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デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #10

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 お気楽音楽視聴ツールとして、今手に入れるラジカセについて考えてみた。ちなみにタイトルの画となっているTDK TW-153はラジカセではない。出したの理由は、後述の内容に関係しているから。
 今どきのラジカセは、かつてのカセットデッキ全盛の時代の音を知る者にとっては、音楽視聴には向かないと思う。それが私のようなものにおいては結論だ。ではどうすれば、ラジカセみたいなもので虎の子のように思っているような人間が、大切なカセットテープをとりあえず視聴できる環境については後述しようと思う。
 ちょっと脱線がてら、お手軽音楽視聴の系譜は、現在の安旨オーディオを感が得る過程で、色々思い出したので、ここ10年ぐらい前のあたりまで、いろいろかんがえてみた。画像は、我が家で生き残っているブルートゥース内蔵ステレオラジオ、とでも呼ぶべき製品(TDK TW153)だ。10年以上前のものだ。
 2000年初頭は、私にとっての音楽視聴用のツールはMac&iPodだった。マック用ミニスピーカーは安いのを入れた記憶もあるが、かつてのアナログオーディオ視聴環境とは、完全に切れていた。iPodは、カーオーディオでも基本であったから、少し出力にでかい音で聞く時には、安いアクティブスピーカーで鳴らしたりしていた。
 これは10年以上まえに手に入れた、「Bluetooth boombox」と呼ばれるブルートゥースステレオラジオだ。メーカーは“ワイヤレス メガベース ブームボックス”と名付けたようだが、こういうのも庭での作業や室内音楽視聴ではiPod/iPhone連携で使ったりしていた。これ以上のものは、必要性を感じなかったので、長く、コロナ前までは、CDソフトとPCの方に投資していた状況だった。
 まだ幼かった子供たちが、ビデオによるテレビ視聴に夢中になっている家の中では、ほぼ、オーディオ的な音楽試聴とは無縁の世界がずっと続いていたし、それなりに聴きたい音楽があれば、昔ながらの音楽視聴のスタイルは、カーオーディオで補完できたことが大きかったと思う。カーオーディオも、ものすごく投資する人がおられるかど、私は標準装備の単なるCDカーステ以上のものは必要としなかった。仕事などで長く移動利用する車内がオーディオルーム代わりだったから、必要なかったとも言える。カセットからCD視聴が中心の20世紀から21世紀にかけて、私自身、筑波やフィールドでの生活では、公共交通機関による通勤とは無縁だったので、特にそれで過不足感はなかった。
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 スピーカー部分背面にパ ッシブラジエーターと呼ばれるパッシブラジエーター(ドロンコーン型スピーカーと言える)が付いていたのだが、さすがに古すぎて、経年で加水分解して、バラバラにちぎれて外れてしまった。ちょっと前までそのまま放置してあったが、久しぶりにちょっと音を出してやはりドロンコーンで密閉しないと音質的にも、どうしようもないので、代わりの吸盤素材を嵌めてホットボンドでヘタクソな補修がしてあるが、それなりに鳴っている。
 カセットテープには、必ずしもハイファイオーディオメディアとして楽しんできた人ばかりではないし、いまどき立派なデジタルソースが溢れている時代、逆にノスタルジー補正による音楽の楽しみ方もあるのかなと思うし、過去のラジカセで録音されたカセットテープをちょろっと聴いたりする需要もあるのかもしれない。ただし、復刻したようなラジカセは、全盛期の日本製品の性能とはかなり乖離していて、特にカセットデッキが、オーディオの中でかなり高い任を負わされて性能がフォーマット限界まで引き上げられていた時代、技術ノウハウや生産管理などその影響を受けないはずもない当時のラジカセ製品とは同じには出来ない。Walkmanに代表されるけれど、既に半世紀を過ぎて、中古個体でも、まともな性能を維持できている個体は限りなく少なく、失われた技術だと思う。その中でFILOのカセットプレーヤーのオペアンプ部の高性能さなどは光を感じる部分もある。それと合わせて、このAurex製品など、完全なステレオCD他各種カードメディア対応ラジオ「カセット」レコーダーで、現行のサプライヤーの状況を考えると、頑張った製品だと思う。
 TOSHIBA Aurex TY-AK2は、ラジカセの復刻版ニッチを狙った「オリオン製品」と比べるとカセットプレーヤー部の消去ヘッドも手抜きの永久磁石ではなくちゃんとバイアス電流を用いた正当な部品を使っている。私が現在ラジカセ現行品を購入するなら、一考される方も少なくないだろうし、貴重なプロダクツなので性能を理解したうえで購入するのもありだと思う。
 何度も書いているが、中古カセットデッキも含めて現在カセットテープというメディアに対応できる製品の瑕疵は、オーパーツ化したかつての電子制御高性能モーターを含めた走行系のメカニカル部分の再現不能となった性能部分だと思う。これはTEACが長く業務用カセットデッキを作り続けていた中でも、黄金時代を支えたパーツやサプライヤーが消滅して、大陸の安価な製品を作っている工場になんとかしてもらっていた状況での性能限界からも続く話で、海外の病的なカセットデッキフリークを失望させて、全盛期のカセットデッキ製品の中古市場一択になった結果でもある。今、クオーツ制御モーターによるダイレクトドライブ&クローズドループダブルキャプスタン機構を持ったワウ・フラッター性能が0.04%以下のカセットモジュールを作れとは間違っても言えない。しかし、そこまでいかずとも、それなりのワウ・フラッター性能を確保できた製品は完全に失われたテクノロジーだと思う。とても残念な現実だ。
 

東芝 ハイレゾ対応SD/USB/CDラジカセTOSHIBA Aurex TY-AK2

東芝

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 視聴していないのと、レビューがそういう視点で特にカセット部分について書かれた方がおられない。この部分は若いユーザーにはこだわりも評価軸も持っている人は少ないと思うので、まあ当たり前。そしてこの部分はこの製品においてはおまけだと思う。その意味ではOrionのラジカセと同等であるし、東芝はAurexブランドで性能の低いコンパクトなカセットプレーヤーを安価で生産しているので、モジュールはそのあたりと変わらないだろうなと想像している。別に無い物ねだりしているわけではないし、それが現在のカセットプレーヤーの置かれている状況で、何の矛盾もない。かつてハイファイオーディオを一翼を支えたカセットデッキのテクノロジーは消滅したのだ。因みに、周波数特性やワウフラッター性能を測定した奇特なカセットデッキフリークによる動画が見つかったので大変参考になった。この製品を扱った日本人の動画もあったが、あくまで使える部分のUSB再生能力とか、音楽ソースを補完してハイレゾ化する部分の評価とかで、純粋カセットプレーヤー部分の評価はないし、彼らには無理だと思った。

 かつて、オーディオルームの一翼を担っていた時代の高性能カセットデッキの状態の良いものと比べること自体がナンセンスだということではなく、どれくらいの性能が当時達成されていたのかをきちんと認識したうえで、このような現行品の性能がどのようなレベルにあるかを正確に表現されていて理解できる情報発信なので、とてもありがたい。
 少なくともまともなオーディオとしてのカセットテープ資産を持っている人が、それを用いて気楽に視聴できるカセットプレーヤーとしてこのモデルを使うのは、やはりかなり厳しい性能という結論だ。特に周波数特性は、全盛期のラジカセ高額モデルでは、11,000~13,000Hzぐらいなら余裕だったはずで、10,000Hzまでも届かないというのは、カセットデッキの全盛期なら、口述メモ用の性能と呼ばれるカテゴリーだと思う。その辺りは、このサイト(「ラジオ・ラジカセミニ博物館 展示機種の紹介」)で、特に周波数特性やワウフラッター性能を記載している当時にあって自信あふれた機種のそれをみたらわかる。なんでもカセットテープ回して音が鳴ればいいというニーズならそれで十分だが、本来は相当良い音で鳴るはずのカセットテープを視聴するのなら、私にはちょっと辛いし、それなりに大切にしていたカセットテープ資産を回すのも気になってしまう。
 だからといって、東芝Aurexを批判するつもりはない。「そこになければ無いですね」状態が今の状況なのであり、本当のないものねだりであるので、メーカーもそのようなスペックの確保や宣伝をしていない。作ってくれただけでありがたい人もおられると思う製品なのでこれ以上は言うまい。現代の電子部品生産の枠組みでは、精緻な機械動作と機械制御とディスクリートハイブリッドの復刻は簡単ではない。ハイファイオーディオレベルのヘッドやモーターなどの再生は無理ゲーである。

 ノスタルジー補正が必要な高齢者はとっくに視聴可能な高音限界はそれ以下になっているから必要ないという論も、上限のそのあたりまでフラットに伸びて落ちているわけではないのと、この性能だと、歪率など相当低いことが想定される。高齢者で構成のアナログオーディオの洗礼を受けている人ほど、音質派の人はそこを期待して購入してはならないし不向きだろうということが十分理解できた。それ以外のソースからの音質は、数十円のオペアンプ性能の凄まじさから、スピーカーアウトプットまで贅沢を言わなければ十分だし、選考製品の卒なさから考えると十分だろう。今のサプライヤーの持ち駒やテクノロジーでカバーできない機械制御部品が核となるカセットプレーヤー部分は、本当にオーパーツなのだ。


 先行製品2機種がそんなに悪いと思えなかった。カセットプレーヤーを載せない英断も含めて、値段も含めて評価して良いと思う。
 かつてのオーディオコンポを作っていたブランド名を付けている意思を少し感じて、個人的に、省スペースで音楽鳴らしたり、オーディオ装置本体からBluetoothで飛ばすのに良いかなと思って入れた製品だが、小音量で視聴する場合、思いの外音質が良かった。出力パワーは全く無いので、ほとんどベッドルームオーディオであるとも言えるが、今は、ポタオデのイヤーフォンが超CPで悪くない性能を誇るので、これはこれで使い方によっては、PC立ち上げてCD視聴するよりは便利かもって考えている。かつてのラジカセの文法で作られている、音楽視聴用の製品としては、デザインも機能もよく考えられていて貴重だと思う。




 同様にAIWAブランドを挙げるいくつかのラジカセも、同様だ。既にかつてのAIWAとは別物企業で、ラジカセ性能も、別の惑星のテクノロジーが入らない限り、先のAurex製品と同等かそれ以下だと予想しているが、これについてはレビューや視聴動画も含めて見つけていないので保留。

 ベーシックな音楽視聴の道具として発達した、いわゆるステレオ・ラジカセは、1970年代後半から適応放散が始まり、コンポーネントステレオとはべつの次元で、人類の音楽視聴のツールになっていた。
 最終的には、フルレンジか2Wayスピーカーを2セット筐体の中に配置したステレオ再生、FMラジオ、カセットプレーヤー、さらにダブルカセットになったりしたが、カセットテープが音楽媒体としての主役から降りつつある中で、CD時代にはCDプレーヤーが加わり、カセットがそれから省略され、USBやSDなどのメディア差込口を持ち、Bluetoothに対応し、構成を変化させながら今に至るのではないかと思っている。
 メディアがコイン1枚よりも小さくなったりBluetooth付きの不揮発性メモリやネットワークオーディオになる中で、デザインの成約はなくなったが、スピーカーを2基両袖に配置するという共通祖先形質は変わらないので、大方はすべてステレオ・ラジカセ時代に見たような造形になっている。
 かつてのステレオ・ラジカセはステレオ再生が可能となったことで、ヘッドフォンジャック(ミニプラグ用)でのリスニングも対応していたが、どちらかというとヘッドフォンプレーヤーよりもそのわざわざ搭載されているスピーカーで音を聞くのが基本だったろう。当時のヘッドフォンアンプは音質も大したことはなかったが、スピーカーの方は2Wayでウーハーとツイーターがセットになったものはそれなりの出力を競ったものだった。音質は今、最盛期の性能を検証できるような個体は存在しない。
 私は色々物好きだが、カセットデッキ品質から見るとラジカセのカセット性能はかなり低いので(例外的にかなり頑張ったモデルもあるが、むしろカセットデッキより性能が維持できている個体はもっと少ない)、ラジカセの全盛期の物品でも音楽視聴用として手に入れることはなかった。
 そちらはそちらでマニアがおられる世界だが、そして試しに手に入れるには、それなりの性能が歌われたモデルでは、特にまともなカセットデッキの中古以上の値段がついているので、自分の家にあったりしたら別だが、酔狂でも手に入れることはなかった。それ故に、こういった記事を眺めるのにとどめている。



 この分野でもちょっと異彩を放っているのは、やはり海外オーディオメーカーで、プラスティック筐体の内部構造をバックロードホーン的に凝ったり、マーケティング、宣伝により、一時期Bose社の製品が話題になった。それもかなり前の話だ。
 このデザインとコンセプトは日本型の「バブカセ」に対するアンチテーゼみたいなものもあったと思う。たくさんのボタンやメーター表示などで機能を誇るようなデザインとは逆の、かなり洗練されたファクトリーデザインによる高級オーディオをちょっと想起させる佇まいは、ラジカセというニッチが頭打ちになった頃、Boseスピーカー人気もあって、それなりに手にしたユーザーが居た時代もあったと思う。マーケティングだと思うが、若者向きではなく、おじさん週刊誌の通信販売欄ではよく眼にした気がする。
 懐かしくなってAmazonで検索していたら、現在では、ネットワークオーディオステーション的な機能を持たせ、継代されている製品がまだ存在するようだ。

 私の場合、カセットテープ視聴における納得できる音質を確保できる組み合わせとして、私なら次の二つのやり方を考える。
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①中古の性能がまともなカセットデッキ+Headphon出力 or Line out出力 or Bluetoothレシーバー接続+アクティブスピーカー or ブルートゥース内蔵ステレオラジオというのが一番ストレスがたまらない。擬似的にスピーカー自体はハンドル持って室内なら好きな場所にまあ、可搬できるし、室内でセッティングして視聴するなら、ミニマムな方式として悪くない気がしている。無論、「ラジカセ」というガジェットを操作して音を聴きたいというニーズなら、論外ではある。音質的、テープ保守的に、嫌な思いをしないはずだ。キャリング可能なミニコンポ仕様のラジカセとかを考えたら、ボリューム的にも似たようなものだ。

②先のデータベース的なサイト(ラジオ・ラジカセミニ博物館 展示機種の紹介)から、性能が良さそうなモデルを探して、オークションで状態の良いものを競り落とすというのがもう一つの選択肢だ。ワウフラッター0.07以下、周波数特性上限12,500Hzぐらいのスペックを持った機種なら、アンプ部やスピーカーその他、それなりの性能のはずなので、きちんとメンテされた個体なら、音を聴いていて、不満が出ることは少ないと思う。ページから'ワウ'で検索したら、大概高性能を歌ったモデルであり、走行系で高性能を謳う機種なら、周波数特性もラジカセ群の中ではそれなりの性能であると決まっている。あとは運次第だろう。

 PCを音源にして安価なDACから音出しを考えた時に、Optical入力を持ったアクティブスピーカー(Onkyo 77monitor GX-77M(B))も試しに手に入れてみた。サブウーファー出力も持っているので、2.1チャンネルにして、ミニマムなシステムも構築できそうだった。小型スピーカーで安価で、フラットな音出しができるそこそこ高性能なものが出てきた理由は、オペアンプが安価で高性能になり、スピーカーと一体で設計できる有利さもあるようだ。最近の小型スピーカーで高性能で目立つものはアンプ特性を最適化されたアクティブスピーカーがたくさん出てくる。このスピーカーも、出力は全域に渡り、凄まじくフラットな周波数特性になるよう設計されている。
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 最もこのアクティブスピーカーを手に入れた動機は、コウモリに関する実験のため、超音波領域での音出しを車載できるハイレゾ機材を考えた結果でもある。可搬式のアクティブスピーカーに比べれば遥かに本格的な音楽視聴ができるし、ハイレゾ対応の上、十分な出力もある。音源との繋ぎ方も多様だし、2.1chに対応できる。デジタルアンプも含めて40Hz〜100,000Hzまで対応とか、内蔵アンプ性能が良い意味でちょっとおかしいのだと思う。完全にオーバースペックだが、その分、手に入れようとするとかなり大変だが、Optical接続によりPC音源からそれに対応できる。

 PCを音源とすると、数千円のDAC(Optical/coaxial)or Bluetooth+アクティブスピーカー)だと、括弧内は、帯域をよくばらなけければ、そこそこのものでも20,000円ぐらいでなんとかなる。程度の良いカセットデッキと合わせて¥40,000もあれば手に入る。人により価値観は様々だが、新品にしろ中古にしろ、私のような人間においては、マニア垂涎の昔日の高性能ラジカセを手に入れるより、高性能カセットデッキの状態の良いものにアクディブスピーカーを足した方が、遥かに満足度は高いし安定した視聴ができると思っている。

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 結局、私はAVアンプ、デジタルアンプ、そして最終的にアナログアンプを入れて、いわゆる普通のパッシブ方スピーカーを入れて、昔のコンポーネントステレオを再構築してしまった。自分の慣れ親しんだオーディオ装置の文法が、自分にはわかりやすかったからだと思う。

 アンプ、チューナー(不要になったVHFアナログTV放送用アンテナが無用になったので、指向性反転させて、屋外FMアンテナに転用)、CD、PCサブスク、そして転機となったLPプレーヤーの復活と、追加のカセットデッキという、アナログ音源視聴を求めることになって、10年以上落ちのAVアンプ、ベーシックなデジタルアンプと来て、かつてのオーディオ製品全盛期の安く出回っているそれなりに名機の評価のあったアナログアンプと時代を戻るように増えていった。
 すべて安価な中古なので、まともなデジタルオーディオの現行品を購入するのと比べれば遥かに安上がりだった(と思う。じゃないかな?)。ということで今更のお話。

追記ー九段のORIONブランドの製品は、AIWAブランドだけ残した現在のメーカーのラジカセと同じような仕様、カテゴリーだと思う。防備的にリンクを張っておく。
ひょっとして手に入れるなんてことはないが(私みたいな価値観の人間だと、そういう投資をするくらいなら、状態の良いかつての高性能カセットデッキが買えるので)、参考までに。

ORION(オリオン) ラジカセ ステレオラジオカセット Bluetooth機能搭載 SCR-B7A ブルートゥース オーディオ カセットデッキ カセットテープデジタル化 アンプ コンポ AM FM USB MP3 再生 録音 マイク内蔵 コードレス 乾電池 ドウシシャ

ドウシシャ

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 この製品は、オーディオ製品とはちょっと違う。ノスタルジー補正の働くデザインと徹底したコストダウンの賜物。再生はともかく、本機で録音したものを音楽ソースにしようと考えると、きついと思う。今、録音技術や極小ノイズ音源などのおかげで、今までとは次元の違うミュージックカセットテープが生産されている状況もあるようなので、カセット機能を使うとしたら、そういったソーステープを使った再生専用が良いと思う。録音する能力は、会話などの録音用おまけ程度と考え、本格的な音楽録音については、割り切って使う必要がある。高音質をとは無縁の直流バイアスによる録音機で、現在の廉価カセットテーププレーヤーとしては、録音機能があって消磁ヘッドに永久磁石を使っているのも特に珍しくないようだ。でも会議録音や地域のイベンドなどは使いどころかもしれない。
 それでも、ラジカセとしてのカテゴリーに含まれる最新機では、スピーカーは2wayでそれなりのマグネットを持ったウーハーと、クロスオーバーネットワークなどの詳細はわからないけど(存在しない設計の可能性)、一応振動ユニットにはなってるツイーターや思いのほかまともなFM受信回路などが搭載されている。

 USB経緯でデジタル音源をカセットテープに収めるという機能も、音質を考えなければ、よくある大陸製の安価な統合機(CDやプレーヤーなどがついてて、デジタルデータ化で切る製品)同様、手軽にできるレベルではある。ワウ・フラッター性能が低くても、とりあえず高性能な機材で録音されたカセットテープの再生なら試聴が成立するギリギリという可能性が考えられる。

 CDプレーヤー自体は読み取りモジュールが、PC製品と共通のテクノロジー部分が多く、存続できていて、値段も安い。CD、USB、カセット複合機は、そういう意味ではカセットデッキ部分は前世紀のラジカセ並みであっても、残りが機能すればまあ、割とそれなりの値段の商品として売ることができる。実際に、TASCAM&TEACの現行商品の仕様が、一昔前のラジカセ並み程度でそれ以上でもそれ以下でもない。かつてのラジカセでもRCAジャックのLine outを持ち、それで音楽聞いていた時代もあった。普通にカセットテープの視聴をするには十分だと思う。もう少し良い音、ノイズレスで広いレンジで聞きたければ、ネット経由で今はいくらでもある。
 CDプレーヤーやデジタルプレーヤーなら、音源がまともなら、安くても、高くても、安心して、心ゆくまでピアノが加わる音楽を聴くことができる。逆に言えば、それが担保される最低限の性能のものであれば、カセットデッキもLPレコーダーも視聴の道具として使っていけると思っている。ちょっと変わったメカが動いて「振幅方向の変調ノイズ」なら、独自の「音色」がある程度として楽しめる。問題はない。音楽を楽しむのなら、厳密な音源の忠実再生機である必要はない。人間は測定機械じゃないのだ。音楽を楽しむことができる生き物なのだ(とか言ってみる)。

 新品であれば、当然、十分な音質で、感知限界のワウフラッタースペックで良音を流してくれたWalkmanは、もう中古市場を見渡しても完全に過去のもので、かつ確実にオーパーツのようだ。youtubeではカセットデッキの修理以上に、ジャンクのWalkmanの新品レベルのスペックと取り戻す修理は絶望的であるという結果も、多く積み重ねられている。オークションでの値付けが100,000円を超えているのも、ハッタリや冗談ではないのかも。機械制御は大変なのである。1990年代以降は、オーディオ機器の開発者も、機械制御技術でなんとかするやり方とは多くが無縁になっている。完全なる電子制御で済む機器の方が楽なのである。


このカセットデッキに関するエントリ、ずっとこのブログ記事のアクセスリストで、上位をなぜか確保している。

●以下はこのシリーズのエントリとリンク
この記事自体は

デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #10

ラジカセの話。私流ラジカセ的高音質カセットテープ視聴の方法


以下が関連記事。本人は覚書で適当に色々吐き出してるだけだが、意外と本ブログで読まれる記事のシリーズになっている。
Edit | Del

デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #1

現在のカセットデッキを取り巻く状況

中古カセットデッキを手に入れるための基礎知識

現在のWalkmanタイプのカセットプレーヤー

中古カセットデッキのアジマス調整、メンテナンス周辺

廉価イヤフォン性能とカセットデッキをカセットプレーヤーにする

デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #6

Walkmanタイプのカセットプレーヤーとポータブルカセットデッキ

デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #7

ワウフラッターと中古カセットデッキ

中古カセットデッキ選定の要件に関する注意事項

個人的な中古カセットデッキ選定の要件と流れ



になります。

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by complex_cat | 2025-01-04 21:08 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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