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ミニミニ・スピーカー大作戦 #5 ユニット交換

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 前回、マニアックなアナログ電子古楽器みたいな、JBLの誇ったParagonの異母兄弟みたいなスピーカーMetregon、そのミニチュア、ミニミニMetregon(実測で1/12モデル)の話をした(「ミニミニ・スピーカー大作戦 #3」、「ミニミニ・スピーカー大作戦 #4」
 私が好きな音楽を試聴しようと手に入れてきたものは、ミニスピーカーと言っても、最大3kg程度のメーカー品の中古が安く手に入り、それなりの良い音で聴けるモデルであって、そういうもので音楽を楽しんでいたのだが、メーカー品ではなく、自作により作られたスピーカーに手を出したわけだ。それ以上に、4cmユニットの音をちょっと聴いてみたかったというのはある。
 コーンを態とつぶしてるのは、鳴らなくなったユニットを区別するため。
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 実際、これを作られた方の見識と技術もあって、このミニチュアはよくできていた。ユニットも、今は、色々な人がその可能性を探りながら遊んでいるだけあって、ちょっと刺激されて周波数特性なんぞ取ってみたりして、ちいさな悦にいっていたのだ。ところがやはりこういうテスト用信号というのは、普通の音楽信号と違って、うっかりすると定格入力を超える入力が簡単に入ってしまうことがある。今時のミニスピーカーは、能率が80dB台の真ん中ぐらいのが普通なので、むしろ定格入力は50〜100Wみたいな規格もあったりする。つまりその辺のアンプが力一杯音声信号を打ち込んでも、ユニットにリスクがかかるなんてことはほぼない。
 で、もちろん、私もこのおもちゃみたいなちっぽけなスピーカーユニットの定格入力が4Ω3Wでそれらの1/10もないのだというのは、鳴らそうとする人間として、当然頭にあったのだが、普通に入力する音楽信号と違って、チャープ音は、一定入力で、周波数特性上限ギリギリまで鳴らすわけで、ボリュームの位置をちょいと間違えれば、あっさりユニットが飛ぶなんてことも普通だ。
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 この周波数特性の図で100Hz以下のものはSWでカバーされている帯域を拾っているので念のため。
 で、うっかり過大入力でユニットを潰してしまった。おそらくコイル周りがダメージを受けたのだと思うが、データが取れたのと引き換えに、もう二度とまともな音が鳴らなくなった。音は鳴っているがボイスコイルが外れるかどうかした模様。

 深夜の視聴や、業務用の小さくはないノイズの換気扇を回してキッチンで調理しているときに目の前で鳴らせるので、ちゃんと音楽視聴できるなど、とても重宝していた。故に、これは困ったなと思っていた。
 当然私のことなので、ユニットの交換を考えたわけだ。よくできたレプリカなので、分解してユニット交換を行うのはちょっと抵抗があったし、うまく行くとも限らない。ただ、製作者の方から、ユニットの型番を伺っていたので、さっさと購入して準備だけして、交換する気分になる状況を待っていた。
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 似たような仕様の4cmのフルレンジスピーカーユニットは、今はプワマンズオーディオカテゴリーにおいて、いかに閃きで高性能なスピーカーに変身させるかということで、自作オーディオのyoutuberたちの発想の豊かさ、腕の見せ所になっている。この話は以前に少しした(ミニミニ・スピーカー大作戦 #3)。このユニットについては、コーンのセンターがキラキラ反射する振動板ではないので、ダイソーの例のユニットではないのはわかった。その辺りに一緒に出てきるユニットかなと思ったのだが、4cm、4Ω、3Wあたりの規格のものは、数があり過ぎてわからない。何しろ音が大変気に入ったので、スピーカーユニットの製品名を伺っておいてよかった。

 修理と言っても、たかが4cmユニットの交換なのだが、エンクロージャーが、元々バラしたり修理する前提で設計製作されていないのは、すぐにわかったし、私には、ちょっとハードル高いかなって思ったのだが、最悪修理に失敗して潰しても、非常に繊細なミニチュアを作られていた方の、工作のレベルや意匠なども拝見できて良しとするかと途中で考えたりした。

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 まあ、結果としては、へっぽこ修理士がユニット交換した割には、「ご家族の皆さん、良いご報告ができます。手術は無事成功しました。」ということになった。このミニミニMetregonが、どういう構造のものか、分解後細かい作りまで理解できだが、エンクロージャーをバラさないように分解して、壊れたユニットを取り外して、ハンダ付けして、傷つけないように再び組み立て直すということだが、いろいろ作りが繊細なので、適当な性格の私にとってはかなりの難手術だった。
 鳴らし込みもちょっとやったら(スピーカーのエージングなどいらないよって話は、今のオーディオの話ではちょくちょく出てくるようだが)、今、以前と同じように、非常に自分にはお気に入りの音で鳴ってくれている。データは取ったし、もうチャープ音だけは流し込まないようにしようと思った。

追記ーエージングのことで、誤解を招く表現があったので、修正。

 最近、色々参考にさせていただいているオーディオ系youtuberの方のエージングについての動画。この方は、技術者らしくターミノロジーが明確でその語用も矛盾なくよくわかるので、自分向きだ。中身の濃い一方で初学者にもわかりやすいオーディオ工学の講義を受けているようで、閲覧数と内容の素晴らしさは今は相関しない典型みたいなの。
 オーディオ関連動画では、数が多いものも若い視聴者がほぼいない、中高年も上の方ばかりで、オワコンとか言われてしまう世の中になった。ちょちょっと前はそう言うロングテールな分野がたくさんあることが素晴らしいことだと言われていたし、皆、長寿になって、少子化に対して、高年齢層が消費の鍵とか言っていたのと、話が逆になってる。それだけ世代間コンフリクトも強くなり、高齢者攻撃的世界になってしまった気もする。ものすごい年寄りの文筆家や政治家が、自分のことを棚に上げて高齢者攻撃をして、その上で彼らは全く高齢者として批判されないみたいな以上な価値観で踏み潰していくなんてのは本当に予想してなかった。
 さて、「講義」ではエージングの機能として、「強度を上げる効果」というのが、ちょっとわかりにくかったが、適正音出しによる鳴らしは、接合部分が無理のない形で稼働することを保証するわけで、それ以外もとても合点が入った。機械動作が入るのはオーディオ装置では、アナログオーディオ装置のLPプレーヤーとカセットデッキ、オープンリール以外ではスピーカーが機械動作部品を持つデバイスとして加わっていたわけだが、デジタルオーディオ時代になってもスピーカーは、相変わらず機械的動作を持つデバイスだ。音波を出す=空気を振動させるわけだから、それ以外のメカニズムになると、かなり大変な話になる。ツイーターだけは、「CORONAプラズマ・イオン・トゥイーター」型ホーンスピーカーなんてものがあり振動板が存在しないゆえに、理論的な音響特性は素晴らしいわけで、製品としても実用化されているが、原理的に低音は無理だ。

 私はスピーカーの自作などは勿論やったこともないのだが、結線とユニットのテストで、エンクロージャーにきっちり取り付ける前に、テストとしてスピーカーユニットを単体で鳴らした時に、凄まじくしょぼい音が、そのちっぽけなスピーカーの印象通りの音で鳴ったのを聴いて、割とショックを受けた。当たり前だが、ちゃんとエンクロージャーに組み込んで、組み立てれば、元の結構お気に入りの音で鳴るのも確かだだろうとは思っていたが、ハッキリ言って、それが簡単には想像もできないレベルだった。
 このミニMetregonは、むしろ本物の特異なエンクロージャー構造をなるべくコピーすることに遊びがあるわけで、4cmのスピーカーユニットを最適解で鳴らすようには作られていないと思っていたのだが、中身を拝見するとMetregonのバックロードホーン構造もなんちゃってでなくて、スピーカーユニットから、同じような構造や位置で機能するようになっている。私には、エンクロージャーの設計や構造について、音響的な解析も検証も全くできないので、味見て、「美味いぞ」っていうだけの話である。材も薄いものがつかわれていて、ある意味全体が共鳴箱みたいになっているかもしれない。どっしりがっしりのエンクロージャーとは真逆の作りだが、要所はきっちり止めてあるので、それなりの入力を入れても、箱が変な音を立ててピリつくことはない。ちょっと感動。
 自作派の人たちが、頼りにする、エンクロージャーの絶対容量とか、このミニチュアでは全く無理であるし、もしかして、これが心理効果かなとも思ったが、データはそれなりに奮闘していることも示していた。不思議ではある。これとSWを鳴らせば、音楽視聴には十分であるし、これ単体でも、音源やアンプ性能もあって、古のラジカセの音よりはかなり高音質で鳴っている。
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 単純な縮尺モデルだと、エンクロージャーの性質や箱の厚さなど、物理的な特性も変わるだろうから、どの程度の効果があるのかわからないが、それでも単体スピーカーユニットのしょぼい音を聴いた後では信じられない表現力でミニMetregonは鳴っている。ああ、こういう作業が得意な方とは言えない私にも修理が成功したと思えたのでことの他、安心した。
 ユニット交換をやって、改めて、スピーカーのエンクロージャーって、ものすごい存在で性能の一部なんだなと理解できた。自作派の人たちがハマるのもなんとなくわかる気になってくる。





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by complex_cat | 2025-03-15 17:18 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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