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ミニミニ・スピーカー大作戦 #3

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 大型弩級フロア型スピーカーに「パラゴン」というまるで怪獣の名前みたいな高額スピーカーが、かつて生産販売されていた。生産年代は1957-1984年と、一部の資料にはある。私が今、基本音楽視聴の最終的なアウトプットと気に入って使っているミニスピーカー群とは真逆のものだ。そもそも私が購入できるような代物では無い。

 メーカーは、かつてアメリカンサウンドで栄華を誇ったアメリカの会社だった時代のJBL。"パラゴンの言葉の意味は”模範・お手本”という意味"らしく、今、検索するとパラゴン(Paragon Fine Bone China)というかつて、こちらも王室御用達だったイギリスの陶磁器ブランドか、あるいは、『帰ってきたウルトラマン』第42話「富士に立つ怪獣」に登場した蜃気楼怪獣「パラゴン」が同時に目を引く。やっぱり怪獣の名前じゃんって言っても嘘ではないのかも。
 ちなみに1970年代のオーディオ製品には、高額でスペックを競ったアンプとプリアンプに、アンプジラ、テァドラというこれは、間違いなくゴジラという怪獣から想起した名前がつけられた製品があった(参考:WESTERN SPIRTISのつぶやき「GAS テァドラ&アンプジラ」)。アンプジラ、ディドラは鬼才、ジェームス・ボンジョルノ設計によりGAS社が製作、販売していた。検索するとやっぱり怪獣みたいなスペックだったのが分かる。『アンプジラ、ティドラ、パラゴン、オーディオ海の大決闘』みたいな怪獣シリーズのセットのメンバーは、セレブの友人でも居なければ、一般庶民は高額オーディオを誇るジャズ喫茶などでしかその視聴どころか御本尊すら拝めなかった存在だった(実際に拝もうとしていた人たちがどれくらい居たのかは定かではないが)。
パラゴンに関する解説記事は、有名サイトのGIGAZINEのもの が分かりやすいと思う。他に、設計通りのレプリカ・パラゴンを自作しようとした方のブログが有って、そちらも大変面白かった。中古ユニットと木工製作の機械や腕があればと発想されたようで素晴らしいチャレンジだが、オーディオ設計は奥が深いので、3D丸ごとコピーができる機材があっても難しいだろうということで相当苦労されている。なお、ペーパークラフトのクレイドル風の商品、iHorn Paragonについてはこちらにも記事がある(「JBL「パラゴン」を再現したペーパー製クレードルスピーカーを衝動買い!」
 そういえば、MacBook Airの箱ごと段ポールに梱包して送られてくる時に四隅を固めるスペーサーで、そういうのを勝手に発想して作った記憶が蘇る。友人に末っ子が夏休みの自由研究指導のお礼に送ったりした。わははは、ガワをパラゴンにすれば売れたのか。そうか。

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「自由研究指導のお礼に末っ子がAさんのiPhone用に作った無電源ホーン型スピーカー。ダクトとか凝れば本気でそれなりの音が出ると思うが、そのあたりは凝らない。ボリューム上げれば意外と迫力のサウンド。このまま充電もできる。パラゴンのように計算されたフォルム(嘘です。材料はMacBookAirを1台購入すると、なんと4つも手に入る梱包材的ダンボール。」なんてことを当時も書いていた(「貝採集始末」)。10年以上も前だよ。懐かしいな、iPhoneはAさんのものだったと思うが型番幾つだったろう。
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  Aさんのために2個目を製作中当時の末っ子。

 それだけ一部のオーディオマニアの垂涎の的であったというか、常人は手に入れようとさえ思わないような異常な変態(一部の人達のオーディオ用語です)スピーカーではあるが、「パラゴン」も終活になったオーナーや家族が持て余して、時々、オークション放出されるのが最近目に付く。販売されていた時期から遅れてオーディオ全盛期300万円超の時代もあったスピーカーだが、おおよそ50万円以下で取引されているようだ。これ一般乗用車では引き取りに行けない。劇場用スピーカーではないくせに梱包時、300kgを超える化け物だから、送料、運搬手続きだけでも大変で、ヤフオク向きでもない気がするが、高額の大型フロアースピーカーの名機は、値段はつくが上記の経緯もあり、基本大幅ダウンなのは、お約束のようだ。ちなみにTANNOYの大型フロアスピーカー辺りだと、引取にいけないこともないし、意外と安値にならないかと見ていると、そういうことはないのである。

 それでも、ビンテージ&高額オーディオ専門店などでは美品で徹底的にメンテされた個体は4,000,000円超の強気?のタグが付いたりしている。既に生産されていないが、金なら出すから新品同様のものをっていう需要も多分あるのだろう。知らんけど。

 私も平均落札価格、40万ちょっとかぁ、無理すればみたいな悪魔の誘惑に乗って間違っても手に入れようと思わないが、パラゴンを検索していて、ミニチュアモデルにあることに大抵の人は気がつく。YAMAHAの誇るNS-1000Mのミニチュア版でNS-1000MM(ちゃんとした3WAY)やNS-10MM(テンモニのミニチュアと考えるべきだが)があるくらいだが、そういう商売、サードパーティがやろうと思ったりするのはよくある。
 「うちのお父さんフェラーリ買ったよ。」「ええ?凄い!今度見せて見せて。」「ミニチュアだけど」みたいな小学生の会話を思いだすが(おっさんでもやる人いる)、それでも単なる箱じゃない形状のもののレプリカ的なものなら、それなりに鳴る製品を作るのは簡単ではない。それゆえ結構なお値段がするので、「パラゴン」を眺めて音楽を聴くみたいなマニアぐらいしか手は出さないだろう。ちゃんとした設計であれば、正面の湾曲した反射板により、どこで聴いてもちゃんとした定位が得られるみたいな機能とか、多少はコピーできている気がする。1/5モデルとか下手な高級スピーカーの値段であるから、これで音に満足できなかったらちょっと悲しいし、むしろ終活まで考えたらリーズナブルですよみたいな需要にぴったしかもしれない。このメーカーやるな。


 ちなみに1/5モデルと違って、1/8モデルはパッシブ型のアンプのスピーカー端子に接続する一般のスピーカータイプのものではなく、アンプ内蔵製品だ。

 レプリカミニチュアでも、ちゃんとした製品となると手が出ない値段だ。オペアンプ内蔵モデルは、おそらくチューニングされていてミニチュア売る場合、一つの正解なのだろうけど、なんか面白くない。話の種にもっとミニチュアなのないのかと探していた。

 どころで今回の話にもう一つ被るものがあった。オーディオフリークでは1,2年前からちょっと面白い状況が発生していた。
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 ダイソーの300円スピーカーは、2台一組、オペアンプ内臓でデスクトップ用PCスピーカーとして販売されたものだが、そのスピーカーユニットの侮れない性能、限界的商品であるゆえに、期待以上のクオリティで評判になり、自作派も含めて名だたるオーディオ系YouTuber のユニークな実験用ユニットとして用いられ、それに影響されたこともあって大ヒット商品となり、とうとう在庫が完売、消滅に至った。買えなくなるから、あまりこれで実験とか動画上げないでくれ見たいな声が上がるほどだった。

「創造の館 Technical Report」さん、「宮甚商店」さん、「Frieve-A Music」さん(その製品関連動画そのものへの直リンクではないので注意)、各アカウント、視点や改造のポイントは異なるが、特性測定による検証はきちんとやられている。検索されたら、たくさん出てくる。特に「宮甚商店」さんのこのユニットを使った実験アイデア溢れるスピーカーシリーズは圧巻だ。

 それでスピーカー製作する技量や余裕もない人間は、思いついたわけである。ダイソーのそれのような4cmユニットを用いた個人制作のミニミニパラゴンないかと。パラゴンオリジナルは、エンクロージャーが大型高級家具みたいなものだし、その上で、内部はかなり手の込んだダクトとなっている2台連結のユニットに加え、全面に凸面鏡的な音響的反射板をもった特異な構造を持っている。
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 それ故に、出来合いの材料を組み合わせてなんて理由にもいかず、ある程度の設計と木工製作的な技術と手間が必要ではある。でも、今は4cmあたりのチープなスピーカーユニットは旬なわけでそういうことを考える人も居るのじゃないかとなんとなく期待ができそうだった。


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 で、手に入れた経緯など、真ん中は飛ばして、4cmスピーカーユニットを使ったミニミニParagonの話である。大きさはNS-10MMとの大きさはこんな感じ。実際には、この大きさになると3wayどころか2way構造も意味がないので、4cmユニットでフルレンジを担わせる。低音域を補完したかったら、これ単体でやらせるとか無理なんで、別にSW使うのが正しい。

 本物の3wayのParagonは、ミニチュアではハードルが高く。市販の1/5モデルでも採用されてないと思うが、実はホーンツイーターが外に装着されていないこれそっくりの本物モデルがある。Paragonほど知名度は高くないが、姉妹品みたいな製品でJBL Metregonと呼ばれる。このようなミニチュアMetregonは、ポタオデと言っても良いような気がした(ちょっと違う)。

 これを扱っているサイト検索してみると、”基本的には2ウェイ構成ですが、フルレンジユニットによる1ウェイ構成や、3ウェイ構成のものも存在したようです。”とある。日本に本格的なオーディオブームがやってくるはるか以前のモデルで、当時にあってマニアが直輸入するなどして、日本での正規販売価格などない時代の製品と考えるべきものかもしれない。
 JBL LE175フォーンドライバーを用いたものなどは、かなりの評判を博したようだ。著名なオーディオ店のメールマガジンには「まさしく音楽を聴くための楽器」というすごい表現がある。

 ちなみに、ちょっと頑張って車を飛ばせば、視聴できるお店は存続している(「JBLが聴ける店」より)。かつてはParagonを置くJAZZ喫茶のようなお店は地域の音楽文化を支えるような機能を持っている場合が多かったし、首都圏からのミュージシャンの地方リサイタルには、そういう人たちがキーマンとなって動いていた。今もそうだと思うが、代替わりした時につなげられるかは、それぞれの店の事情によるだろう。元々Popアーティストは、演歌歌手みたいに地方周りしないだろうけど、地域の音楽文化とParagonというスピーカーって割と密接という気がしてはいる。それも昭和からの残響みたいに消えていくのかもしれないけれど。

 Paragon繋がりで、お陰で、この瀬木さんのユニットが訪れてのミニリサイタルでの演奏は聴いたことがある。エスニック音楽色が入るインストロメンタル分野だが、私の一推しのアーティストでもある。


 フルレンジユニットなら、そのまんまだ。知名度もあるからParagonで良いと思うが、Paragonにはこの柵みたいな構造はないので、おそらく製作者にこのMetregonモデルの意匠が頭にあったのは、開口部のスリットのデザインを見て感じた。

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 で周波数特性を見てみた。びっくりしたが、普段の視聴条件通り、やや遠い位置にアンプの別系統出力からSWをかけてあったのに後から気がついだ。200Hzから下は、素の単体の特性ではないが上の方の帯域はそのまんま。クロスオーバー周波数以上のカットもしてないのだが、SWを置いてある位置の関係もあって、割と自然に音が響いている。SWを低音域の補助に使うというのはミニスピーカー使いでは、やらないのは勿体無いというのがよくわかる。
 ワイフに聴かせたら、「ええ?な訳ないでしょう」って、彼女は一発でSW入れてあることに気がついた。小音量の試聴ではあるので、少し帯域の上下を持ち上げている。この特性カーブなら、それなりに聴けてる。しゅごいしゅごい。設計はバックロードホーン構造になっているようなので、その効果を見る上でもこのままではまずいので、単体の特性の方ももちろん測っておく予定。とりあえず中位帯域から上の方だけ参考。
 耳で聴いての判断でも、自分の音楽視聴環境に加えるという部分では、間違いのないところ。思った以上に良いのは、視聴距離が近い、100cmを想定して測定したこともあるかもしれない。ヘッドフォンを近くで聴くみたいなのと似てるかもしれないが、言わないと、どこから音が出ているのか、すぐには分からなかったりして、騙しスピーカーみたいなので大変よろしい。

WMYCONGCONG フルレンジ スピーカーユニット 1.5イン(40mm) 4Ω 3W マグネットスピーカー ステレオウーファーラウドスピーカーユニット ArduinoおよびDIYスピーカー用 4個入 ランダムカラー

WGCD

⭐️⭐️⭐️⭐️

 ちなみに、ダイソーのそれは、本家の通販リストからも消えたが、4cmのスピーカーユニットで「使える」製品は、いくつかあるようだ。多くが3W/4Ωの仕様となっている。このくらいの大きさだと、見かけのマグネットが大きいから高性能というわけでもなさそうだ。


 さて、ミニミニスピーカーというと、私が、4cmスピーカーモデル(アンプ内蔵、ユニット全体がダイソーのそれと同じ銀光沢の円盤)で評価を確認できたのはこの製品。

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 ダイソースピーカーが完売する遥か前に、予想外に音が良いということで、当時、購入者を驚かせたエポックにこのスピーカーがある。我が家ではTVの音をイヤフォン出力引っ張ってキッチンで流すようにしているが、セッティング直後、ワイフが音質に驚いていた。私もびっくりした。SNSで見ていた限り、キラキラ反射する4cmフルレンジスピーカーのヒット製品の元祖だと思う。もちろんオーディオ用ではなくデスクトップで用いるPC用スピーカーということではあった。間違ってもオーディオとして扱うような製品ではないという部分は共通認識としてだが、PCオーディオが今のようにサブスクのソースが豊かになり、当たり前になる前の時代だ。
 当時のjjsさんの記事が見つかった。13年前だね。ちなみに20年以上を超えると、ちゃんとした学術論文やテキスト以外(いわゆる雑文的なものや、サイトの新聞記事など)では、ネットで検索、検証することが、不可能になる場合が多い。現在はものすごい勢いで情報が増えていると思っている人がほとんどだと思うが、今はものすごい勢いで情報が消滅している時代でもあると私は思っている。


 一時期、在庫薄になり、5,000円を超える値段がついてしまったりして(当時は転売ヤーという言葉は、まだ一般的ではなかった記憶が)、間違ってもそこまでの商品ではないよと、多くが購買熱が冷めた状況になった。変に高騰する前、私の購入価格は1,500円台だったと記憶している。ヒット商品の値段を見直して、利益を確保するのは、作り手にとってだけではなく、社会にとって悪いことではないと思っているし、内容の見直しやパーツ変わっている場合もあるので、単純に根を吊り上げたと勝手に騒ぐのも危険ではある。
 この製品も、そのうち周波数特性測っておこうと思っている。

 後、このスピーカーが人気が出たのかなり前で、今の評価の高い人気商品はこちら。私は未視聴だが、このクラスでこの値段、この評価なら、それほど悩まずに選択して大丈夫だろう。




こう云うの実際に設計されている方がおられる。



Commented by ayrton_7 at 2025-02-07 11:13
素晴らしくフラットな周波数特性ですね。
私は、本物のパラゴンを聴く機会が函館では2件あったのですが、セッティングが悪かったのか感動しませんでした。
Commented by complex_cat at 2025-02-07 20:06
ayrton_7さん、
その後、測り直しましたが、低域は110HZぐらいで落ちてて、その下は箱全体が共振して、音が出ているような感じでした。
パラゴン、良いセッティングになっているお店、貴重だと思います。
見かけで感動してしまって終わる感じで、なかなかないですね。
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by complex_cat | 2025-02-02 18:30 | My Tools | Trackback | Comments(2)

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