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Cats in Dramas

 洋ドラ、刑事ものをよく見るのは、祖母と父の影響だと思う。特に父は、中途半端に日常のリアルに寄せてこようとする日本製ドラマを見るのは苦手だった(評価していたドラマもあったから全部というわけではない。トレンディ系以降は特に観なかった)。だから時代劇、それから捕物帳が大好きだった。海外の刑事ものもよく見ていたので、その影響と遺伝的資質もあるのかもしれない。

 この記事のトップに『猫侍』が出てくるのは、とても嬉しい(Top 12 Dramas for Cat Lovers)。この記事を書くに当たり、Huluでシーズン2が視聴できるの先ほど気がついたので、後で家族と見ようと思った。劇場版の2は、家族全員の評価として酷かったので途中で視聴を止めた。

 主人公のフィラデルフィア警察の刑事、Lilly Rush(演:Kathryn Morris;声:田中敦子)も、複数の猫と暮らしている。ケアしている猫たちに身体的にハンディキャップを負った猫が多いのも、私の知る猫好きの友人たちと同じ行動規範で普通に理解できる。ある意味必然だ。Instagramで有名なピアノ奏者&キャットラバーで有名なSarper Duman氏も同様。なお、彼女のお気に入りの猫の名前は、あの著名な刑事ドラマの主人公と同じ、『コロンボ』と名付けられている。
 
 因みに、ハードな刑事物の女性主人公の声が田中敦子さんになるのは、私の場合、『攻殻機動隊』だけではなく、このドラマの刷り込みが大きかったかもしれない。ちなみに、Kathryn Morrisが来日したときに、声優の彼女と会って、自分自身の日本版Lilly Rushイメージの自己像の投影そのものであったようで、非常に感動していたという逸話もある。
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 こちらは別の海外ドラマの話。キーラ・セジウィック(Kyra Sedgwick)演じるロサンジェルス市警本部長補佐兼殺人特捜班班長であるブレンダ・リー・ジョンソン(Brenda Leigh Johnson)がCIA仕込みの操作能力と尋問技術を駆使して、更に優秀な一癖も二癖もある部下たちを指揮し、難事件を解決していくという、傑作刑事ドラマ『クローザー』の愛猫「Kitty」(そのまんま邦訳では「猫ちゃん」って呼んでて、名前のない猫みたいな扱いに見えたりするが、ちゃんと固有名詞として呼ばれている)。別の事件物の名作『ホームズ・アンド・ワトソン~ニューヨーク事件簿』でのホームズの弟子、ワトソンの友人友なる重要なキャラクターの一人は「キティ」と呼ばれている。「猫ちゃん」と訳されたりしない。『ティファニーで朝食を』の猫に名前をつけないとという主義による”Cat”とはちょっと違うのだ。
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 Kittyは物語のシーズン5,第3話では、深刻な病気にかかり、余命がないことを獣医に宣告される。ブレンダはずっとそれを受け入れられずにいるが、最後にはこれまで通りケアしていても、再び健康を取り戻すことはないという現実を認める。死に蝕まれているKittyと向かい合って、苦しむ彼女の現状を受け入れ、自分の家の中でターミナルケアから安楽死を選択する。
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 チコに関しても、晩年、心臓に爆弾を抱えていて、治療が難しい中、主治医の見事な「操船」により機雷を避け危機を回避してもらった。何度も酸素チェンバーの中でお泊りして見事に回復してくれたが、一つ間違えばターミナルケアの選択で運命を分けたかもしれない。我が家の耳の尖った子たちは、すべて家の中で家族見守られて旅立っていった。家族全員が必死になって彼らを守ってターミナルケアを行った結果でもあるが、ある部分、運命のめぐり合わせだった部分もあると思う。突然の別れが来ることもある。

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 愛猫に、最期の別れを告げるブレンダ。
 チコは本当に、わたしたちとずっと一緒に居たいと生きようとする意志が強く、最期の最期も、私に助けてくれと言ってきた。でも私は彼を助けることが出来なかった。私にとっては悲しいけれどきれいな思い出としての別離なんてことはなかった。私は彼を助けられなかった。傲慢かもしれないが、私は今もそう思っていて、彼のことを考えるととても苦しい事がある。自分の最期は虹の橋の手前で待っている彼のところに行って許してもらおうと思っている。

 このあとの話は、性暴力に関する話が含まれているので、トラウマをお持ちの方が読まれることは、回避されることも含め、自己判断でお願いしたいと考えている。





 トランプ陣営が、選挙戦で、カラマハリス支持者や彼の批判者をディスるのに “childless cat ladies”というのを使って、ああ、そういう偏見があるのか、いかにもだなって思ったが、『コールドケース』のシリーズでは、シーズンの最初1-3でそれが端々に出てくる。ブレンダの話では、パートナーのフリッツ・ハワードFBI特別捜査官や部下のデビッド・ガブリエル巡査部長の方がポイントを外さない適切なケアをしているが、 “childless cat ladies”という偏見への意趣返しに見えないこともない
 物語では、連続レイプ殺人者が、被害者のあたりを付けるのに、猫を飼っているアパートから独身女性が暮らしているとターゲットを見つけて襲っていくという実際にあった事件をベースに描かれた回(「センターシティ強姦犯」として知られ、ペンシルベニア州フィラデルフィアとコロラド州フォートコリンズの住宅に侵入し、女性居住者を強姦し、1998年に博士課程の学生を殺害し、終身刑を宣告)が、シーズン1第三話「猫」だった。なお、犯罪の手口事態はテキスト化しない慣例もあり、本当に「センターシティ強姦犯」を題材にしているとしても(フィラデルフィア(とフォートコリンズ)でそれぞれ6件、合計12件の犠牲者を出した)連続レイプ殺人があったという事実以外に符合点はない。

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 因みに全米の獣医関連の文献では、里親のジェンダーの差によるイヌやネコのメンタルを含めた状況の差などについての文献は見つかったが、そういう直球の飼い主に関するバイアスについての「偏見」を検証した文献は見つけられなかった。まあ、猫と暮らしているというだけで里親の状況やプライベートに言及する話自体は、そのまま偏見助長などの問題があると思われるし、それが犯罪被害者と結びつくというのは、セキュリティ情報に過ぎないという説明も違うだろう。
 たまたまそう思い込んだ犯罪者が仮に居たとして、被害者にとって、猫と暮らしていたから彼女は襲われたみたいな話も、迷惑でとんでもない話なのだが、下着を見えるところに干さないみたいな行動抑制的な規範で人々を意味なく恐怖を与える話になってしまうのか、セキュリティ的に判断すべき事象の一つなのかといえば、問題提起で優れた部分を持ったドラマであっても、この話はフィクションとして無視する部分だ。日本の場合は、ペット可のアパート・マンションの方が稀だから、問題にならないだろう。私の経験から言うと、ネコが一緒に暮らしていても、戦闘力のそこそこ高い男性だったりもするし、間違えて襲っても急所蹴飛ばされれば良いやって思う。
 最近、経済的に困窮する人たちを脅迫的に使って、凶悪な強盗殺人を海外から外注する犯罪が頻発して、どういう人間が狙われるか、どうやって情報を集めているかみたいな話がYoutubeでも語られている状況があり、性暴力マターでないと、そういう情報に関してはあまりデリケートな判断や批判が出てくることはない。地方の金満家が、まるで私が狙われるみたいな話はしないでくれと喚いたりすることもないはず。
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 ドラマ中、聞き取り関係者が、こうやって偏見のもとに猫好きの女性を嘲笑するシーンなども入っており、社会の矛盾や偏見に関して向き合って描いていこうとするこの優れたドラマでは様々な社会問題の提起が含まれているが、この回の初放映日が2003年10月12日である。そう今から20年前だ。デートレイプや高齢者への性加害など、日本では、問題視すらされていなかった次期、当時のアメリカですら多くの人間が気がついていなかった悲劇を取り上げてコンテンツの横糸にしていったという部分でも、このドラマシリーズはとてもエポックなものだ。
 実際日本には、猫好き= “childless cat ladies”なんて失礼な偏見はないから、既に滅びたと思われるような一部の古いアメリカ流のマチズモマッチョイズムの投影そのものだと思う。私の友人たち、男女どちらも一人暮らしのときに、猫と暮らしていた比率は、下手すると男性のほうが多いくらいで、その部分は健全な価値観の国だなって思う。私自身猫と暮らしていて、暴漢にベランダから侵入されて寝込みを襲われかけたが、こいつは私の人生でも会心とも言える、米神への回し蹴りとど真ん中への後ろ蹴り一発で沈めて、ある意味、実際に非条理な暴力にさらされる状況とそれに抗する事が可能な武というものを実感した。
 「ろくに光るような才能のない君、武のセンスは無いわけではなかったな」(元のセリフはもっと辛辣だった)と師から望外な評価をいただいた。別に猫と因果関係は無し。
 洋ドラで猫が頻繁に登場したり、主人公にとって大きな存在になっている、みたいな描写のものは意外とあるようでなかったりする印象だ。欧米ドラマで、猫が出てくるシリーズが少ないのは、特に米国では、以下の価値観が流布されている影響も多少あるかもしれないってちょっとばかり思ったが、これも実際にはそんなことはないと思う。見つけたらまた、エントリーに加えようと思う。

 猫が出てくるドラマについて検索していて、この記事のトップに『猫侍』が出てくるのは、とても嬉しい(Top 12 Dramas for Cat Lovers)。この記事を書くに当たり、Huluでシーズン2が視聴できるの先ほど気がついたので、後で家族と見ようと思った。
 どうでもいい話だが、最近の風潮をみると、何をいうのも勝手みたいなようなので、「日本の武士道は猫と繋がっているし、侍の魂は猫そのものだ」みたいな言説を流布しようと思っている。身の危険に対していざ戦うときには、相手の眼球を爪で掻き出し、喉笛に噛みつき離さず、ネコの精神と技で闘おうと誓っている。これぞ武士道(適当)。

Commented by sknys at 2024-12-13 18:50 x
ニューヨークは声をあげて笑った。
それでも、イギリスの従兄であるチェシャ猫のように、体が消えたあとも〈猫〉のにやにや笑いは漂っていた。独房にいる老人の笑い顔ではなかった。あの老人は笑わない。
エラリイ・クイーン『九尾の猫』
もちろんマンハッタンを5カ月間、震撼させた連続絞殺魔はネコでも、老人でもありません(半ネタバレ?)。

映画 「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」(2021)の監督ウィル・シャープは 「バスカヴィルの犬」(The Hounds of Baskerville 2012)に、シャーロックとジョンを軍事基地内に案内するイギリス陸軍兵士(ライオンズ伍長)として出演していたので、その頃から主演のベネディクト・カンバーバッチと親交があったのかも。
Nick CaveがH・G・ウェルズ役でカメオ出演していたのは謎ですが^^;

テイラー・スウィフトが 「子どもがいない猫好き女性」(Childless Cat Lady)と署名し、愛猫ベンジャミン・ボタン君を抱く写真を添えて、「悪ガキ」(brat)への支持を表明したのは痛快でした。
Charli XCXの《brat》(Atlantic 2024)は年間ベスト・アルバム1位を驀進中!
(https://www.albumoftheyear.org/list/summary/2024/)
Commented by complex_cat at 2024-12-13 21:14
sknys さん

Charli XCXのAppleはちょっと80年代テイストのポップソングを思い出しました。
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by complex_cat | 2024-12-07 19:03 | Year of the Cat | Trackback | Comments(2)

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