F,S&Fヘッドは音が硬いと言われるが、好きだったから、むしろそちらの製品を探してはいた。

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 中古カセットデッキについては、もちろん耳で録音再生した音をチェックするわけだが、それ以外に、以下のチェックを自分で行っている。聴覚の鋭敏なチコたち猫に頼もうとしても、既に皆、虹の橋をわたってしまった。


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①アジマス調整とテープ速度
 測定前には、ピンチローラーとヘッド周りのクリーニングは最低限やっておく必要がある。私の場合プロ用測定機材があるわけではないので、アプリでアジマスのズレと、走行速度の簡易チェックと調整を行っている。まだ、久しぶりに起動させたばかりなので、少し暴れているが、見た感じ大きな調整を必要とせず、変調ノイズも少なかったので、この個体は辺りっぽいかなと感じる。
 アプリケーションはWave Gene1.40かAudacityで、315Hzのトーン信号を作成し、これを3Headデッキなら、カセットデッキで録音しながら、その再生信号をPCに戻してWaveSpectra Ver. 1.40を用いて調整している。2Headなら一旦録音しておいて、再生しながら同様にWaveSpectra Ver. 1.40調整するだけである。
 

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②ワウ・フラッター性能
 中古はピンチローラーもキャプスタンも、モーターからの伝達系も、純正品による新品とは行かないので、プロの技術と資材によりメンテされてない限り、どうしてもスペックは落ちてる。それでも0.06%WRMS以下であれば、かなりまともだと思う。カタログスペックより少し高いが、それなりに変動幅は大きくなっているので、ピークの値はカタログスペックの倍の値になっていたが、ここを調整して下げるには、かなり大変だと思う。実際に、人の感知限界よりは低いので、ピアノの音もゆらぎは感じられず、CDと区別つかない。デジタルレコーダーを手に入れたし、何のストレスもなくデジタルオーディオが楽しめるおかげで、回転ムラの呪縛から開放されたのに何やってるのだろうと、少し思わないでもない。でも、十分に良い音が鳴るはずだ。
 アプリケーションはWave Gene1.40かAudacityで、3015Hzのトーン信号を作成し、wfguiを用いている。

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③周波数帯域
 ノーマルテープで可変バイアスを調整して、フラットで18,000Hz手前まで伸びている。カタログスペック通りだった。Youtubeでカセット・テープの名機を持っている人の、提示される周波数特性がビヨーンと高域まで伸びていくのを見るのは、気持ち良いし、資金をかけていないからしょうがないのだが、ただのノーマルテープで20,000Hz超えしていく高性能カセットデッキの動画は、羨ましかったりする。それでもまあ、立派なものだ。
 アプリケーションは、WaveGene 1.40かAudacityでホワイトノイズやCharp信号を作り、帯域測定は、WaveSpectraを用いている。

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 手元にかなりやれた感じのクロームテープがあったので、そちらでもチェックしてみた。20,000Hz近くまで伸びてる。クロムテープは、使用品含めて安く手に入れるのは至難の業だし、実際に新品として限定生産される事はあるが、現在日本で売られているカセット・テープには存在しないのだが、やはり、クロームで十分なので、高スペックテープの現在での生産品は欲しくなる。ATR Magnetics社が限定でクロームタイプのカセット・テープを数年前に適価で販売したことがあるらしい。オープンリールテープのメーカーだが、オープンリールデッキは、海外では現役の録音機材として映画撮影などの現場で、まだまだ使われている。
 基本カタログスペックは満たされていて、ノーマルテープで十分な性能が発揮できるので、とても助かる。


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 ちなみに、ワウ・フラッター性能も周波数特性もカタログスペックからかなり落ちてるV-3000は、PCOCCパーマロイヘッドを採用している。純度の高い銅線による(Pure Copper by Ohno Continuous Casting)巻線を使用し、ただのパーマロイよりも高硬度のパーマロイを組み合わせたものだ。これにより、耐久性が向上し、音質の劣化を防ぐことができる、とあるが、過信は禁物というか、このデッキの販売価格は、なんと40,000円代だ。1990年代では、音声・映像・文字用の「CD-ROM」(1985年規格化)やレコーダーが普通に売られるようになっており、デジタルオーディオは一般化している。カーステレオも、iTunesから音楽用に焼いたCDを飲み込ませて視聴する時代だった。カセットはカー・オーディオから消えている。オーディオ製品としてのカセットデッキであっても、その値段で売る必要があった。みかけCPがよいデッキだが、やはり物量が投入されたときの製品ではないのでしょうがない。そういうモデルがTEACのこの時代の製品に多く、海外のカセットデッキフリークには、それ以前の製品の性能の高さを知っている故にボロクソに言っている人がいる。カタログスペックから帯域は2,000Hzも限界が低い。パーマロイの性能維持は難しいのかもしれない。
 他に、データ見直すとカセットデッキ三台、交換しても右チャンネルの信号が、どれも荒れる。視聴上、現時点で全くトラブルは感じないので、録音データの特性というよりは、PCの入力側の先になにか問題があるのかもしれない。ちょっと別の方法で確認するが、今回は後回し。


 ヘッドの表面劣化は見られないのだが、帯域の高域が落ちてしまう中古カセットデッキの症状は、この方の修理個体でも発生している。原因はよくわからないが、内部構造の劣化(具体的にはどういう状態なのかは私はよく理解できていないしその知識もない)かもしれないなと思っている。

 ということで、あらかじめ視聴したときの印象通り、今回手に入れたSONY製カセットデッキの中古個体は、イジェクト周辺と回転系のメンテが望ましいが、比較的十分な性能を維持したまま、私の手に届いたと判断された。安中古を探しつつ、ようやくという感じだが、中身を開けてみたら、まだ一波乱という気はしている。

 なお、3Headカセットデッキというのは、録音ヘッドと再生ヘッドが、わずかな隙間を挟んで直列されていて、録音しながら、録音された直後のテープの音を再生することができる仕様になっている。入力からの音とテープに録音されて再生された音が、トグルボタン一つで瞬時にSource/Tape切り替えられるから、音質の差をチェックしやすい仕様だ。
 3Headは、音質で売る中級機以上で採用されたわけで、メーカーの自信の表れでもあった。当然、音質は良くてあたりまえで「ほーらほら、おみゃーさんたち分かるかや? 入力の音と今録音されてホヤホヤの音がほとんど区別できないくらい高音質で録音されとるでしょー」ってドヤされる(名古屋弁ではないけど)仕組みになっとるでよ。2Headのデッキでも高音質のものがあるが、実際中古で手に入れた3Headデッキの場合、本来の戸は言わないが、録音再生視聴できるそこそこの性能が維持されているかどうか、音質のチェックは、この切り替えを数回繰り返せば単純で簡単にできてしまう。それでテープ録音の音質の落ち込みを感じなければ、その中古デッキは貴方にとっては、十分な性能を果たしているということになる。

 歴史的にオールドオーディオは色々言われる場合があるが、特にスピーカー再生であれば、当時のカセットデッキは、よほどの高性能の聴覚の持ち主でない限り、十分に納得できるレベルの音が鳴らせることができていたのが3Headに代表されるカセットデッキの全盛期とその製品群だといえるだろう。テープヒノイズは、Dolby Cになっても、静音部でボリュームを上げ、ヘッドフォン・イヤフォンで聴けばバレてしまうが、これもYoutubeなどでも同じ。逆にいえば、静かな部屋レベルのバックグラウンドでのスピーカー視聴で、ボリュームを上げない限りYoutubeのオーディオは、ヒノイズが露骨に分かるレベルの視聴環境でなければ、高性能カセットデッキの音は判別し難いくらいのレベルには到達していたと言えると思う。よく視聴のテストがオーディオアカウントにはあるけど、実際ヒノイズを聞ける状態にしない限り、分からなかったりするのは少なくない。CDでもノイズあるなーっていうのが古い音楽ソースだと、録音時のノイズだったりする。

 音楽ソースとして、カセットデッキは、当時のオーディオの主力であった時代があるのだ。
 
 他はアンプ性能への技術と物量の投入に関しては、ある程度は性能や値段に影響しているが、機種選定の判断材料にはならないと思う。それでも、流れとしては、1970年代までのオーディオアンプの急激な性能の向上は、DCアンプにより急激にリープし、それを採用されているモデルかどうかは、年式の問題とイコール。これも切手並みの値段と大きさの高性能オペアンプが登場する前は、良い構成のヘッドアンプやアンプ部はそのまま音質に直結する。
 最近話題になった21世紀のWalkman型カセットプレーヤー、FIIO CP13は回転系の性能は別にして、再生からの流れのオペアンプ性能は一般のデジタルアンプの20,000Hzまでの帯域を保証するような性能で、Walkmanの全盛期にこんなのがあれば、ちょっとすごいことになっていたと思う。国年のデジタルアウトがついているようなカセットデッキで、DCアンプかどうかなんて考えるのは勿論ナンセンスなので、お好みで。

 全く作動しない個体の場合は別だが、厄介なのは結構見ため綺麗でそれなりに、キビキビと作動しても、明らかに音質が販売された当時、それなりに高音質を達成していた性能が失われてしまっている状況は、普通にある。精緻な機械動作や磁気テープという媒体を使うアナログオーディオ故に起こり得る問題だ。ほとんど、カセットデッキの全盛期の時代に生産された個体は、下手すると40年単位の時間を経ているから、無理もないとも言える。

 その場合、以下の問題が発生する。
a) 駆動系:ゴムリングやプーリーの劣化。キャプスタン、ピンチローラーやそれらを駆動するモーターや電子回路のパーツの劣化などが生じる。
b) ヘッド周り:ヘッドのアジマスのずれ、ヘッド自体の摩耗や傷、ヘッド内部のマテリアルの劣化などが生じていてもおかしくない。
c) 全体を通してのディスクリートパーツの劣化
d) 可変抵抗器ボリュームパーツのガリ
e) 操作パーツの劣化、破損。消失

c)は電源すら入らなかったり、駆動も無理になるが、a)、b)もほぼ致命的な問題として、作動品であっても音質劣化、まともな音では鳴らなかったりする。a)については、当時のメーカー修理対応の時期は、何年も前に終了していたりして、受け付けられず、個人による修理個体だったりする。これは高い技術と交換パーツを補完する能力がないと修理は無理だ。代わりの似たようなゴムベルトやプーリーの代わりにOリングを嵌めたりする修理では、昔日の性能を取り戻すことはできないことがほとんどだ。それ故に、専門のビンテージオーディオの修理屋さんの腕の見せ所でもあるが、今どき、いくらでもCDどころか、サブスクでなんでも、高品質、ノイズレスの音楽が聞ける時代に、そこまでしてカセットデッキをオーディオ製品として使いたい人は、ほとんどいないとは思う。売上でCDに逆転した、LPプレーヤーよりも、もっと傾いたオーディオ装置だと思う。
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 「カセットデッキをチェック中の猫」のお題でこうなった。まだまだ、カセットデッキではないものが生成AIで描かれる。それでもしつこくリクエストしていたら、少しだけカセット・テープとデッキの解像度が上がり、あまり化け物でもないものが描かれるようになった気もする。猫の画は可愛い。

●以下は、カセットデッキのヘッドに関する詳しい解説のサイト
[SONY] LC-OFC/PC-OCC巻線レーザーアモルファスヘッド [カセットデッキ]
SONYのレーザーアモルファスヘッドについての解説

カセットデッキのヘッド―5種類の材質を知る。
カセットデッキのヘッドについての解説

「テープ録音機物語」その52 ワウ・フラッターの規格 JAS Journal 2010 Vol.50 No.7911 9
ワウ・フラッターの定義と規格の違い


●以下はこのシリーズのエントリとリンク
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デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #1

現在のカセットデッキを取り巻く状況

中古カセットデッキを手に入れるための基礎知識

現在のWalkmanタイプのカセットプレーヤー

中古カセットデッキのアジマス調整、メンテナンス周辺

廉価イヤフォン性能とカセットデッキをカセットプレーヤーにする

デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #6

Walkmanタイプのカセットプレーヤーとポータブルカセットデッキ

デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #7

ワウフラッターと中古カセットデッキ




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by complex_cat | 2024-09-26 01:50 | My Tools | Trackback | Comments(0)

Necology(=猫+Ecology) and Nature Photo Essay, Camera classic, Martial arts & etc. 本サイトはhttp://complexcat.exblog.jp/です。画像はクリックすると大きくなります


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