安価なデジタルアンプの性能に驚いたのは、コロナ禍の初年度だった記憶。このちっぽけ塊にPCを繋いだら、それなりにまともな音がそれなりの出力でスピーカーを鳴らしたのには、びっくりした。ディスクリートだろうがLSIだろうが、いくらなんでも無いわ―って思ったものだ。それまでのデジタルオーディオやオペアンプの20年分ぐらいの知識や経緯すら、全く理解していなかったから、Amazonにあったキット製品のデジタルアンプのパーツを見て、妙に納得した記憶がある。
これ日本のオーディオ全盛期の1970後半~1980年代だっとしても、宇宙人のテクノロジーとしか思わなかったかも。
とりあえず、適当なパッシブスピーカーがあればどんなPCでもyoutube musicやSpotifyなど音源として、十分に楽しめる。バナナプラグ対応になっているのも、オーディオ連携としてとても良いしスマートに結線が終わる。実際に50W+50Wの出力があるのかちょっと疑問だが、普通の日本家屋の1ルームなら、音が小さすぎるということはないと思う。ボリュームのつまみのトルクがスカスカで軽く回りすぎるのだけが安っぽくて、扱いにくくて、減点部分だろうか。でも本体も軽いから、軽くするしか無いのだろう。
ポタオデ(ポータブルオーディオ)にこだわっていたわけではないので、普通にスピーカーを考えていたし、アナログオーディオ機器もLPプレーヤー、FMチューナー、CDデッキ、カセットデッキ、アナログアンプ&デジタルアンプとともに、スピーカー自体もやすいものから色々導入して増えていった。
スピーカーについては最初は安価なスピーカーとして会社更生法を受ける段階の前のONKYOのスピーカーが安いけど音質悪くないよって、教えてもらって、殆どが中古で数千円だったのでいくつか手に入れた。このモデルは特に小型だが、サブウーハーを足してやれば、十分に満足できる。なくてもPC音源オーディオとしては十分な音質で鳴ってくれる。10倍の価格差があろうとも、ミニスピーカーよりも圧倒的に今の高性能イヤフォンの方が高音質ということだが、やっぱりスピーカーで鳴らしている方が、普段使いとしてはストレスは少ない。必要十分に鳴ってくれるブックシェルフ・ミニスピーカーが、今は安価で手に入るのはありがたい。
ONKYOのミニスピーカーは、日本メーカーらしく、細々と改良が続けられていったが、基本はスリット様の穴のあるバスレフ型は共通したシリーズのものを中心に使っている。大きな大きなマグネットによる駆動と、後期型には砲弾型のイコライザーなど、特徴的な形状をしている。ハイレゾ仕様になる前から、特に高域側は広い帯域を持っていたのもここの製品の特性で、実際に、実験のためにコウモリの超音波を流すために導入したモデルもある。
どれも中古だが、数千円で入手でき、十分楽しめる。
その後、QUAD L-ite、VICTOR SX-V05、Klipsch RB-51と、年落ちの安価で手に入るスピーカーを手に入る機会に入れていったが、それでも数千円で手に入るOnkyoの中古のミニスピーカーのCPの良さは、やはり特筆すべきだろう。
古くから馴染みだった方から教えてもらった、初心者向け安価なステレオイヤホン。シャチ(Orca)をモチーフにしたTRN製品で、3,000円未満なのに、驚くべき音質で有名になった。私のものは左右ぶつかり合って塗装がハゲチャビンになってしまったのだが、それ以外は何の文句もない。帯域をグライコ的にいじるディップスイッチつきなのも良いし、この製品の真骨頂は実はTYPE-Cバージョンにあって、小さなDACチップが本体の帯域特性の変更ができるのもよくできている。この値段では信じられないくらい素晴らしい音質を保証しているが、3.5mmミニステレオジャック版とどちらも気に入って、末っ子が持っていった。彼の道具がはげちょろけになっているか確認していない。私はフィールドに持って行くし、扱いが荒いのもある。かちかちRLをぶつけない方が良いことは確かだ。OrcaのTYPE-C版は古いiPhone/iPad用のプラグ変換アダプターで問題なく使えている。
TRN製のもの、さらに安いものがあって、これは1,500円台。流石にと思ったが評価が良いのと、実際購入したら黒真珠か黒曜石的なデザインの表面処理がOrcaよりも耐久性能良いので、気に入っている。3.5mmミニステレオジャック番しか無いが、ちょっと安価な極小DACチップの性能も知りたかったのでUSBに繋いで視聴しているけど、特にまずいことはなにもない。最初いきなりMacBook Airに繋いだときには音飛びしたのだが、二回目の接続からその症状もなく、今はそれなりの音で聴けている。ブラインドテストやっても、好みの問題ぐらいにしか大抵の人は感じないだろう。音質は、ドンよりシャリかなと思われるが、ハーマンカーブ(ヘッドホン/スピーカーの音質を最適化するための目標周波数応答曲線)から逸脱してるなんてことはない。この値段で、リケーブルにも対応している。
音圧が上がれば高音の分解能の足りなさは顕著で、高音がややとんがっていて、結果的に聴き疲れするのでそれなりの安価製品だとバレるけれど、サブスクの映画視聴でも実用上辛いなということはない。上限を見たりすると雲の下の下の方の価格だから、あまり音質をどうのこうの言うのはって言われるが、基本シリーズ自体が全部価格破壊みたいな印象もある。リケーブルしたら値段はもっと誤魔化せそうな気もする。ゴム紐みたいな質感のケーブルがいまいちと思う人も居るだろう。超安価だが、このデザインとOrcaの塗装がハゲチャビンになったので、特にこっとの仕上げが、素晴らしいと感じた。自分のように、この分野の製品に単体で3万も4万もつぎ込む気がない人には、平穏に統治される世界だ。
で値段でまだ下がないかと探したら、この製品(KZ EDX Lite)があった。リケーブルにももちろん対応しているが、こちらのケーブルの方が質が上に見えた。機会があったら導入してみるかと思っている。
追記ー使ってみると、フォルテッシモで膨らんだときの分解能は、やはり値段なりだなという再生能力だった。TRN ORCA Type-Cの出来が良かったので、安売りされていることも含めて考えると設計が少し古いのかもしれない。気楽に旅行など外に持ち出す際には、値段の安さもあって良いと思う。好みの問題もあると思うが、私には、TRN MT5の方が音が好みだった。MT5はゴム紐みたいなケーブルだったので、ケーブルはこちらの方がまともに見える。ブラインドテストして5,000円以下クラスでは、多くの人が見分けがつかないかも。
個人的にはアナログアンプのヘッドオン出力にコストを掛けている製品での視聴をおすすめする。パソコンほかデジタル機器からのものより、音質がコントローラブルなのもあるが(PCからならソフト的なグラフィックイコライザーを使えば問題ないが、私はクラッシュしたので外した)、そのあたりは日本のオーディオ帝国全盛期での資産が上だと思う。安いデジタルヘッドフォンアンプを使ってみれば、また印象は変わるのかもしれない。
これを介して、マイク付きピンジャックのイヤーフォンをUSB接続すると、当たり前だが、ちゃんとマイクが機能する。今のWeb会議用のマイク付きヘッドフォンはどれもUSB接続になってて久しい。
TYPE-C未対応のMac/iPhone/iPadを持っていると面倒だがこういう変換アダプターが必要になるし、Lightinnigしか持たない古いiPadでTYPE-Cの製品を使うための変換アダプターは、製品が少ない上に、Amazonで注文しても届く頃には記憶が曖昧になっている頃届くことが多い。当たり前だが、ちゃんと使えたし特に問題はない。
安く上げようとすると、気がついたら、こういう小道具の方も、やたら増えていく気もする。SE4から、非常に遅まきながら私も身の回りの機器はType-C担っていくのだなぁって思っている。
追記ー以前にも
「デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #6」で書いたけれど、カセットテープというメディアがあれば、程度の良いカセットデッキと最新のイヤーフォンをスカって、ミニマムなオーディオ視聴ができる。小型高性能ステレオカセットプレーヤー(ウォークマンetc.)の完動品は、とてつもなく中古市場で高いのとかつてのスペックを維持できていない。持ち運びは無理でもそれよりも圧倒的に音質の良いカセットデッキとCPの良いイヤーフォンで、安旨オーディオ完成である。
カセットデッキの性能チェックでヘッドフォンアンプからの音を聞くみたいなのがないわけではなかったので、ここも高額だったカセットデッキモデルなら手を抜いていない。後年型はちょっと微妙だし、音量調節ぐらいしか出来ないが、それでも延長ケーブルやbluetoothユニットを付けるとかすれば、かなり気楽に視聴環境は構築できる。そこまでカセットテープに拘るかという話でもあるが。アナログ音源遊びをするなら、デジアナ変換でPCソースからこっちに持ってくれば、今どきは個人視聴用のソフトなら好きに作れる。